地
方
公
務
員
災
害
補
償
補 償 実 施 の 手 引
平 成 23 年 1 月
地方公務員災害補償法が昭和42年12月に施行されて以来、40余年を経過しました。この間、補償の種 類の増加、給付水準の改定あるいは福祉事業の大幅な改善が図られてまいりました。業務上の災害や疾 病の発生態様もその時々を反映し、複雑・多様化しつつあり、その防止について、事業主の立場にある 各地方公共団体等が常に留意し努力すべきことは当然のことでありますが、不幸にして職員が被災した 場合には、被災職員あるいはその遺族に対しどのような補償あるいは福祉事業がどのような手続によっ て行われるのか、関係者はもとより任命権者等関係者も十分に理解しておくことが必要です。また、関 係者は、認定基準の改正、医学の進歩、確定判決の動向等を研究し、議論等を重ねることにより、こう した災害の複雑・多様化に対応してゆく等災害補償の迅速かつ公正な実施を図っていくことが必要です。 基金は地方公務員災害補償法に基づき、地方公共団体等に代わって一元的に迅速かつ公正な補償を実 施しなければならないこととされております。この補償の実務は、補償を受けるべき被災職員等からの 請求からスタートしますが、被災職員等は、任命権者における災害補償担当者の助力がなければ補償の 請求を適正かつ円滑に進めることが困難な場合が多いと思われます。また、基金は被災職員等からの請 求を受けて、被災職員の勤務状況の把握、災害発生状況の確認等多くの調査を行いますが、これらの調 査にも任命権者における災害補償担当者の協力が必要不可欠です。このように、被災職員等や基金の努 力のみでは補償を適正に行うことは困難であり、任命権者の格別のご支援、ご協力をお願いしたいと思 います。 この冊子は、このような観点から、各地方公共団体等の災害補償担当者の実務の参考に供するために 編集したものです。本冊子を被災職員に対する迅速かつ公正な補償の実施のために役立てていただけれ ば幸いと存じます。 平成23年1月 地方公務員災害補償基金 理 事 長 橋 本 勇
地方公務員災害補償
補 償 実 施 の 手 引
目 次
第1部 災害補償制度の概要 ··· 1 第1 災害補償制度の体系 ··· 1 1 災害補償制度の意義 ··· 1 2 災害補償制度の適用関係 ··· 1 3 地方公務員災害補償基金 ··· 3 第2 常勤職員の災害補償制度 ··· 4 1 補償の種類 ··· 4 2 福祉事業の種類 ··· 7 3 補償の手続 ··· 10 4 費用の負担 ··· 11 5 メリット制 ··· 13 6 時効 ··· 14 7 損害賠償との調整等 ··· 15 8 不服申立て等 ··· 15 第2部 公務災害及び通勤災害の認定 ··· 18 第1 公務災害の認定の手続 ··· 18 1 公務災害の認定 ··· 18 2 認定請求 ··· 18 3 認定の通知 ··· 21 第2 通勤災害の認定の手続 ··· 21 1 通勤災害の認定 ··· 21 2 認定請求 ··· 22 3 認定の通知 ··· 22 第3部 公務災害の認定基準 ··· 23 第1 公務上の負傷の認定 ··· 23 1 自己の職務遂行中の負傷 ··· 23 2 職務遂行に伴う合理的行為中の負傷 ··· 24 3 職務遂行に必要な準備行為又は後始末行為中の負傷 ··· 25 4 救助行為中の負傷 ··· 25 5 防護行為中の負傷 ··· 25 6 出張又は赴任期間中の負傷 ··· 25 7 出勤又は退勤途上の負傷 ··· 26 8 レクリエーション参加中の負傷 ··· 2811 職務遂行に伴う怨 恨 えんこん による負傷 ··· 29 12 公務上の負傷又は疾病と相当因果関係をもって発生した負傷 ··· 29 13 その他公務と相当因果関係をもって発生したことが明らかな負傷 ··· 29 第2 公務上の疾病の認定 ··· 30 1 公務上の負傷に起因する疾病 ··· 30 2 則別表第1第2号から第9号までに掲げる疾病 ··· 32 3 その他公務に起因することが明らかな疾病 ··· 35 第3 公務上の障害又は死亡の認定 ··· 36 第4部 通勤災害の認定基準 ··· 37 第1 通勤の範囲 ··· 37 1 「勤務のため」について ··· 37 2 「住居」について ··· 38 3 「勤務場所」について ··· 38 4 「合理的な経路及び方法」について ··· 39 5 「逸脱」・「中断」について ··· 40 6 「日常生活上必要な行為であって総務省令で定めるもの」について ··· 41 第2 通勤による災害の認定 ··· 45 1 通勤による負傷 ··· 45 2 通勤による疾病 ··· 45 3 通勤による障害又は死亡 ··· 45 第5部 補償の内容と請求手続 ··· 46 第1 療養補償 ··· 46 第2 休業補償 ··· 54 第3 傷病補償年金 ··· 58 第4 障害補償 ··· 61 第5 介護補償 ··· 64 第6 遺族補償 ··· 69 第7 葬祭補償 ··· 76 第8 障害補償年金差額一時金 ··· 77 第9 障害補償年金前払一時金 ··· 79 第10 遺族補償年金前払一時金 ··· 81 第11 未支給の補償 ··· 82 第12 予後補償及び行方不明補償 ··· 83 第6部 福祉事業の内容と申請手続 ··· 84
第1 外科後処置に関する事業 ··· 85 第2 補装具に関する事業 ··· 86 第3 リハビリテーションに関する事業 ··· 87 第4 アフターケアに関する事業 ··· 87 第5 休業援護金 ··· 100 第6 在宅介護を行う介護人の派遣に関する事業 ··· 102 第7 奨学援護金 ··· 103 第8 就労保育援護金 ··· 106 第9 傷病特別支給金 ··· 108 第10 障害特別支給金 ··· 109 第11 遺族特別支給金 ··· 110 第12 障害特別援護金 ··· 111 第13 遺族特別援護金 ··· 112 第14 傷病特別給付金 ··· 113 第15 障害特別給付金 ··· 114 第16 遺族特別給付金 ··· 115 第17 障害差額特別給付金 ··· 117 第18 長期家族介護者援護金 ··· 118 第19 公務上の災害の防止に関する活動を行う団体に対する援助に関する事業 ··· 121 第20 公務上の災害を防止する対策の調査研究に関する事業 ··· 121 第21 公務上の災害を防止する対策の普及及び推進に関する事業 ··· 122 第22 旅行費の支給 ··· 122 第23 未支給の福祉事業 ··· 123 第7部 補償等の特例 ··· 125 第1 特殊公務に従事する職員の特例 ··· 125 1 制度の概要 ··· 125 2 請求手続等 ··· 126 3 特別給付金の特例 ··· 127 第2 船員である職員の特例 ··· 127 1 療養補償関係 ··· 127 2 休業補償関係 ··· 127 3 障害補償関係 ··· 127 4 遺族補償一時金関係 ··· 128 5 障害補償年金差額一時金関係 ··· 128 6 障害補償年金前払一時金関係 ··· 128 7 遺族補償年金前払一時金関係 ··· 129
10 休業援護金関係 ··· 130 11 特別給付金関係 ··· 130 12 平均給与額関係 ··· 130 13 通勤災害に係る一部負担金関係 ··· 130 第3 公務で外国旅行中の職員の特例 ··· 130 1 療養補償の特例 ··· 130 2 国際緊急援助活動に従事する職員に係る補償の特例 ··· 131 第8部 平均給与額の算定 ··· 132 第1 平均給与額の算定基礎となる給与 ··· 132 第2 平均給与額の算定方法 ··· 132 1 法第2条第4項による計算 ··· 133 2 法第2条第6項による計算(控除計算) ··· 137 3 法第2条第7項による計算 ··· 140 4 年金たる補償に係る平均給与額の自動改定 ··· 145 5 最低保障額 ··· 145 6 平均給与額の端数処理 ··· 145 7 年金たる補償に係る平均給与額の最低限度額及び最高限度額 ··· 145 8 休業補償に係る平均給与額の最低限度額及び最高限度額 ··· 147 9 派遣法による派遣の場合の平均給与額 ··· 147 第3 給与改定に伴う平均給与額の再計算 ··· 147 第4 平均給与額算定書 ··· 148 1 給与支払状況の欄の記入について ··· 148 2 平均給与額算定の計算欄の記入について ··· 148 第9部 補償等の支給事務等 ··· 153 第1 補償の実施に係る情報の提供 ··· 153 1 審査基準及び処分基準の公表 ··· 153 2 公務外の認定等の理由の提示 ··· 153 3 その他の情報の提供 ··· 154 4 福祉事業の取扱い ··· 155 第2 補償事務の迅速な処理 ··· 155 1 標準処理期間の遵守 ··· 155 2 請求に対する審査の迅速化 ··· 156 3 福祉事業の取扱い ··· 157 第3 年金たる補償に係る平均給与額の自動改定 ··· 157
第4 年金たる補償等の額の端数処理 ··· 158 1 年金たる補償の額の端数処理 ··· 158 2 傷病特別給付金等の額の端数処理 ··· 159 3 各支払期月に支払う年金額の端数計算(平成8年8月以降) ··· 160 第5 他の法令による給付との調整 ··· 160 1 休業補償の場合 ··· 160 2 傷病補償年金の場合 ··· 161 3 障害補償年金の場合 ··· 161 4 遺族補償年金の場合 ··· 161 第6 補償等の制限 ··· 163 1 補償制限 ··· 163 2 福祉事業の支給の制限 ··· 164 第7 派遣法による派遣職員が派遣先の機関等から補償を受けた場合 ··· 164 第8 補償等の支払の調整 ··· 165 1 補償の内払 ··· 165 2 福祉事業の内払 ··· 165 第9 過誤払による返還金債権への充当 ··· 166 1 年金たる補償の過誤払による返還金債権への充当 ··· 166 2 年金たる特別給付金の過誤払による返還金債権への充当 ··· 167 第10 年金証書・年金たる補償等の改定通知 ··· 167 1 年金証書の交付 ··· 167 2 年金たる補償の額の改定通知 ··· 168 3 年金たる特別給付金の額の改定通知 ··· 168 第10部 求償・免責の取扱い ··· 169 第1 第三者の損害賠償責任との調整 ··· 169 第2 地方公共団体の損害賠償責任との調整 ··· 169 第3 求償・免責の具体的取扱い ··· 170 第11部 不服審査制度等 ··· 171 第1 不服審査制度 ··· 171 1 不服審査制度の概要 ··· 171 2 審査会の機構 ··· 171 3 審査手続 ··· 172 4 訴訟 ··· 178 第2 福祉事業の決定に対する不服の申出 ··· 178 1 不服の申出 ··· 179 2 申出の方式 ··· 179
5 その他 ··· 180 第12部 その他 ··· 181 第1 報告・出頭等 ··· 181 1 療養の現状等に関する報告 ··· 181 2 年金たる補償の受給権者の定期報告 ··· 181 3 奨学援護金及び就労保育援護金を受けている者の定期報告 ··· 181 4 届出 ··· 181 第2 補償の支払の一時差止め ··· 182 第3 小口資金の貸付を受けるための措置 ··· 182 1 年金担保貸付制度の概要 ··· 182 2 年金担保貸付に係る事務の流れ ··· 183 第4 非課税措置 ··· 184 参考資料 1 補償及び福祉事業に係る請求書及び申請書等の様式一覧 ··· 186 2 傷病等級表 ··· 188 3 障害等級早見表 ··· 189 4 補償と福祉事業の関係 ··· 196 5 補償及び福祉事業の種類別主要改正経過一覧 ··· 198 6 特例遺族の年齢 ··· 208 7 標準処理期間一覧 ··· 208 8 ホームヘルプ等利用料金基準表 ··· 209 9 スライド率早見表 ··· 210 10 最低保障額早見表 ··· 212 11 最低最高限度額早見表 ··· 213 12 遺族補償一時金及び障害補償年金差額一時金の算定に用いる総務大臣が定める率早見表 ··· 215 13 満年齢早見表(平成22年4月1日現在) ··· 217
凡 例
法 地方公務員災害補償法 令 地方公務員災害補償法施行令 則 地方公務員災害補償法施行規則 定 款 地方公務員災害補償基金定款 業 規 地方公務員災害補償基金業務規程 様 式 補償の請求書等の様式に関する規程 別紙様式 派 遣 法 外国の地方公共団体の機関等に派遣される一般職の地方公務員の処遇等に関する法律 派遣職員の 平均給与額 等を定める 省 令 外国の地方公共団体の機関等に派遣される一般職の地方公務員の処遇等に関する法律 第五条第二項の規定による平均給与額等を定める省令 端数計算法 国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律 行 服 法 行政不服審査法 行 訴 法 行政事件訴訟法第1部 災害補償制度の概要
第1 災害補償制度の体系
1 災害補償制度の意義 地方公務員災害補償制度(以下「災害補償制度」という。)は、地方公務員等が公 務(注)上の災 害(負傷、疾病、障害又は死亡をいう。以下同じ。)又は通勤による災害を受けた場合に、そ の災害によって生じた損害を補償し、及び必要な福祉事業を行い、もって地方公務員等及び その遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする制度である。 この災害補償制度の大きな特徴は、公務上の災害について使用者の無過失責任主義をとり、 地方公共団体等に過失がなくても補償義務が発生するものとされることである。民法上の損 害賠償が原則として過失主義をとっていることとこの点において異なる。 また、通勤による災害についても、使用者としての責任を論ずることなく、使用者の支配 下にない通勤途上の災害について補償が行われるという点で、民法上の損害賠償とは異なる。 さらに、災害補償制度は、一部に年金が採り入れられており、加えて、補償を超えた福祉 事業をも行うこととされており、被災職員及びその遺族の生活の安定と被災職員の社会復帰 の促進を考慮した制度であって、賠償責任保険的な性格とは異なった制度となっている。 2 災害補償制度の適用関係 地方公務員等の公務上の災害(以下「公務災害」という。)又は通勤による災害(以下「通勤災 害」という。)に対する補償は、職 員(注)については法の規定により地方公務員災害補償基金が その実施に当たり、非常勤職員については、法に基づく条例、労働者災害補償保険法、消防 団員等公務災害補償等責任共済等に関する法律、公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬 剤師の公務災害補償に関する法律等の法令により、地方公共団体等が補償を実施する仕組み となっている。 ※1 法第1条 ※2 法第1条 ※3 法第69条 ※4 法第2条 令第1条 「地方公務員災害補償法における常勤職員に準 ずる非常勤職員の範囲等について」 (昭42.9.20自治省告示150号) (注) 「公務」には、一般地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第55条に規 定する一般地方独立行政法人をいう。以下同じ。)の業務を含む。 ※1 ※2 ※3 (注) 「職員」とは、次に掲げる者をいう。 1 常勤職員 (1) 常時勤務に服することを要する地方公務員 (2) 一般地方独立行政法人の役員(地方独立行政法人法第12条に規定する役員をいう。)及 び一般地方独立行政法人に使用される者で、一般地方独立行政法人から給与を受けるも の(以下「一般地方独立行政法人の役職員」という。)のうち常時勤務することを要する者 2 非常勤職員のうち次の(1)又は(2)に該当する者 (1) 再任用短時間勤務職員 地方公務員法(昭和25年法律第261号)第28条の5第1項に規定する短時間勤務の職を 占める者 ※4第1部 災害補償制度の概要 これら関係法令等の適用関係及び補償実施機関をまとめてみると、次のとおりである。 身 分 地 方 公 務 員 非 公 務 員 所 属 地 方 公 共 団 体 特定地方独立行政法人 一般地方独立行政法人 区 分 職 種 一 般 職 特 別 職 職 員 (一般職) 役 員 等 (特別職) 職 員 役 員 常勤 職員 全 職 員 地 方 公 務 員 災 害 補 償 法 再任用短時間勤務職員 任期付短時間勤務職員 地方公務員の育児休業等に関 する法律における育児短時間 勤務に伴う短時間勤務職員 地方公務員 災害補償法 地方公務員 災害補償法 常勤的非常勤職員 地 方 公 務 員 災 害 補 償 法 労 働 者 災 害 補 償 保 険 法 議会の議員、行政委員会 の委員、地方公共団体の 附属機関の委員、統計調 査員等他の法令の適用 を受けない者 地方公務員災害補償法に基づく条例 労 働 者 災 害 補 償 保 険 法 臨 時 職 員 等 水道、交通、清掃、病院、 学校など労働基準法別 表第1に掲げる事業に 雇用される者 労災法の対 象とならな い場合には 条例 使 用 者 た る 役 員 に つ い て は 地 方 独 立 行 政 法 人 が定める 使 用 者 た る 役 員 に つ い て は 地 方 独 立 行 政 法 人 が定める 船員 労 働 者 災 害 補 償 保 険 法 消防団員、水防団員 消 防 組 織 法、水防法 及び消防団 員等公務災 害補償等責 任共済等に 関する法律 非 常 勤 職 員 学校医、学校歯科医、学校薬 剤師 公立学校の 学校医、学 校歯科医及 び学校薬剤 師の公務災 害補償に関 する法律 労働者災害 補償保険法 注:実施機関は次のとおり ・地方公務員災害補償法(条例を除く。)…地方公務員災害補償基金 ・労働者災害補償保険法…国(厚生労働省所管) ・地方独立行政法人の使用者たる役員…当該地方独立行政法人 ・その他…地方公共団体 (2) 常勤的非常勤職員 ① 常時勤務に服することを要しない地方公務員のうち、雇用関係が事実上継続していると 認められる場合において、常時勤務に服することを要する地方公務員について定められて いる勤務時間以上勤務した日が18日(昭和63年4月1日前の期間については22日、昭和63 年4月1日から平成4年5月1日前の期間については20日)以上ある月が引き続いて12月 を超えるに至った者で、その超えるに至った日以後引き続き当該勤務時間により勤務する ことを要することとされているもの ② 常時勤務することを要しない一般地方独立行政法人の役職員にのうち、常時勤務するこ とを要する者について定められている勤務時間以上勤務した日(当該一般地方独立行政法 人における労働協約、就業規則その他の規定により勤務を要しないこととされ、又は休暇 を与えられた日を含む。)が引き続いて12月を超えるに至った者で、その超えるに至った 日以後引き続き当該勤務時間により勤務することを要することとされているもの 労働基準法別表第1 に掲げる事業以外の 事業に雇用される者
3 地方公務員災害補償基金 地方公務員災害補償基金(以下「基金」という。)は、法によって設置された法人で、職員が 公務災害又は通勤災害を受けた場合にこれに対する補償の実施を被災職員の属する地方公共 団体等に代わって行うものとされており、本部を東京都に、各都道府県及び地方自治法(昭和 22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市にそれぞれ支部を置いている。その具体的事 務処理、すなわち補償請求の原因である災害が公務災害又は通勤災害かどうかの認定、各種 補償の支給決定及びその支払い等は、原則としてそれぞれの支部で行われる。また、その活 動と補償の実施に必要な財源は各地方公共団体等からの負担金その他の収入で賄われる。 ちなみに、基金の組織を図示すると、次のとおりである。 地方公務員災害補償基金(本部) 地方公務員災害補償基金(支部) 都道府県支部 指定都市支部 ※5 法第3条~第23条、第52条~第55条 ※6 定款第20条~第22条 業規第4条 法第49条、第50条 ※7 定款第1条~第19条 地方公務員災害補償基金本部事務組織規程 業規第5条、第52条、第55条 支 部 審 査 会 支 部 長 (都道府県知事・指定都市市長) 副 支 部 長 事 務 局 監 事 運 営 審 議 会 情 報 公 開 ・ 個人情報保護 審 査 会 理 事 長 代表者委員会 理 事 事 務 局 補 償 課 経 理 課 審 査 課 訟 務 課 企 画 課 総 務 課 ※5 ※6 ※7 審 査 会
第1部 災害補償制度の概要
第2 常勤職員の災害補償制度
1 補償の種類 職員の公務災害又は通勤災害について基金が行う補償の種類、事由及び内容の概略は、次 のとおりである。 補償の種類 (適用年月日) 補 償 事 由 補 償 内 容 1 療養補償 (昭42.12.1) 公務又は通勤により負傷 し、又は疾病にかかった 場合 必要な療養を行い、又は必要な療養の費用 を支給する。療養の範囲は次のとおりであ る(療養上相当と認められるものに限る。)。 (1) 診察 (2) 薬剤又は治療材料の支給 (3) 処置、手術その他の治療 (4) 居宅における療養上の管理及びその療 養に伴う世話その他の看護 (5) 病院又は診療所への入院及びその療養 に伴う世話その他の看護 (6) 移送 2 休業補償 (昭42.12.1) 公務又は通勤により負傷 し、又は疾病にかかり療 養のため勤務できない場 合で、給与を受けないと き 1日につき平均給与額の60パーセントに相 当する金額を支給する。ただし、傷病補償 年金を受ける者又は刑事施設等に拘禁若し くは収容されている者には行わない。 3 傷病補償年金 (昭52.4.1) 公務又は通勤により負傷 し、又は疾病にかかり、 療養の開始後1年6か月 を経過しても治らず、そ の障害の程度が則別表第 2に定める傷病等級に該 当する場合 第1級から第3級までの障害の状態に応 じ、年金を支給する。 ※8 法第26条、第27条 ※9 法第28条 法第28条の2第3項 ※10 法第28条の2 ※8 ※9 ※10補償の種類 (適用年月日) 補 償 事 由 補 償 内 容 4 障害補償 (昭42.12.1) 公務又は通勤により負傷 し、又は疾病にかかり、 治ったとき則別表第3に 定める程度の障害が残っ た場合 障害の程度により、第1級から第7級まで は年金を、第8級から第14級までは一時金 を支給する。 5 介護補償 (平8.4.1) 傷病補償年金又は障害補 償年金の受給権者で、則 別表第4で定める程度の 障害を有し、常時又は随 時介護を受けている場合 常時又は随時介護を受ける場合に通常要す る費用を考慮して総務大臣が定める金額 を、当該介護を受けている期間(病院等に入 院している間又は障害者支援施設等に入所 している間を除く。)支給する。 6 遺族補償 (昭42.12.1) 公務又は通勤により死亡 した場合 (1) 遺族補償年金 配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄 弟姉妹(ただし、妻以外の者にあっては18 歳に達する日以後の最初の3月31日まで の間にあるもの又は60歳以上のもの(一 定の障害の状態にあるものを除く。))で、 職員の死亡の当時、その収入によって生 計を維持していたものに対し、年金を支 給する。 (2) 遺族補償一時金 ① (1)に掲げる要件に該当しない配偶 者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉 妹等に対し、一時金を支給する。 ② 遺族補償年金の受給権者の受給権が 消滅し、他に同年金を受けることがで きる者がいないときは、①の場合に支 給される一時金の額をまず算定し、そ の額から、既に支給した年金及び前払 一時金の額の合計額を控除して残額が あれば、これを一時金として上記①の 者に支給する。 ※11 法第29条 ※12 法第30条の2 ※13 法第31条~第39条 法附則第7条、第7条の2 令附則第2条 ※11 ※12 ※13
第1部 災害補償制度の概要 補償の種類 (適用年月日) 補 償 事 由 補 償 内 容 7 葬祭補償 (昭42.12.1) 公務又は通勤により死亡 した場合 「葬祭を行なう者」(遺族等であって社会通 念上葬祭を行うとみられる者(現実に葬祭 を行った者があるときは、その者))に対し、 315,000円に平均給与額の30日分に相当す る金額を加えた金額(この額が平均給与額 の60日分に相当する金額に満たないとき は、平均給与額の60日分に相当する金額) を支給する。 8 障害補償年金差 額一時金 (昭56.11.1) 障害補償年金の受給者が 死亡した場合 障害補償年金の受給権者が死亡した場合に おいて、既に支給した年金及び前払一時金 の額の合計額が一定の額に満たないときは その遺族に対し、その差額を支給する。 9 障害補償年金前 払一時金 (昭56.11.1) 障害補償年金の受給権者 が申し出た場合 障害補償年金の受給権者が申し出たとき は、以後その者が受けることができる年金 の一部を前払一時金として支給する。 10 遺族補償年金前 払一時金 (昭42.12.1) 遺族補償年金の受給権者 が申し出た場合 遺族補償年金の受給権者が申し出たとき は、以後その者が受けることができる年金 の一部を前払一時金として支給する。 船 員 の 特 例 11 予後補償 (昭42.12.1) 傷病が治ったとき勤務で きない場合で、給与を受 けないとき 1日につき平均給与額の60パーセントに相 当する金額を、治った日の翌日から、勤務 することができない期間(1月を超えると きは、1月間)支給する。ただし、刑事施設 等に拘禁又は収容されている者には行わな い。 ※14 法第42条 令第2条の2 令附則第1条の2 ※15 法附則第5条の2 則附則第4条 ※16 法附則第5条の3 則附則第4条の2~第4条の4 ※17 法附則第6条 則附則第4条の5~第4条の8 ※18 法第46条の2 令第6条 ※15 ※14 ※16 ※17 ※18
補償の種類 (適用年月日) 補 償 事 由 補 償 内 容 船 員 の 特 例 12 行方不明補 償 (昭42.12.1) 船員が公務上行方不明に なったとき 行方不明になったとき、その船員の被扶養 者に行方不明の日の翌日から、その行方不 明の期間(3月を超えるときは、3月間)1 日につき平均給与額の100パーセントに相 当する金額を支給する。 ただし、当該期間が1月に満たない場合は 行わない。 注:補償の内容等については、「第5部 補償の内容と請求手続」(46頁~83頁)「第7部 補償等の特例」 (125頁~131頁)及び「第8部 平均給与額の算定」(132頁~152頁)参照。 2 福祉事業の種類 基金は、公務災害又は通勤災害を受けた職員及びその遺族の福祉に関して必要な事業をす るよう努めなければならないものとされている。 福祉事業は、金銭給付をもって定型的に行われる補償のみによっては、必ずしも十分に被 災職員及びその遺族の生活の安定、福祉の維持向上を図り得ない面があると考えられるため 講ぜられる施策ないし措置である。 基金が行う福祉事業の種類及び内容の概略は次のとおりである。 福 祉 事 業 の 種 類 (適用年月日) 福 祉 事 業 の 内 容 1 外科後処置 (昭42.12.1) 則別表第3に定める程度の障害が存する者のうち、義肢装着の ための断端部の再手術の処置が必要であると認められる者等に 対して診察、薬剤又は治療材料の支給等の外科後処置を行う。 2 補装具の支給 (昭42.12.1) 則別表第3に定める程度の障害が存する者に対し、義肢、義眼、 補聴器、車いす等の補装具の支給を行う。 3 リハビリテーション (昭42.12.1) 則別表第3に定める程度の障害が存する者のうち、社会復帰の ために身体的機能の回復等の措置が必要であると認められる者 に対して機能訓練等のリハビリテーションを行う。 ※19 法第46条の2 令第8条 ※20 法第47条 則第38条 ※21 業規第27条 ※22 業規第27条の2 ※23 業規第27条の3 ※19 ※20 ※21 ※22 ※23
第1部 災害補償制度の概要 福 祉 事 業 の 種 類 (適用年月日) 福 祉 事 業 の 内 容 4 アフターケア (昭46.4.1) 傷病が治ゆした者のうち、外傷による脳の器質的損傷を受けた 者で則別表3に定める程度の障害を有する者等に対し、円滑な 社会生活を営むために必要な、一定範囲の処置等を行う。 5 休業援護金 (昭42.12.1) 休業による給与減等を補うことを目的として休業補償を受ける 者等に対し、休業援護金を支給する。 6 在宅介護を行う介護人 の派遣に関する事業 (平7.8.1) 傷病補償年金の受給権者又は障害等級第3級以上の障害補償年 金の受給権者のうち、居宅において介護を要する者に対し、基 金の指定する事業者において介護人を派遣し、又は介護等の供 与に必要な費用を支給する。 7 奨学援護金 (昭42.12.1) 遺族補償年金の受給権者等であって学校等に在学する者等の学 資の支弁を援護する目的で奨学援護金を支給する。 8 就労保育援護金 (昭54.4.1) 就業している遺族補償年金の受給権者等であって未就学である 者の保育に係る費用を援護する目的で就労保育援護金を支給す る。 9 傷病特別支給金 (昭56.4.1) 傷病補償年金の受給権者に対し、見舞金の趣旨で傷病等級の区 分に応じて傷病特別支給金を支給する。 10 障害特別支給金 (昭49.11.1) 障害補償の受給権者に対し、見舞金の趣旨で障害等級の区分に 応じて障害特別支給金を支給する。 11 遺族特別支給金 (昭49.11.1) 遺族補償の受給権者に対し、弔慰・見舞金の趣旨で受給権者の 区分に応じて遺族特別支給金を支給する。 12 障害特別援護金 (昭51.4.1) 障害補償の受給権者に対し、生活を援護する趣旨で障害等級の 区分等に応じて障害特別援護金を支給する。 ※24 業規第27条の4 ※25 業規第28条 ※26 業規第28条の3 ※27 業規第29条 ※28 業規第29条の2 ※29 業規第29条の5 ※30 業規第29条の6 ※31 業規第29条の7 ※32 業規第29条の8 ※32 ※31 ※30 ※29 ※28 ※27 ※26 ※25 ※24
福 祉 事 業 の 種 類 (適用年月日) 福 祉 事 業 の 内 容 13 遺族特別援護金 (昭50.1.1) 遺族補償の受給権者に対し、生活を援護する趣旨で受給権者の 区分等に応じて遺族特別援護金を支給する。 14 傷病特別給付金 (昭52.4.1) 傷病補償年金の受給権者に対し、期末手当等の特別給を給付内 容に反映させる趣旨で傷病特別給付金を年金として支給する。 15 障害特別給付金 (昭52.4.1) 障害補償年金の受給権者に対し年金、障害補償一時金の受給権 者に対し一時金として障害特別給付金を支給する(趣旨は傷病 特別給付金に同じ。)。 16 遺族特別給付金 (昭52.4.1) 遺族補償年金の受給権者に対し年金、遺族補償一時金の受給権 者に対し一時金として遺族特別給付金を支給する(趣旨は傷病 特別給付金に同じ。)。 17 障害差額特別給付金 (昭56.11.1) 障害補償年金差額一時金を受けることとなった者等に対し、失 権による遺族補償一時金により支給される特別給付金との均衡 を考慮し、一時金として障害差額特別給付金を支給する。 18 長期家族介護者援護金 (平7.4.1) 傷病補償年金又は障害補償年金の受給権者(せき髄その他神経 系統の機能若しくは精神又は胸腹部臓器の著しい障害により、 常に介護を要する者に限る。)が当該年金を支給すべき事由が生 じた日の翌日から起算して10年を経過した日以後に死亡した場 合(その死亡が公務上の災害又は通勤による災害と認められる 場合を除く。)に、一定の要件を満たす遺族に対し、一時金とし て100万円を支給する。 ※33 業規第29条の9 ※34 業規第29条の10 ※35 業規第29条の11 ※36 業規第29条の13 ※37 業規第29条の14 ※38 業規第29条の19 ※38 ※37 ※36 ※35 ※34 ※33
第1部 災害補償制度の概要 福 祉 事 業 の 種 類 (適用年月日) 福 祉 事 業 の 内 容 19 公務上の災害の防 止に関する活動を行 う団体に対する援助 に関する事業 (平7.8.1) 公務上の災害を防止するために必要な調査、研究、普及その他 の活動を行う団体に対して、必要な情報の提供その他の援助を 行う。 20 公務上の災害を防 止する対策の調査研 究に関する事業 (平7.8.1) 公務上の災害に関する情報の収集、公務上の災害の発生状況、 発生原因等の調査及び分析並びに公務上の災害を防止する対策 の研究及び策定を行う。 公 務 災 害 防 止 事 業 21 公務上の災害を防 止する対策の普及及 び推進に関する事業 (平7.8.1) 地方公共団体等に対して、「公務上の災害を防止する対策の調査 研究に関する事業」による調査研究の成果の普及を行うととも に、公務上の災害を防止する対策を推進する。 注:福祉事業の内容等については、「第6部 福祉事業の内容と申請手続」(84頁~124頁)参照。 3 補償の手続 (1) 災害補償は、次の手順によって行う。 ① 被災職員又はその遺族等は、任命権者(地方独立行政法人の職員にあっては、当該地方 独立行政法人の理事長。以下同じ。)を経由して、支部長に対し各種補償(傷病補償年金 を除く。)の請求を行う(療養補償を受けようとする者にあっては、当該災害が公務災害 又は通勤災害であることの認定を求める請求を行うとともに当該補償の請求を行う。)。 ② 任命権者は、当該災害の認定に関して意見を付し、提出されたこれらの請求書の記載 内容を点検し、所要の証明等を行い支部長に送付する。 ③ 支部長は、当該災害が公務又は通勤により生じたものか否かを速やかに認定し、各種 補償の決定を請求者及び任命権者に通知する(療養補償を受けようとする者に対しては、 補償の決定通知の前に認定の通知をする。)。 ④ 公務災害又は通勤災害と認定した災害に係る各種補償の請求に対しては、それぞれ法 の定めるところに従い、現物給付又は金銭給付の形で補償を実施する。 ※39 業規第29条の20 ※40 業規第29条の21 ※41 業規第29条の22 ※42 法第45条 則第30条、第30条の2 業規第7条~第10条、第12条~第15条、第17 条、第18条、第20条~第23条の3 ※43 法第24条~第46条の2 法附則第5条の2~第7条 業規第24条 ※40 ※39 ※41 ※42 ※43
(2) 以上の手続の過程を図示すれば、次のとおりである。 なお、福祉事業についても、各種補償の請求に準じて、被災職員等からの申請に基づき 給付を行う。 4 費用の負担 基金の業務に要する費用は、前記のとおり各地方公共団体等の負担金等によって賄われる が、普通補償経理と特別補償経理とに区分して経理している。 普通補償経理は、基金の業務のうち、後述の特別補償経理に属するものを除いたものを賄 う経理であって、定款で定める負担金率によって算定・納入される負担金等の収入をもって 経理するものをいい、全地方公共団体等が対象となる。 これに対し、特別補償経理は、業務規程で指定する特定の地方公共団体(45団 体(注))の職員 に対して行う休業補償及び休業援護金の支給に係る基金の業務を賄う経理であって、業務規 程で定める負担金率によって算定・納入される負担金等の収入をもって経理するものをいう。 ※44 則第38条~第40条 業規第31条~第32条の3 ※45 法第49条、第50条、定款17条の2、別表第2 業規第33条の2、別表第2 ※46 業規第33条の3 被災職員等 ⑤各種補償の支給 認定通知 ( 認定請求書 の 提出があった場合 ) 各種補償決定通知 ( 認定 請求書の提出が あ っ た 場合 ) 認定通知 各種補償決定通知 指定医療機関及び その他の医療機関 任 命 権 者 権限の委任 特定事案の協議 ②認定に必要な審査 書類の補完/各種補 償請求書の内容確認 ①各種補償の請求 療 養 補 償 を 受 け よ う と す る 者 に あ っ ては、公務災害又は 通 勤 災 害 の 認 定 請 求 と と も に 補 償 の 請求を行う ④-1 ④-2 ④-1 ④-2 災害発生 治療又は処置 療養 補償費 の 受領 委任 基金本部 基金支部 ③認定について 調 査 の 上意見添付・ 補償の請求書 の内容確認 ⑥療 養補償 費 支払 い 所 属 長 ※44 ※45 ※46
第1部 災害補償制度の概要 すなわち、一部の地方公共団体においては、法施行前から、職員が公務災害による療養の ため勤務することができない場合には、給与を支給しないで直ちに休業補償を行っていた経 緯にかんがみ、基金は基金制度発足以後もこれら特定の地方公共団体の職員が療養のため勤 務することができない場合には、他の地方公共団体の職員に対する場合(他の地方公共団体に おいては、この場合、その職員の在職中の一定期間は引き続き所定の給与を支給する措置を とっている。)と異なって、直ちに休業補償・休業援護金を支給することとした。 これらの費用に充てるため、これら特定の地方公共団体は普通補償経理の負担金のほかに 特別の負担金を負担することとなり、この負担金等の収入により経理するものを特別補償経 理として普通補償経理とは区分して運営しているところである。 なお、この特別補償経理から支給する休業補償・休業援護金は、療養のため勤務すること ができなくなった日から3年を経過した日までの間を限度として行うこととなっており、こ の期間が経過した後において、なおかつ療養のため勤務することができない等の場合におけ る休業補償・休業援護金の支給については、普通補償経理から行うこととなっている。 次に、この負担金は、それぞれ概算負担金と確定負担金からなっており、定款で定める職 種区分ごとの職員に係る給与の総額(退職手当及び児童手当を除く。)に、職種区分ごとの前 記の負担金率を乗じて算定するものである。 概算負担金は、地方公共団体等の前々年度の決算に計上された給与の総額に理事長が定める率 を乗じた額(新設の地方公共団体等の場合は、当該年度の予算に計上された給与の総額。)を基に 得られる負担金であり、原則として、毎年度5月15日までに基金に納入することになっている。 確定負担金は、年度終了後、地方公共団体等の当該年度の決算に計上された給与の総額を 基に得られる負担金であり、既に納付した概算負担金との過不足額を精算する仕組みになっ ている。過不足額のうち不足額については、翌年度の9月末日までに基金に納入することに なっており、また過納額については、当該地方公共団体等に還付するか又は次年度の負担金 に充当することとされている。 ※47 定款第24条第3項 ※48 「休業補償等を特別補償経理から支給する期間 の取扱いについて」 (平16.3.31地基企第27号) ※49 則第42条、第46条 「給与費総額の算定について」 (昭47.3.1地基経第9号) ※50 法第50条 則第42条~第45条 定款第17条の3 「平成22年度概算負担金の納付等について」 (平22.2.8地基経第9号) 「概算負担金の算定について」 (平15.11.25地基経第64号) 「平22年度の概算負担金に係る地方公務員災害 補償基金定款第17条の3第1項に規定する理事 長が定める率について」 (平21.10.27 地基経第58号) (注) 特別補償経理団体(業務規程別表第1) 東京都、横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、川崎市、広島市、呉市、八丈町、特 別区(東京23区)、名古屋港管理組合、名古屋競輪組合、特別区人事厚生事務組合、特別区競 馬組合、臨海部広域斎場組合、東京二十三区清掃一部事務組合、公立大学法人首都大学東京、 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター、公立大学法人横浜市立大学、公立大学法 人大阪市立大学、地方独立行政法人大阪市立工業研究所、地方独立行政法人東京都健康長寿 医療センター 備考1 大阪市にあっては教員を除く。 2 神戸市及び呉市にあっては運輸事業職員に限る。 ※47 ※48 ※49 ※50
普通補償経理の負担金率(定款別表第2) 特別補償経理の負担金率(業務規程別表第3) 職員の区分 給与の総額に 乗 ず る 割 合 職員の区分 給与の総額に 乗 ず る 割 合 義務教育学校職員 1,000分の0.76 義務教育学校職員 1,000分の0.09 義務教育学校職員 以 外 の 教 育 職 員 1,000分の1.05 義務教育学校職員 以 外 の 教 育 職 員 1,000分の0.21 警 察 職 員 1,000分の3.18 警 察 職 員 1,000分の0.86 消 防 職 員 1,000分の1.67 消 防 職 員 1,000分の0.29 電気・ガス・水道 事 業 職 員 1,000分の1.34 電気・ガス・水道 事 業 職 員 1,000分の0.19 運 輸 事 業 職 員 1,000分の2.18 運 輸 事 業 職 員 1,000分の0.33 清 掃 事 業 職 員 1,000分の3.34 清 掃 事 業 職 員 1,000分の1.11 船 員 1,000分の6.44 船 員 1,000分の0.14 そ の 他 の 職 員 1,000分の1.04 そ の 他 の 職 員 1,000分の0.14 注:定款別表第2の運輸事業職員に係る給与の総額に乗ずる割合は、平成21年度においては1,000分の 1.49と、平成22年度においては1,000分の1.84とする。 5 メリット制 (1) メリット制の概要 定款で定める負担金率は、職種区分ごとに一律であるが、(2)のメリット制適用団体にお いては、任命権者の公務災害防止のための取組みを促すことにより、公務災害の減少を図 り、また、負担の公平を図るため、各団体の職員区分ごとに、メリット制適用事業年度の 前事業年度前3事業年度の間の補償等の給付費(補償の支給額と福祉事業の支給額の合計 額)と負担金の割合が当該職員区分の基準 値(注)を上回り、又は下回る場合には、±20パーセ ントの範囲内で、定款で定める負担金率を引き上げ又は引き下げる、メリット制を適用す ることとしている。 ※51 則第46条 「平成16年度確定負担金の算定等について」 (平17.7.1地基経第55号) ※51 (注) 平成23年度の基準値 職 員 の 区 分 基準値 義務教育学校職員 0.46 義務教育学校職員以外の教育職員 0.37 警察職員 0.52 消防職員 0.26 電気・ガス・水道事業職員 0.31 清掃事業職員 0.25 その他の職員 0.36
第1部 災害補償制度の概要 (2) メリット制適用団体及び職員区分 ① 適用団体 適用団体は、次のとおりである。 ・都道府県 ・指定都市 ・中核市 ・特例市 ・特別区 ・指定都市、中核市又は特例市を構成団体とする一部事務組合及び広域連合(以下 「指定都市等加入一部事務組合等」という。) ② 適用職種 適用職員区分は、次に掲げる表のとおりである。 メリット制適用団体及び職員区分 適用団体 適用職員区分 都道府県 指定都市 中 核 市 特 例 市 特 別 区 指定都市等 加入一部事 務組合等 義務教育学校職員 ○ 義務教育学校職員以外の教育職員 ○ ○ 警察職員 ○ 消防職員 ○ ○ ○ 電気・ガス・水道事業職員 ○ ○ 清掃事業職員 ○ その他の職員 ○ ○ 注:運輸事業職員及び船員は、メリット制の対象ではない。 6 時効 補償を受ける権利は、2年間(障害補償、遺族補償、障害補償年金差額一時金、障害補償年 金前払一時金及び遺族補償年金前払一時金については、5年間)行われないときは、時効によ って消滅することとされている。ただし、補償を受ける原因となった災害について、補償の 種類に応じて定められている時効の期間経過前に公務又は通勤による災害の認定を請求した 場合は、基金が当該災害を公務又は通勤による災害と認定したことを当該認定請求者が知り 得た日の翌日が当該補償に係る時効の起算日となる(ただし、その日が補償を受ける権利が発 生した日の以前の日であるときはこの限りでない。)。また、傷病補償年金は、職員の請求に 基づかず基金が職権でその支給決定を行うものであるから、傷病補償年金を受ける権利につ いては時効の問題は生じない。 ※52 業規第33条の2第1項 ※53 業規第33条の2第3項 ※54 法第63条 法附則第5条の2~第6条 「補償を受ける権利の時効の取扱いについて」 (昭48.12.18地基補第585号) ※52 ※53 ※54
「補償を受ける権利」とは、補償請求の事由となる災害が発生した場合に、補償の受給権者 の要件に該当する者が基金に対して行う補償の支給決定の請求権である。これに対して、支 給決定が行われた補償の給付金の支払を受ける権利については法第63条の規定の適用はなく、 金銭債権の一般規定である民法の規定が適用されることに注意する必要がある。 なお、時効の援用及び中断等については法上明文の規定はないので、民法の定めるところ によることとなる。 7 損害賠償との調整等 (1) 被災職員の所属する地方公共団体が当該職員又はその遺族(補償の受給権者)に対して国 家賠償法、民法その他の法律による損害賠償の責めに任ずる場合で、基金が法に定める補 償を行ったときは、その補償の事由と同一の事由については、当該地方公共団体は、当該 補償の価額の限度において、損害賠償の責めを免れる。 また、補償の受給権者が、当該補償の事由と同一の事由について、当該地方公共団体か ら国家賠償法、民法その他の法律による損害賠償を受けたときは、基金は、その価額の限 度において、補償の義務を免れる。 (2) 補償の原因となった災害が第三者(被災職員及び当該職員の所属する地方公共団体並び に基金以外のものをいう。)の行為によって生じた場合に基金が補償を行ったときは、基金 は、その価額の限度において、補償の受給権者が第三者に対して有する損害賠償請求権を 取得する。 また、補償の受給権者が、当該第三者から当該補償の事由と同一の事由について損害賠 償を受けたときは、基金は、その価額の限度において、補償の義務を免れる。 8 不服申立て等 (1) 支部長は、被災職員等からの補償の請求に基づき、その内容を十分検討した上で、補償 の請求の原因である災害が公務又は通勤により生じたものであるかどうかの認定を行い、 補償の支給決定を行う(傷病補償年金については、請求によらず支部長が職権で行う。)が、 被災職員等の側からこれをみたとき、支部長の決定について納得できないという場合が考 えられる。 このような場合、被災職員等が直ちに裁判所に支部長の決定の取消し等を求めなければ 救済されないとすることは、被災職員等に訴訟費用等の負担をさせることになりかねない。 また、被災職員等の権利の保護を簡易、迅速に図ることも考慮する必要がある。したがっ て、法は、このような観点から被災職員等が支部長の行った決定に不服がある場合に簡易 な手続による救済の途を開くため、不服申立ての制度を設けている。 ※55 民法第167条第1項(債権等の消滅時効) 民法第169条(定期給付債権の短期消滅時効) 民法第145条(時効の援用) 民法第147条(時効の中断事由) ※56 法第58条第1項 ※57 法第58条第2項 ※58 法第59条第1項 ※59 法第59条第2項 ※60 法第51条 ※55 ※56 ※57 ※58 ※59 ※60
第1部 災害補償制度の概要 (2) 不服申立ての対象となる処分は、支部長が行う補償に関する決定であって、具体的には、 公務上外の認定、通勤災害該当・非該当の認定、各種補償の支給・不支給の決定、補償の 受給権者の決定等である。 なお、福祉事業の決定や治ゆ認定は、ここでいう不服申立ての対象とはならないが、福 祉事業の決定については、その決定を行った支部長に対して、不服の申出をすることがで きることとされている((6)参照)。 (3) 不服申立ての手続等は次のとおりであるが、その手続及び裁決の効力については行服法 の規定が全面的に適用される。 ア 支部長が行った補償に関する決定に不服のある者は、決定があったことを知った日の 翌日から起算して60日以内に支部審査会に対して審査請求をすることができる。 イ 支部審査会は、審査請求があったときは、これを審査の上、裁決を行い、裁決書を請 求人に送達する。 ウ 支部審査会の裁決に対して不服がある者は、その裁決があったことを知った日の翌日 から起算して30日以内に審査会に対して再審査請求をすることができる。この場合、審 査会はイの場合と同様、審査の上、裁決を行うことになる。 なお、審査請求をしている者は、審査請求をした日の翌日から起算して3か月を経過 しても支部審査会による裁決がないときは、支部審査会が審査請求を棄却したものとみ なして、審査会に対して再審査請求をすることができることとされている。 (4) 審査会又は支部審査会の行った裁決は、支部長を拘束する。したがって、裁決によって 原処分が取り消された場合、支部長は、裁決の趣旨に従って、改めて補償に関する決定を しなければならない。 (5) 再審査請求に対する裁決の結果について、なお不服がある者は、行政事件訴訟法の定め るところにより、訴訟による救済を求めることができるが、この場合、訴えの提起は、再 審査請求に対する審査会の裁決を経た後でなければすることができない。ただし、再審査 請求後3か月を経過しても審査会の裁決がないとき又は再審査請求についての裁決を経る ことにより生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるときその他その裁決を経ない ことにつき正当な理由があるときは、裁決を経ずに処分の取消しの訴えを提起することが できる。また、支部長が行った決定により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があ るとき、その他支部審査会及び審査会の裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき、 のいずれかに該当するときは、支部審査会及び審査会の裁決を経ないで処分の取消しの訴 えを提起することができる。 (6) 福祉事業の決定に対して不服のある者は、その決定を行った支部長に対して福祉事業の 決定に対する不服の申出を行うことができる。 不服の申出は、申出をする者(以下「申出者」という。)の氏名及び住所並びに申出の趣旨、 理由及び年月日等を記載し、押印した書面を提出して行う。 ※61 法第51条第5項 ※62 行服法第14条 ※63 行服法第42条 ※64 行服法第53条 ※65 法第51条第3項 ※66 行服法第43条第1項、第2項 ※67 法第56条 ※68 「福祉事業の決定に対する不服の申出について」 (昭51.6.10地基審第30号) ※62 ※61 ※63 ※65 ※66 ※67 ※68 ※64
申出に対する審査は、書面により行われるが、申出者の申立てがあったときは、支部長 は、申出者に口頭で意見を述べる機会を与える。
支部長は、審査の結果、申出に理由がないと認めるときは、その旨及び理由を書面で申 出者に通知するものとし、申出に理由があると認めるときは、その申出に関し適切な措置 をとることになる。
第2部 公務災害及び通勤災害の認定
第2部 公務災害及び通勤災害の認定
第1 公務災害の認定の手続
1 公務災害の認定 (1) 災害を受けた場合には、通常直ちに病院その他で医療上の手当を受けることとなるが、 それが公務災害として補償の対象となり得るためには、その災害が公務により生じたもの であることを要する。 どのような場合が公務災害として扱われるかについては、「第3部 公務災害の認定基 準」において述べることとするが、要は、公務と負傷(又は疾病)との間に相当因果関係、つ まり、公務起因性が認められなければならない。そして、職員が公務に従事し、任命権者 の支配管理下にある状況で災害が発生したこと、つまり、公務遂行性が証明されることが、 公務起因性が認められるための第一次的な判断基準となっている。 したがって、原則として、負傷の場合は公務遂行性が証明されれば公務起因性も認めら れるが、心臓・脳疾患のような疾病の場合のように、公務遂行性がなくても、公務起因性 が認められるものもある。 (2) 災害が公務上か否かを認定するには、まず、被災職員等が当該災害が公務によるもので あることの認定を求める請求を支部長に対してしなければならない。この請求を公務災害 の認定請求という。 この手続は、国家公務員の場合と若干趣を異にしているが、それは基金が被災職員の任 命権者ではないことから生ずるものである。 このように、被災職員等が公務災害の認定請求を行うことを「請求主義」という。 この請求主義をとる結果、被災職員自身が入院等のため本人自ら認定請求の手続をとる ことができないことがあるが、この場合には、被災職員等に対して任命権者(あるいは所属 部局の長)が適正な手続を行うことができるよう指導及び援助することが特に要請される。 (3) 職員が受けた災害は、被災職員等から提出された公務災害認定請求書に基づき、支部長 がその内容を調査のうえ、公務に基づくものであると認定して初めて各種補償の対象とな り得るものである。つまり、公務災害の認定は、すべての補償の基本となるものであるか ら、その取扱いは、認定基準に照らし、迅速、かつ、公正に行わなければならないことは いうまでもない。 2 認定請求 公務災害の認定請求の手続について留意すべき点等は、次のとおりである。 (1) 被災職員等は、まず、公務災害認定請求書を任命権者を経由して支部長に提出する。任 命権者を経由するのはその意見を求めるためのみならず、被災職員のその後の身分取扱上 の問題、遺族の実態把握等使用者として常に配意すべき問題について認識を深めてもらう ※1 法第25条第2項 則第30条第2項 ※2 則第49条第1項 ※3 法第1条 ※4 則第30条第2項 業規第7条第1項 ※1 ※2 ※3 ※4等の意図もあるものと解される。 (2) 認定請求書に記載すべき事項は、次のとおりである。 ①職員の氏名、生年月日及び職名 ②所属地方公共団体及び所属部局名 ③災害発生の日時及び場所 ④傷病名並びに傷病の部位及びその程度 ⑤災害発生の状況 これらの記載事項は、基金がその災害を公務上の災害か否かを認定する際の重要な資料 となるものであるから、ありのままの事実が具体的に記載されている必要があり、単なる 推定、憶測に基づく記入は誤認定の原因ともなるので厳に慎まなければならないものである。 なお、認定請求書の記載事項は、請求者本人が記入する場合、代理人が記入する場合等 のいずれの場合においても、内容について必ず所属部局長の証明を受けることになってい るが、これは当該記載内容についてあくまでも正確、かつ、公正を期する必要があるから である。 (3) 認定請求書には、添付資料として、医師又は歯科医師の所見、当該職員の健康診断の記 録、既往歴等当該災害が公務又は通勤により生じたものであるか否かを認定するために必 要な事項を記載した資料を添付することとされている。 なお、これらのほか、公務起因性の判断のためにX線写真等の医学的資料を収集して認 定することが必要である。 認定請求書に添付を義務付けている資料及び認定のために収集すべき資料を列挙すれば 次のとおりである。 ①医師又は歯科医師の所見(診断書(柔道整復師の施術証明書を含む。)) ②負傷時、発病時の前後の状況について、現認書又は事実証明書 ③定期健康診断の記録(既往歴) ④共済組合員証使用状況(既往歴) ⑤X線写真、MRI画像等の医学的資料 ⑥時間外勤務命令簿の写し ⑦出勤簿の写し ⑧その他認定のため参考となる資料 公務上か否かの認定に際しては、負傷については、比較的容易に判断できる場合が多い が、疾病、特に循環器系の疾病、腰痛、頸肩腕症候群、精神疾患等については、その認定 に高度の医学的判断を要し、当該疾病と公務との間に相当因果関係が成立するか否かを解 明する必要がある。 心臓・脳疾患等の疾病の場合は、概して通常業務に比較して、特に過重な業務に従事し たために当該疾病を発症したものであるという理由で認定請求されるのが通例であるが、 ※5 業規第7条第1項 ※6 業規第7条第2項 ※7 業規第7条第3項 ※8 「柔道整復師による施術について」 (昭52.7.29事務局長内かん) ※9 「心・血管疾患及び脳血管疾患の公務上災害の 認定について」 (平13.12.12地基補第239号) ※5 ※6 ※7 ※8 ※9
第2部 公務災害及び通勤災害の認定 果たして発症原因が請求どおりであるか否か、すなわち、当該疾病が真に公務と相当因果 関係をもって生じたか否かは、「心・血管疾患及び脳血管疾患の公務上災害の認定について」 に基づき公務過重性について検討した上で判断することになる。 このため、公務過重性等の評価に必要な調査事項を定め、具体的な様式として、「心・血 管疾患及び脳血管疾患の認定調査票」を定めており、資料として添付することが必要であ る。 また、自殺の場合は、自殺の前に精神疾患を発症していたと認められることが要件とさ れており、精神疾患を発症して自殺に至ったか否か、すなわち、自殺が公務上の精神疾患 と相当因果関係をもって生じたか否かは、「精神疾患に起因する自殺の公務災害の認定につ いて」に基づき判断した上で認定することとなる。 このため、公務起因性に関する判断に必要な調査事項を定め、具体的な様式として、「精 神疾患に起因する自殺の公務起因性判断のための調査事項について」を定めており、資料と して添付することが必要である。 なお、自殺にまで至らないが、公務に関連して精神疾患を発症したとして認定請求され た場合は、前記の自殺の場合の認定基準及び調査事項を準用して認定することとなる。 (4) 認定請求に際し必要とされるものはおおむね以上のとおりであるが、その災害が第三者 の行為によって発生したものであるときは、その事実、第三者の氏名及び住所(第三者の氏 名及び住所が不明のときは、その旨)を記載した資料(第三者加害報告書等)も必要である。 これは、その災害が公務上か否かの認定資料として有益であるばかりでなく、その災害 に関して第三者が損害を賠償した場合には、基金が行う補償と同一の事由による賠償額に つき基金が免責される場合が予想され、また、基金が補償を先行した場合には、第三者に 基金が求償しなければならないので、それらの手続を進めるためにも、必要とされている ものである。 なお、その災害が自動車事故の場合には、更に次の資料を添付することが必要である。 ①自動車安全運転センター都道府県事務所長の発行する交通事故証明書 ②示談進行中のときは、その状況を明らかにする資料 ③示談成立のときは、示談書の写し 特に自動車事故の場合、損害賠償の示談については、基金が行う補償との間に求償又は 免責などの複雑な法律関係を生じる。安易な示談によって、被災職員等に不利な結果を招 来すること等もないとはいえないので、任命権者側においては支部と相談のうえ、あらか じめ被災職員等に対し適切な指導を行うことが特に望ましい。 (5) 任命権者は、被災職員等から提出された認定請求に関する一件資料を支部長に送付する ※10 「「心・血管疾患及び脳血管疾患の公務上災害の 認定について」の実施及び公務起因性判断のた めの調査事項について」 (平13.12.12地基補第240号) ※11 「精神疾患に起因する自殺の公務災害の認定に ついて」 (平11.9.14地基補第173号) ※12 「精神疾患に起因する自殺の公務起因性判断の ための調査事項について」 (平11.9.14地基補第174号) ※13 法第59条 則第47条 業規第7条第3項 「地方公務員災害補償法第59条関係事務の取扱 いについて」 (昭43.5.10地基補第151号) ※14 「自動車事故による地方公務員災害補償法第59 条関係事務の取扱いについて」 (平21.3.10地基訟第14号) ※15 法第45条第2項 ※10 ※12 ※11 ※13 ※14 ※15
こととなるが、その際、任命権者は意見を付すこととされているので、必ず意見を付して 送付しなければならない。 (6) 補償の迅速な実施には、迅速な認定請求が必要であることはいうまでもない。そのため には、被災職員等に、その心構えが必要であることは勿論であるが、往々にして、経由機 関が多い等の理由で、認定請求が任命権者側に提出されてから、支部長がこれを受理する までにかなりの日時を要する場合が見受けられる。したがって、その迅速な処理に留意す るよう関係者への周知を図ることが肝要である。 3 認定の通知 (1) 任命権者から認定請求書の送付を受けた支部長は、認定請求書の記載内容と添付資料に 基づき、慎重に調査のうえ、任命権者の意見を参考として、当該請求に係る災害が公務上 か否かの認定を行うが、特異な場合については理事長に協議した上で認定しなければなら ない。支部長は、公務上又は公務外の認定をしたときは、その結果を請求者及び任命権者 に認定通知書によって通知しなければならない。 なお、公務上とされた事案に係る認定通知書は、通常、請求者に、その受けることがで きる補償の種類とその内容を簡略に記した案内書を添付して送付することとしている。ま た、請求と異なる認定をした場合の認定通知書には、60日以内に支部審査会に対し審査請 求ができる旨の教示を付記することとしている。 (2) 支部においては、公務上と認定した災害に関する災害補償記録簿を認定の際作成し、以 後の補償実施に備える。
第2 通勤災害の認定の手続
1 通勤災害の認定 (1) 職員が通勤途上において受けた災害については、第3部及び第4部で述べるように、公 務災害として認められる場合と、通勤災害として認められる場合があるため、例えば、被 災職員等からは通勤災害の認定請求が出されたが、基金の審査の結果、公務災害に該当す ると判断される場合があり得る。したがって、このような場合には、新たな公務災害の認 定請求の手続をとるように被災職員等を指導することとなる。 (2) 通勤途上の災害は、その性格上、所属部局の長等がその事実関係を確実に把握すること が困難な場合が少なくない。しかも、交通事故によるものが多いことから、示談、後遺障 害等後日に問題となる場合が多いと考えられるため、その取扱いについては、実情に応じ て処理するとともに、被災職員等の利益保護に特に配慮する必要がある。 ※16 法第45条第1項 則第30条第3項 業規第8条 「支部長から理事長に協議すべき事項の指定に ついて」 (昭42.12.1地基第5号) ※17 業規第57条 ※18 「「通勤」の範囲の取扱いについて」 (昭62.5.20地基補第81号) ※16 ※17 ※18第2部 公務災害及び通勤災害の認定 2 認定請求 通勤災害の認定請求の手続については、公務災害の認定請求の手続とほぼ同じであるが、 特に留意すべき点は、次のとおりである。 (1) 認定請求書の添付資料として、通常の公務災害の認定請求の場合の提出資料のほかに、 ①通常の通勤経路・所要時間・交通手段を示す通勤届の写し ②通勤届以外に被災職員が使用していた通勤経路・所要時間・交通用具を示す資料 ③通勤経路における道路の混雑状況等を示す資料 等の資料を添付する必要があること。 (2) 通勤途上の災害は、その性格上、事故に対する目撃者、同僚等の証言が重要となる場合 が多いが、これら現認者がいない場合は、警察署等の公的機関によって作成された書類に よって事実関係の確認をすること。 3 認定の通知 認定の通知、記録簿の作成等は、公務災害の場合に準じて行うこととなる。 ※19 則第30条第2項、第47条 業規第7条 ※20 法第45条第1項 則第30条第3項 業規第8条、第57条 ※19 ※20