第5部 補償の内容と請求手続
職員の公務災害又は通勤災害について基金が行う補償としては、療養補償、休業補償、傷病 補償年金、障害補償、介護補償、遺族補償、葬祭補償、障害補償年金差額一時金、障害補償年 金前払一時金及び遺族補償年金前払一時金のほか、船員である職員に係る補償の特例として予 後補償及び行方不明補償の12種類がある(第1部の第2の1(4頁~7頁)参照)。これらの内容 及び請求手続は次のとおりである。
なお、補償の請求書等の様式は参考資料の「1 補償及び福祉事業に係る請求書及び申請書等 の様式一覧」(186頁~187頁)を参照されたい。
第1 療養補償
1 補償の内容
療養補償は、職員が公務又は通勤により負傷し、又は疾病にかかった場合に、それが治ゆ(治 ゆ認定(53頁参照))するまでの期間、必要な療養を行い(現物補償)、又は必要な療養の費用の 支給を行う(金銭補償)。
この療養の範囲についての考え方は、基本的には健康保険における療養の給付と同様であ り、健康保険の対象外となるものについては原則として療養補償の対象外となるが、医師等 の医学的判断の下に必要な療養であると認めた場合には、療養補償の対象となり得る。
具体的には、次に掲げるものであって療養上相当と認められるものであり、その内容は個々 の傷病に即して医学上、社会通念上妥当と認められるものでなければならない。したがって、
被災職員が転医した場合の取扱いについては、医療上又は勤務上必要と認められる場合は、
転医後の病院での診療も原則として補償の対象となるが、医療上又は勤務上必要と認められ ない自己都合による転医の場合等は、初診料、各種検査料等の転医前の病院と重複する部分 は補償の対象とならない。
また、一つの医療機関に通院していながら医学的にその必要がないのに別の医療機関に通 院するような場合についても、重複診療となるため、療養補償の対象とならない。同様に慎 重を期する意味等の理由により、他の病院での再検査を行いたい旨、被災職員が希望してい る場合においても、当該再検査が医学的にみても相当の必要があり、社会通念上からも相当 なものでなければ、療養補償の対象とならない。
(1) 診察
① 医師および歯科医師の診察(往診を含む。)
※1 法第25条第1項
法附則第5条の2、第5条の3、第6条
※2 法第46条の2 令第6条、第8条
※3 法第25条第1項第1号、第26条、第27条、
則第26条
「療養の範囲について」
(昭42.12.1地基第11号)
「「療養の範囲について」の実施について」
(昭45.10.21地基補第510号)(以下「療養の範 囲についての実施について」という。)
※4 法第27条第1号
「療養の範囲について」の記の1
「療養の範囲についての実施について」の記の1
※1
※2
※3
※4
② 療養上の指導および監視
③ 診断上必要なあらゆる化学的定性検査、顕微鏡検査、レントゲン検査及びその他の検 査
検査については、現在の医学水準からみて診療上必要な検査に限られ、診療と直接関 係のない検査は必要な療養とは認められない。
なお、公務上負傷し、当該負傷(汚染血液が既存負傷部位等に付着した場合を含む。) を原因として(i)HBs抗原陽性血液による汚染を受け、B型肝炎ウイルス(以下HBV という。)感染の危険が極めて高いと判断された場合において、抗HBs人免疫グロブリ ン製剤の注射が行われたとき又はこれに加えてHBVワクチンの接種が行われたとき (ⅱ)C型肝炎ウイルス(以下HCVという。)に汚染された血液等に接触した場合(ⅲ)ヒ ト免疫不全ウイルス(以下HIVという。)に汚染された血液等に接触した場合で、負傷 (付着の場合はその部位)に対する洗浄、消毒等の処置が行われた直後の検査及びその後 の経過観察に係る検査は、診断上又は診療上必要な検査と認められる。
ただし、経過観察に係る検査は、医学的に必要と認められる最小限度の期間としてい る。
④ 診断書、処方せんその他意見書等の文書
診断書その他意見書等の文書料については、補償の実施上必要な文書(業務規程により、
請求書等に添付することを義務付けられている診断書等)に限られ、他の目的、例えば病 気休暇届のように服務関係等に使用するものは認められない。
なお、障害等級の決定(変更に関する決定を除く。)に必要な診察等についても、療養 補償の対象となる。
(2) 薬剤又は治療材料の支給 ① 内用薬及び外用薬の支給
薬剤の支給については、医師が必要と認めるものに限り、原則として療養補償の対象 として認められる。したがって、被災職員自ら売薬を求めた場合であっても医師が必要 と認め具体的指導に基づいて行われたものは療養補償の対象となるが、仮に医師が承知 していたとしても、その必要性を認めないものについては療養補償の対象とならない。
なお、公務上負傷し、HIVに汚染された血液等に接触した場合、感染の有無が確認 されるまでの間に行われた抗HIV薬の投与は療養補償の対象となる。
② 治療材料の支給
ガーゼ、包帯、油紙、容器、コルセット、固定装具、副木その他の治療材料の支給に ついては医師が治療上必要と認めたもの又は直接治療に関係があると認められるものに 限り療養補償の対象とし、療養中でなくても日常生活に一般に必要とされるような生活
※5 「抗HBs人免疫グロブリン製剤及びB型肝炎 ワクチンに関する療養補償の取扱いについて」
(昭62.10.12地基企第27号)
「HCV又はHIVに汚染された血液等に接触 した場合における療養補償の取扱いについて」
(平6.1.31地基企第5号)
※6 「補償の請求及び福祉事業の申請等に伴う診断 書料等の取扱いについて」
(昭47.4.1地基補第170号)
※7 法第27条第2号
「療養の範囲について」の記の2
「療養の範囲についての実施について」の記の2 「HCV又はHIVに汚染された血液等に接触
した場合における療養補償の取扱いについて」
※5
※6
※7
第5部 補償の内容と請求手続
用品、例えば洗面器、コップ、タオル等は原則として療養補償の対象とは認められない。
また、便器、氷のう、水枕、ゴム布等の療養器材についても、医師が必要と認めたもの に限り療養補償の対象となる。
③ 歯科補綴
歯科補綴における金等の健康保険対象外となる治療材料の使用については、歯科補綴 の効果又は技術上の特別の必要から金等を使用することを適当とする場合に限り、療養 補償の対象と認められる。
(3) 処置、手術その他の治療
① 包帯の巻き替え、薬の塗布、患部の洗浄、あん法、点眼、注射、輸血、酸素吸入等の 処置
輸血には、輸血の処置費、血液の料金、輸送費、検査料等が含まれ、家族等による輸 血の場合も、一般の保存輸血による輸血の場合と同様に認めて差し支えない。
なお、公務上負傷し、当該負傷(汚染血液が既存負傷部位等に付着した場合を含む。) を原因とし(i)HBs抗原陽性血液による汚染を受け、HBV感染の危険が極めて高いと 判断された場合における抗HBs人免疫グロブリン製剤の注射又はこれに加えたHBV ワクチンの接種及び縫合、洗浄、消毒等の処置(以下血液汚染処置という。)(ⅱ)HCV に汚染された血液等に接触した場合の血液汚染処置及びHCVに感染しHCV抗体検査 等で陽性と判断され、治療を要すると医師が判断した場合に行われたインターフェロン 製剤の投与(ⅲ)HIVに汚染された血液等に接触した場合の血液汚染処置は必要な療養 と認められる。
② 切開、創傷処理及び手術並びにこれらに伴う麻酔
手術等については、現在の医学通念からみて、一般にその治療効果が認められている 方法によることが必要である。
③ その他の治療
ア 熱気療法、温浴療法、紫外線療法、放射線療法、日光療法、機械運動療法、高原療 法等
熱気療法、温浴療法等の各種療法については、医学上必要と認められるもので、医 師の指導のもとに行われるものが認められる。
イ 柔道整復師による施術
柔道整復師による施術については脱臼又は骨折の患部に対する応急手当としての施 術のほか、打撲又は捻挫の患部に対する施術について認められる。なお、脱臼又は骨 折の患部に対する施術については、応急手当の場合を除き医師の同意を得た上で施術
※8 法第27条第3号
「療養の範囲について」の記の3
「療養の範囲についての実施について」の記の3 「抗HBs人免疫グロブリン製剤及びB型肝炎ワ
クチンに関する療養補償の取扱いについて」
「HCV又はHIVに汚染された血液等に接触し た場合における療養補償の取扱いについて」
「C型肝炎に対するインターフェロン製剤の投与 について」
(平6.6.9地基企第24号)
※9 「柔道整復師による施術について」
(昭52.7.29事務局長内かん) 柔道整復師法第17条
※8
※9
を行うこととされているが、この場合の医師の同意については、医師の同意を得た旨 が施術録に記載されていることが認められれば、医師の同意書を添付する必要はない。
ウ 温泉療法、マッサージ、はり、きゅうの施術等で医師が必要と認めたもの
温泉療法については、温泉の化学的作用等によりその治療効果が期待できるような 疾病の場合に限り認められ、温泉の選択、入浴方法等についての医師の直接の指導が 必要であるので、原則として、温泉病院、温泉療養所において行うものに限られる。
また、マッサージ、はり、きゅう等については、医師が必要と認めたものに限られ る。
(4) 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護 ① 居宅における療養上の管理
居宅において療養を行っている者(通勤の困難なものに限る。)に対する病院又は診療 所の医師が行う計画的な医学管理をいう。
② 居宅における療養に伴う世話その他の看護
ア 居宅において継続して療養を受ける状態にある者で、医師が必要と認めた場合の看 護師等の行う療養上の世話又は診療の補助(訪問看護事業者によるものを含む。) この看護は、医療機関が行う在宅患者訪問看護等及び訪問看護事業者による訪問看
護をいうものであり、訪問看護指示書及び訪問看護計画書に基づく内容を対象とし、
看護師等の行う看護の他、理学療法士及び作業療法士が行う診療の補助も含まれる。
イ 重傷のため医師が常に看護師(看護師がいないためにこれに代わって看護を行う者 を付した場合を含む。)の看護を要するものと認めた場合の看護料(アに掲げるものを 除く。)
「看護を要するものと認めた場合」とは、次のaからcまでのいずれかに該当するこ とを医師が認めた場合であり、その期間に係る看護料が療養補償の対象となるもので ある。したがって、これらに該当する旨の医師の証明には看護を必要とする理由及び その必要とする期間が明示されている必要がある。
a 病状が重篤であって、絶対安静を必要とし、看護師等が常時監視を要し、随時適 切な処置を講ずる必要があること
b 病状は必ずしも重篤ではないが、手術等により比較的長時間にわたり、看護師等 が常時監視を要し、随時適切な処置を講ずる必要があること
c その他体位変換又は床上起座が常時不可又は不能であるもの、食事及び用便につ いて常時介助を必要とするもの等で、看護師等の看護が特に必要、かつ、相当であ ること
なお、イに掲げる看護料は、当該地方の看護師(看護師がいないためにこれに代わっ て看護を行う者を付した場合は当該者)の慣行料金によるものである。また、被災職員 が有料職業紹介機関を通じて看護師等を求めたときに受付手数料及び紹介手数料等を 負担した場合には、社会通念上当該地域において妥当と認められる額の範囲内で実際 に負担した額が療養補償の対象となる。
※10 法第27条第4号
「療養の範囲について」の記の4
「「療養の範囲について」の実施について」の記の4
※10