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⼦自動運転が引き起こす保険業界の 変貌とその対応⼧

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Academic year: 2021

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(1)

【司会:石田成則】それでは,フロアからご質問を頂戴したいと思います。

慣例,慣行に従いまして,ご所属とご氏名の後,ご質問の方をお願いしたい と思います。どなたからでも結構です。

【西羽 真(損害保険ジャパン日本興亜)】損害保険ジャパン日本興亜の西羽 と申します。⚓番目のパートのところで,教えていただきたいことがありま す。⽛個別の論点に対する考察⽜で,⽛適正な求償を担保するため,事故原因 調査や責任分担を精査するための仕組みが必要⽜としていますけれども,立 法的な対応が必要になるのではないのかなという気がしていまして,その辺 りを教えていただきたいと思います。⽛一つの解決策⽜として紹介されてい る内容は,民法474条の第三者弁済ということに多分なるのかなと考えられ ます。ドライバー等に責任がない場合の関係図を見ると,保険会社は被害者,

自動車メーカー等とは関わりのない立場になると思いますので。474条は,

今回,債権法改正で変わりますが,基本的には,債務者の意思によらない弁 済であれば代位権を取得することにならないと思いますので,その辺りの規 定の見直しが必要であったりしないのかというところのご見解を伺いたいと いうことです。あと,ご紹介のあった被害者救済費用等補償特約についても,

教えていただきたいと思うのですが,基本的には保険金支払いをするか,し ないかが,被保険者の意思によって,変わってくるということですと,少し

⽛保険⽜の偶然性の要件を欠くのかなという気もしますので,保険契約とし て提供しているものなのか,あるいは,その他の付随的約定として提供して

⼦自動運転が引き起こす保険業界の 変貌とその対応⼧

平成29年度大会共通論題

ディスカッション

(2)

いるものなのか,そもそも保険料も取られていないとは聞いていますけれど も,その辺りの整理がどうなっているのかということ,以上⚒点を教えてい ただきたいです。

【司会】ありがとうございます。では,池田様,ご回答をお願いします。

【池田裕輔】ご質問ありがとうございます。損保ジャパンさんもこの特約,

販売されていらっしゃると思いますので,ぜひご確認いただければというふ うに思います。まず第三者弁済に該当するかどうかというところでございま すが,商品をわれわれが開発する際に第三者弁済に該当するのかというとこ ろは検討致しました。ただ,今おっしゃっていただいた通り,第三者弁済に は一応制約がございますので,第三者弁済で商品を構成するのはなかなか難 しいだろうという結論にわれわれは至っております。そのため,これは求償 というものではなくて,債権譲渡という形で構成をしております。実際の保 険金の支払い実務においては弁護士の先生に介在いただくことを想定してお りますけれども,債権譲渡についても,当事者間の合意を得て,本来の責任 主体に対して保険会社が請求をしていく,こういった構成を取っております。

⚒点目にご質問をいただきました,偶然性の部分でございますけれども,

被保険者の方と被害者の方との約定は保険契約締結時点では発生・不発生が 未確定であるため,偶然性は担保されていると思われます。その約定をベー スにお支払いする保険金ということで構成をしております。

【司会】ご質問者の西羽様,よろしいでしょうか。

【西羽】すみません。保険契約なのか,付随的な約定みたいなことなのか,

その辺りの性質の整理はあまりされていないということでよろしかったでし ょうか。

【池田】そういう意味では保険契約です。

【司会】よろしいでしょうか。では,他にございますでしょうか。

【大羽宏一(元尚絅大学)】元尚絅大学におりました大羽です。よろしくお願 いいたします。肥塚先生にご質問をさせていただきたいと思います。今日は 大変素晴らしいレジメが出ておりまして,その20ページに事故原因究明協力

(3)

義務の法定化というところがございますが,そこに国交省の研究会の記述と して,システム供用者責任という言葉があり,この後にクエスチョンマーク とアスタリスクが付いています。肥塚先生もきっと,これが一体どういうも のなのか明確に把握されていないかも分かりませんが,これをどのように考 えておられるのか,そこの再確認です。つまり,メーカー責任を擬制するた めにこういう言葉をお使いになっているのかなという感じなのですが,シス テムに人格を与えているような言葉ですので,少し変だなというふうに思っ ています。私は,この研究会の原稿を読んで言っているわけではないのです が,お分かりであれば,ご説明いただきたいです。

【司会】では,ご回答をお願いします。

【肥塚肇雄】ご質問ありがとうございます。実は私も,システム供用者責任 の詳しい内容はよく分からないのですけれども,国交省の研究会の第⚔回目 の資料に記述があったように思います。

【大羽】一番,最新のやつですね。

【肥塚】私がレジメを作成するときには⚙月27日の研究会の資料等は公表さ れていなかったと思うのです。そもそも私の方がミスしているかもしれませ ん。しかし,今は確認できるのです。そこがもし分かったら,教えていただ きたいです。要するに,メーカーに責任を負わせるという意味合いで,シス テム供用者責任という言葉を使っていると思うのです。⽛運行供用者⽜とい う責任主体が自賠法の中に定められてありますから,それと類するものとし て,システム供用者責任という概念をつくっているのかなと考えております が,よく分からないので,クエスチョンマークをしております。

【司会】ありがとうございます。池田様,よろしければ。

【池田】私も聞きかじっているだけであり,正確ではないかもしれませんが,

システムに人格を与えるという論議が国交省の中でされているわけではなく て,今,肥塚先生がおっしゃったように,自動車メーカーに対する責任の根 拠として,システム供用者責任という言葉が使われているというふうに認識 をしております。

(4)

【大羽】要は法律的にそういう概念があるのではなくて,なんとなく,そう いうふうなメーカーに責任を擬制するために,そういう言葉が使われている ということでしょうか。

【池田】おっしゃる通りです。自動車メーカーに対して,運行供用者責任と 同様の実質的な無過失責任を,責任の厳格化を図るための一つの言葉として 使われているというところです。

【大羽】分かりました。ありがとうございます。

【司会】それでは,他にございますでしょうか。

【小林 創(東京海上日動火災保険)】東京海上日動の小林と申します。⚒点,

ご質問をさせていただきます。⚑点目は肥塚先生にお伺いします。現行の車 検等の法定点検制度は,今後どうなっていきますか。自動運転車の普及によ り IoT 化が進むと,法定点検が簡略化され,場合によっては遠隔で修理を したりすることができるようになってくるのかもしれません。一定の期日に 全てを点検するのではなく,不具合が発生したら即座に不具合の箇所のみを 修正して世界が来るのではありません。その辺りどういうことをお考えなの かということが分かれば,教えていただきたいと思います。

⚒点目は福島さんにお伺いをしたいです。メーカーさんの方には言いにく いかもわかりませんが,自動車自体がどんどんコミュニティー化していくと 言われており,⽛走るスマホ⽜となったときに,全国の販売店さんは,その 役割をどう担っていくのかということが気になります。少子高齢化でマーケ ットが縮小して,事故は減り,車検等のサービス収益等も減っていくと思わ れる中で,販売店さんの役割はどうなりますか。もしお考えがあれば,教え ていただきたいと思います。

【司会】ではまず,肥塚先生。

【肥塚】ご質問ありがとうございます。私は,特別な措置を講じない限り,

いずれは車検制度はなくなると考えています。なぜかと申し上げますと,い つ頃かわかりませんが,車にさまざまなセンサーなどが装備され,名称は忘 れましたけれども,車が車の状況を車載 AI で又は Connected Car のシステ

(5)

ムで外部 AI で把握することが可能になり,もしどこかの箇所が故障する,

またはどこかの箇所に不具合の兆候があるとしますと,AI は予知ができる わけですから,故障箇所または不具合の兆候箇所などを示すサインが出てく るという形のシステムが開発されると思うのです。このシステムにしたがっ て,必要な修理会社に車を持ち込んで修理に出すのです。これによって,車 は常に一定の安全性を備えた最適な状態を維持することができるようになる のだろうと思います。

【司会】よろしいでしょうか。では,福島様。

【福島正夫】そういう場合に,販売店はどうなってしまうということについ ては正直,私はよく分かりません。カーシェアリングとか,そういうのもあ って,個人が所有するのではなくて,共同で所有しましょうとか,いろいろ なことが言われていて,どんどん,どんどん,車が売れなくなってしまうみ たいな,そういうことになるかもしれないとはいわれています。そうは申し ましても,全てのことが遠隔で診断ができて,整備は必要なときだけすれば いいということは,多分,相当時間が経たないと,ならないのではとは思い ます。

【司会】よろしいでしょうか。今の点,よろしければ,池田様,三徳様の方 から何かご意見がありましたらお願いします。

【三徳昭弘】販売店さんは私どもの管轄ではないですけれども,やはり,地 図情報です。地図ですけれども,相当高精度ということと,それからセキュ リティー絡みが絡んできますので,やはりある特定の保障を付けて,データ を追加するとか,あるいはこの地域のデータを欲しいということです。今,

高速道路,全国のデータを渡しているのですけれども,多分,滋賀の人は東 京のデータはそんなにお金を出して欲しくないと思います。そういうような 状況だった場合に東京に行くから500円払って,その辺のデータを買いたい とか,そういったことも出てきます。その場合,どこから供給するかです。

それは,車メーカーさんからの保障が出ている会社とか,そういった可能性 もあるのではないかと,これは勝手に思っていることです。

(6)

【池田】すみません。私も直接的に車検がどうなるかというところについて は,答えを持ち合わせておりませんが,一方で,自動化をされていくと,当 然ネット環境を通じて,メンテナンスというものができてくると思いますの で,それを通じた点検整備といったものも出てくるのではないかなというふ うに思います。そこに関連して,今後問題になってくると思いますのが,メ ンテナンスです。例えば,アップデートとか,そういったものが,例えば製 造物責任法でいいますと,引き渡し時をベースに今,責任の有無というもの が判断されていると思いますけれども,そのアップロードとかというものが 引き渡しとの関係でどう捉えられるのかといったところが一つ,論点になる かなというふうに思っております。

【肥塚】今,車検制度が廃止されるだろうというようなお話をさせていただ きましたけれども,その話と自賠法の廃止というのは別問題だと考えます。

自賠法は被害者救済という点で世界に誇るべき法律ですから,自賠法を廃止 することは考えられないです。しかも混合交通の状態は当分続きますから,

従来型の自動車が走っている以上は,自賠法は存続させていく必要がありま す。以上,少し補足させていただきました。

【司会】よろしいでしょうか。それでは,他にございますでしょうか。

【重原正明(第一生命経済研究所)】第一生命経済研究所の重原と申します。

消費者問題の観点から意見をさせていただくと,自動運転に関して,非常に 技術の進歩が早いということで,なかなか分かりにくい面があるということ があります。

例えば,自動運転のランクについても,いろいろな基準があって統一され ていないというところがあるかと思うのですが,消費者の方に混乱が生じる のではないかと。そういうようなことについて,特に事故等の対応というよ うなところで,どういうふうなことが考えられるか。分かりやすくするため にはどういうふうにしたらいいか。被害者救済というところでは皆さん,心 得ていらっしゃるというのがよく分かったのですが,そういう点で何かお答 えがあれば,お聞かせいただきたいと思います。

(7)

【司会】では,池田様。

【池田】今,ご質問いただいたご趣旨としましては,消費者の方が事故時に 分かりやすく動くためにはどうしたらいいかということだと思います。自賠 は先ほどご説明しましたように,運行供用者に責任を課すことで,まずは運 行供用者の方に請求すれば,ご自身の被害の補償が得られるというところが,

わが国の自動車社会においては消費者の方にとっても分かりやすい環境なの かなと思います。なので,この制度を維持するということがやはり重要なの だろうと思っています。加えて,われわれ,いろいろな消費者アンケートを しておりますけれども,一般のユーザーの方々に仮に自動車のシステムが原 因で事故が発生したとした場合に,被害者の立場から見て,誰に責任追及し たいですかというようなアンケートを取ったところ,65%の方がドライバー の方に責任追及したいということをおっしゃっています。また逆に,自分が 加害者サイドになったらどうですかと,補償したいと思いますか,自分は責 任はないのだけれども,被害者の方に被害を補償したいと思いますかという アンケートを取っておりますが,こちらも同じように,若干の誤差はありま すが,約65%の方が自分に責任はないのだけれども,被害者の方に何らかの 補償を提供したいということをおっしゃっています。これは日本独特のよう な気はしますけれども。こういった状況からしますと,やはりドライバーな いしは所有者の方などに一時的な補償主体となっていただいて,その後で,

本来責任主体等と責任分担を図るという構図が一番,分かりやすいのではな いかというふうには考えています。

【司会】よろしいでしょうか。どうぞ。

【福島】質問の一部はシステムに対する理解というか,そういうこともご質 問の中に意図としてあったのかなと思うのです。本日,私がご説明しました 自動運転のレベルというのは一応決まっているのですけれども,あれを普通 の人に説明しても,多分分からないだろうと思います。今かなり,自動運転 の手前にさまざまな,運転支援システムというのが出ているのですけれども,

その機能も一般の方はほとんど理解していないという状況なのです。まずそ

(8)

こからきちんと,この名前のものはこういう機能です,こういう機能限界が あります。自動運転といっても,さまざまなレベルがあるわけですけれども,

使う方が,⽛全部,運転しなくても機械がやるのでしょう⽜みたいな,そう いう理解だと非常にまずいので,ここは何か周知をしていただくようなこと をしないといけません。では,どうしましょう,どうしましょうかという,

今はそういう状況です。それは大きな課題で,皆さんが理解していただかな いと,変な使い方をされて,余計な事故が起こります。ですので,われわれ としても,先ほど,セレナは手放し運転できないようにしているのですけれ ども,あれをいきなり手放しで出すと,お客さんはどう使うか分からないみ たいなのもあって,徐々にご理解をいただきながら,様子を見ながらやって いくのかなと,そういうふうに考えております。

【司会】そういう情報提供の場面でも官と民の連携というか,こういったも のも大事になってくるかと思います。他によろしいでしょうか。では最後の 一人です。

【佐野 誠(福岡大学)】福岡大学,佐野でございます。よろしくお願いしま す。少し技術的な点が私,全く弱いので,福島様にぜひ,教えていただきた いのですけれども,SAE のレベル⚕,完全自動運転になったときには,運 転者つまりドライバーというのがいないというふうに聞いているのです。そ のときに車をどうやって発進させるのでしょうか。少しイメージがつかめな いのです。誰かが何かボタンを押して,行き先などをインプットする必要が あるのではないかという気がするのです。もし,そういう操作をするとする と,その操作をする人は何かの免許みたいなものが必要なのか,あるいは全 く必要ないのか。そこら辺のイメージがつかめないです。だいぶ先の話で,

まだメーカーの方もそこまで確固としたものはないのかもしれませんけれど も,もしお分かりになれば,教えていただきたいです。

【福島】ご質問ありがとうございます。まだこれは,確定した論議ではない のですけれども,今こうだろうなと,みんなが言っているのは,レベル⚕で あっても,⽛どこどこに行く⽜と,ボタンを押す人は絶対に必要です。ただ

(9)

それは,タクシーの運転手さんに行き先を伝えるのと一緒で,別にお酒飲ん でいようが,運転免許がなくても,子どもでも構わない,そういう理解なの かなと思っております。

【佐野】その場合に,例えば押し方を間違えてしまったために,何か事故が 発生するという可能性というのはないのでしょうか。

【福島】というのもあるので,まだ確定したものではないです。そこは明確 に,ボタンがいくつもあって,どれを選ぶと何か変なものになってしまうと か,そういうふうにするのはまずいから,多分ボタンは⚑個しかなくて,行 き先を指定する何かと,ボタンが⚑つ,ポンポンポンというような分かりや すいようなことにしていくことになるのかなと思います。

【佐野】その場合,ボタンを押す人は特に例えば,免許とかそういうものが 必要ないというイメージですね。

【福島】それは先ほど申し上げた,タクシーの運転手さんに行き先を告げる のと一緒です。無人タクシーみたいなものですから。

【司会】まだまだ私も技術的に分からないところがかなりあるのですけれど も,時間がまいりましたので,これで終わりにしたいと思います。本日の共 通論題が皆様にとって,有意義なものであること,それから,皆様が無事に ご帰宅されることを祈念しつつ,共通論題を終わりにいたします。パネリス トの皆様に盛大な拍手をお願いいたします。

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