• 検索結果がありません。

博士(地球環境科学)田中孝幸

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博士(地球環境科学)田中孝幸"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博士(地球環境科学)田中孝幸      学位論文題名

    A study on the anthropogenlCCarbon     intheWeSternNOrthPaCifiCbaSed

Onthetime ‐ SerieSObSerVationofStableCarboniSOtope      ( 炭 素 安 定 同 位 体 比 の 時 系 列 観 測 に 基 づ ぃ た      西部北太平洋における人為起源二酸化炭素に関する研究)

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  産業革命を期に我々は化石燃料の燃焼、.森林開発により大気中ヘ二酸化炭素(人為 起源二 酸化炭素)を放出し続けている。産業革命以後、約30%の二酸化炭素の増加を もたら している。放出されている人為起源二酸化炭素の約半分が大気中に残り、残り 約半分 を陸域、海洋が吸収していると考えられているが、陸域、海洋にどの程度分配 されるカ÷、さらにどの地域、海域に人為起源二酸化炭素が蓄積しているかが問題と詮 っ て い る 。 特 に 、 海 洋 に お い て は、 高 緯 度 域 は 、 中 ・ 深 層 水 が 形 成 す る た め 、 海 洋 内 部 ヘ 人 為 起 源 二 酸 化 炭 素 を輸 送 し て い る 点 で 非 常 に 重 要 と な っ て い る 。   人為 起源二酸化炭素は主に石油、石炭等であるので、特徴として炭素同位体組成が 軽い炭素(813Cが低い)を多く含む組成である。人為起源二酸化炭素は、二酸化炭素の 増加と とも に大 気中 二酸 化炭 素同 位体 組成 をよ り軽 い炭 素を多 く含む組成への変化 をもた らし てい る。 この 影響 は海 洋へももたらされ、海洋中の溶存無機炭素(DIC)の 同位体 組成(813C)も 減少 して いる (ス ウス 効果 )。 スウ ス効果 を推定することは化 石燃料 の消 費等 によ る人 為起 源の 二酸 化炭 素の 行方 を直 接的に 明らかにすることと なる。 さら に、 スウ ス効 果とDICの 増加速度比(D値)が推定されることにより、海洋 内部の 人為 起源 ニ酸 化炭 素量 を明 らか にす るこ とが でき る。現 在、この813Cの減少 速度を 最も良く推定できる方法として、海洋中の定点における時系列観測であるが、

全海洋 で2測点 、亜 寒帯 域に は存在 せず亜熱帯域のみという現状である。そこで、本 研究で は、 北太 平洋 中層 水形 成域 であ る北 太平 洋の 亜寒 帯域の 定点で813Cの時系列 観測 を 行 う こ とし 、そ の観 測に 基づ いて スウ ス効果 、D値を 見積 もる こと とした 。   西部 北太平洋亜寒帯域である観測定点KNOT (440N,155°E)でスウス効果を明らか

(2)

に す る た め に1997年7月 か ら2001年7月 に お い て613Cを 中 心 に 時 系 列 観 測 を 行つ た。こ の亜寒帯 域での時 系列観測は 世界で初 めて行っ たものである。時系列観測の結 果 、表 面 海水 中 の813Cは、 夏 季に 高く、冬 期に低い 値となっ た。これ は、春季 から 夏 季で の 生物 活 動 によ る 海 水の813Cに比べ 低い有機 物の生成 、すなわ ち、相対 的に 813Cが高く なり、秋 季から冬 期の減少は 下層で分 解した有 機物の影響を受けた海水が 鉛 直混合 の増加に より供給さ れた影響 である。 この季節 変動は813Cで1.2%0となり、

他 の時 系 列観 測 に よる 季 節 変動 の5‑10倍で あった。 表面海水 中のスウ ス効果を 見積 も る際 、 観測 し た813Cを生 物 活動 とスウス 効果を単 純なフー リエ展開 で分離し 、そ れ を本研 究で得ら れた5年の時 系列デー タに適応 すること により推 定できる こセを提 示した。その結果、亜寒帯域の時系列定点における初めてのスウス効果、‑0.012960 yr"

を見積もることができた。亜熱帯域の他の時系列点におけるスウス効果、‑0.025%0 yf1、 に比ベ 低い値で あった。 これは亜熱 帯と亜寒 帯の表面 水での滞留時間の違いと考えら れる。 さらに、 同時に全 炭酸の増加 速度も同 様に見積 もることにより、スウス効果/

全炭酸の増加速度の値)を‑0.012960(弘mol kg‑l)‑l推定した。この比は、全球的に一定 で あ る と 報 告 さ れ て い た が 、 海 域 毎 に 異 な る こ と が 明 ら か に な っ た 。   北太平 洋亜寒帯 域は、北 太平洋中層 水の形成 域であり 、海洋内部ヘ人為起源二酸化 炭 素を輸 送する海 域として重 要である 。そこで 、5年の時 系列デー タより新 しく推定 し た亜 寒 帯のD値 か ら この 海 域内 部 に 輸送 さ れ た人 為 起源 二 酸化 炭素蓄積 量を見積 も ること とした。 海洋内部の813Cは、I海面 における 大気海洋 間の二酸 化炭素の 気体 交 換 、 有 機物 の 分 解、 炭 酸カ ル シ ウム の 溶解 に よ り変 化 す る。 観 測定 点KNOTで の 1999年5月 か ら2000年2月 の 等 密 度 面26.9−27.400(水 深240m〜840m)の中 層 に お い て、DICと813Cの関係が 表面との関 係と同じ 、すなわ ち、生物 活動の影 響が表面 か ら中層 まで同じ 関係であ ることを初 めて見っ け、この 関係により二酸化炭素の気体交 換 での813C値 を簡 単 に 見積 も るこ とができ た。この 結果から 、海洋内 部に輸送 され た 人為 起 源二 酸 化 炭素 量 を107土45 gC/m2と 見積 も られ た 。 さらに 、観測定 点KNOT 水 柱での 人為起源 二酸化炭素 量を217土56 gC/m2と 見積もり 、これま での北太 平洋で 見積もられた人為起源二酸化炭素量より低いものであった。これ は、これまでの推定 値に人 為起源以 外の二酸 化炭素、す なわち非 人為起源 二酸化炭素量も加わっていたた め と考 え られ る 。 人為 起 源 二酸 化炭素 量を正確 に見積も る手法と して813Cのス ウス 効果を用いた推定法が有用であることを示唆した。

(3)

学 位 論 文 審 査 の 要 旨

主 査    教    授    乗 木 新 一 郎 副 査    教    授    吉 川 久 幸

副 査    助 教 授    渡 辺    豊

副 査    主 任 研 究 官    石 井 雅 男      (気象 研究所 地球化 学研究部 )

     学位論文題名

    A study on the anthropogenlCCarbon     intheWeSternNOrthPaCifiCbaSed

Onthetime ‐ SerieSObSerVationofStableCarboniSOtope      ( 炭 素 安 定 同 位 体 比 の 時 系 列 観 測 に 基 づ ぃ た      西部北太平洋における人為起源二酸化炭素に関する研究)

  産業 革命 を期 に我 々は 化石 燃料 の燃 焼、森林開発により大気中ヘ二酸化炭素

( 人為 起源 二酸 化炭 素) を放 出し 続け ている。人為起源二酸化炭素の約半分が 大 気中 に残 り、 残り 約半 分を 睦域 、海 洋が吸収していると考えられているが、

陸 域、 海洋 にど の程 度分 配さ れる か、 さらにどの地域、海域に人為起源二酸化 炭 素が 蓄積 して いる かが 問題 とな って いる。特に、海洋においては、高緯度域 は 、中 ・深 層水 が形 成す るた め、 海洋 内部ヘ人為起源二酸化炭素を輸送してい る点で非常に重要となっている。

  人為 起源 二酸 化炭 素は 主に 石油 、石 炭等であるので、特徴として炭素同位体 組成が軽い炭素(813Cが低い)を多く含む組成である。人為起源二酸化炭素は、ニ 酸 化炭 素の 増加 とと もに 大気 中二 酸化 炭素の813Cを減少させる。この影響は大 気 と気 体交 換している海洋にも影響し、海洋中の溶存無機炭素(DIC)の813Cも減 少させる(スウス効果)。スウス効果を推定することは化石燃料の消費等による 人 為起 源の 二酸 化炭 素の 行方 を直 接的 に明らかにすることとなる。さらに、ス ウ ス効 果とDICの増加速度比(D値)が推定されることにより、海洋内部の人為起 源 二酸 化炭 素量 を明 らか にす るこ とが できる。本研究では、北太平洋中層水形 成 域で ある 北太 平洋 の亜 寒帯 域の 定点 で813Cの時系列観測を行うことし、その 観測に基づぃてスウス効果、D値を見積もることとした。

  西部 北太 平洋亜寒帯域である観測定点KNOT (44°N。155°E)でスウス効果を 明 ら か にす る た め に1997年7月 か ら2001年7月 に お い て813Cを 中 心に 時 系 列

(4)

観測 を行った 。この亜寒 帯域での時系列観測は世界で初めて行ったものである。

表 面 海水中 のスウス 効果を見 積もる際 、観測し た813Cを生物 活動とスウ ス効果 を 単 純な フ ーリ エ 展 開で 分 離し 、 そ れを本研 究で得ら れた5年の時 系列デー タ に適応することにより推定でき、―O.012T00 yr‑1と見積もることができた。さらに、

同時 に全炭酸 の増加速度 も同様に見積もることにより、スウス効果/全炭酸の増 加速度(D値)を‑0.012%0(皿mol kg")"と推定した。この比は、全球的に一定であ る と 報 告 さ れ て い た が 、 海 域 毎 に 異 な る こ と が 明 ら か に な っ た 。   北太 平洋亜 寒帯域は 、北太平 洋中層水 の形成域 であり、 海洋内部ヘ 人為起源 ニ 酸 化炭素 を輸送す る海域と して重要 である。 海洋内部 の813Cは、海面 におけ る 大 気海洋 間の二酸 化炭素の 気体交換 、有機物 の分解、 炭酸カルシ ウムの溶 解 に よ り 変 化 す る 。 観 測 定 点KNOTで の1999年5月 か ら2000年2月 の 等 密 度 面 26.9―27.4ae( 水 深240m〜840m)の 中 層 に お い て 、DICと813Cの関 係 が 表面 と の 関係と 同じ、す なわち、 生物活動 の影響が 表面から 中層まで同 じ関係で あ る こ とを初 めて見っ け、この 関係によ ルニ酸化 炭素の気 体交換での813C値を簡 単 に 推定す ることが できた。 この結果 から、海 洋内部に 輸送された 人為起源 ニ 酸 化 炭 素 量 を107土45 gC/m2と 見積 も られ た 。 さち に 、観 測 定 点KNOT水 柱 で の人 為起源二 酸化炭素量 を217土56 gC/m2と見 積ができ 、これまで北太平洋で見 積 も られた 人為起源 二酸化炭 素量より 低いもの であった 。これは、 これまで の 推 定 値には 非人為起 源二酸化 炭素量も 加わって いたため と考えられ る。人為 起 源 二 酸化炭 素量を正 確に見積 もる手法 として813Cの スウス効 果を用いた 推定法 が有用であることを示唆した。

    申 請者は海 洋への人 為起源ニ 酸化炭素 の吸収に ついて海 水中溶存無 機炭素 の 炭 素安定 同位体比 の時系列 観測を用 いて推定 した。西 部北太平洋 亜寒帯域 に おい て世界で 初めて時系 列観測を行い、゛単純なフーリエ展開を用いることによ り 亜 寒帯 域 のス ウ ス 効果 、D値 を初 め て 推定 し た。 さ ら に、 鉛 直的 な1年の時 系 列 観測 を 行う こ と によ り 、813CとDICの関 係が時間 で変化し ないことを 初め て 発 見し た 。こ の 事 実と 上 述のD値 か ら海洋内 部ヘ吸収 された人為 起源二酸 化 炭 素 量を推 定するこ とが出来 た。これ らの知見 は、オリ ジナリティ が非常に 高 く、重要な研究である。

    審 査員一同 は、これ らの成果 を高く評 価し、ま た研究者 として誠実 かつ熱 心で あり、大 学院課程に おける研鑚や取得単位などもあわせ申請者が博士(地球 環 境 科 学 ) の 学 位 を 受 け る の に 十 分 な 資 格 を 有 す る も の と 判 定 し た 。

参照

関連したドキュメント

   これにより、全個体の回遊経路をもとめたところ、心東経150 °付近を境に、西方に戻る 個体 、B) 東経150 ゜付 近に留ま

[r]

[r]

   これまでの報告や津田君の研究から植物の MBF1 は様々なストレスに応答して発現する

rate were higher in peat swamp forest than in heath forest. Peat swamp forest

[r]

   ま た本 モデルによりWatanabe and Kondo (1990) が定義したバルク運動量輸送 係数 (り を群 落構造 と関 連さ せ表 現す ることが出来た。さらにThom (1971 )が 提案

[r]