博 士(地 球環境 科学) 山田 岳
学 位 論 文 題 名
多孔性ヘテロポリ化合物の合成と細孔および表面特性の解析 学 位 論 文 内 容 の 要 旨
本 論 文は4章 から なっ てい る, 第1章は 序 論で あり ,ヘテロポリ 化合物およびその多孔性物 質に ついて ,従来の知見をまとめた.さ らに,吸着法による触媒材 料の細孔構造,表面化学性 質の 解 析法 につ いて , 歴史 的流れをま とめてある.第2章はマイク ロポーラスヘテ口ポリ化合 物の 合成条 件と細孔サイズについて,主 にN2吸着,分子吸着の結果 を述べている,これらの結 果か ら 細孔 モデ ルを 提 案し た,第3章は 多孔性ヘテロポリ化合物お よび各種多孔性物質のAr吸 着法 による マイクロ孔分布の解析結果に ついて述べている.構造の わかった各種ゼオライトを 用いることによっ て,Ar吸着のSaito‑Foley法 の妥当性を証明した.さら にこの方法によって,
多孔 性 ヘテ ロポ リ化 合 物の マイク口孔 分布を明らかにした.この結 果は第2章の結果とよく対 応し た .第4章 は, 水中 で機 能する固体 触媒,いわゆる「水中触媒 」の表面疎水性を水および べン ゼン吸 着によって定量的に評価した 結果について述べている. すでに実績のある水中触媒 H‑ZSM‑5と比 較 する こと によ って , ヘテ ロポ リ酸 のCs酸性塩,Cs2.sHo.sPWi2040がH‑ZSM‑5 と 同 等 の 疎 水 性 を 有 す る こ と を 明 ら か に し た . 以 下 , 第2章 以 下 の 概 要 を 述 べ る .
ウ ル ト ラ マ イ ク ロ ポ ー ラ ス ヘ テ ロ ポ リ 化 合 物 の 調 製 と 細 孔 構 造 解 析 ( 第2章 ) ヘテ 口 ポリ 化合 物は 酸,酸化触媒として多 くの実績をもつ機能性触媒で ある.最近,ヘテ口 ポ リ酸 のCs酸 性塩 の中 に多孔性を有するもの が発見され注目を集めている .しかし,これらの 細 孔の 構 造や 生成 機構 は不明であり,また, 調製法の細孔構造に与える影 響も不明であった.
本研 究では,まず均一なウルトラマイクロ孔をもつCs2.lH0.9PWi2040 (Cs2.1と略す)の調製法の 検討 と細孔構造解析を行った.
N2吸 着 等温 線は 細孔 構造を反映するが,こ の等温線は,調製時の原料濃 度,原料の滴下速度 に大 きな影響を受けた.系統的な 検討により,均一な細孔を もつCS9.1の調製条件は,H3PW12040 水 溶 液0.08M,Cs2C03水 溶 液0.10M, 滴 下 速 度0.1 CD13.mm・1で あ る こ と を 確 定 し た . Cs2.1の 細 孔 をN2吸 着 等 温 線 の解 析お よぴ 分 子吸 着法 で調 べ た.Cs2.1の 細孔 径は0.43〜 0.59 nmの範囲にあることがわか った.また,Cs2.1の外部表 面は総表面積の3%程度と小 さく,
メソ 孔のない均一な細孔であるこ とを明らかにした. Cs2.1の細孔は結晶子同士の接触界面のミ ス マッ チ ング によ って 形成されると推測した .このモデルから計算される 細孔容積は,実測値 と一 致し,モデルの妥当性が示さ れた.
Arポ ロ シ メ トリ ーに よ るH3PWi2040のCs酸性 塩の マ イク ロ孔 解析 ( 第3章 )
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こ れ ま で , 信 頼 で き る マ イ ク ロ 孔 領 域 の 細 孔 分 布 を 測 定 す る 方 法 は な か った が , 最 近 ,Ar吸 着 法 で あ るSaito‑Foley法 が 報 告 され , ゼ オ ラ イト に 適 用 さ れて い る , こ こ では そ のSaito‑Foley
( SF) 法 を 用 い , マ イ ク ロ 孔 を 有 す る ヘ テ ロ ポ リ 化 合 物 の 細 孔 解 析 を 行 っ た . 参 照 試 料 のH‑ZSM‑5,AIP04‑5,H‑YのSF法 の 解 析 結 果 は ,0.51,0.63,0.73 nmに ひ と つ の ビ ー ク を も つ 分 布 曲 線 が 得 ら れ , こ れ ら の 値 は 結 晶 構 造 解 析に よ る 細 孔 径に 近 く , 非 多孔 質 のSi02の 細 孔 分 布 曲 線 は マ イ ク 口 孔 領 域 に ピ ー ク を も た な い こ と か ら,SF法 は マイ ク ロ 孔 解 析 に有効 である こと がわか った.
SF法をポ ーラス ヘテロポリ化合物(CsエH3̲xPWi2040 0.5wt%Pt‑CsーH3.xPW12040,x二ニ2.1,2.5) のAr吸 着 等 温 線 に 用 い た 結 果 , 細 孔 分 布 曲 線 に は ,x 2.1で0.52 nmに ー つ の ピ ー ク ,x 2.5 で0.50 ‑ 1.4 nmに ー つ の ブ 口 一 ド な ビ ー ク が 観 察 さ れ た . 特 にx= 2.1の 結 果 は 分 子 吸 着法 の 結 果 と 一 致 し た . ま た ,x二 二 ニ2.5で も マ イ ク ロ 孔 を 有 す る こ と が 明 らか で あ り ,0.5wt%Pt‑
CsエH3̲xPWi2040で も マ イ ク ロ 孔 が 存 在 し ,Ptの 導 入 に より 細 孔 径 が 変化 し な い こ とを 明 ら か に し た.
ヘ テロ ポ リ 化 合 物の 表 面 疎 水 性の 評 価 ( 第4章 )
Cs2・sHo.sPWi2040 (Cs2.5と 略す ) は 表 面 疎水 性 を 有 し ,水 中で 機能 する固 体酸, いわゆ る「水 中 触 媒 」 で あ る . ま た , 水 中 反 応 に はH‑ZSM‑5が 有 効 で あ る こ と が 報 告 さ れ て い る が , 有 効な 表 面 特 性 を 含 め 基 礎 研 究 例 が 少 な い . そ こ でCs2.5の 表 面 特 性 をH20,benzene吸 着 か ら 系 統 的 に行 い ,H‑ZSM‑5と 比 較 し , 表 面疎 水 性 を 定 量的 に 評 価 し た.
H‑ZSM‑5のH20吸 着 量 はSi/Al比 が 大 き く な る に っ れ 小 さ く な っ た . こ れ はHz0吸 着 量 が 表 面 の ブ レ ン ス テ ッ ド 酸 点 の 量 と 関 係 す る た め で あり , 室 温 排 気で 脱 離 し な い不 可 逆 吸 着 水がH゛ あ た り1分 子 で あ る こ と が わ か っ た .Cs2.5とCS3PWi2040 (Cs3) で はH20の 測 定 結 果 , 表 面 積 はCs3の 方 が 大 き い に も か か わ ら ずCs2.5で 吸 着 量 が 多 く , ま たH‑ZSM‑5と 同 様 に ,H゛ あ た り不 可 逆 吸 着 水が 約1分 子 ある こ と が わ かっ た .
一 方 , ベ ン ゼ ン の 吸 着 は ブ レ ン ス テ ッ ド 酸 点 の 量 と 関 係 が な く ,H‑ZSM‑5で はSi/Al比 に か か わ ら ず 吸 着 し た , ま たH20と は 対 照 的 に ,Cs3の 方 がCs2.5よ り も 多 く の べ ン ゼ ン を 吸 着 し た . ベ ン ゼ ン とH20の 全 吸 着 面 積 の 比 で 表 面 疎 水 性 が 評 価 で き る こ とが わ か り , 序列 はH‑ZSM‑5 (Si/Al=628)冫Cs3冫H‑ZSM‑5 (Si/Al=40)名Cs2.5冫Si02‑A1203>A1203とな っ た , こ の結 果 と 水 過 剰 存 在 下 の 酢 酸 エ チ ル 加 水 分 解 反 応 の 活 性 か ら , 水 中 触媒 と し て 機 能す る に は , 酸強 度 が 高 いと 同 時 に 表 面疎 水 性 が 高 いこ と が 重 要 な要 素 で あ る と 結論 し た ,
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学 位 論 文 審 査 の 要旨 主査
副査 副査 副査
教授 教授 教授 助教授
奥 原 敏 長 谷 部 服 部 吉 田
学 位 論 文 題 名
夫 清
英(エ ネル ギー 先端工学研究センター)
登