九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
操縦運動時の船体に作用する流体力の推定に関する 研究
湯川, 和浩
九州大学工学研究科造船学専攻
https://doi.org/10.11501/3135039
出版情報:Kyushu University, 1997, 博士(工学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
操縦運動時の船体に作用する流体力の 推定に関する研究
平成 1 0 年 1 月
湯 川 和 浩
目 次
第 1章 緒 論 1
1.1 概 説 ‑ ・ ・・・・・・ ・・ ・・・・・ ・・・ ・ ・ ・ 1 1.2 船体に作用する流体力推定法に関する研究の経緯と現状.• • • • • • • 3 1.3 本研究の流れ • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • 6
第 2章 操縦運動時の船体まわりの流場のモデル化 7
2 . 1
緒 言 .• • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • •7
2.2 速度ポテンシャルが満たすべき条件・・・・・・・・ ・ ・・ 8
2 . 3
細 長 体 理 論 の 船 体 へ の 応 用 .• • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • ••1 0 2 . 3 . 1
ポテンシャル流れによる流場の表現.• • • • • • • • • • • • ••1 0 2 . 3 . 2
直進運動による流場 • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • ••1 2 2 . 3 . 3
横運動による流場・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・ ・2 1 2 . 3 . 4
~J 離渦層による流場 • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • ••2 7
2.4 剥離の条件および積分方程式 ・・・ • • • • • • • • • • • • • • • ••3 5 2 . 5
結 言・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・ ・・ ・・・・・・・・・・・・・3 8
第 3章 船体流体力の理論計算法 39
3 . 1
緒 言 ・ 393 . 2
運 動 量 保 存 則 に よ る 船 体 流 体 力 の 定 式 化 .• • • • • • • • • • • • • .,4 0
3.3 撹乱流による船体横断面の運動量・・・ ・・・・ ・・ ・・・・・・ ・ ・
4 5 3 . 3 . 1
直進運動成分 ・・・・ ・・4 5 3 . 3 . 2
横 運 動 成 分 • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • ••4 6
3 . 3 . 3
剥離渦層成分 ・4 8
3 . 4
船体流体力の表現・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・ 1 ・・・・・・・5 0
3 . 5
結 言 .• • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • ••5 2
第 4 章 渦 モ デ ル お よ び 船 体 ま わ り の 流 場 の 表 現 4.1 緒 言・・・・・・
4.2 剥 離 線 の 位 置
4.3 渦糸の発生法および流出法・
4.4 渦 強 さ の 時 間 的 な 減 衰
4.5 計 算 条 件 お よ び 計 算 対 象 船 型 4.5.1 計 算 条 件 .
4.5.2 計 算 対 象 船 型 お よ び 船 体 形 状 の 数 値 表 現
司︑
u
っ ︑
Uにυウ
i n u η L q L 4 4
只U只
U F O
ハb
5 5 5 5 6 6 6 6 6 6 8 m 4.6 操 縦 運 動 時 の 船 体 ま わ り の 流 場 の 検 討
4.6.1 斜 航 運 動 時 の 船 体 ま わ り の 流 場 4.6.2 旋 回 運 動 時 の 船 体 ま わ り の 流 場 4.7 結 言 ・ ・・ •
第 5章 船 体 流 体 力 お よ び 針 路 安 定 性 108
5.1 緒 言 ・・・ ・・ ・・・・・・・・ ・ ・・・・・ ・・ 108 5.2 横 力 分 布 の 計 算 ・・・ ・・・ 110 5.3 船 体 流 体 力 の 計 算 ・・・ 114 5.4 渦 モ デ ル に 含 ま れ る パ ラ メ ー タ sα の推定法・・・・ ・・・・・ ・・・ 122 5.5 針路安定判別・・・・・ ・ ・ ・・・・・ 126 5.6 結 言 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 129
第 6章 結 論 131
謝 辞 参 考 文 献
135 136
記 号 一 覧 140
第 1 章 緒 論 1 . 1 概 説
近年,世界経済の発達に伴なう海上輸送量の増大に対処するために,船の巨大化・多 様化が急激に進み,
LNG
船やPCC
などの専用船や,船体抵抗の軽減,運航効率の向 上を追求した幅広の省エネ船型を有する巨大タンカーなどが出現し,その結果,旋回 性能や停止性能などが劣る,操船の極めて困難な船が見られるようになった。特に,船 の巨大化に伴なって見られるようになった船尾の肥大化した船の中には,針路不安定 現象を引き起こすものが多く,操船上の大きな問題になっている。そのような大きな船 が,ひとたび衝突や座礁などの海難事故を引き起こすと,その影響は人命安全や経済 面のみならず,海洋汚染や環境破壊といったような海洋環境の問題にまで及び,社会的 な問題にまで発展してしまう。例えば,1 9 8 9
年3
月にアラスカ沖で座礁したEXXON VALDEZ
号や1 9 9 3
年1
月に英国シェトランド島におけるBRAER
号の座礁などは,大型タンカーの大量流出油事故として国内外の重大な関心事になったことは,まだ記 憶に新しいところであり 改めて船舶航行の安全性の重要性が認識された。そのよう な海難事故には 3つの大きな原因が考えられる。それらは 操船者の誤認や操船ミス といった人間要素によるもの,強風や突風,大波など自然界の不可抗力によるもの,そ して,時に船尾の肥大化した船型の中に見られる針路不安定現象など,船固有の性能 が劣ることに起因するものである。とりわけ,操船者の誤認や操船ミスによる海難事 故の発生ケースが 70%程度と全体に占める割合は多いようだが[1],船を設計する観点 からすると,船舶航行の安全性を確保するためにも 船固有の性能が劣ることで引き 起こされる海難事故を未然に防ぐ必要がある。
上述のような,近年発生したいくつかの大型タンカーの海難事故および原油流出に よる環境汚染を契機に,国際海事機関 (IMO; International Maritime Organization)に おいては,船の安全性確保および環境保全の観点から,
1 9 9 3
年1 1
月に操縦性暫定基 準A . 7 5 1 ( 1 8 )
が採択された[ 2 ] [ 3 ]
。これは操縦性能が劣悪な船を排除するためのもので あり,1 9 9 4
年7
月1
日以降に起工される新造船に適用されている。この基準には5
1
年間の暫定期間があるが,最終的に採択されれば,今後の建造船については操縦性能 がこの基準を満足することが必要になる。従って, IMO操縦性基準を満足するために は,初期の設計段階において船の操縦性能を正確に把握しておくことが,何よりも大 切なこととなる。具体的には,新しい船を設計する場合,載荷重量や推進性能などの 経済面,そして復原性能や構造強度,新たに加わった IMO操縦性基準などの安全面の 両面から,設計条件を満足するように主要目,推進器および舵要目,そして補助装置 などの要目を計画し,船型要目を決定していかねばならない。 IMO操縦性暫定基準が 採択される以前は,運航経済上の最適船型と推進性能の検討が主流を占め,操縦性能 に関する検討は,基準が定量化されていなかったこともあり 2次的要素として取り扱 われ,造船所において自主的に設けられた設計基準に従って,針路不安定現象などの 操縦性能の検討がなされてきた。しかし IMOにおいて操縦性暫定基準が採択されたこ とにより,操縦性能の検討がその他の条件と同等な重要性をもち,造船設計者は IMO 操縦性基準を確実に満足させることが義務づけられ,かつ船固有の操縦性能をより一 層高める努力が必要となった。その結果,初期の設計段階において船の操縦性能を正 確に評価することが必要不可欠な問題となり,操縦性能の推定法に関する研究が世界 各国において盛んに行なわれるようになった。
船の操縦性能を評価する手法には,大きく分けて 3つの方法が考えられる。即ち,
データベースによる方法,模型試験による方法そして操縦運動の数学モデルを用いて 数値シミュレーションを行なう方法である。現在では,コンビュータの発達と相まっ て,数値シミュレーションを行なうことで船の操縦性能を推定する方向へと向かいつ つあるが,その場合,数学モデルを構成する外力の項としての流体力の表現が問題と なる。船の操縦性能を正確に評価するためには,何よりもまず流体力を精度良く推定 することが必要であり,中でもとりわけ支配的であると思われる,主船体に作用する 流体力を精度良く推定することが必要不可欠な問題となる。
そこで,本論文においては,船の操縦性能を評価する際に必要となる操縦流体力,そ の中でも特に支配的であると思われる,主船体に作用する流体力を理論的に推定する 手法について提案し,検討を行なっている。
1 . 2 船体に作用する流体力推定法に関する研究の経緯と現 状
船の操縦性能の予測は,船の航行に対する安全性の観点から非常に重要な問題であ る。特に,船尾の肥大化した船型の中には針路不安定現象を引き起こすものも見られ,
操船上大きな問題となっているのは前節でも触れた通りである。針路不安定現象は船
固有の性能であるため,船の初期設計の段階において,船体形状まで考慮して操縦性 能を精度良く推定することが大切なことである。
初期の設計段階において船の操縦性能を評価する手法には,前述の如く大きく分け て 3つの方法が考えられる。即ち,データベースによる方法,模型試験を行なう方法 そして数値シミュレーションを行なう方法である。データベースによる方法は,過去 に建造された船の海上試験などの結果が,船の主要目をパラメータとして数多く蓄積 されており,そのデータから新しい船の操縦性能を推定する方法である。この方法は,
データベース群に含まれる船型に対して同船型もしくは類似船型の場合には,容易に
船の操縦性能を推定することが可能で,経費や時間の面から見ても非常に有効な手法 である。しかし,そのデータベース群から著しく外れる船型に対しては精度が保証さ れておらず,適用が困難であるように思われる。例えば,前節において述べたように 近年,船の巨大化・多様化に伴なって見られるようになった LNG船や
PCC
などの専 用船や,船体抵抗の軽減や運航効率の向上を追求した幅広の省エネ船型を有する巨大 タンカーなどは,データベース群に含まれる船型の多くが U型船尾フレームラインや 逆 G型船尾を有しているのに対して, V型船尾フレームラインやスターンバルブ付き のマリナー船尾を有していることが考えられる。船の操縦性能は船体主要目以外の船 型要素も影響し,これらの船尾形状の変化は,針路安定性を劣化させる方向に作用す ることが多い[ 4 ]
。従って,たとえ主要目から見るとデータベース群に十分含まれる船 であったとしても,船尾形状などに大きな相違がある場合には推定精度が保証されな い。また,模型試験による方法は,模型船を用いて自由航走試験を行ない,直度船の 操縦性能を調べることが可能であるため有用な方法であると考えられるが,その反面,模型試験を実施するために必要となる多大な時間や労力,経費,試験設備などの問題
3
をかかえており,特に初期の設計段階において船の操縦性能を評価するという面から すると,実用的にあまり効率のいい方法とは言えない。従って,現在では,数値シミュ レーションを行なうことで船の操縦性能を評価する方向へと向かいつつある。この方 法は,コンビュータ上で船の任意の操縦運動を計算することができ,さらに最近のコ ンビュータの発達と相まって,実用的に非常に有用な手法であると考えられる。現在 では,昭和 51年に日本造船学会試験水槽委員会第 2部会のワーキンググループとし て設けられた「操縦運動の数学モデル検討グループ(略称
MMG)
Jにおいて提案され た,いわゆるMMG
モデル[ 5 ] [ 6 ] [ 7 ] [ 8 ] [ 9 ] [ 1 0 ]
と呼ばれる非線形操縦運動モデルを用いた 数値シミュレーションが,操縦性能検討の主流となっている。この方法に含まれる問 題点は,数値シミュレーションで用いる数学モデルを構成する外力の項としての流体 力の表現である。即ち,船に作用する流体力は船体,プロペラ,舵の単独に作用する 流体力と各々相互の干渉力から構成され,数値シミュレーションを行なって船の操縦 性能を精度良く評価するためには,これらの流体力を精度良く推定することが重要で あるが,その中でもとりわけ支配的であると考えられる,主船体に作用する流体力(以 下,船体流体力と呼ぶ)を精度良く推定することが必要不可欠なこととなる。船体に作 用する流体力を推定する手法として,データベースによる方法や拘束模型試験を行な う方法も挙げられるが,データベース群から著しく外れる船型に対しては精度が保証 されていないことや,模型試験を実施するためには多大な時間,労力,経費などが必 要になるという同様な理由から,現在では船体流体力を理論的に推定する方向へと向 かいつつある。船体流体力を理論的に推定する手法として,現在広く一般的に用いられているもの に,貴島の式
[ 2 ][ 1 1 ] [ 1 2 ]
がある。この方法は,船体を中央縦断面に相当する縦横比の小 さい薄翼と仮定する小縦横比薄翼理論に基づいており,船型要素を表わす僅か 5つの パラメータから,船体に作用する流体力を比較的精度良く推定することができる。し かしその反面,推定式決定に用いられた模型船群から外れた船型に対しては信頼性が 確かめられておらず,なにより船型要素に現われない局部的な船型の差まで考慮でき ないという欠点がある。一方,細長イ本に基づいた不破の方法[ 1 3 ]
は,写像関数を用いて 船体形状を近似し,船体まわりの 3次元剥離渦を離散的な渦糸で表現することで,船 体流体力を推定する手法である。この方法は,主要目に現われない局部的な船型要素の差まで考慮することができ,さらにその推定精度も比較的良いため,現在も活発に 研究が行なわれ発展しつつある
[ 1 4 ][ 1 5 ] [ 1 6 ] [ 1 7 ] [ 1 8 ] [ 1 9 ] 0
しかし,写像関数を用いた船尾 部分のフレームライン形状の表現や剥離線の仮定,船体まわりの剥離渦層を表わす離 散的な渦糸の流出法などに関して,まだまだ解決すべき問題が数多く残されているの も現状である。また,最近では松井ら[ 2 0 ] [ 2 1 ]
によるパネル法を用いた方法や,藤野ら[ 2 2 ] [ 2 3 ] [ 2 4 ]
による CFD(Computational Fluid Dynamics)による方法などが提案され ている。シミュレーション計算に必要な船体流体力を精度良く推定するためには,船 体まわりの流場を正確に把握することが必要であると思われる。とりわけ,船尾付近 の流場は船尾縦渦などを含む複雑な流場であると共に,船体流体力に大きな影響を及 ぼす主要因になっていることが知られているため,取り扱いが非常に重要である。例 えば,主要目が同じであっても船尾部分のフレームライン形状が異なることで,その 操縦性能,特に針路安定性が変化する場合もあり[ 2 5 ] [ 2 6 ]
,最近では,船尾付近の流場 に関する理論的な研究が盛んに行なわれている[ 2 7 日 2 8 ] [ 2 9 ] 0
CFDによる方法やパネル 法は,細長体の仮定を用いずに船体形状や船体まわりの 3次元流場を直接取り扱うこ とが可能で、あるため,船体流体力の推定のみならず,船体まわりの流場の検討を行な う場合でも有用な手法であると思われる。しかし,現在高性能とされるコンビュータ を用いても数値計算には莫大な時間を要することが,これらの方法が持つ問題点であ る。初期の設計段階において船の操縦性能を正確に評価するためには,簡便かつ精度の 良い船体流体力の推定法が必要であり,そのような推定法の確立が望まれているのが 現状である。そこで本論文においては,ある程度取り扱いが簡便であり,また,短い 時間で比較的精度良く船体流体力を推定することが可能であると思われる,細長体理 論に基づいた方法をベースとして,船体形状を考慮して理論的に船体流体力を推定す る手法について提案を行なっている。
5
1 . 3 本研究の流れ
本論文の構成は 6章からなる。
第 1章「緒論J においては,研究の背景,操縦運動時の船体に作用する流体力の推 定法に関する研究の経緯と現状,問題点および本論文の構成について述べている。
第 2章「操縦運動時の船体まわりの流場のモデ、ル化」においては,船体まわりの流 場を表わす全速度ポテンシャルが満たすべき条件,およびモデル化を行なう際に設け る仮定を示している。また,細長体の仮定と等角写像の手法を用いることで,船体ま わりの流場を表わす複素速度ポテンシャルの,船体近傍の流場における第 l次近似式 を導出している。
第 3章「船体流体力の理論計算法」においては,前章で導いた船体まわりの流場を 表わす全複素速度ポテンシャルを用いて,比較的簡便な方法であると考えられる運動 量保存則から,操縦運動時の船体に作用する横力およびモーメントの推定式を導出し ている。
第4章「渦モデルおよび船体まわりの流場の表現」においては,船体まわりの剥離 境界層を離散的な渦糸で表現し,剥離点,渦糸の流出方法および渦強さの減衰を仮定 し,モデル化を行なっている。さらに,渦糸分布の計算結果を CFDによる渦度分布の 計算結果や流場観測による渦度分布の計測結果と比較することで,本章で提案した渦 モデルの妥当性について検討を行なっている。 一
第 5章「船体流体力および、針路安定性」においては,第 2章 第 4章で述べた数値 計算法を 6隻の計算対象船型に対して適用し,実際に船体流体力の推定計算を行なっ た結果を示し,本計算法の推定精度および、妥当性について検討を行なっている。また,
本論文で提案した船体流体力の推定法を用いて,船の操縦性能を推定する場合に必要 となるパラメータの決定法を示し,針路安定判別の面から,その妥当性について検討 を行なっている。
第 6章「結論」においては,本研究を通して得られた結論および今後の研究課題を 述べている。
第 2 章 操縦運動時の船体まわりの流場のモデル 化
2 . 1 緒 日
本章においては,操縦運動時の船体まわりの流場をモデル化する際に,全速度ポテ ンシャルが満たすべき条件およびその基礎方程式について述べる。
まず,第 2節においては,船長に比べて吃水と船幅の小さい細長船が,完全流体中 を偏角や旋回角速度が小さく,造波の影響を無視できるような船速で操縦運動を行な う場合に,船体まわりの流場を表わす全速度ポテンシャルが満たすべき条件を示して いる。
第 3節においては,無限流体中を DoubleBodyが平面運動を行なう DoubleBody Modelとしての取り扱いを行ない,全速度ポテンシャルを直進運動成分,横運動成分 そして剥離渦層成分に分けて考える。その際,細長体の仮定と等角写像の手法を用い ることで船体横断面内の 2次元問題に簡略化し,全速度ポテンシャルの船体近傍の流 場における第 l次近似解を導出する。さらに,それらの基礎方程式から,船体まわり の流場を表わす複素速度ポテンシャルの直進運動成分,横運動成分および剥離渦層成 分を導出している。
第 4節においては,第 3節で導いた複素速度示テンシャルの直進運動成分,横運動 成分および剥離渦層成分をそれぞれ組み合わせることで,船体まわりの流場を表わす 全複素速度ポテンシャルを表現する。また,通常,翼理論で取り扱われる Kuttaの条 件に相当する剥離の条件を導出し,各船体横断面において新たに発生する渦糸の渦強
さを決定するための条件式を示している。
第 5節においては,本章で得られた結果をまとめている。
7
2 . 2 速度ポテンシャルが満たすべき条件
本論文においては,船が一定の偏角
s
,旋回角速度ァで定常操縦運動を行なう場合 を取り扱い,検討を行なう。そこで,まず船体まわりの流場のモデル化に際して,次 の3つの仮定を設ける。(1)船は船長 Lに比べ,吃7](dおよび船幅 Bの小さい細長体である。
(2)偏角
p
および旋回角速度ァの小さい運動を取り扱う。(3)船速
U
sの小さい範囲を取り扱い,造波の影響は無視できる。以上の仮定を前提として議論を進めていくと,自由表面を固定壁と考えることができる ので,操縦運動時の船体まわりの流場は,鏡像を考えた DoubleBodyが無限流体中を 平面運動する DoubleBody Modelとして取り扱うことができる。ところがその場合,
流場をポテンシャル流として取り扱うため, d'Alembertのパラドックスにより,定常 運動時の物体(船体)には偶力以外の流体力は作用しない流場となり,現実の流場とは 異なった現象が生じることになる。操縦運動時の船体に作用する横力の発生は,伴流 によるものが主要因と考えられているため,翼理論との対比から,離散的な渦糸によ り伴流域を取り扱うことにする。従って,流場を解析する上では,この伴流の取り扱 いが非常に重要となってくるわけである。
ここで,流体は完全流体(非粘性,非圧縮)とし,伴流を表わす剥離渦層以外の領域 では非回転と仮定すると,船体まわりの流場を表わす速度ポテンシャル φは,以下に 示す 5つの条件を同時に満足する必要がある。
[ L ]
連続の条件マ
2φ=0 (2.2.1)[ B ]
物体表面の条件 θφ一一二 V争 ・ 冗 =0
θη (2.2.2)
[ ∞ l
無限遠方の条件マ
φ一→ Us (at∞)
(2.2.3)[ F ]
剥離渦層の条件 p一 =p , ょu・T+b ー=
Vn‑[ S ]
剥離の条件u.) ‑ 冗x
( 弓 + ‑
~-) b =冗×ヂθφ 『
一一二マ
φ.b= 0
θb(2.2
. 4 )
(2.2.5)
ただし,
σ
は流速ベクトル,冗および子は法線ベクトルと接線ベクトル, W は渦度ベ クトル,pは圧力とし,添字の n,t
は法線および接線方向, +,ーはそれぞれ剥離渦 層の上下面を表わす。n
Fig.2.1 De五nitionof vectors
9
2 . 3 細長体理論の船体への応用
2 . 3 . 1 ポテンシャル流れによる流場の表現
座標系には, Fig.2.2に示すような船体中央横断面に原点をおく船体固定の座標系
o‑xyz
を用い,船尾方向,右舷方向,鉛直上方向をそれぞれz軸,y
軸,z
軸の正方 向とする。また,船が一定の船速 Us'偏角s
,旋回角速度ァで定常運動を行なう場合 のz軸方向および、 U軸方向の速度をそれぞれ U,Vとすると,船体への流入速度は,旋回角速度 γの小さい運動という仮定のもとで,次のように表わすことができる。
︑ ︐
11
2︑p
'B Ea
‑‑
ノ
T r
y
‑
一 +
βμ βμ
m m
p u Q U
ι ι
一一 一一
U V
(2.3.1)
前節で述べたように自由表面は鏡像面として取り扱い,無限流体中を DoubleBody が平面運動を行なっていると考える。このときの船体まわりの流場を表わす全速度ポ テンシャル@を,次式のように直進運動成分 φ1と横運動成分 φ2に分けて考える。
ただし,ゆ1およびのは,直進運動と横運動による船体まわりの撹乱を表わす単位速 度ポテンシャルである。
φ 二 φ1+φ2二
U(x+
ゆl ) +V(y+
ゆ2) (2.3.2)Z
Fig.2.2 Coordinate system
さらに,
( 2 . 3 . 2 )
式を用いると,( 2 . 2 . 1 )
式r v( 2 . 2 . 3 )
式に示した [L]連続の条件,[B]物体 表面の条件および[∞l
無限遠方の条件の 3つの式は,それぞれ次式のように表わすことができる。
[ L ]
連続の条件一 一
o m
一
α
一 一
一 一
色ベり一け い 一
h
ヰlz唱E
A
‑
︐ ︐
︑
¥/ ト φ
一
マ
θ一( 2 . 3 . 3 )
[B] 物体表面の条件 θ B θ B θ B θ B
一一 +u 一一 +υ~+ω 一一
θ t θ z θ u θ z θB ̲ 1 ̲ ̲ ¥
= 否
t +V(φ1+
争2).VB
= 0 [∞l
無限遠方の条件 :マ φ ム ( u , V , O )
( 2 . 3 . 4 ) ( 2 . 3 . 5 )
ここで,
B
二B ( ← 川 ,
y,
グぷz引 什 ;は船の定常運動を考えているので,次式が成り立つ。
ま B (
山 ;) t
ニO ( 2 . 3 . 6 )
1 1
2 . 3 . 2 直進運動による流場
(2.3.3)式 rv(2.3.5)式から,次に示すような直進運動による船体まわりの撹乱を表わ す基礎方程式が得られる。
[ L ]
連続の条件[ B ]
物体表面の条件[ ∞ l
無限遠方の条件マ
2ゆ1 = 0(1+ θゆ~)θB
一 一 ・一 一 + 一 一 一 一 十 一 一 一 一仰1θB
. 8qh 8B θx )θzθuθuθzθz'J(!h
~
(0,
0,
0)(2.3.7) (2.3.8) (2.3.9)
ここで,上式の船体近傍の流場における近似解を求める。その場合,細長体の仮定 をもとに,船幅
B
,吃水d
,船体横断面積 Sおよび船長 Lを用いて,次に示すような 81enderness Parameter εを定義する。VB
ナd v s
~E
二一工一二 τ K
1 (2.3.10)この 81endernessParameterε を用いることで,船体近傍の流場における座標系は,次 のような Orderで考えることが可能になる。
X rv 0(1)
,
Y rv O(ε)γ Z rv O(ε) (2.3.11)従って, εによる拡大された座標系 (8七retchedCoordinate 8ystem)で,それぞれの座 標を表現し直すと次のようになる。
x = Xo
,
y = ε九 ,
z二 εZ。
(2.3.12)よって,九座標については以下のような関係が得られる。
1 θ九 l
〕
も
=
‑y 一→ε δu ε
(2.3.13) θφl θφlθ九 1θφ1
θu θ九 θu εθ九
ただし,c.T1は(2.3.7)式 rv(2.3.9)式を同時に満足する解とし,次式が得られる。
φ
一 4 0
♂一
♂
φ
一 切
u
nd
‑ E ︐
純一 句
︒一 向
¥I ti l‑
‑/ /
φ
一 切
u
nぴ
一︐
E
/I li
‑‑
¥
θ
一 内
φ
一
♂ 一
〆
θ (2.3.14)
さらに,ZI。座標についても九座標と同様な方法で,次式が得られる。
θ2φ1 1θ2φl
θZ2ε2θZ02 (2.3.15)
ここで, (2.3.7)式と(2.3.8)式に(2.3.14)式および(2.3.15)式をそれぞれ代入すると,次 式のように表現できる。
[L] 連続の条件 θ2φ1 . 1 (θ2φ1θ2φ1¥ ハ
θ
X
02 Iε2 ¥θ九2IθZ02) ̲ v (2.3.16) / θ φ 1 ¥θB 1θφlθB 1θφlθB[ B ]
物 体 表 面 の 条 件 : ¥ θい+一一│一一+一一一一+一一一一一二 o
(2.3.17)XO}θXO ε2θ九θ九 ε2θZ
。
θZoまた, φlをεに関して漸近展開を行なうと,以下のような巾級数の性質をもっ漸近列 で表わすことができる。
φ1
̲乞到
N η)̲φjl)+針
2)+叫
3)+ ... +φjN)ー ε2oi1)+ε3oi2) +ε4oi3) + ... +εN+1OiN)
(2.3.18)
‑ 乞
N εη+loiη)φ
ア )
rv。 ( ♂
+1)13
これは, ε→0の極限では撹乱速度が消滅するので,
φF) r v 0
( ε 2 )
(2.3.19)でなければならないことを考慮している。 (2.3.16)式と(2.3.17)式に(2.3.18)式を代入 し, Orderの同じ項について整理すると,第 1近次式は次式のように表わせる。
θ2oi1)。 θ2oi1) ハ
一 一 一
θy2 ・ [JZ2一
~θB 。 θoi1)θBθoi1)θB ハ 一 一 一 一 一 一
θx θuθy θzθz ~
また,第 2,第 3,・・・近似式も次式のように表わせる。
θ2ゆ(2)θ2ゆ(2)
一 ̲ '
θ U 2 3 3 7 = 07 ‑ ' :
+θ
抗
2)θB+θ弘
2)θB‑θ u θ u θ Z 3 z ‑ 0
θ2oi1)θ2oi3)θ2oi3) ハ
一一一+一ームー+一一二一
θx2 θy2 θZ2u
~θoi1)θBθoi3)θB 。θoi3)θB ^
一 一 一 一 一 一 一
θzθx θuθy θzθz ~
(2.3.20)
(2.3.21)
(2.3.22)
ところが Orderを考えてみた場合,船体近傍の流場における第 l近似解
o P )
を求めれば十分で、あることがわかる。ここで,任意の船体横断面において,その船体表面 に立てた法線を η とすると, (2.3.20)式の第 2式より
θ B θ
ゅ
il)θBθoi1)θB一 一 一 一 一
θx θuθy θzθz
θBθoF)θB ハ 一 一 一 一
θx θ n θ n v (2.3.23)
となり,また,微分演算子の特性を利用して
B(x ,
y, z;t)=O
に適用すると以下のよう に表わせる。ハU
B一n d ︐ η 一 一
nd 士ぴ
+
27 α
B
一z
nd τd R 一 一
U
︐d
(2.3.24)
(2.3.23)式と (2.3.24)式からーを消去すると,次式が得られる。θB θz
θ o i
1)θn
dn
dx (2.3.25)
これは,[B]物体表面の条件が「船体表面の法線速度が,船体の法線方向の船長方向変 化率に等しい」という条件に帰着することを示している。従って,直進運動による船 体まわりの撹乱を表わす単位速度ポテンシャル仇の船体近傍の流場における第 1近 似解
o i
1)は,次式の解となる。[ L ]
連続の条件 一 一 ハUぃ
l‑2
A ωγ
一 宮
2‑rC 九U一
+ ぃ
l一2AV
一b u
円4一r
﹁ 以
内 び一
(2.3.26)
[ B ]
物体表面の条件θ o i
1)θη (2.3.27)
dn
dx
上式からもわかるように,問題を船体横断面内の 2次元問題に簡略化して取り扱うこ とができるため,別所
[ 3 0 ]
,神中[ 3 1 ]
の方法に従い,等角写像の手法を用いて第1
近似 解o i
1)を誘導する。一般に,
W
平面にある船体のぞ黄断面形状をぐ平面にある単位円に写像する場合,写 像関数を W((;x)とすれば,船体まわりに置かれた渦糸はC
平面の単位円まわりに置 かれることになる。この場合, (平面における複素速度ポテンシャルは,物体が円柱 であるため非常に容易に求めることができる。従って,このC
平面の複素速度ポテン シャルを写像関数 W(ぐ;x )
により W 平面に写像すれば,円柱は船体横断面形状とな り,そのまわりに渦糸が存在する流場の複素速度ポテンシャルが求められることにな る。本論文においては, (平面の単位円を W 平面の船体横断面に写像する関数として,
15
船体形状を比較的精度良く近似することのできる Bieberbach変換を用いる。
N
W((;x) =
乞
α η(x)(3‑2ηη二1 (2.3.28)
W ‑ y + iz , ( と+iη 二 rei)( 二 r( COS
e
+ i sine )
また,できるだけ船型近似の精度を上げるために高次の項まで考慮して,次式に示す ような Bieberbach変換の N=5とした数学船型で,実際の船体フレームライン形状を 近似する。
α2(X) α3(X) α4(X) α5(X) W((;x)
=
α1 (x) ( 十 一 一 + 一 一 + 一 一 + 一 一( , (3 ' (5 ' (7 (2.3.29)
ここで,直進運動による流場を表わす速度ポテンシャル φlの船体近傍の流場にお ける第 1近似解
o i
1)に対応する,船体まわりの撹乱を表わす単位複素速度ポテンンヤ ルを1 1
とおく。すると,W 平面における船体表面の法線速度%は,等角写像により (平面における単位円上の法線速度%に写像され,次式が成り立つ。θ
o F )
θη
=
Vn‑ Uc COS
e +
υηsine(2.3.30)
11111‑‑﹂
n σハ ノ︑ ︑ ︐tl
c u
. 々
b
+
ハU門bo
pu / It ‑
‑ ¥
︑ ︑ ︑ ︐
﹄ ﹄ ︐ ︐
︐ ︐η!
り
・勾b一 1
パ 川
J
f r
ハ 一
C
〆 U︑θ一θ
il 1
﹁il
li t‑
‑
﹄
F El t
‑ ‑‑ ' E EE L ρ U ρ U
R R
一 一 一
一方,船体表面の面内法線方向の船長方向変化率は,船体表面の変化率と面内法線の 内積で表わされ,また,
W
平面における船体表面の面内法線冗は,等角写像によりC
ー ム 、 θ日/
平面における単位円上の法線ぐ一ーに写像されるため,次式が成り立つ。
θ(
2=(4 笠 ) =叫等霊 l
(2.3.31)従って, (2.3.30)式と (2.3.31)式より, (2.3.27)式は次式のように表わすことができる。
吋 安 c 卜吋警警!
(2.3.32)C心
と=と+ η z
Fig.2.3 Definition of fiow五eldwith Laurent series
ここで,速度巧の一様な流れの中に半径 lの円柱が固定されているとする。 Fig.2.3 に示すように円柱の中心を原点にとり,一様流の方向にと軸をとる。その静止円柱を 横切る一様な流場を表わす複素速度ポテンシャルを
f
とすれば,f
は (( = ご
+iη)のdf
解析関数である。また,複素速度ーを考えると,これも(の解析関数で,流場の中 d(
いたる所(円柱の外部領域
1 ( 1 )
1)で l価正則である。また, (=0を中心とする 2つ
df
の同心円 C1とC2を考えると,ーはd( Cム1とC&2の上およびそれらの問で解析的であ るため,次式のように Laurent級数で表わすことができる。
一
α
k一 一
∞ 乞 同+
ω 4
f{ち
∞ヤ
ム吋
d u 一 ︽
rl
d (2.3.33)
今,静止円往の中心が原点にあることから
a=O
なので,次式のようになる。2 二 三
bn(n+ 計
(2.3.34)無限遠方((→∞)では,笠d(= u ‑
ω
→ lその一様流になることを考慮すると,、
乞
ηb(nニ lそ
(2.3.35)17
が成り立ち, (2.3.34)式は次式のように
l
のベキ級数((の Laurent級数)に展開するC
ことができる。
d 1
T r , ko k1 k2一 一 一 一 一 一 一 一 ‑
d( . '> ' ( (2 (3 (2.3.36)
上式を積分すると,物体まわりの流場を表わす複素速度ポテンシャル
f
の一般式が得 られる。ただし,積分定数 Cは値を変えても流れの様子に変わりはないk
,
k勺1
= V(、
( + ko log (+一二+
ぐー
ゐらミ+ •••
+ C (2.3.37)従って,本論文における
[ L ]
連続の条件,[ B ]
物体表面の条件および[∞l
無限遠方の 条件を同時に満足する,船体まわりの撹乱を表わす単位複素速度ポテンシャル1 1
の一 般式は,次式のように表わすことができる。︑
111111︑/ll
ノl
qL ハUY川一向︑一一
∞ 乞
f η十
引い
k J F L σ 0 . 2
b +
ん 仏
一 一 一 一
五 ι
(2.3.38)(2.3.29)式と(2.3.38)式を(2.3.32)式に代入し,係数 Knを決定すれば,直進運動によ る船体まわりの撹乱を表わす単位複素速度ポテンシャル
1 1
を求めることができる。そ こで, (2.3.32)式の両辺をそれぞれ求めると,次式のようになる。θ11 T / 1 T / 1 l"¥ T / ' 1 ,.... T / 1 ' T . r 1
(2.3.39) 一一
=
Ko~ ‑K1 ,.,:‑2K2一 一 3K3~~ ‑4K4一一・θ( ‑‑V( --~(2 ---~(3 ~~-V(4 ---~(5
θ11 ‑/ T f T f 1 l"¥ T f 1 ,.... T ? 1 A T ? 1 一
f : ‑ ( =
Ko ‑K1 ~ ‑ 2K2 ,.,: ‑3K3: ' J ‑
4K4一一・・・θ(":l ‑‑V --~( ---~(2 ~--V(3 ---~(4
‑ K G ‑ 5
プ
K札η~ (η
=
(Go + iHo) ‑∞ 乞
η(ση+ntHη) 九~ (Cぬ
ー (Go + iHo) ‑
乞
η(Gη+iHπ)(cos nB一向innB) (2.3.40)π=1
島
1 2 4
Go‑η乞
c=xコ1 n(GηcosnB+ Hηsin nB)ぐ‑ ‑ . ‑ ‑θ
w
θw
θCθz
吋等霊 i
Go ‑(G1 cos 8 + Hl sin 0)一(2G2cos 28 + 2H2 sin 28)
一 (3G3cos 38十3H3sin 38) ‑(4G4 cos 48 + 4H4 sin ~8)
(2.3.41 )
(
ι
(x)(+ 平+芋+苧十字)
(α10;-G2αj-3α3αj-5α4αi-7α5a~)
+ (αlαj-α2αj-3α3αi-5α4a~) (cos 28 + i sin 28)
一 (α24+3α3Gj+5α4α;+7α5a~)(cos 28 ‑i sin 28)
+(α1αj-α2α~ ‑3a3a~) (cos 48 + i Sill 48)
一 (3α3α~ + 5α4αj+7α
5 a ; )
(cos 48 ‑i sin 48) + (α1 a~ ‑a2a~) (cos 68 + i sin 68)一 (5α4α~+7α5a;)(cos 68 ‑i sin 68)
+αla~( cos 88 + i sin 88) ‑7α5a~ (cos 88 ‑i sin 88) (2.3.42)
(αlα;-α2αi-3α3αj-504αi-7α5a~)
+(αlGj‑α2αj‑3α3αi‑5α4αi
ー α2α;-3α3αj-5α4αj-7α5a~)(cos 28)
+(α1αj‑α2Gi‑3α3αi‑3α34‑5α4αi‑7α
5 a ; )
(cos 48) + (αlαi‑α2αi‑5α4α;‑7α5a;) (cos 68)+(αlαi-7α5a~)( cos 88) (2.3.43)
19
よって, (2.3.41)式 お よ び(2.3.43)式を(2.3.32)式に代入すると,次の関係が得られる。
σ 。
αlα;‑α2αj‑3α3αj‑5α4αi‑7α5αi‑2G2 。1αi-G2(a;+α~) ‑3α3(α;+
弘)‑
5α4(α~+α~) ‑7a4αi‑4G4 α1αj-G2αi-3α3(α~+α~) ‑5α2αi‑7α3αi (2.3.44)
‑6G6 αlαi‑α2αi‑5αlαi‑7α2αi
‑8G8 αlα5~ ‑7一 aαll αa~ 5
以上より,直進運動による船体まわりの撹乱を表わす単位複素速度ポテンシャル
1 1
は,次式のように表わすことができる。
11
=
Ko log(十 工 手
ι G勺 G ι G
、
GQ=
(;0 log(+
(~; 2+ーご+
' (4 ~;;+
~:ら6' (
C
1C
2C
3C
4=
し010gら 一 一τ一 一 一 一 一 一 一 一 一2(2 4(4 6(6 8(8 (2.3.45)
しだた
Co -α14-α2必 -3α3a~ ‑5α4a~ ‑7α54
C1 =α1αi-α2(α~+α~) ‑3α3(必 +α~) ‑5α4(α~+α~) ‑7αiα5
C
2 =α14-G2Gi-3α3(α~+α~) ‑5α仇一旬以
5(2.3.46)
C
3 ‑α1αi‑α2αi‑54α4‑7αμ5C
4 =α14‑7α;α5d (n=1f'.J5) αTf L
一 一 d x
αn2 . 3 . 3 横運動による流場
(2.3.3)式 rv(2.3.5)式から,次に示すような横運動による撹乱を表わす基礎方程式が 得られる。
[ L ]
連続の条件ハU
犯 一 一 一
ω
紘一 白
+
ぬ一 句
︑¥
12 11
ノ1
紘 一
+
匂寸li
/i ll
l︑
¥ハU
一 一
B ↓
22ndτσ的 均 一 白
(2.3.47)
[ B ]
物体表面の条件 (2.3.48)[ ∞ l
無限遠方の条件 VCT2~ ( 仏 川
(2.3.49)横運動による撹乱を表わす基礎方程式 (2.3.47)式 rv(2.3.49)式の船体近傍の流場にお ける近似解を求める。船が細長体であるという仮定を利用すると,船体近傍の流場に おいては,次のような Orderで座標系を考えることができる。
X rv 0(1)
,
Y rv O(ε),
Z rv O(ε) (2.3.50)前節において,直進運動による船体まわりの撹乱を表わす単位複素速度ポテンシャル
1 1
を導いた場合と全く同様に,ゐを εに関して漸近展開を行ない, (2.3.47)式と (2.3.48) 式に代入し, Orderの同じ項について整理すると,第 l近次式は次式のように表わす ー ことができる。ただし,ぬは (2.3.47)式 rv(2.3".Ll9)式を同時に満足する解とする。
θ2cþ~1) θ2 CÞ~l) ハ
一 一 一 一θy2 θZ2 ‑
θBθ必)θB 。 θCÞ~l) θB ハ 一 一 一 一 一 一 θy θuθy θzθZ ‑
(2.3.51)
21
以下,第2,第3,・・・近似式も同様に,次式のように表わせる。
θ2cþ~2) θ2 cþ~2)
θy2 一E 一θZ2
=
0 θcþ~2) θB+θ必)θBθuθuθzθz
=
0θ2 cþ~l) θ2 cþ~3) θ匂F) 八 一一三一十一一ニー+一一8x2 θy2 8zτ2一 二 U ‑ θば)θBθcþ~3) θBθø~3) θB ハ 一 一 一 一 一 一 一θx 8x ' θuθy' oz θz v
(2.3.52)
(2.3.53)
そこで,直進運動の場合と同様に,船体近傍の流場における第 1 近似解 ø~l) を求め ることにする。任意の船体横断面の船体表面における線素を dsとすると,外向き法線
( dz dy ¥ ‑J.‑.'r v~ "‑,, }‑‑p 1 11)~
(ん
dz¥ γベクトルは(一一~~¥ ds ) ds
J 1 '
接線ベクトルは~~ 'IY~' • ‑" I /.. 1'‑"11‑l
¥ ds) ds } と表わす」とができる。また,θB dz
一 一一 一
θν ds θB dy θz ds
を考慮すると, (2.3.51)式の第 2式は次式のように書き直すことができる。
θゅ;l)dzθゅ~1) dy θy ds θz ds
dz ds
(2.3.54)
(2.3.55)
ここで,船体近傍の流場における第 1近 似 解 弘1)に対応する流れ関数叫1)を導入す ると, Cauchy‑Riemannの関係式より次式が成り立つ。
U 二
θcþ~l)
θψ;l)θu θz
(2.3.56) v ‑ θ
弘
1) θψjl)θz θu
従って,上式を (2.3.51)式の第 1式に代入すると,次式のようになる。
ハU
一 一
弘 元
♂ 一 円 以
弘 一 ル
♂ 一
一 一 0 .
fi
2一2
AV
一 片ん
q L
‑ r r d
円 ︒ 一
+
ft2
一2AV一ん
u u
円4一rf)
円 び
一 (2.3.57)
また,ポテンシャル流れでは渦度が零なので,以下のように表わすこともできる。
= 引 ‑T ) 三 一 ( 引
(2.3.58)
さらに, (2.3.56)式を (2.3.55)式に代入すると,次のようになる。
θψ;1)dz , θψ~1) dy dz
δz ds ' θy ds ds (2.3.59)
これは,合成関数の微分になるので,次式のように表わすことができる。
θψ;l) θs
dz
ds (2.3.60)
従って, (2.3.47)式および (2.3.48)式は,最終的に以下のように書き直されることになる。
[ L ]
連続の条件 一 一 ハU噌 士 一 円
LAV一h
nd
一
+
rI︑円L
仏U 一 円L
了 一 ︑
mu u
円L
‑ r f
し
nd
一 (2.3.61)
[ B ]
物体表面の条件 θ叫
1)θs
dz
ds (2.3.62)
また, (2.3.62)式を辺々積分すると,次式のようになる。
[ B ]
物体表面の条件 :叫
1) =‑ z
=‑ I m [ W ]
(2.3.63)ここで,直進運動の場合と同様に,
[ L ]
連続の条件,[B] 物体表面の条件および[∞]~限遠方の条件を同時に満足する,船体まわりの撹乱を表わす単位複素速度ポテンシヤ
23
ル
1 2
は,一般に次式のように表わすことができる。だ 二 ん
log(十位
(2.3.64) Kη 二 Gη +iH.η
η (
二 札2, " . )
よって, (2.3.29)式と (2.3.64)式を (2.3.63)式に代入し,係数 Kη を決定すれば,横運 動による船体まわりの撹乱を表わす単位複素速度ポテンシャル々を求めることがで きる。
∞ Gη +iH.η
1 ; 二
(Go+ iHo) log(+乞 p
C心
二
(Go + iHo) log eiB+乞
(Gn+
ぽη)e一 叫九=1
cxコ
一 (Go + iHo)i8
+乞
(σ九 十iHη)( cos n8 ‑i sin n8)九=1
L、ず‑ !.、..:'c究t,
丘二品
1)+td)より,
叫
1) ̲ 叫 々l
cxコ
=
Go8+乞
(H:ηcosn8 ‑Gn sin n8)n=l
=
Go8+
(H1 cos 8 ‑G1 sin 8)+
(H2 cos 28 ‑G2 sin 28)+
(H3 cos 38 ‑G3 sin 38)+
・・となる。また,
αっ ' : t U L1 U t:;
w
= α1(+二+こ+三十三
( . (3 . (5 . (7(2.3.65)
(2.3.66)
(2.3.67)
一引く+α2(‑1+α3(‑3 +α4(‑5 +α5(‑7
a1 (cos 8 + i sin 8) +α2 ( cos 8 ‑i sin 8) +α3(cos38 ‑isin38)
+α4 ( cos 58 ‑i sin 58) +α5( cos 78 ‑i sin 78) (2.3.68) より,上式を(2.3.63)式に代入すると,次式が与えられる。
叫
1) 二 一I m [ W ]
一 一(α1‑α2)sin 8 + a3 sin 38 +α4 sin 58 +α5 sin 78 (2.3.69) よって, (2.3.67)式と (2.3.69)式より次式が成り立つ。
必
1) 二 一(α1‑α2) sin8 +α3 sin 38 +α4 sin 58 +α5 sin 78‑ G08 + (H1 cos 8 ‑G1 sin 8) + (H2 cos 28 ‑G2 sin 28)
+
(H3 cos 38 ‑G3 sin 38) + ・・・ (2.3.70)上式の両辺の係数をそれぞれ比較すると,以下の関係が得られる。
α1一α2 = G1
ーα3 = G3
一α4 二
σ r
(2.3.71)ーα5 = G7
従って,横運動による船体まわりの撹乱を表わす単位複素速度ポテンシャル
f 2
は次式のような形で表わせる。
芯
= (ト一吊印叫0科+れ川t
仏ω 州 ρ
G仇仰的
0釧9め
8) + 2 ( σ ρ ( 仏い η
仰Cω ∞ …
O一 ( 一
H
08+ω
仰08)+か { ( G
1山C ω十 叶H
凶1S釘sl州
nn+ { ( G
2ω
8+H2ω 川
(H2ω
8‑G2叫 め } +
25
‑ G1 (COS B ‑i sin B)
+
G3( cos 3B ‑i sin 3B)+
Gs(cos5B ‑isin5B)+
G7(cos7B ‑isin 7B)=
G1 e‑i()+
G3e‑3i()+
GSe‑Si( )+
G7e一7i() G,
G1 G<; Gマ二
一 一 + ‑ ‑ ‑ : ‑ ; ; : : ‑ 十 一 子 + 一 一
( ,
(3σ
〈αl一α2 a3 α4α5
( (3 (S (7 (2,3.72)
上式で得られる横運動による船体まわりの撹乱を表わす単位複素速度ポテンシャル だに,一様流の単位複素速度ポテンシャル W を加えると,横運動による船体まわり の流場を表わす単位複素速度ポテンシャルんが求まり,次式のようになる。
ん = j;+W
=
( γ 2 ‑ 3 ‑ F ‑ F ) + ( G I C + トぎ+京+手)
¥l111/ 1大
' K J
+
fi
︑
‑ u/' 11
α 111¥︑ (2.3.73)