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舵面積が船の操縦性に及ぼす影響について

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(1)

舵面積が船の操縦性に及ぼす影響について

著者

狩俣 忠男

雑誌名

鹿児島大学水産学部紀要=Memoirs of Faculty of

Fisheries Kagoshima University

35

1

ページ

133-143

別言語のタイトル

Effect of the Rudder Area on the

Maneuverability of the Ship

(2)

VOL35,No.1,pp、133∼143(1986)

舵面積が船の操縦性に及ぼす影響について

狩 俣 忠 男

EffectoftheRudderAreaontheManeuverabilityoftheShip

* TadaoKARIMATA Abstruct Theauthorhadthechancetoinvestigateintotheeffectofthechangeofrudderareaonthe maneuverabilityoftheship,throughthetwoships・ OneofthemnamedNo、32SUMIHOHMARU(G、T、131.95tons)hadherhullextendedby 2、6metersinordertoenlargeherlivefishholdAfterthat,ontheclaimofthecrewthatthe maneuverabilityoftheshipgotworsethanbefore,shewasremodeledagain;theincreaseofthe rudderareabyabout8%andtheshapechangeoftherudderintosquaretype.Theothership namedNANSEIMARU(G、T、82.97tons)alsohadherhullprolongedbylmeterinorderto increasethecapacityofthecrewsaccommodationandthefreshwatertank Themeasurementwascarriedoutonthosetwoshipsbeforeremodelingworkandafterthat throughZig-zagtestandtumingtrialstostudytherelationbetweentherudderareaand maneuverability・ Thefollowingresultsareobtained: 1)TheincreaseoftherudderareamadeNo.32SUMIHOHMARUimprovehertumingability andquickresponsibilityandstabilityinsteering・Andtheycangottheexpectedresult, 2)ConcemingNANSEIMARU,thevarietyofeachfactoroftheshipdependsonthelength ofherhul1.Sowemayaswellregardthisshipafterremodelingworkasdifferentfromthat beforeremodelingwork,、andcomparethembyusingzerodimensionmaneuverabilityindicesK, andT'、 3)Evenifthevariationoftherudderarearatiomaybesmall,itseemstohaveinfluenceonthe quickresponsibilityandstabilityinsteeringofship. 船体の諸元が変化した場合は操縦性も変化するが舵の影響は特に大きい.実船において測 定するには時間,経費,労力等種々の制約があって詳しく計測することは困難であるため機 会が少なく,またその結果を単純に舵のみの影響とすることは難しいが,2隻の漁船につい て測定する機会を得たので報告する. * 鹿児島大学水産学部漁船運用学研究室 (LaboratoryofFishingVesselSeamanship,FacultyofFisheries,KagoshimaUniversity, 4-50-20Shimoarata,Kagoshima,890Japan)

(3)

134 鹿児島大学水産学部紀要第35巻第1号(1986)

第32住宝丸(総トン数131.95トン)は,先に活漁鎗を大きくするため船体中央部を2.6m

延長し,総トン数において98.65トンから131.95トンに増加した.しかし,改装後操縦性が

特に悪くなったという乗組員の訴えにより舵の形状並びに面積を変える等の改装工事を実施

した.

また,南星丸(総トン数82.97トン)は清水槽および乗組員の居住区の増大を図るため船

体中央部を1.0m延長し,総トン数において75.14トンから82.97トンに増加した.

この2隻の漁船について,改装工事の前後において旋回試験,およびZ試験を実施し,

操縦性への影響について考察した.

実 験 方 法

1.第32住宝丸について Tablelは,同船の船体ならびに改装前後における舵の要目を示したものである. Table1.Principalparticularsof“No.32SUMIHOHMARU,, Lengthoverall Lengthb.p・ Breadth(mld.) Depth(mld.) Grosstonnage Nettonnage Mainengine Propeller Rudder:Area Aspectratio 〔Beforeremodeling〕 35.05m 30.90m 5.80m 2.85m 131.95t 65.26t 4CycleDieselEngine 850ps×l200RPM FPP4Bladel800mm Righthandedsinglescrew 2.300㎡ 1.726 〔Afterremodeling〕 35.05m 30.90m 5.80m 2.85m 131.95t 65.26t lset 2.485㎡ 1.739

また,Fig.1に舵の構造図を示す.舵面を後方に38mm,上方に105mm引き伸ばし,舵面積を

2.300㎡から2.485㎡に約8%拡大した.また,舵面後部の形状を図のごとく角型に改造した.

図において,斜線の入った部分が改装された個所である.実験は舵改装前は愛媛県法花津湾

において,改装後は鹿児島湾奥のいずれも極めて平穏な水域を選び,ほとんど無風に近い状

態で実施した. 試験は,Z試験と旋回試験により,満載状態および軽荷状態において次に示す項目につ いて実施した.

Z試験について,速度は高速(10kt.)と中速(7∼8kt.)の2種類,舵角は10.Z,20.Z,

30.Zの3種類について行なった.

旋回試験は,浮標方位盤法により,速度は6kt.,8kt.,10kt、において,舵角10.,20.,

30.について右旋回,左旋回をそれぞれ1回ずつ実施した.

(4)

〕 ④③8‘、PLAN

OUTLINE◎FRUppER I o T o i , 低 ◎ I

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雄 I ツ ヒ 、 ソ セ ‘ 蛇 ‘ シ 猛 _絶,魁L治

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三 至 垢

Fig.1.RudderplanofNo、32SUMIHOHMARU・ Thehatchingshowsthenewareaofimprovedrudder. 試験時の同船のコンディションはTable2に示す通りである.本船は活魚運搬船である

ため前後2臆の活魚鎗に海水を潅水することにより短時間で容易に所定の喫水とすることが

できるので満載状態および軽荷状態の設定に好都合であった.舵改装後の試験においては船 のコンディションに特に細心の注意を払い,燃料タンクおよび清水タンクの状態をほぼ同じ くすると同時に活魚鎗を調節して改装前とほとんど同じ状態で試験することができた. 2.南星丸について

南星丸の船体延長工事前および工事後の船体主要目をTable3に示す.

実験は,鹿児島湾奥の平穏な海域において無風に近い状態の時を選んで行なった.実験時

の本船のコンディションをTable4に示す.

本船は延長工事により船の長さが変わっているので,工事の前後ではB/L,d/L,Cb,

排水量等も変わっている.従って,改装工事前後の喫水を等しくすることは出来ず,両者共

に通常航海時の平均的な喫水を選んで設定した.舵面積比は船体延長に伴い浸水面積が変わ

るので1/23.6から1/25.3に変化した. 操縦性試験は第32住宝丸同様,Z試験および旋回試験を実施した.

Z試験は,船速を4.5Kt,6.5Kt,8.5Ktの3種類とし,舵角5.Z,10.Z,15.Z,20.Z,

(5)

136 鹿児島大学水産学部紀要第35巻第1号(1986) Table2.Testcondition“No.32SUMIHOHMARU,, L妙z”'2j伽〃 Weather Windforce Seacondition Draft:Fore After Mean Trim Displacement Rudderarearatio LOazJcひ7zf"吻祁 Weather Windforce Seacondition Draft:Fore After Mean Trim Displacement Rudderarearatio 〔Beforeremodeling〕 Cloudy O ∼ 1 Verysmooth 1.085m 3.035m 2.060m 1.950m 219.1t l/27.67 Cloudy O ∼ l Verysmooth 1.885m 3.260m 2.573m 1.375m 302.5t l/34.56 〔Afterremodeling〕 Fine O ∼ l Verysmooth 1.090m 3.040m 2.060m 1.950m 219.5t l/25.67 Fine O ∼ l Verysmooth 1.875m 3.275m 2.575m 1.400m 302.8t l/32.01 Table3.Principalparticularsof“NANSEIMARU” Lengthoverall Lengthb.p・ Breadth(mld.) Depth(mld.) Grosstonnage Mainengine Propeller Rudder:Area Aspectratio 〔Beforeextension〕〔Afterextension〕 25.30m 26.30m 20.70m 21.70m 5.70m 5.70m 2.55m 2.55m 75.14t 82.97t YAMMAR6A−UT4CycleDieselEnginelset 400ps×1200RPM CPP3Bladel600mm Lefthandedsinglescrew 1.980㎡ 1.980㎡ 1.636 1.636

(6)

Table4.Testconditionof“NANSEIMARU,, Weather Windforce Seacondition Draft:Fore After Mean Trim Displacement Rudderarearatio 〔Beforeextension〕 Fine O ∼ 1 Verysmooth 1.650m 3.000m 2.325m 1.350m 153.5t l/24.3 〔Afterextension〕 Finebutcloudy O ∼ 1 Verysmooth 1.685m 2.925m 2.305m 1.240m 162.3t l/25.3 25。Z,30.Zで実施した.速度はCPPの翼角を変化して設定した. 旋回試験は浮標方位盤法により,船速4.5Kt,6.5Kt,8.5Ktにおいて,舵角10.,20., 30.,35。で右旋回および左旋回を1回ずつ行なった.

結 果 と 考 察

1.第32住宝丸について

Fig.2は満載状態,Fig.3は軽荷状態におけるZ試験の結果で高速(10kt)および中

速(満載状態7kt,軽荷状態8kt)における舵改装前後の旋回性指数K及び追従安定性指 数Tを示したものである. 図において満載状態ではKは高速で約18%,中速で約14%大きくなっており,Tは高速 で約21%,中速で約26%小さい値を示している.また,軽荷状態ではKは高速で約15%大 きい値を示しているが,中速ではほとんど変化していない.Tについては高速で約27%, 中速で約30%小さくなっている. 以上の結果から,舵の改装により全般的に旋回性,追従安定性共に改善されているが,軽 荷状態ではKはほとんど変化はなく,Tのみ小さい値となり,舵面積の僅かな変化に対し ては旋回性については変化が少なく,追従安定性に影響が現れるものと思われる.

次に,Fig.4に満載状態,Fig.5に軽荷状態における旋回試験の結果を示す.図はそれ

ぞれ右旋回,左旋回におけるDA/L,DT/L,D/Lを示したものである.その結果10.,20., 30.いずれの舵角における旋回でも全て舵改装前より改装後のものが小さい値を示している. 以上の結果より,改装後は舵面積比において満載状態で8.0%,軽荷状態で7.8%増加した が,この程度の舵面積の変化でも十分に操縦性が改善されることが分かった. 2.南星丸について 本船の場合は,前述の通り船体延長工事により改装の前後では船の長さLが変化するの

でB/L,d/L,Cbが変化し,通常航海時の喫水,排水量も異なった値となる.従って,

2隻の異なる船として取り扱い,操縦‘性について比較する場合は無次元化した指数K',T′ とすることが適当である.

(7)

Fig.2. 鹿児島大学水産学部紀要第35巻第1号(1986) ComparisionbetweenNo、32SUMIHOHMARUbeforeremodelingrudderandthat afterremodelingonindexKandTintheloadcondition.

■ − 7 6 0.2 5 4 0.1 10 2 0 3 0 RUDDERANGLE 1 0 2 0 3 0 門」DDERANGUE 8kt ‐---…--△--……。 10kt .…..…○……一 Beforeremodeling Afterremodelin9 − ● − − ▲ ComparisonbetweenNo、32SUMIHOHMARUbeforeremodelingrudderandthatafter remodelingonindexKandTinthelightcondition. 1 0 2 0 3 0 RUDDERANGLE 7kt .……・・□---… 138 一 一 一 ● SUMIHOHMAI

0.2 Beforeremodeling Afterremodeling Fig.3.ComparisonbetweenNo、32 10kt .、---…○…・・・--‐ ロ、 7

.

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L 2 ComparisonbetweenNo、32SUMIHOHMARUbeforeremodelingrudderandthat afteronDA/L,DT/LandD/Lintheloadcondition. D/ ′O−−−−−−−O P ■

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6 8 1 0 SPEED(kt.) 30. ---□---. 6 8 1 0 SPEED(kt.) Rudderangle Beforeremodeling Afterremodelmg 、A/L 10 L 8 Fig.4. 0

/d/

ジググググ’

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△▲ロ■

△▲口■

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(9)

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鹿児島大学水産学部紀要第35巻第1号(1986) Fig.5. 2 DA/ 140 /L

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ComparisonbetweenNo、32SUMIHOHMARUbeforeremodelingrudderandthat afterinDA/L,DT/LandD/Linthelightcondition. m 一 一 一 一 一 口 一 一 一 一 − − − 回 8

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(10)

Fig.6はZ試験の結果を示したものである.本船の場合は舵についての改装はしていな

いが船体延長により舵面積比は5%小さくなっている.図においてK'はほとんど変化がな く,旋回性については影響がない.T'については延長後の値が11%大きくなっており追従 安定性が僅かながら悪くなったことを示している.

ここでも,舵面積比が僅かに変化した場合は旋回性よりも先ず追従安定性にその影響が現

れることを示している.

K色T《

1.5

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5 1 0 1 5

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RUDDERANGLE(DEG.)

Beforeextension Afterextension K ′ T ′ ………△………○・一……‐ ▲ ● Fig.6.ComparisonbetweenNANSEIMARUbeforeextensionandthatafterextensionon indexK′andT'.

(11)

142

Fig.7は旋回試験の結果を船の長さに対する定常旋回径の比で示したものである.

図では舵面積比が小さくなったにもかかわらず船体延長後の値が小さくなっている.これ

は船体延長により抵抗が増加したため延長前と同じ速力で走るためには機関の出力を大きく

しなければならず,そのため舵の受けるプロペラ流が大きく働いて舵圧が大きくなるためと

考えられる.

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D

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RIGHTTURN

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鹿児島大学水産学部紀要第35巻第1号(1986)

4.5

4.5

Rudderangle

舵面積を大きくする改装を行った第32住宝丸および船体延長工事を行なった南星丸の2隻

船について,改装前および改装後にZ試験および旋回試験を実施して操縦性の変化を調

の船について, 要

S 、 5 a 5

S

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35。 … … … △ … … … Beforeextension………○………□………△-…-…・ A f t e r e x t e n s i o n − ■ −● ▲ − Fig.7.ComparisonbetweenNANSEIMARUbeforeextensionandthatafterextensionD/L、 約 20。 30。 ………□…..…。

(12)

4) 査し,次の結果を得た.

1.第32住宝丸は舵面積を約8%大きくすることにより,旋回性,追従安定性共に向上し,

所期の目的を達成することができた. 2.南星丸のような船体延長の場合は,船体諸元が変わるため2隻の異なる船として考え比 較することが適当である. 3.舵面積比が僅かに変化する場合は,旋回性よりも先ず追従安定性にその影響が現れるも のと思われる.

終わりに本実験を行うに当り御協力を戴いた第32住宝丸の住田船長,南星丸の柿本船長お

よび両船の乗組員各位に深く感謝の意を表する.

参 考 文 献

111

123

野本謙作・田口賢士・平野進(1956):船の操縦性に就いて(1).造船協会論文集,99,75-82. 野本謙作・田口賢士(1956):船の操縦性に就いて(2).造船協会論文集,101,57-66. 狩俣忠男(1974):ビルジキールが船舶の操縦性に及ぼす影響について.鹿児島大学水産学部紀要, 23,71-80. 狩俣忠男(1979):漁業練習船かごしま丸・敬天丸・南星丸の操縦性について.鹿児島大学水産学 部紀要,28,143-150.

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