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ウオルフラム症候群モデルマウスにおける膵β細胞脱落機構の解析

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Academic year: 2021

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全文

(1)

ウオルフラム症候群モデルマウスにおける膵β細胞

脱落機構の解析

著者

山田 高弘

2365

発行年

2006

URL

http://hdl.handle.net/10097/22981

(2)

氏名(本籍)

学位の種類

学位記番号

学位授与年月日

学位授与の条件

研究科専攻

学位論文題目

やまだたかひろ

山田高弘(宮城県)

博士(医学)

医博第2365号

平成18年3月24日

学位規則第4条第1項該当

東北大学大学院医学系研究科

(博士課程)医科学専攻

ウォルフラム症候群モデルマウスにおける膵β細

胞脱落機構の解析

論文審査委員

(主査)

教授岡芳知教授中

教授田村眞理

山啓子

(3)

論文内容要旨

ウォルフラム症候群はインスリン分泌不全を伴う若年発症の糖尿病や視神経萎縮などを主徴と する常染色体劣性遺伝病である。ウォルフラム症候群の原因遺伝子Wolframsylldromel (WFS1)が同定され,本疾患がWFS1遺伝子の異常に基づくものであることが明らかとなった が,その機能の多くは不明である。我々の作成したWFS1遺伝子欠損マウスでは,進行性の膵 β細胞変性脱落とインスリン分泌不全を伴う耐糖能異常が認められた。 本実験でDNAマイクロアレイによりWFSl遺伝子欠損マウス膵島における網羅的な遺伝子 解析を行ったが,WFSl遺伝子欠損膵島では小胞体ストレス応答に関連する複数の遺伝子に発 現増加が認められた。そこでWFSl欠損膵島におけるβ細胞の変性脱落に小胞体ストレスが強 く関係していると考え,WFSl欠損マウスおよび野生型マウスの膵島を用いて,リアルタイム RT-PCRおよびウエスタンプロットを行い,小胞体ストレス応答関連分子の発現を検討した。 また,その他のWFS1発現臓器である心筋組織においても同様の検討を行った。 その結果,WFS1欠損膵島ではunfoldedproteinresponse(UPR)に関わる三つの経路の うち,蛋白翻訳抑制に関わるPKR-1ikeERkina3e(PERK)経路と転写誘導や小胞体関連分解 に関わるinosito1-requiringtransmembranekillase/endoribonuclease(IRE1)経路の活性化 が認められたが,activatingtranscriptionfactor6(ATF6)経路で転写誘導される分子シャ ペロンのglucose-regulatedproteinof78kilodaltolls(GRP78)の発現増加が認められず, ATF6経路は活性が低いと考えられた。また,興味深いことに小胞体カルシウムポンプの阻害 剤であるタプシガルギンで小胞体ストレスを誘導した際も,WFSl欠損膵島ではGRP78の発現 増加が認められなかった。また,WFS1欠損膵島ではC/EBPhomologousprotein(CHOP) やpro-caspase12,活性化型capase3の発現が増加しており小胞体ストレスによるアポトーシス が誘導されていると考えられた。WFS1欠損膵島では野生型膵島と比較して,BrdU陽性細胞数 が約50%低下しており,細胞増殖の低下が膵β細胞維持機構の障害に関係していることが示唆 された。WFSl欠損膵島ではCDK阻害因子であるp21ulP1や,過剰発現によりG1期の停止を 引き起こすことが報告されているeukaryoticillitiationfactor4E-baindingprotein1 (4E-BP1)などの蛋白が著明に増加が認められた。非常に興味深いことに,これらの蛋白は野 生型膵島にタプシガルギンで刺激した小胞体ストレス誘導でも増加が認められた。膵島に次いで WFS1を多く発現している心筋ではUPRの亢進は認められず,WFS1欠損マウスにおける UPRは膵β細胞やWFSlを発現している一部の神経細胞で特異的に起こっていることが示唆さ れた。 我々は膵β細胞腫瘍発症マウスであるIT6マウスとWFSl遺伝子欠損マウスを掛け合わせた 430一 1一

(4)

マウスから,WFS1遺伝子欠損MIN'6細胞を樹立した。WFS1ホモ欠損MIN6細胞ではUPR の亢進が認められたが,WFSl欠損膵、鳥と同様にGRP78の増加は認められなかった。WFS1ホ モ欠損MIN6細胞にアデノウイルスでWFS1の発現を回復させたところ,リン酸化PERKや CHOP発現の低下が認められた。また,WFSlホモ欠損MIN6細胞にGRP78を過剰発現させ たところ同様にUPRの低下が認められた。これらよりWFS1欠損細胞で生じた小胞体ストレ ス応答が慢性化する一因として,GRP78の転写誘導を始めとするATF6経路の活性低下が関係 していることが考えられた。MIN6細胞にアデノウイルスで4E-BP1やp21qi'1を過剰発現させ ると,細胞増殖に有意な低下が認められ,4E-BPlとp21('i!'1共に発現させた細胞では増殖は更 に低下した。WFS1欠損膵島では,UPRの亢進によりCHOPやp21('11『,4E-BP1などの発現 が増加し,細胞周期の異常による増殖低下をきたしていることが考えられた。 WFS1欠損マウスにおける糖尿病は,慢性的なUPRから引き起こされる膵β細胞のアポトー シスや細胞増殖の低下に基づく病態であると考えられた。UPRから引き起こされるアポトーシ スや細胞周期の異常は,2型糖尿病において膵β細胞減少が起こるメカニズムの解明にもつなが る可能性があり今後更なる研究が期待される。

(5)

審査結果の要旨

ウォルフラム症候群はインスリン分泌不全を伴う若年発症の糖尿病や視神経萎縮などを主徴と する常染色体劣性遺伝病である。ウォルフラム症候群の原因遺伝子Wolframsyndrome1 (WFS1)が同定され,本疾患がWFS1遺伝子の異常に基づくものであることが明らかとなった が,その機能の多くは不明である。我々の作成したWFS1遺伝子欠損マウスでは,進行性の膵 β細胞脱落とインスリン分泌不全を伴う耐糖能異常が認められ,ウォルフラム症候群のマウスモ デルと考えられる。 本研究において,まずDNAマイクロアレイによりWFS1遺伝子欠損マウス膵島における網 羅的な遺伝子解析を行ったところ,WFSl欠損膵島では小胞体ストレス応答ullfoldedprotein response(UPR)に関わる三つの経路のうち,蛋白翻訳抑制に関わるPKR-1ikeERkinase (PERK)経路と転写誘導や小胞体関連分解に関わるinosito1-requiringtransmembralle kinase/elldoribonuclease(IRE1)経路の活性化が認められたが,activatingtrallscription factor6(ATF6)経路で転写誘導される分子シャペロンのg1ucose-regulatedproteinof78 kilodaltons(GRP78)の有意な発現増加が認められず,ATF6経路の活性化が弱いと考えられ た。また,WFS1欠損膵島ではC/EBPhomologousprotein(CHOP)やpro-caspase12,活 性化型caspase3の発現が増加しており小胞体ストレスによるアポトーシスが誘導されていると 考えられた。さらに,WFS1欠損膵島ではBrdU陽性細胞数が約50%低下しており,CDK阻 害因子であるp21`'IP1や,過剰発現によりGl期の停.1止を引き起こすことが報告されている eukaryoticinitiationfactor4E-bailldingI〕rotein1(4E-BPl)などの蛋白の著明な増加が認 められた。興味あることに,膵島に次いでWFS1を多く発現している心筋ではUPRの亢進は 認められず,WFS1欠損マウスにおけるUPRは膵β細胞やWFS1を発現している一部の神経 細胞で特異的に起こっていることが示唆された。さらに,膵β細胞腫瘍発症マウスであるIT6 マウスとWFS1遺伝子欠損マウスを掛け合わせたマウスからWFS1遺伝子欠損MIN6細胞を 樹立した。この培養膵β細胞株での検討も進め,WFS1遺伝子欠損マウス膵ラ島とほぼ同様の 結果を得た。 このように,WFS1欠損マウスにおける糖尿病は,慢性的なUPRから引き起こされる膵β細 胞のアポトーシスや細胞増殖の低下に基づく病態であると考えられた。UPRから引き起こされ るアポトーシスや細胞周期の異常は,2型糖尿病において膵β細胞減少が起こるメカニズムの解 明にもつながる可能性があり今後更なる研究が期待される。 よって,本論文は博士(医学)の学位論文として合格と認める。 一432一 副岩∼『南特・罫準:以トミ急ン臨`一“ド噴靴寧岳甑一『:寧“,、.β三雲。ミ冥≦華華虚…『晶・冶・ヒ厨“.甲夢ぐ送茎乎爵ζ蓋・ 3ハ

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