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博士(環境科学)原田暢善 学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(環境科学)原田暢善 学位論文題名

Effect of Tone Pulses with Fluctuated Inter Stimulus     Interval on Auditory Evoked Potential

     (間隔にゆらぎを導入した音刺激の聴覚誘発電位に及ぼす影響)

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  ゆらぎは、自然界の様々な現象より検出されており、それに関する報告も多い。しかし、

ゆ らぎ の生 体へ の影 響の 研究 は、 いまだ 少な く、Vossら(1978)、小杉ら(1979)の報告が あ る の み で あ る 。 刺 激 間 隔 を 変動 させ ても 、聴 覚誘 発皮 質電 位、N1‑P2成分 の潜 時が 変 わらなぃとぃう特性を持つので、本研究におぃて申請者は、1/foゆらぎ、1/fiゆら・ぎ、1/f2 ゆ らぎ、およびl/fooゆらぎ(―定間隔)を音刺激間隔にいれることで、ゆらぎの生体への 影 響 を 聴 覚 誘 発 皮 質 電 位 、N1‑P2成 分 の 電 位 差 の 変 化 と し て 検 出 し よ うと 試 み た 。

( 方 法 ) 被 験 者 は 、 年 齢23よ り32才 、 聴 力 正 常 (1 kHzに て 聴 力 損 失5dB以 下 ) の 男 子6人であ った 。被 験者 に与 えた 音刺 激は 、周 波数1 kHz、音 圧60dB(SL)、 刺激 音の 持 続 時 間 を95msec、 立 ち 上 が り 立ち 下が り時 間を5msecとし た。 その 音刺 激の90回 の曝 露

(1卜 レイン )を 行い 、そ れを 合計7回繰り返した。音刺激間隔の、l/foゆらぎ、1/fiゆら ぎ 、 お よ び1/f2ゆ ら ぎ は 高 安 ら の プ 口 グ ラ ム 等 に よ り 導 入 し た 。 刺 激 間隔 は 平 均 で 1.06sec、最'Jx0.5sec、最大2.1secとした。

  脳波 を、 脳波 計と カセ ッ卜 データレコーダーを用いて記録した。聴覚誘発皮質電位を、

信 号分 析計 で分 析し た。 脳波 のデ ―タを 、信 号分 析計 で、2msecごとにサンプリングし、

刺 激 前100msec、刺 激 後412msecの 合 計512msecの デ ― タ を 分 析 し た 。90回の 誘 発 反 応 を 加 算 し た 結 果 か ら1つ の 聴 覚 誘 発 皮 質 電 位 を 得 、 電 位 を 、 刺激前100msecの電 位を 基 に 決定 し、N1成 分( 潜時80‑150msecのピーク)、P2成分(潜時150ー250msecのピ―ク)の 電 位 か ら 、Ni成 分 とP2成 分 の 電 位 差 を 求 め た。 結 果 を 、X‑Yプ 口 ッ タ ー で出 カ し た 。

(結果)刺激間隔、l/foゆらぎ、1/fiゆらぎ、l/f2ゆらぎ、および11fooゆらぎ(―定間隔)の 音 刺激 の、 聴覚 誘発 皮質 電位 、N1‑P2成 分の 電位 差の 経時 的変化に対する影響について検 討 し 、F検 定 を 行 った 。1胛 ゆ らぎ の刺 激間 隔に おぃ て、Nl‑P2成分 の電 位差 の有 意な 減 少 は認 めら れな かっ た(F(6,30)=1.89, 有意 では なぃ )。 ―方、対照的に、他の3つの刺 激 間 隔 す な わ ち 、l/fiゆ ら ぎ(F(6,30)=4.48,1% の 危 険 率 で 有 意 ) 、l/f2ゆ ら ぎ (F(6,30)=6.24,0.1%の危険率で有意)、およびl/fooゆらぎ(一定間隔)(F(6,30)=8.99,0.1

% の 危 険 率 で 有 意 ) 、 に お ぃ て 、 N1‑P2成 分 の 電 位 差 は 有 意 に 減 少 し た 。   っぎ に、4つの 刺激 間隔 とト レイ ンの 繰り 返し の相 互作 用のN1‑P2成分 の電 位差 に対 す る 影響 につ いて 検討 し、F検定 を行 った 。4つ の刺 激間 隔と 卜レ イン 繰り 返し の相 互作 用 の 影響は、有意であった(F(18,120)=1.77,5%の危険率で有意)。そのことは、N1‑P2成

(2)

分の 電 位差の 減少する カーブが、4つの刺激 間隔で同 じではな かったと ぃうこと を意味し た。

  さ ら に、4つ の 刺激 間 隔 にお ぃ て、 各卜レイ ンごとに 加算したNl‑P2成分の電 位差の多 重比 較 をFisherの方 法を用い て行った。l/fiゆらぎの 刺激間隔 では、N1‑P2成 分の電位 差 が、 第1番目の 卜レイン に対し、第6番目から 第7番目の 卜レイン にかけて 、緩やか に、そ して有意に減少することが観察された。1/f2ゆらぎとl/fooゆらぎ(―定間隔)の刺激間隔で は、N1‑P.2成分 の電位差 は、第4番 目から第7番目の卜レ インにお ぃて、有意に減少した。

さらに、l/fooゆらぎ( 一定間隔 )の刺激 間隔におぃ ては、第2番目のトレインに対し、第 7番 目の トレイ ンが、有 意に減少し てぃた。 それとは 、対照的 に、1/f0ゆら ぎの刺激 間隔 では 、Nl‑P2成 分の 電 位 差は 、 第1番目 か ら 第4番目 の トレ イ ン にお ぃて安定 しており 、 有意 な 変化は なかった 。以上のこ とから、 聴覚誘発 皮質電位 、N1‑P2成分の 電位差の 経時 的変 化 に おぃ て 、1胛ゆ ら ぎ の刺 激 間隔ではN1‑P2成分の電 位差の有 意な減少 は確認さ れ なかったが、他の3つの刺激間隔(1/fiゆらぎ、l/f2ゆらぎ、および1/fooゆらぎ(一定間隔))

では電位差の有意な減少が確認された。

( 考 察 )Nl‑P2成 分 の 電 位 差 の 減 少 を 考 察 す る に あ た り 、 種 々 の 解 釈 が あ る が 、 Sherrington(1906)、Harris(1 943)は、 繰り返さ れる刺激 に対する、反応の減少 を、

慣れ(Habituation)と定 義した。 この定義に従えば、他の3つの刺激間隔(l/fiゆらぎ、1/f2 ゆらぎ、およびl/fooゆらぎ(―定間隔))におぃては、聴覚誘発皮質電位の慣れが認められ た が 、 1/f0ゆ ら ぎ の 刺 激 間 隔 に お ぃ て 慣 れ は 認 め ら れ な か っ た 。   ・   1/fnの形 でゆらぎ を表した 場合、nが0か ら1に変わ るに従っ て、これ までの研 究で報告 され て い る他 の 刺激 要 因 、音 刺 激の 強度(Roseら (1966))、刺激 間隔の大 きさ(Ritterら (1968))等 と 同 様に 、 聴覚 誘 発 皮質 電位、N1‑P2成分の電 位差の減 少、すな わち慣れ に影 響を与え ることが 分かった 。また、 これまで、 他の生理 実験にお ぃて、l/fiゆらぎは、慣 れを阻害 する(小杉ら(1979)トと報告されてぃたが、本研究におぃて、l/fiゆらぎを音刺激 間隔 に 入れた 場合、N1‑P2成 分の電位差 の減少、 すなわち 慣れが認 められる ことが明 らか になった。

(結論)1/foゆらぎの 刺激間隔 におぃて 聴覚誘発皮 質電位、N1―P2成分の電位差の減少、

すな わ ち慣れ は確認さ れなかった が、他の3つの刺激 間隔(1/fiゆ らぎ、l/f2ゆ らぎ、お よび1/fooゆらぎ(一定間隔))におぃては、慣れが確認された。

(本研究 の新しぃ知見)1)l/fnの形でゆらぎを表した場合、nが0から1に変わるに従って、

これまで の研究で 報告され てぃる他 の刺激要因 、音刺激 の強度ら 、刺激間隔の大きさ等と 同様 に 、聴覚 誘発皮質 電位、N1‑P2成分 の電位差 の減少、 すなわち 慣れに影 響を与え るこ とが分か った。2) これまで 、他の生 理実験におぃて、1/fiゆらぎは、慣れを阻害すると報 告さ れ てぃた が、本研 究におぃて 、l/fiゆらぎ を音刺激 間隔に入 れた場合 、Nl‑P2成分の 電位差の減少、すなわち慣れが認められることが明らかになった。

(3)

学 位 論 文 審 査 の 要 旨

主査  教授  小島  豊

副査  教授  齋藤和雄(医学部)

副 査   教 授   津 田 一 郎 ( 大 学 院 理 学 研 究 科 ) 副査  助教授  新岡  正

副査  助教授  細川敏幸(高等教育機能開発総合センタ一)

学 位 論 文 題 名

Effect of Tone Pulses with Fluctuated Inter Stimulus     Interval on Auditory Evoked Potential

     (間隔にゆらぎを導入した音刺激の聴覚誘発電位に及ぼす影響)

  ゆらぎ は、自然 界の様々な現象より検出されており、それに関する報告も多い。しかし、

ゆ らぎ の 生 体へ の 影響 の 研 究は 、 い まだ 少 なく、Vossら(1978)、武 者ら(1979)の 報告 が ある の み であ る 。刺 激 間 隔を 変 動 させ て も、聴 覚誘発皮 質電位、Nl−P2成分の 潜時が 変わら ないとい う特性を 持つので 、本研究 において申請者は、1 /foゆらぎ、1/fiゆらぎ、

1 /f2ゆ ら ぎ、 お よ びl/fooゆ ら ぎ (一 定 間隔 )を音 刺激間隔 にいれる ことで、 ゆらぎの 生 体へ の 影 響を 聴 覚誘 発 皮 質電 位 、N1―P2成 分の電位 差の変化 として検 出しよう と試み た。

  被 験 者 は 、 年 齢23よ り32才 、 聴 力 正 常 (1 kHzに て 聴 力 損 失5dB以 下 ) の 男 子6 人 であ っ た 。被 験 者に 与 え た音 刺 激 は、 周 波数1kHz、 音圧60dB(SL)、刺 激音の持 続時間 を95msec、 立 ち 上 が り 立 ち 下 が り 時 間 をSmsecと し た 。 そ の 音 刺 激 の90回 の 曝 露(1 卜 レイ ン ) を行 い 、そ れ を 合計7回 繰 り返 し た 。音 刺 激 間隔 の 、l/foゆ ら ぎ、l/fiゆ ら ぎ 、 お よ びl/f2ゆ ら ぎ は 高 安 ら の プ ロ グ ラ ム 等 に よ り 導 入 し た 。 刺 激 間 隔 は 平 均 で 1 .06sec、最小0.5sec、最大2.1 secと した。

  脳波を 、脳波計 とカセッ トデータ レコーダ ―を用い て記録した 。聴覚誘 発皮質電位を、

信 号分 析 計 で分 析し た。脳波の デ―夕を 、信号分 析計で、2msecごとにサ ンプリン グし、

刺 激 前100msec、 刺 激 後412msecの 合 計512msecの デ ― 夕 を 分 析 し た 。90回 の 誘 発 反 応を 加 算 した 結 果か ら1つ の 聴覚 誘 発皮 質 電 位を 得 、 電位 を 、刺 激 前1 00msecの電 位 を 基 に 決 定 し 、Nl成 分 ( 潜 時80ー150msecの ピ ― ク ) 、P2成 分( 潜 時150−250msecの ピーク )の電位 から、Nl成 分とP2成分 の電位差 を求めた 。結果を、X−Yプロッターで出カ した。

  刺 激 間 隔、l/foゆらぎ、1/fiゆらぎ、1/f2ゆ らぎ、お よびl/fooゆら ぎ(一定 間隔)の

(4)

音刺激の、聴覚誘発皮質電位、N1−P2成分の電位差の経時的変化に対する影響について 検討し、F検定を行った。l/foゆらぎの刺激間隔において、Nl−P2成分の電位差の有意 な減少は認められなかった(F(6,30)=1.89,有意ではない)。一方、対照的に、他の3 つの刺激間隔すなわち、1 /fiゆらぎ(F(6,30)=4.48,1%の危険率で有意)、l/f2ゆら ぎ(F(6,30)=6.24,0‑1%の 危 険率 で 有意 ) 、お よ びl/fooゆ らぎ ( 一定 間 隔)

(F(6,30)=8.99,0.1%の危険率で有意)、において、N.1―P2成分の電位差は有意に減 少した。.

  っぎに、4つの刺激間隔と卜レインの繰り返しの相互作用のNl―P2成分の電位差に対 する影響について検討し、F検定を行った。4つの刺激間隔とトレイン繰り返しの相互作 用の影響は、有意であっ、た(F(18,120)=1.77,5%の危険率で有意)。そのことは、N1‑

P2成分の電位差の減少するカーブが、4つの刺激間隔で同じではなかったということを 意味した。

  さらに、4つの刺激間隔において、各トレインごとに加算したNl−P2成分の電位差の 多重比較をFisherの方法を用いて行った。l/fiゆらぎの刺激間隔では、N1―P2成分の電 位差が、第1番目の卜レインに対し、第6番目から第7番目のトレインにかけて有意に減少 することが観察された。また、l/f2ゆらぎとl/fooゆらぎ(一定間隔)の刺激間隔では、

Nl―P2成分の電位差は、第4番目から第7番目のトレインにおいて、有意に滅少した。さ らに、l/fooゆらぎ(―定間隔)の刺激間隔においては、第2番目のトレインに対し、第 7番目のトレインが、有意に減少していた。それとは、対照的に、1/foゆらぎの刺激間 隔においては、Nl→P2成分の電位差は、第1番目から第4番目のトレインにおいて安定 しており、有意な変化はなかった。

  以上のことから、申請者は、聴覚誘発皮質電位、N1ーP2成分の電位差の経時的変化に おいて、l/foゆらぎの刺激間隔ではNl―P2成分の電位差の有意な滅少は確認されなかっ たが、他の3つの刺激間隔(l/fiゆらぎ、l/f2ゆらぎ、および1/foOゆらぎ(一定間隔))で は電位差の有意な減少が確認された、という結論を得た。

  申請者は、N1‐P2成分の電位差の滅少を考察するにあたり、Sherrington(1906)、 Harris(1943)らの、 慣れ(Habituation) すなわち、 繰り返される刺激に対す る、反応の滅少 の定義を用いて考察を行った。

  申請者の研究の報告に対し審査員一同は、その成果を評価し、また研究者として誠実か つ熱心であり、大学院課程における研鑽や取得単位なども併せ申請者が博士(環境科学)

の学位を受けるのに十分な資格を有するものと判断した。

参照

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