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博士(地球環境科学)疋田吉識 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(地球環境科学)疋田吉識 学位論文題名

Biomineral and shell structural control to ornament bivalvian shell exterior

( 二 枚 貝 の 殻 体 外 部 表 面 装 飾 に 対 す る 生 体 鉱 物 的 お よ び 殻 体 構 造 的 制 御 )

学位論文内容の要旨

二 枚 貝 の 表 面 装 飾 形 成 は , 最 外 殻 層 の 内 部 構 造 形 成 と 関 連 す る が , 両 者 の 関 連 に つ い て の 研 究 は ほ と ん ど な い . 表 面 装 飾 と 内 部 構 造 の 関 係 を 解 明 す る こ と は , 二 枚 貝 殻 体 の 系統 的 ・機 能的 意義 を考 える 際に 重要 であ る.

  申 請 者 は ま ず 個 体 発 生 の 途 中 で 放 射 肋 か ら 共 心 円 肋 に 表 面 装 飾 が 変 化 す る ム ラ サ キ イ ン コ ガ イ の 表 面 装 飾 形 成 機 構 と 微 小 生 息 環 境 を 検 討 し た . そ の 結 果 , 放 射 肋 部 で は 肋 の 凸 部 の 分 だ け 共 心 円 肋 部 よ り も 各 内 部 構 造 が 厚 く 形 成 さ れ て い る こ と が 判 明 し た . こ の こ と は 放 射 肋 部 と 共 心 円 肋 部 で 殻 体 分 泌 形 成 量 が 異 な る こ と を 示 す . ま た 放 射 肋 か ら 共 心 円 肋 へ の 変 化 の タ イ ミ ン グ は 中 潮 亜 帯 上 部 の 個 体 ほ ど は 早 く , 下 部 に 向 か う に つ れ , 遅 滞 す る 傾 向 が あ り , ま た 外 表 に 面 し て る 個 体 よ り も 内 面 側 の 個 体 の 方 が 表 面 装 飾 変 化 の タ イ ミ ン グ は 遅 滞 す る 傾 向 が 認 め ら れ た . 本 種 は サ ス ベ ン シ ョ ン フ イ ー ダ ー で あ り , 生 活 に 不 可 欠 な 物 質 を 海 水 中 よ り 摂 取 す る こ と を 考 慮 す る と , 生 息 場 の 乾 燥 度 に 起 因 す る と 推 定 さ れ る . 本 種 の 表 面 装 飾 形 成 は 殻 体 最 外 殻 層 の 分 泌 量 に 依 存 し て い る と 推 定 さ れ , 環 境 因 子 → 殻 層 の 分 泌 量 の 増 減 → 表 面 装 飾 変 化 と ぃ う 過 程 の 反 映 で あ る こ と が 明 ら かに な った .

  ま た 二 枚 貝 全 般 の 表 面 装 飾 と 殻 体 内 部 構 造 の 関 係 を 解 明 す る た め 中 新 世 〜 現 生 の150 種 を 検 討 し , 最 外 層 の 内 部 構 造 と 成 長 線 形 態 に は , 傾 斜 型(ic‑type)と 突 出 型(pt‑type) が 識 別 さ れ , 前 者 で は 表 面 装 飾 は 殻 皮 の 空 間 形 態 に , 一 方 後 者 で は 表 面 装 飾 は 最 外 殻 層 の 構 造 ユ ニ ッ ト の 伸 長 方 向 に 規 制 さ れ る こ と を 明ら かに した .ic‑typeとptーtypeの 違い は 外 套 膜 の 殻 体 の 分 泌 形 成 様 式 の 違 い に よ る . ま た , 外 套 膜 ー 殻 皮 の 関 係 か ら み る と , ic‑typeは 厚 い 殻 皮 に よ り 殻 体 を 分 泌 形 成 す る 外 套 膜 のouter foldが 完 全 に 規 制 さ れ て い るが ,pt‑typeは比 較的 薄い 殻皮 で 外套 膜のouter foldの 自由 度が 高い .ま た化 石記 録から,

ic‑typeは pt‑typeよ り 初 源 的 な 殻 体 分 泌 形 成 様 式 で あ る と 推 定 さ れ る .   個 体 発 生 に 伴 う 殻 体 形 成 を 検 討 す る と , 幼 生 殻 で は ,ic‑typeお よ びpt‑typeの殻 体構 造 お よ ぴ 表 面 装 飾 ( 平 滑 / 成 長 脈 ) は す べ て の 種 で 共 通 で あ る . ま た 個 体 発 生 に 伴 う 表 面 装 飾 形 成 時 期 は ,ic・ typeで は, 成貝 殻形 成直 後だ が,pt‑typeで は多 少遅 れ, 最外 層の 構 造 ユ ニ ッ ト が 殻 体 外 表 方 向 に 伸 長 す る 時 期 に 一 致 し , ま たpt‑ typeiま 個 体 発 生 初 期 は ic‑typeと 同 様 の 特 徴 を 示 す が , 徐 々 にpt‑ typeに 変 化す るこ とを 明ら かに した .個 体発 生

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の 見 地 か ら

pt‑type

ic‑type

か ら 二 次 的 に 派 生 し た と 推 定 さ れ る . マルスダレガイ科二枚貝について,絶減種〜現生種において殻体最外殻層の内部構造 と成長線形態(ic‑ type ,pt‑type) および表面装飾夕イプについて検討し,それらに密接 な関連があることを明らかにした;最外層が混合稜柱構造で形成される→すべてpt‑ type で表面装飾は多様である.最外層が交差板構造でpt‑ type →表面装飾は平滑である.最外 層が交差板構造でic‑type →出現以降,各亜科で一定の表面装飾のみが形成される.中新 世以降の絶減種を含むカガミガイのグル―プにおいて,成長線(与外套膜の空間形態お よび殻体分泌に伴う伸縮運動)は一定であるが,構築構造は多様である.表面装飾は最 外 層 の 内 部 構 造 の 物 理 的 性 質 に よ っ て 規 制 さ れ る こ と を 明 ら か に し た . 本研究では二枚貝の表面装飾を規定する基本的要因について,@最外殻層の内部構造 による制約(生体鉱物的要因),@外套膜の空間的配置による制約(分泌器官的要因)

また副次的要因として硬組織形成量に影響する生息環境による制約(微小生息環境的要 因)がある,と結論した.

本研究は従来,任意的・主観的な考察に基づぃて行なわれることが多かった外部表面

形態の形成を,硬組織(貝殻)の形成機構の解明とぃう側面でとらえ,これを現生種の

みならず化石種を含む二枚貝全般について解明した.またそれらの結果を二枚貝の系統

進化と関連づけ考察を試み,見事に成功させた.さらにある種については,貝殻形成機

構と表面装飾の形成について生息環境からの影響についても明らかにした.これらの成

果は,二枚貝の殻の外部形態と内部組織の関係を具体的に示したものであり,進化の中

で獲得したさまざまな外部形態についての系統的・機能的意義を議論する上で,非常に

重要な新しい研究方向を開拓したものとぃえる.また,これまで独立して議論されてい

た外部形態と内部構造の研究の橋渡をし,二枚貝の形態形成について新たな視点を与え

た.また二枚貝の形態の多様性およぴ系統発生の研究に大きく寄与することが期待され

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学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 助教授 教授

大 場 南 川 長 谷川 山 口

忠道 雅男 四郎 義寛

(北海道教育大学岩見沢校)

    、、  学位論文題名

Biomineral and shell structural control to ornament bivalvian shell exterior

( 二 枚 貝 の 殻 体 外 部 表 面 装 飾 に 対 す る 生 体 鉱 物 的 お よ ぴ 殻 体 構 造 的 制 御 )

二 枚 貝 の 表 面 装 飾 形 成 は , 最 外 殻 層 の 内 部 構 造 形 成 と 関 連 す る が , . 両 者 の 関 連 に つ い て の 研 究 は ほ と ん ど な い . 表 面 装 飾 と 内 部 構 造 の 関 係 を 解 明 す る こ と は , 二 枚 貝 殻 体 の 系 統 的 ・ 機 能 的 意 義 を 考 え る 際 に 重 要 で あ る .

  申 請 者 は ま ず 個 体 発 生 の 途 中 で 表 面 装 飾 が 変 化 す る ム ラ サ キ イ ン コ ガ イ の 表 面 装 飾 形 成 機 構 と 微 小 生 息 環 境 を 検 討 し , 本 種 の 表 面 装 飾 変 化 は 殻体 最外 殻層 の分 泌 量に 依存 し,

そ の 分 泌 量 変 化 は 微 小 生 息 環 境 に よ る こ と を 明 ら か に し た .

  ま た 二 枚 貝 全 般 の 表 面 装 飾 と 殻 体 内 部 構 造 の 関 係 を 解 明 す る た め 中 新 世 〜 現 生 の150 種 を 検 討 し , 最 外 層 の 内 部 構 造 と 成 長 線 形 態 に は , 傾 斜 型(ic‑type)と 突 出 型(pt‑type) が 識 別 さ れ , 前 者 で は 表 面 装 飾 は 殻 皮 の 空 間 形 態 に , 一 方 後 者 で は 表 面 装 飾 は 最 外 殻 層 の 構 造 ユ ニ ッ ト の 伸 長 方 向 に 規 制 さ れ る こ と を 明 ら か に し た . 両 者 の 違 い は 外 套 膜 の 殻 体 分 泌 様 式 の 違 い に 起 因 す る . ま た 化 石 記 録 か ら ,ic‑typeはpt‑typeより 初 源的 な殻 体分 泌 形 成 様 式 で あ る と 推 定 さ れ る .

個 体 発 生 に 伴 う 表 面 装 飾 形 成 時 期 は ,ic‑typeで は , 成 貝 殻 形 成 直 後 だ が ,pt‑typeで は 多 少 遅 れ , 最 外 層 の 構 造 ユ ニ ッ ト が 殻 体 外 表 方 向 に 伸 長 す る 時 期 に 一 致 し , ま たpt‑type は 個 体 発 生 初 期 はic‑typeと 同 様 の 特 徴 を 示 す が , 徐 々 にpt‑typeに変 化す る こと を明 らか に し た . こ の こ と か らpt‑typeはic‑typeか ら 二 次 的 に 派 生 し た と 推 定 さ れ る ・   中 新 世 以 降 の 絶 滅 種 を 含 む カ ガ ミ ガ イ の グ ル ー プ で 表 面 装 飾 と 内 部 構 造 の 経 時 変 化 を 検 討 し , 表 面 装 飾 の 違 い は 最 タ 澱 層 の 内 部 構 造 の 特 性 の 違い によ るこ とを 明 らか にし た.

本 研 究 で は 二 枚 貝 の 表 面 装 飾 を 規 定 す る 基 本 的 要 因 に つ い て , @ 最 外 殻 層 の 内 部 構 造 に よ る 制 約 ( 生 体 鉱 物 的 要 因 ) , @ 外 套 膜 の 空 間 的 配 置 に よ る 制 約 ( 分 泌 器 官 的 要 因 ) ま た 副 次 的 要 因 と し て 硬 組 織 形 成 量 に 影 響 す る 生 息 環 境 に よ る 制 約 ( 微 小 生 息 環 境 的 要

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因)がある,と結論した.

本論文j ま従来,任意的・主観的な考察に基づぃて行なわれることが多かった外部表面 形態の形成を,硬組織(貝殻)の形成機構の解明とぃう側面でとらえ,これを現生種の みならず化石種を含む二枚貝全般について解明した.またそれらの結果を二枚貝の系統 進化と関連づけ考察を試み,見事に成功させた.さらにある種については,貝殻形成機 構と表面装飾の形成について生息環境からの影響についても明らかにした.これらの成 果は,二枚貝の殻の外部形態と内部組織の関係を具体的に示したものであり,進化の中 で獲得したさまざまな外部形態についての系統的・機能的意義を議論する上で冖非常に 重要な新しい研究方向を開拓したものとぃえる,また,これまで独立して議論されてい た外部形態と内部構造の研究の橋渡をし,二枚貝の形態形成について新たな視点を与え た.また二枚貝の形態の多様性およぴ系統発生の研究に大きく寄与することが期待され る.

   申請者の本論文をまとめるにあたっての精力的な野外調査と化石種および現生種を広 範囲に網羅した膨大なデ一夕の解析,そして古生物学の幅広い範囲での研究努カおよび 同分野での新たな研究方向の開拓は高く評価できる.また大学院では原著論文を速やか に取りまとめていく実カを培ってきた.一方で申請者は後進大学院生への助言・指導に も熱心であり,さらに他大学の研究者とも研究交流および共同研究を行なっており,今 後,独立した研究者として高い能カを発揮していくことが期待される.以上から,大学 院課程における研鑽や取得単位なども併せ審査員一同は申請者が博士(地球環境科学)

の学位を受けるのに充分な資格を有するものと判定した.

参照

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