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学 位 の 種 類 博士(歯学)

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Academic year: 2021

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ふ り が な

氏 名

あおき しょう

青木 翔

学 位 の 種 類 博士(歯学)

学 位 記 番 号 甲 第 895 号 学 位 授 与 の 日 付 令和 3 年 3 月 5 日

学 位 授 与 の 要 件 学位規則第 4 条第 1 項に該当

学 位 論 文 題 目 Expression of Heat Shock Proteins in Response to Mild Short-term Heat Shock in Human Deciduous Dental Pulp Fibroblast-like Cells

(ヒト乳歯歯髄由来線維芽細胞における軽度・短時間の熱刺 激による Heat shock proteins 発現)

学 位 論 文 掲 載 誌 Journal of Hard Tissue Biology 第 30 巻 第 1 号 令和 3 年 1 月

論 文 調 査 委 員 主 査 有田 憲司 教授 副 査 合田 征司 教授 副 査 橋本 典也 教授

論文内容要旨

適度な熱刺激は歯髄細胞増殖能を増強し、また歯髄組織における熱ショックタンパク質(HSP)を 増加させることで、組織修復能を高めることが報告されている。この熱刺激による組織修復能を活用 することで、可逆性歯髄炎における治療を回避し、また歯髄処置が必要な場合においても、処置前に予 め歯髄を加温しておくことで、より良い予後が期待できるものと考える。しかしながら実際の臨床で 適応可能となる軽度短時間の熱刺激の影響についてはほとんど解明されていない。本研究では、軽度 短時間の熱刺激がヒト乳歯歯髄由来線維芽細胞(hDDPF)に与える影響について明らかにすることを 目的とし、細胞生存能、遺伝子発現変動およびタンパク発現変動について検討を行った。

細胞生存能の検討は、43,44,45,46,49℃で 15 分間の熱刺激を行い、MTS Assay を用いて熱刺 激 3 日後の生細胞数を評価した。HSP27, 70, 90 遺伝子発現は RT-PCR 法、HSP27, 70, 90 タンパク 発現はウエスタンブロット法を用いて検討した。タンパク発現に変化のみられたものについては、主 要なシグナル伝達経路である PI3K/AKT や MAPK についてもウエスタンブロット法を用いて検討し た。

その結果、 44 , 45 , 46 , 49 ℃ 15 分間の熱刺激により細胞数の有意な減少を認めたが、 43 ℃ 15 分間

の熱刺激では細胞数のわずかな増加が認められ、 hDDPF が生存可能であることが確認できた。遺伝子

発現変動については、43℃15 分間の熱刺激により HSP27 が 6 時間後、HSP70 が加熱直後、HSP90

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が 3 時間後で最も発現が増加した。さらに、熱刺激 24 時間後のタンパク発現量については、 HSP27 および HSP90 タンパク発現量に変化がみられず、 HSP70 タンパク発現量が有意に増加した。この熱 刺激 24 時間後に誘導された HSP70 発現は、PI3K 阻害剤である Wortmannin の添加により有意に減 少したが、MAPK 阻害薬である U0126 には影響を受けなかった。さらに、Wortmannin 添加により PI3K の下流に存在する AKT のリン酸化が抑制されることを確認した。

以上の結果より、43℃15 分間の熱刺激が hDDPF に有効であり、組織修復能を高めるとされている HSP70 発現は、hDDPF において AKT を活性化する経路を介していることが示唆された。

論文審査結果要旨

本研究は、歯科臨床において応用可能な軽度短時間の熱刺激により、歯髄組織修復能を活性化 することで可逆性歯髄炎における治療回避や、治療後の予後改善を図ろうとする基礎的研究であ り、軽度短時間の熱刺激がヒト乳歯歯髄由来線維芽細胞(hDDPF)に与える影響について、細胞生 存能、遺伝子発現変動およびタンパク発現変動に焦点を当て検討することを目的としている。

方法は、43,44,45,46,49℃で 15 分間の熱刺激を行い、MTS Assay を用いて熱刺激 3 日後の 生細胞数を評価している。HSP27, 70, 90 遺伝子発現は、熱刺激後 0,1,3,6,24 時間後にサンプル の回収を行い、RT-PCR 法を用いて検討を行っている。HSP27, 70, 90 タンパク発現は、熱刺激後 24 時間経過時にサンプルの回収を行い、ウエスタンブロット法を用いて検討している。タンパク 発現に変化のみられた HSP70 については、主要なシグナル伝達経路である PI3K/AKT や MAPK につ いてもウエスタンブロット法を用いて活性化の確認を行っている。

その結果、44,45,46,49℃ 15 分間の熱刺激により細胞数の有意な減少を認めたが、43℃15 分 間の熱刺激では細胞数のわずかな増加が認められ、43℃15 分間の熱刺激が hDDPF 生存可能である ことが確認されている。遺伝子発現変動については、43℃15 分間の熱刺激により HSP27 が 6 時間 後、HSP70 が加熱直後、HSP90 が 3 時間後で最も発現が増加し、さらに熱刺激 24 時間後のタンパ ク発現量については、HSP27 および HSP90 タンパク発現量に変化がみられず、HSP70 タンパク発現 量が有意に増加した結果を得ている。この熱刺激 24 時間後に誘導された HSP70 発現は、PI3K 阻 害剤である Wortmannin の添加により有意に減少したが、MAPK 阻害薬である U0126 には影響を受 けなかったことを確認し、さらに、Wortmannin 添加により PI3K の下流に存在する AKT のリン酸 化が抑制されることを確認している。しかし、今回の研究では熱刺激 24 時間後のタンパク質発現 の変化のみの検討であったため、今後の研究では、熱刺激後 6~12 時間というようなより短い時 間、または熱刺激数日後というようなより長い時間でのタンパク質発現を調査する必要性を指摘 している。

以上の結果より、43℃15 分間の熱刺激が hDDPF に有効であり、組織修復能を高めるとされてい

る HSP70 発現が、hDDPF において AKT を活性化する経路を介していることを解明した点において、

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本論文は博士(歯学)の学位を授与するに値すると判定した。

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