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初期せん断応力を受ける造成宅地盛土材料の動的強度

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Academic year: 2022

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(1)初期せん断応力を受ける造成宅地盛土材料の動的強度 山口大学大学院. 学生会員○野田翔兵. 山口大学大学院. 正会員 兵動正幸. 鳥取市. 山根陽一. 中電技術コンサルタント(株). 正会員 岸田健太朗 古川智. 1.まえがき 1995 年兵庫県南部地震,2005 年新潟県中越地震など近年の地震において,斜面や盛土の崩壊による被害 が目立っており,特に谷埋め盛土上の家屋の被害が大きな社会問題となっている.これらの地震被害を受け,国は平成 18 年に宅地耐震化推進事業を創設した.この事業の創設により,宅地造成盛土の地震時安定性の検討を行う必要性が生じ 1). てきている.地震時安定性の評価を行う際,安定解析の方法として,設計指針. では,地震による間隙水圧の上昇を考慮. した静的円弧すべり解析か,震度法による設計水平震度を加えた動的円弧すべり解析のいずれかを行うことが示されてい る.しかしながら,地震による間隙水圧も滑り面の動的強度も明確にされていないため,これらを考慮した解析がほとんど行 われていないのが現状である.本研究では,現地の盛土から採取した盛土材料を対象に非排水繰返し三軸試験を行い, 種々の初期せん断応力下における繰返しせん断強度を求めることとした.さらに,それらの結果を静的排水強度で正規化 し,初期せん断応力比ごとに示すことで,対象盛土の動的強度を求めることができるようまとめた. 表-1 試料の物理的特性値. 2.実験概要 本研究で用いた試料は,鳥取市の盛土地盤より採取した 2 種. Fc (%). Sample 団地A 団地B. の盛土材料(団地 A,団地 B)である.実験にはどちらの試料も 2mm ふるい を通過したものを用いた.また,それぞれの盛土地盤より不撹乱試料も採取. 12.1 18.1. ρs(g/cm3) 2.581 2.645. e max. e min. 1.076 1.198. 0.699 0.668. Percent finer by weight (%). 100. した.表-1 に用いた試料の物性値を示し,図-1 には粒径加積曲線を示す. 実験に用いた再構成試料は,不撹乱試料から求めた粒度と等価な粒度とな るよう調整を行い作成した.これらの試料を用いて排水単調三軸試験及び 初期せん断応力を作用させた非排水繰返し三軸試験を行った.供試体は, 高さ 10cm,直径 5cm であり,空中落下打撃法により所定の密度になるよう作. 80 60 40 20. : 団地 A (F c=1 2.1 %) : 団地 B (F c=1 8.1 %). 0 0.001. 製した.供試体作成時の密度は,不撹乱試料の乾燥密度より決定しており,. 0.01. 0.1 Grain size (mm ). 1. 10. 図-1 試料の粒径加積曲線. 団地 A はρd=1.497g/cm3(Dr=90%),団地 B はρd=1.554 g/cm3(Dr=91%)であった.三軸試験において、側方有効拘束圧. σ3c’は,団地 A は 130kPa,団地 B は 100kPa とした.これは不撹乱試料の採取深度での拘束圧を算出して決定したもの である.これらの供試体に対し,非排水条件で周波数 0.1Hz の正弦波を軸荷重として加え繰返しせん断を行った.初期せ ん断作用下の繰返しせん断試験は,繰返し軸応力が片振りになる場合があり,その場合供試体は液状化に至らず残留ひ ずみによって破壊が生じる.従って本研究では,軸ひずみ両振幅 10%,もしくはピーク軸ひずみが 10%に至った時点のい ずれか早い方を破壊と定義した.また,排水単調せん断試験は 0.1mm/min の載荷速度でせん断を行った. 3 . 非排水繰返しせん 非排水繰返 しせん断 しせん 断 特性および 特性 および排水 および 排水. 550. これらの実験結果はいずれもほぼ同じ回数 で破壊に至ったものを掲げているが,一定 の繰返し回数で破壊に至るには,団地 A は団地 B に比べ大きな繰返し応力が必要 であることが分かる.軸差応力・軸ひずみ 関係については,団地 A は低い初期せん 断応力では繰返し応力が反転しているた. Deviator stress q (kPa). 力・軸ひずみ関係と有効応力経路を示す.. 450. 破壊線. 450. 400 350 300 250 200 150 100 50. 破壊線. 400 350 300 250 200 150 100 50. 0 -50 0. 団地 B. 500. Deviator stress q (kPa). 単調せん 単調せん断試験 せん断試験 図-2 に種々の初期せん 断応力における団地 A,B 試料の軸差応. 550. 団地 A. 500. 0 50 100 150 200 250 300 350 0. 5. 10. Effective mean principal stress Axial strain ε a (%) p' (kPa). -50 0. 50 100 150 200 250 300 350 0. 5. 10. Effevtive mean principal stress Axial strain ε a (%) p' (kPa). (a) 団地 A (b) 団地 B 図-2 代表的な軸差応力・軸ひずみ関係および有効応力経路.

(2) る.図-3,図-4 にはそれぞれ,団地 A, B 試料の初期せん断応力作用下の非排 水繰返しせん断強度曲線を示す.二つの破壊の定義を区別するため,軸ひず み両振幅によるものは色塗りのプロットで、ピーク軸ひずみで定義したものは左 半分を黒く塗りつぶしたプロットでそれぞれ表している.図-3 に示す団地 A は, 初期せん断応力比 0.5 までは初期せん断応力の増加に伴い繰返しせん断強 度も増加するが,初期せん断応力比 0.7 では強度が低下する結果となっている. これに対し,図-4 に示す団地 B では,初期せん断応力の増加に伴う繰返し強 度の増加はほとんど見られず,ほぼ同じ大きさの繰返し強度となっている.団地 B で初期せん断の増加に対して強度増加が生じない要因は,細粒分が 18%含. Cyclic dev iator stress ratio σ d /2 σ c '. 発達し最終的に大きな残留ひずみを蓄積し破壊に至っている様子が認められ. σs /2 σc '=0.5. 0.2 0.1 0.0 0.1. 規化した非排水せん断強度,横軸も同様に排水単調せん断強度で正規化し た初期せん断応力である.動的強度τdf(=(τs+τd)f)は初期せん断応力も加え たものであり,排水単調せん断強度はτdf =c+σtanφにより算出している.こ のときの c,φは表-2 の結果を用いている.図-5 のようにまとめたことで,横軸は 常時の安定計算より算出した安全率の逆数となっていることが分かる.よって,. 10. 100. 1000. εD A or ε p =10%. σs /2 σ c ' : 0 : 0.3 : 0.5 : 0.7 : ε D A =10% : ε p =10%. 0.4 σ s /2 σ c '=0.3. σs /2 σ c '=0.5. 0.3 0.2 0.1. σ s /2 σ c '=0.7. σ s /2 σ c '=0. 0.0 0.1. 1. 10. 100. 1000. Number of cycles N. 図-4 団地 B の初期せん断応力下の非排水繰 返しせん断強度 表-2 排水単調圧縮試験結果 Sample c (kPa) φ(deg) 団地A 6.5 40.2 団地B 13.6 39.3 1.4. τd f ( N = 1 0 ) / τs f. εp or ε D A =10%. Dynamic strengt h ratio. にも示されており,縦軸は排水単調せん断強度で正. σs /2 σc '=0. 0.5. 比べ約 2 倍高いことが分かる.これは細粒分含有率の違いによるものと考えら. 1). 1. σs /2 σc '=0.2. 0.6. 力 c と内部摩擦角φを表-2 にまとめた.表より,粘着力 c は団地 B が団地 A に. 理方法は道路土工指針. σs /2 σc ' :0 : 0.2 σs /2 σ c '=0.3 : 0.3 : 0.5 : 0.7 : ε D A =10% : ε p =10%. 0.3. 260kPa であり,団地 B はσc’=50,100,200kPa とした.実験より得られた粘着. 繰返し強度として,初期せん断応力比との関係で図-5 のようにまとめた.この整. σs /2 σc '=0.7. 0.4. 験結果について述べる.それぞれの拘束圧は,団地 A は σ c’=60,130,. れる.図-3,図-4 において,繰返し回数 10 回で破壊に至った繰返し応力比を. εp or εD A =10% σ3 c '=130kPa. 0.5. 図-3 団地 A の初期せん断応力下の非排水繰返 しせん断強度. まれているため,砂の間隙が細粒分により満たされ,砂粒子同士のコンタクトが 妨げられ細粒分主体の挙動となったためと考えられる.次に,排水三軸圧縮試. 0.6. Number of cycles N. σ d /2 σ c '. いずれの初期せん断応力においても片振りであり,圧縮側にのみ軸ひずみが. Cyclic dev iator stress ratio. め,サイクリックモビリティ的な軸ひずみの発達が見られるのに対し,団地 B は. 1.2. 1.0. 0.8. 0.6. 0.4. 0.2. : 団地 A : 団地 B. 0.0 0.0. 0.2. 0.4. 0.6. 0.8. 1.0. Init ial shear st ress ratio τs / τs f. 図-5 を用いれば常時の安全率から初期せん断応力作用下の非排水繰返しせ. 5.0. 2.5. 1.67. 1.25. 1.0. F actor of safety F s s. ん断強度(動的強度)を求めることができる.動的強度の用い方は図-6 に示す ように,図-5 より所定の静的安全率に対し,単調せん断強度に対する初期せん. 図-5 初期せん断応力比-動的強度比関係 (εp or εDA=10%). 断応力作用下の非排水繰返しせん断強度τdf/τsf=X という値が求められた場 合,動的強度τdf は静的強度τsf の X 倍ということになる.その結果,静的強度 定数 c,φも修正され新たな値が算出され,これを用いることで震度法による動 的円弧すべり解析を行うことが可能となった 2). 4. まとめ 本研究は,2つの谷埋め団地から採取した盛土材料を対象に初期. 図-6 動的強度の安定計算への導入. せん断応力下の非排水繰返しせん断強度を求めるために一連の非排水繰返し三軸試験を行ったものである.本実験によ り得られた結果は以下のとおりである.(1)細粒分含有率が低い団地 A の試料は、初期せん断応力の増加に対し,非排水 繰返しせん断強度は増加傾向を示したが、細粒分含有率の高い団地 B では初期せん断応力に依存せずほぼ一定の繰 返しせん断強度となった.(2)非排水繰返しせん断強度を排水単調せん断強度で正規化し,初期せん断応力比との関連 でまとめることで,震度法による円弧すべり解析の強度パラメータを与えることが出来た. 参考文献 参考文献 1)(社)日本道路協会:盛土の地震時安定性評価法に関する参考資料,道路土工 のり面工・斜面安定工指針,pp.458-464,1999. 2)岸田健太朗,古川智,山根陽一,沖村孝,西田良平,藤村尚,兵動正幸:砂丘砂による大規模宅地造成盛土の耐震点検事例,第 46 回地盤工学研究 発表会投稿中.

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