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せん断スパン比0.75の円形CFT柱のせん断挙動に関するFEM解析 [ PDF

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Academic year: 2021

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せん断スパン比 0.75 の円形 CFT 柱のせん断挙動に関する FEM 解析

柳井 雄斗 1. はじめに 著者らは,文献 1),2)を通じてコンクリート充填鋼 管(CFT)柱のせん断破壊性状に関して研究を行ってき た.文献 1)では,柱のせん断スパン長さ a と径 D の比 であるせん断スパン比 a/D が 0.5 となる CFT 短柱の試 験体を作成し,一定軸力と繰返せん断力を与える実験を 行っている.この研究では,実験により得られた最大せ ん断力と,現行の「コンクリート充填鋼管構造設計施工 指針」3)(CFT 指針)を参照して得られる終局耐力との 比較結果が報告されている.文献 2)では,文献 1)で 実験を行った試験体を対象として,3 次元非線形有限要 素法(FEM)解析を行い,結果の比較検討を行っている. この研究により,FEM 解析で CFT 短柱のせん断破壊性 状が追跡可能であることが確認された. 本報では,著者らで実験を行った a/D=0.75 となる CFT 短柱の FEM 解析を行い,剛性と最大耐力の比較を 行う.さらに,実験では直接得られない充填コンクリー トと鋼管のせん断力の負担割合を明らかにし,現行 CFT 指針の耐力評価法について考察する. 2. 解析対象 解析対象の試験体の形状を図 1,諸元を表 1 に示 す.実験変数は,鋼管の焼鈍の有無と軸力比 N/N0で ある. 3. 解析概要 3.1 要素と材料モデル 解析には,汎用解析コード DIANA9.5 を用いた.表 2, 3,4 にそれぞれ,解析に用いた充填コンクリート,鋼材 の材料特性および鋼管とコンクリート間の特性を示す. コンクリートには 8 節点ソリッド要素を用い,構成則に は修正圧縮場理論に基づく全ひずみひび割れモデルを 用いた.ひび割れは分布ひび割れ(回転)モデルとした. 図 2 に引張特性を示す.引張強度の算定には「鉄筋コン クリート造建築物の靱性保証型耐震設計指針・同解説」 4)を用いた.ひび割れ発生後の下降域は Hordjik5)らのモ デルを用い,引張破壊エネルギーGfの算定には土木学会 で採用されている文献 6)の式を用いた.図 3 に圧縮特 性を示す.圧縮特性は Feenstra7)のモデルで表し,圧縮 破壊エネルギーGcの算定には中村らの式8)を用いた.鋼 管とスタブのウェブは 4 節点曲面シェル要素,フランジ には 8 節点ソリッド要素を用い,材料モデルには図 4 に 図 1 試験体形状・寸法 表 1 試験体諸元 試験体 D (mm) t (mm) D/t a/D 充填コンクリート csB(N/mm 2) N/N0 焼鈍 N75-1 0.1 N75-2 0.2 N75-3 0.3 N75-4 0.4 A75-1 0.1 A75-2 0.2 A75-3 0.3 A75-4 0.4 165 4.87 34 0.75 無し 有り 50.9 表 2 充填コンクリートの材料特性 圧縮 (N/mm) 引張 (N/mm) N75 A75 3.12×10 4 50.9 2.35 62.6 破壊エネルギー 試験体 ヤング係数 (N/mm2) 圧縮強度 (N/mm2) 引張強度 (N/mm2) 0.108 表 3 鋼材の材料特性 試験体 板厚 (mm) ヤング係数 (N/mm2) 降伏強度 (N/mm2) ひずみ硬化係数 (N/mm2) N75 2.01×105 531 2.01×103 A75 2.01×105 507 2.01×103 4.87 表4 界面要素の材料特性 試験体 垂直剛性 (N/mm3) せん断剛性 (N/mm3) 粘着力 (N/mm2) 摩擦角の tanφ 引張強度 (N/mm2) N75 A75 1.0×10 4 1.0×103 0.783 3.6 0

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43-2 示すように von Mises の降伏条件によるバイリニア型 の弾塑性モデルを用いた.鋼管とコンクリート間の引張 破壊やすべりを表すために 8 節点の界面要素を用い,材 料モデルには図 5 に示す Coulomb-Friction モデルを用 いた.材料特性に関しては文献 9)を参考にした.コン クリートと鋼管が負担している力を検出するために,試 験体高さ中央面の節点間に高剛性の弾性ばね要素を挿 入した.片側隅肉溶接の部分にもばね要素を使用してい る.鋼管とフランジの接触を表すため,接触が発生し得 る部分に接触要素を使用した. 3.2 試験体のモデル化 図 6 に有限要素分割を示す.試験体の対称性を利用し て全体の 1/2 をモデル化した.フランジと鋼管は,図 1 に示すように試験体部分は溶接されていない.フランジ は,外ダイアフラム形式で孔径は166mm とし,鋼管に は STKN490B-165.2×4.5 を用いている.そのため,試 験体部上下の鋼管-フランジ間に 0.4mm の隙間を設け, 溶接部はばね要素により接合した.フランジと鋼管が向 き合う面に接触要素を挿入し,接触時に力が伝達される ようにしている. 3.3 加力および境界条件 加力は試験体の上部に軸力を載荷後,加力スタブのフ ランジ端に強制変位を与え,試験体部分に逆対称モーメ ントを発生させた.強制変位は部材角 R=4/100rad.を目 指して一方向の水平力の載荷を行った.部材角 R はフ ランジの水平変位を柱の内法高さで除した値である.境 界条件は対称面を面ローラ支持とした. 4. 解析結果 実験と解析により得られたせん断力 Q-部材角 R 関 係を図 7 に示す.実験結果と解析結果をそれぞれ細い破 線,太い実線で示す.△点,○点は,それぞれ解析で充 填コンクリートに曲げひび割れ,せん断ひび割れが発生 した点を示し,▲点,●点は,それぞれ鋼管が曲げ降伏, せん断降伏した点を示している.鋼管の降伏判定には 図 7 せん断力Q-部材角 R 関係 R(×10-2rad.) 0 100 200 300 400 500 600 700 0 1 2 3 4 B Q(kN) R(×10-2rad.) 0 100 200 300 400 500 600 700 0 1 2 3 4 B Q(kN) R(×10-2rad.) 0 100 200 300 400 500 600 700 0 1 2 3 4 B Q(kN) R(×10-2rad.) 0 100 200 300 400 500 600 700 0 1 2 3 4 B Q(kN) R(×10-2rad.) 0 100 200 300 400 500 600 700 0 1 2 3 4 Q(kN) R(×10-2rad.) 0 100 200 300 400 500 600 700 0 1 2 3 4 B Q(kN) R(×10-2rad.) 0 100 200 300 400 500 600 700 0 1 2 3 4 B Q(kN) R(×10-2rad.) 0 100 200 300 400 500 600 700 0 1 2 3 4 B Q(kN) N75-1 N75-2 N75-3 N75-4 A75-1 A75-2 A75-3 A75-4 図 5 有限要素分割 図 2 引張特性 図 3 圧縮特性 図 4 鋼材の特性 図 5 クーロンの基準 Feenstra

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43-3 Mises の相当応力seを用いた.試験体の柱頭・柱脚部お よびウェブ中央部においてseが鋼管の降伏応力に達し た点をそれぞれ,曲げ降伏およびせん断降伏した点と判 定した.また,▼点は最大せん断力を発揮した点を示し ている. 充填コンクリートのひび割れに関して,せん断ひび割 れは,いずれの試験体も部材角 R=0.6/100rad.程度で発 生した.曲げひび割れは,すべての試験体でせん断ひび 割れより先行して生じており,軸力比が高くなるにつれ, 発生する部材角が大きくなる傾向が見られた. 鋼管の降伏に関して,いずれの試験体も柱頭・柱脚部 の曲げ圧縮部分での降伏が先行した.せん断降伏に関し ては,A75 試験体は部材角 R=1.4/100rad.,N75 試験体 は部材角 R=1.5/100rad.程度で発生した. フランジと鋼管の接触に関しては,すべての試験体で 部材角 R=0.6/100rad.程度から発生した. いずれの試験体も解析は実験の全体的な傾向を概ね 再現できることが確認できた.初期剛性は,概ね一致し ているが,試験体ごとにバラツキがある.これは実験試 験体の施工精度や実験装置の取り付き具合によるもの だと考えられる.最大耐力に関しては,すべての試験体 で実験結果を解析結果が下回っている.実験では, N/N0=0.3 以下の試験体では部材角 R=4/100rad.以降で最 大耐力を発揮している.解析では部材角 R=3/100rad.程 度で最大耐力を発揮した後,耐力維持となっている.こ れは,実験は繰返し載荷で行われており,鋼管のひずみ 硬化が想定より大きいためだと考えられる. 図 8 に N75-1 試験体と N75-4 試験体の充填コンクリ ートの最小主応力コンターを示す.上図,下図はそれぞ れ鋼管せん断降伏時,最大せん断力時を示している.図 8 より,圧縮ストラットの形状が確認できる.また,軸 力比が大きいほど,また載荷が進むほど,圧縮領域が大 きくなっていることが分かる.図 9 に N75-1 試験体と N75-4 試験体の鋼管のせん断応力コンターを示す.上図, 下図はそれぞれ鋼管せん断降伏時,最大せん断力時を示 している.図 9 より,軸力比が大きいほど,鋼管が負担 できるせん断応力が減少していることが分かる.また, せん断降伏時と比べ,最大耐力時に鋼管の負担するせん 断応力が増加していることが確認できる. 5. 耐力評価 5.1 終局耐力 図 10 に,解析より得られた試験体の最大せん断力 Qanaをせん断力 Q―軸力比 N/N0の相関曲線上にプロッ トしたものを示す.図 10 の太い実線および破線はそれ ぞれ CFT 指針による終局せん断耐力 Qsuおよび終局曲 げ耐力 Qbuを表している.●点は Qanaを示しており,実 線と破線の間に位置していることから,試験体の耐力が せん断破壊により決定したものと推測できる. 表 5 に実験から得られた Qmaxと Qana,Qsu,Qbuの値と それぞれの比を示す.表の Qmax/Qanaを見ると,試験体 全体平均で 1.12 となっており概ね一致している. Qana/Qsuを見ると,Qanaは Qsuを試験体全体平均で 1.15 となっており,最大で 2 割程度上回っていることが分か る.また,Qana/Qbuを見ると平均で 0.81 となっているこ とから,せん断破壊により最大耐力が決定したことが確 N75-4 N75-1 鋼管せん断降伏時 N75-4 N75-1 最大せん断力時 図 8 コンクリート最小主応力コンター N75-4 N75-1 図 9 鋼管せん断応力コンター 鋼管せん断降伏時 N75-4 N75-1 最大せん断力時

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43-4 認できる. 5.2 鋼管とコンクリートのせん断力 図 10 の細い実線および一点鎖線はそれぞれ,CFT 指 針による鋼管と充填コンクリートの終局せん断耐力 sQsucQsuを示している.CFT 柱の終局せん断耐力 QsusQsucQsuを一般化累加して求めたものである.図 10 の◇点と□点はそれぞれ解析における最大せん断力 時に鋼管が負担するせん断力 sQanaと充填コンクリート

が負担するせん断力cQanaを示している.sQanacQanaは,

試験体高さ中央面の配したばね要素の負担力を積分す ることにより求めた.図 10 より,鋼管と充填コンクリ ートの最大せん断力時に負担するせん断力は計算耐力 を上回っていることが確認できる. 表 6 に,sQana, cQanaを示す.最大耐力時の鋼管と充填 コンクリートが負担するせん断力の割合はおよそ 7:3 となっている.いずれの試験体も軸力比が大きくなるに つれsQanaが減少している.軸力比 N/N0=0.2 まで増加し, 以降軸力比が大きくなるにつれ減少している.表 6 には sQanacQana sQsucQsuで除した値も示している. sQana/sQsuは,平均で 1.10 となっており,鋼管のせん断 力を精度よく評価できている.cQana/cQsuは,平均で 1.29 となっており,過小評価となっている.充填コンクリー トの耐力評価の精度を上げることで,CFT 柱の耐力を 精度良く評価できると考えられる. 6. まとめ 本 研 究 で は , 定 軸 力 の も と で せ ん 断 力 を 受 け る a/D=0.75 の円形 CFT 短柱を対象として FEM 解析を行 い,以下のような知見が得られた. 1) すべての試験体で,充填コンクリートの曲げひび割 れは,せん断ひび割れより先行して生じ,鋼管の曲 げ降伏もせん断降伏より先行して生じた. 2) 実験結果と解析結果を比較すると,初期剛性は,概 ね一致していた.最大耐力は,すべての試験体で解 析結果が下回ったが,誤差は 12%程度と小さかった. 実験の全体的な傾向を FEM 解析により概ね再現す ることができた. 3) CFT 指針によって算定される終局耐力と解析結果を 比較すると,最大せん断力は,終局曲げ耐力を 20% 程度下回っており,試験体の耐力はせん断破壊によ って決定したものと考えられる.また,終局せん断 耐力は,最大せん断力を 15%程度安全側に評価して いた. 4) 終局時の鋼管と充填コンクリートのせん断力の負担 割合は 7:3 程度となった.CFT 指針により,鋼管の 終局せん断耐力は精度よく評価できていたが,充填 コンクリートの終局せん断耐力は 30%程度過小評 価していた. <謝辞> 本解析研究は,九州産業大学・内田研究室との共同研究として実施した. ここに記して,謝意を表する. <参考文献> 1) 中原浩之,津村竜次:コンクリート充填円形鋼管短柱のせん断挙動に関 す る 実 験 的 研 究 , 日 本 建 築 学 会 構 造 系 論 文 集 , Vol.79 , No.703, pp.1385-1393,2014.9. 2) 中原浩之,内田和弘,日根居亮佑:コンクリート充填円形鋼管短柱のせ ん断挙動に関する解析的研究,日本建築学会構造系論文集,Vol.80, No.717,pp.1795-1801,2015.11. 3) 日本建築学会:コンクリート充填鋼管構造設計施工指針・同解説,2008.10. 4) 日本建築学会:鉄筋コンクリート造建物の靭性保証型耐震設計指針・同 解説,2010.2

5) Hordijk, D.A.:Local Approach to Fatigue of Concrete, PhD thesis, Delft University of Technology, 1991

6) 社団法人土木学会:コンクリート標準示方書(2012 年制定)設計編, 2012.12

7) Feenstra, P.H.:Computational Aspects of Biaxial Stress in Plain and Reinforced Concrete, PhD thesis, Delft University of Technology, 1993

8) Nakamura, H.,Higai,T.:Compressive Fracture Energy and Fracture Zone Length of Concrete, Modeling of Inelastic Behavior of RC Structures Seismic Loads, ASCE, pp. 471-187, 2001 9) 小室雅人,岸徳光,張広鋒:部分的にコンクリートを充填した鋼管橋脚 模型の耐荷性状に関する数値解析的研究,土木学会応用力学論文集 Vol.6, pp.475-486,2003.8 表 5 最大せん断力と計算耐力の比較 試験体 Qmax (kN) Qana (kN) Qsu (kN) Qbu

(kN) Qmax/Qana Qana/Qsu Qana/Qbu N75-1 655 592 506 703 1.11 1.17 0.84 N75-2 672 588 517 725 1.14 1.14 0.81 N75-3 649 573 511 728 1.13 1.12 0.79 N75-4 596 545 489 712 1.09 1.12 0.77 A75-1 627 582 486 671 1.08 1.20 0.87 A75-2 654 571 496 694 1.15 1.15 0.82 A75-3 620 557 490 698 1.11 1.14 0.80 A75-4 629 531 468 683 1.19 1.13 0.78 1.12 1.15 0.81 平均 表 6 最大せん断力時の 鋼管とコンクリートの負担せん断力 試験体 sQana (kN) cQana

(kN) sQana/Qana cQana/Qana sQana/sQsu cQana/cQsu N75-1 442 161 0.73 0.27 1.14 1.30 N75-2 434 163 0.73 0.27 1.08 1.27 N75-3 424 159 0.73 0.27 1.08 1.26 N75-4 404 151 0.73 0.27 1.09 1.34 A75-1 424 161 0.72 0.28 1.15 1.32 A75-2 417 164 0.72 0.28 1.09 1.27 A75-3 405 161 0.72 0.28 1.08 1.28 A75-4 389 150 0.72 0.28 1.09 1.32 0.72 0.28 1.10 1.29 平均 図 10 せん断力Q-軸力比 N/N0関係 0 200 400 600 800 Qsu Qbu Qana sQsu cQsu sQana cQana -0.8 -0.4 0 0.4 0.8 1.2 Q (kN) N /N 0 -0.8 -0.4 0 0.4 0.8 1.2 0 200 400 600 800 Q (kN) N75 A75

参照

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