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砂質土堤防のせん断強度特性に関する低拘束圧三軸圧縮試験

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Academic year: 2022

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表-1 試料の物理特性

表-2 CUB試験の条件

砂質土堤防のせん断強度特性に関する低拘束圧三軸圧縮試験

独立行政法人土木研究所 正会員 ○塚本 将康、齋藤由紀子 独立行政法人土木研究所 正会員 石原 雅規、佐々木哲也

1.はじめに

河川堤防では、河川堤防設計指針(平成14年7月国土交通省河川局治水課)にしたがって、洪水時の浸透 に対する詳細点検が行われている。照査手法の詳細については、河川堤防の構造検討の手引き 1)(以下、「手 引き」という)に示されており、平成24年2月に安定計算に必要な土質定数の試験方法等に関する部分見直 しが実施された。本研究では、手引きの部分見直しで新たに示された三軸圧縮試験における拘束圧範囲の影響 および砂質土のせん断強度の評価について、圧密非排水三軸圧縮試験を実施して考察したので報告する。

2.試験条件

試料には、茨城県内で採取した砂を使用した。自然含水比15%

程度で、細粒分を 9.5%含む山砂である。試料の物理特性を表-1 に示す。供試体は、含水比を約18%に調整した試料を用いて、直

径50mm、高さ100mm、締固め層厚20mmで5層に分けて突き

固めて作製した。二重負圧法で供試体を飽和させた後、表-2に示 す圧密応力で等方圧密し、Dc=85%と Dc=90%はひずみ速度

0.1%/min、Dc=95%はひずみ速度0.2%/min.で軸ひずみ15%まで

圧密非排水三軸圧縮試験(CUB試験)を行った。

3.拘束圧の大きさの影響

軸差応力~軸ひずみ関係で、軸差応力がピークを示した時点の モール円を、締固め条件毎に図-1に示す。河川堤

防の詳細点検においては、一定以上の精度の三軸 圧縮試験を実施する観点から、圧密応力の最小値

を 50kN/m2程度に設定することが多い。一方で、

下流域の比較的規模が大きい堤防であっても高さ 10m程度であり、円弧すべり安定計算で想定すべ き拘束圧は50 kN/m2程度以下となる場合が多い。

そこで、せん断強度に対する拘束圧の影響を調べ

るため、図-1のモール円について圧密応力50kN/m2以上と以下に区別し、それぞれの破壊包絡線を描いて比 較した。ここで、圧密応力50kN/m2以上の結果を①通常拘束圧領域の全応力強度、圧密応力50kN/m2以下の 結果を②低拘束圧領域の全応力強度と表記する。図-1より、Dc=85%の緩詰めのケースについては、①と②の 破壊包絡線に大きな違いは見られない。一方、Dc=90%および95%のケースは、低拘束圧領域で破壊包絡線が 急勾配に、つまり内部摩擦角φが大きくかつ粘着力cが小さく評価されることがわかった。砂質土や礫質土に ついて、通常拘束圧領域のせん断強度を外挿して低拘束圧領域のせん断強度を評価すると、低拘束圧領域の強 度を過大評価して好ましくないとされている。実際の堤防で想定される低拘束圧領域を考慮することで、より 適切に砂質土のせん断強度を評価できる可能性が示された。

4.締固め度の違いがせん断強度に及ぼす影響

モール円の破壊包絡線について、①通常拘束圧(全応力)と②低拘束圧(全応力)に加えて、③全拘束圧領 域の有効応力強度を比較したものを図-2に示す。図-3に示す有効応力経路をみると、Dc=85%のケースは、緩 キーワード 河川堤防,砂質土、せん断強度、三軸圧縮試験、低拘束圧

連絡先 〒305-8516 茨城県つくば市南原 1-6 独立行政法人土木研究所土質・振動チーム TEL029-879-6771

締固め度 圧密応力(kN/m2)

Dc

= 85% 35, 50, 100, 150

Dc

= 90% 5, 10, 20, 35, 50, 100, 150

Dc

= 95% 10, 20, 35, 50, 100, 150

※背圧200kN/m2 粒度 構成

砂礫 (%) 1.3 砂 (%) 89.2 シルト (%) 7.0 粘土 (%) 2.5 最大粒径 (mm) 4.75 50%粒径 D 50 (mm) 0.173 土の工学的分類 S-F 土粒子の密度 (g/cm3) 2.689 最大乾燥密度 (g/cm3) 1.685 最適含水比 (%) 18.6 土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)

‑685‑

Ⅲ‑343

(2)

い砂によく見られるせん断に伴う体積収縮傾向が生じ、拘束圧によらずせん断によって間隙水圧が上昇して破 壊線に接近している。Dc=90%と95%のケースは、せん断初期に間隙水圧が上昇するものの、その後間隙水圧 は負に転じ、体積膨張の傾向がみられた。図-2 で示した密度の違いによる破壊包絡線の差異は、せん断時の 体積変化傾向と関連していると考えられる。堤防材料の三軸圧縮試験の際には、間隙水圧を計測し、有効応力 経路を描くなどして、体積変化傾向を把握することが重要である。今回検討対象としたような砂質土で、よく 締まった堤防の場合、CUB 試験は非排水条件であるため負圧の発生によりモール円が大きくなるが、実際の 河川堤防で部分的に排水条件の場合には、非排水のせん断強度を用いると過大評価となる懸念がある。密な堤 防の強度の評価については、模型実験等と比較して検証する必要がある2)

5.まとめ 砂質土堤防の円弧すべり安定計算に使用するせん断強度を検討するため、低拘束圧のCUB試験 を行った。その結果、実際の堤防で想定される低拘束圧領域を考慮することで、より適切にせん断強度を評価 できる可能性が示された。また、せん断時の体積変化傾向によっては、密な堤防の非排水強度が大きくなるた め、間隙水圧を適切に計測し、体積変化傾向を把握した上でせん断強度を設定することが必要と考えられる。

参考文献 1)財団法人国土技術研究センター:河川堤防の構造検討の手引き,http://www.jice.or.jp/,2012.2. 2)齋藤、石原、

塚本、佐々木:密な砂質土堤防の浸透安全性評価に関する大型模型実験,土木学会第67回年次学術講演会,2012.9,投稿中.

Dc= 85% Dc= 90% Dc= 95%

図-1 モール円の破壊包絡線に及ぼす拘束圧の影響

Dc= 85% Dc= 90% Dc= 95%

図-2 低拘束圧領域におけるせん断強度の比較

Dc= 85% Dc= 90% Dc= 95%

図-3 締固め度の違いによる有効応力経路の比較

0 20 40 60 80 100

0 20 40 60 80

破壊包絡線

①通常拘束圧 c=4kN/m2,φ=12°

②低拘束圧 c=0kN/m2,φ=14°

③有効応力 c=2kN/m2,φ=24°

σ,σ' (kN/m2) τ (kN/m2 )

0 20 40 60 80 100 120 140 160 0

20 40 60 80 100 120

破壊包絡線

①通常拘束圧 c=70kN/m2,φ=16°

②低拘束圧 c=40kN/m2,φ=27°

③有効応力 c=0kN/m2,φ=35°

σ,σ' (kN/m2) τ (kN/m2 )

0 100 200 300 400

0 100 200 300

破壊包絡線

①通常拘束圧 c=170kN/m2,φ=25°

②低拘束圧 c=140kN/m2,φ=35°

③有効応力 c=0kN/m2,φ=36°

σ,σ' (kN/m2) τ (kN/m2 )

(①≒②)<③

③<②<① ③<②<①

0 50 100 150

0 50 100 150 200

(σ'a+σ'r)/2 (kN/m2) (σ'a-σ'r)/2(kN/m2)

0 50 100 150

0 50 100 150 200

(σ'a+σ'r)/2 (kN/m2) (σ'a-σ'r)/2(kN/m2)

0 50 100 150

0 50 100 150 200

(σ'a+σ'r)/2 (kN/m2) 'a-σ'r)/2(kN/m2)

0 200 400 600 800 1000

0 200 400 600 800

破壊包絡線 ①通常拘束圧

②低拘束圧(50kN/m2以下)

σ (kN/m2) τ (kN/m2)

0 50 100 150 200 250

0 50 100 150 200

破壊包絡線 ①通常拘束圧

②低拘束圧(50kN/m2以下)

σ (kN/m2) τ (kN/m2 )

0 100 200 300 400 500

0 100 200 300 400

破壊包絡線 ①通常拘束圧

②低拘束圧(50kN/m2以下)

σ (kN/m2) τ (kN/m2 )

土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)

‑686‑

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参照

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