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序論 湖沼の富栄養化が発生した結果,藻類が大量発

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Academic year: 2022

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(1)Ⅶ-6. 土木学会中国支部第67回研究発表会(平成27年度). 薬剤散布とミジンコの摂食を組み合わせることによる藻類生長抑制効果 鳥取大学大学院 学生会員 ○田口 純也 鳥取大学大学院 正会員. 増田 貴則. 鳥取大学大学院 非会員. 星川 淑子. 1. 序論 湖沼の富栄養化が発生した結果,藻類が大量発. 使用する植物プランクトンは,既存研究で動物プラ. 生してしまい悪臭の発生や景観の悪化,さらに魚類. ンクトンに捕食されることが確認できたことを条件とし. の斃死といった問題が発生している.. た.また,富栄養化湖に生息している植物プランクト. 短期的な対処法として,藻類を削減する場合がある.. ンを使用する必要がある.その結果,緑藻類の一種. しかし,藻類を削減する方法の多くは,設備の設置. であるコナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii. や維持管理費が多くかかることや広大な面積を要す. NIES-2235)を選定した.. る.本研究では,設備の設置・維持管理および処理. 2.3 実験概要. 後の対策が不必要である薬剤散布と動物プランクト ンの摂食による方法に着目した.しかしながら,薬剤. 効果的な藻類削減方法を検証するために,2 つの 実験を実施した.. 散布は水質が変化してしまうこと,動物プランクトンを. 1 つ目の実験として,酸化ランタンと水酸化カルシ. 用いた方法は,多くの個体数が必要であったり水質. ウムのそれぞれにオオミジンコを暴露し,薬剤による. 改善に時間がかかったりするといった問題点が存在. オオミジンコへの影響を確認する遊泳阻害試験を行. している.本研究では,これらを組み合わせることに. った.開始後 0,24,48 時間後に水温,pH,DO,遊. より問題点を補正し合う交互作用が生じると仮定し,. 泳阻害が生じた個体数を測定し,48 時間後に半数. 少量の薬剤散布で効率がよい藻類削減となるか実験. 遊 泳 阻 害 が 生 じ た 際 の 暴 露 量 (EC50) の 推 定 を. で確認することを目的とした.. probit 法により実施した.なお,水酸化カルシウムは. 2. 研究方法. 強塩基であるため(25 ℃飽和状態での pH 12.5),. 2.1 薬剤の選定. pH の影響によるオオミジンコの死滅が懸念される.. 湖沼への散布を想定しているため,水質または底. よって,pH を 6.5~8.5 に調整して実験を実施した.. 質改善が期待でき,また人体や生物に悪影響が少な. 2 つ目の実験は,薬剤散布による効果とオオミジン. い薬剤 2 種類を選定した.. コによる摂食効果の交互作用が働くことによって,少. リンの吸着効果があり,医薬品として使用されてい. 量の散布量で効率的に藻類削減が可能であると仮. る酸化ランタンを選定した.もう一方は,人体への悪. 定して実施した.薬剤散布法およびオオミジンコ(10. 影響が少なく,既存研究において底質改善が確認で. 匹/100 mL)による摂食法のそれぞれ単独の方法で. きた水酸化カルシウムを選定した.. 実施した場合と,少量の薬剤散布(10,50 mg/L)お. 2.2 プランクトンの選定. よびオオミジンコの摂食による方法を同時に実施した. 本研究では,動物プランクトンによる摂食での水質. 場合の藻類削減量を比較した.本実験では,オオミ. 改善を行った.一次生産者である植物プランクトンと. ジンコへの影響と薬剤のコストを考慮し,薬剤散布の. それを捕食する動物プランクトンのそれぞれ 1 種類を. 上限を遊泳阻害試験で推定した EC50 に相当する. 準備した.. 量とした.なお,初期のクロロフィル a 濃度が 50 μ. 使用する動物プランクトンは,摂食効率が高いこと. g/L になるよう藻類を添加し,藻類削減効果は実験開. を条件とした.さらに,既存研究で湖沼の水質が改善. 始 48 時間後にクロロフィル a 濃度を測定し,ブランク. された前例があることも考慮した.その結果,オオミジ. と比較した増減度合いによって判断した.. ンコ(Daphnia magna)を選定した.. ― 447 ―.

(2) 遊泳阻害試験を実施した結果を図 1 および図 2 に 示す.さらに probit 法を用いた結果,オオミジンコの 半数遊泳阻害が生じた際の散布量(EC50)は,酸化 ランタン 197 mg/L,水酸化カルシウムは 444 mg/L という結果となった. (エラーバー:標準誤差,n=3). (エラーバー:標準誤差,n=4) 150. 120 90 60. ✽. 0. ミ ジ ン コ. 60.0 実験条件. ミ ジ ン コ. 197mg/L+. 50mg/L+. 10mg/L+. 197mg/L. ミ ジ ン コ. 50mg/L. ブ ラ ン ク. 40.0. ✽. 30. 80.0. ミ ジ ン コ. 図 3 酸化ランタンでの藻類実験(✽:ブランクと有意差有) 48 時間後のクロロフィル a 濃度(μg/L). 20.0. 0.0 0. 62.5. 125. 250. 500. 1000. 暴露量(mg/L) 図 1 酸化ランタンでの遊泳阻害率 100.0. (エラーバー:標準誤差,n=2). (エラーバー:標準誤差,n=4) 200 150 100 50 0. ミ ジ ン コ. 444mg/L+. ミ ジ ン コ. 50mg/L+. 実験条件. 40.0. 10mg/L+. 60.0. ミ ジ ン コ. 444mg/L. ブ ラ ン ク. 50mg/L. 80.0. 250. 10mg/L. 48時間後の遊泳阻害率(%). 180. 10mg/L. 48時間後の遊泳阻害率(%). 100.0. 48 時間後のクロロフィル a 濃度(μg/L). 3. 実験結果. ミ ジ ン コ. 図 4 水酸化カルシウムでの藻類実験. 20.0. 0.0 0. 25. 50. 100. 200. 4.. 400. 暴露量(mg/L). 結論 それぞれの薬剤の EC50 を求めた結果,酸化ラ. ンタンは 197 mg/L,水酸化カルシウムは pH を 6.5. 図 2 水酸化カルシウムでの遊泳阻害率. ~8.5 に調整した状態で 444 mg/L となった. 藻類削減検証実験の結果を,図 3 および図 4 に示. この値を散布量の上限として,薬剤散布法とオオミ. す.薬品散布法,オオミジンコによる摂食法を単独で. ジンコによる摂食法のそれぞれ単独の場合,さらに,. 実施した場合,さらに少量の薬剤散布とオオミジンコ. 少量の薬剤とオオミジンコによる摂食法を組み合わ. による摂食を組み合わせた方法で実施し,二元配置. せた場合を実施し, 48 時間後のクロロフィル a 濃度. の分散分析および多重比較の一種である Tukey–. を比較した.その結果,どちらの薬剤ともに藻類生長. Kramer 法による検定を有意水準 5%で行った.そ. 抑制効果が現れた.さらに,酸化ランタンの場合では,. の結果,単独の方法での藻類生長抑制が確認でき,. 2 つの方法を組み合わせることにより効率のよい藻類. さらに酸化ランタンの場合では,少量の薬剤と動物プ. 削減が見られた.しかし,分散分析を実施した結果,. ランクトンの摂食を組み合わせることにより効率のよい. 交互作用項での有意な差が見られなかった.このこと. 藻類生長抑制および削減効果の可能性が確認でき. から,組み合わせることによる交互作用があるとは断. た.しかし,交互作用項において有意な差が見られ. 言できない結果となった.. なかった.. ― 448 ―.

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