博士学位論文
内容の要旨
および
審査結果の要旨
平成 26年3月
近畿大学大学院
医学研究科
杲割蔀本暖科案⑦干斜
氏名(生年月日) 籍 本
博士学位論文審査結果の報告書
博士の専攻分野の名称
学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件
とう
藤智麿 大阪府
学位論文題目
とも まろ
医学 医第Ⅱ59号
平成26年3月20日
学位規程第5条第2項該当
(昭48.10.29生)
審査委員
Prognostic factors and status of hormone receptors and angiogenic factors in uterine
Carclnosarcolna
(子宮癌肉腫における予後因子およびホルモン受容 体と血管新生因子発現)
主査=万代 副主査=梶
副主査=中川和
紀教授 博
‑ 173‑
教授
教授 論文
・江 昌
口
史彦
佃的】
子宮癌肉腫に対する、新たな予後因子および治療法の可能性について検討を行った。
【方法】
子宮癌肉腫と診断した 15例について、エストロゲン受容体α(ER、α)、エストロゲン受容体β(ER、β)、
プロゲステロン受容体(PR)、ゴナドトロピン放出ホルモン受容体(GnRHR)、血管内皮増殖因子(VEGF)、
血小板由来内皮細胞増殖因子(PD・ECGF)、および血小板由来増殖因子受容体β(PDGFR、β)の免疫組 織染色を行い、臨床病理学的に検討した。
【結果】
ER・α、 ER・βおよびPRの発現頻度は、癌成分と肉腫成分との間に有意差は認められなかった。しかし、
癌成分においては有意に VEGF 発現が高頻度であったのに対し、肉腫成分においては PD、ECGF および PDGFR・βの発現が癌成分と比較して高頻度であった。 GnRHRは 1例の肉腫成分において発現が認め られた。さらに ER・β発現、血清CA125 の上昇、 CRP上昇、血小板増加は子宮癌肉腫の予後因子である ことが判明した。
【結語】
抗VEGF療法、抗PD・ECGF療法もしくは抗PDGFR、β療法のコンビネーション治療は、進行もしくは 再発子宮癌肉腫の新たな治療戦略として期待される。また子宮癌肉腫患者において、術前のCA125上昇、
CRP 上昇、血小板増加や、標本における ER・β発現が認められた場合には、再発早期発見のため慎重な 経過観察が必要である。
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公表予定
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内 容
出版物の種類及び名称
文
出版物名
Journal of obstetrics
and Gynaec010gical Research
25年月日発行予定
博士論文の印刷公表
論文審査委員
主査
博士学位論文審査結果の要旨
副主査
副主査
教授
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副査
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学位申請者
教授 教授
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名
博士の専攻分野 の名称
江藤智麿
学位授与の要件
(医学系女性機能病態・周産期医学
学位論文題目
子宮癌肉腫における予後因子およびホルモン状態と血管新生因子発現 医
学位規程第5条第 2 項該当
‑ 176‑
近畿大学大学院医学研究科
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学
本研究は、子宮癌肉腫におけるホルモン受容体(ERa、駅β、眼、GnRH田や血管新生因子(V恥F、
PD‑ECGF、 PDG殿β)と臨床病理学的因子との関連を検索し予後に関する因子を明らかにすること、
およびこれらの受容体や血管新生因子と関連する新たなる治療の可能性を検討することであり、下 記の結果を得ている。
1
審査結果の要旨
ER・α、 ER・βおよび PR の発現頻度は、全体の 26.フ%、 60.0%および40.0%であり、癌成分 と肉腫成分との問に発現頻度の有意差は認められなかった。GnRHRは1例の肉腫成分におい て発現が認められた。一方、血管新生因子の検討では、 PD・ECGF、 PDGFRβおよび VEGF は全体の66.フ%、 86.フ%および100%において発現が見られた。癌成分においてはVEGF発現 が有意に高頻度であったのに対し、肉腫成分においては PD・ECGFおよびPDGFR・βの発現 が癌成分と比較して高頻度であった。
検討された血管新生因子は、近年の分子標的治療においても重要視されている因子であり。ま た現在ERβの機能は解明されていない部分も多いが、治療標的としての研究が行われている。
これらの因子が子宮癌肉腫においても発現が見られることを示したことは、今後の子宮癌肉腫 の新たなる治療展開として期待がもてる。
2.臨床病理学的検討の結果、進行期、筋層浸潤、 ER・β発現、血清CA125 の上昇、 CRP上昇、
血小板増加は子宮癌肉腫の予後因子となる可能性が示唆された。
進行期、筋層浸潤が子宮癌肉腫における予後因子であることはこれまでも報告がなされてきた ことであるが、 ERβが予後不良因子となるととは興味深い点である。とれらの因子は予後不 良であることを推測するのに有意義であり、早期症例においても再発、死亡の見られる子宮癌 肉腫においては、生検段階での診断や進行の予測、また追加治療を選択するうぇも有用である
と考えられる。
子宮癌肉腫は稀な子宮体部悪性腫傷で、また進行再発例は治療抵抗性を示す予後不良な悪性腫癌で あり、生物学的特性など未だ不明な部分も多い。本論文はサンプルサイズとしては小さいものの、
ホルモン受容体および血管新生因子が、子宮癌肉腫の新たなる予後や治療標的となる可能性を示し たことは有用であり、学位の授与に値するものと評価できる。