髄膜腫におけるゴナドトロピン放出ホルモン受容体 (GnRH‑R)およびゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH) の発現と細胞増殖に対するGnRHの効果 : 臨床病理 学的ならびに培養細胞を用いた検討
著者 廣田 雄一
著者別名 Hirota, Yuichi
雑誌名 博士学位論文要旨 論文内容の要旨および論文審査
結果の要旨/金沢大学大学院医学研究科
巻 平成16年7月
ページ 10‑10
発行年 2004‑07‑01
URL http://hdl.handle.net/2297/15814
甲第1590号 平成15年6月30日 廣田雄一
髄膜腫におけるゴナドトロピン放出ホルモン受容体(GnRH-R)およびゴナドトロピン放出 ホルモン(GnRH)の発現と細胞増殖に対するGnRHの効果
一臨床病理学的ならびに培養細胞を用いた検討一
学位授与番号学位授与年月日 氏名 学位論文題目
宏樹
純正安主査
副査
教授 教授 教授
山下 井上 中沼 論文審査委員
内容の要旨及び審査の結果の要旨
ゴナド.トロピン放出ホルモン(gonadotropm-releasmghormone,GnRH)およびその受容体(GnRH receptor;GnRH-R)は、乳癌、子宮癌、前立腺癌などの性ホルモン依存性腫瘍に共に発現し、その自己分 泌機構により細胞増殖の制御機構を担っており、そのスーパーアゴニストを用いた癌のホルモン療法が、現 在実用化されている。髄膜腫(meningioma)は、中高年女性に好発する良性脳腫瘍であり、以前も性ホル モンの関与が示唆されていた。本研究では、髄膜腫82例を対象にGnRH-RおよびGnRHの発現を免疫 組織化学法と逆転写(reversetranscription,RT)PCR法を用いて検討した。同時にプロゲステロン受容 体(progesteronereceptorbPgR)、エストロゲン受容体(estrogenreceptonER)と増殖能の指標である Ki-67の免疫組織化学的検討および臨床病理学的事項との相関についても併せて検討した。髄膜腫にお けるGnRH-Rの機能を評価するため、髄膜腫6例を細胞培養し、GnRHのアゴニストおよびアンタゴニスト 投与による細胞増殖解析を行った。
髄膜瞳におけるGnRH-RのmRNAおよび免疫組織化学的発現は、それぞれ100%と95%であり、
GnRHのmRNAおよび免疫組織化学的発現は、86%と60%であった。GnRH-RとPgRの免疫組織化学 的発現間に、正の相関関係を認めた。臨床病理学的検討では、GnRHの免疫組織化学的陽性例が男性例 で有意に多かった。培養細胞の6例全例において、アゴニスト投与により有意な増殖を認めた。また、アゴニ ストとアンタゴニストの同時投与を行った3例では有意な増殖はみられず、その作用が受容体を介するもの であることが確認された。アンタゴニストの単独投与ではsGnRHを発現していた1例において細胞増殖抑 制がみられ、自己分泌機構の存在が示唆された。以上より、多くの髄膜瞳はGnRH-Rを発現し、GnRHが 細胞増殖の調節因子の一つとして働いており、一部に自己分泌機構が存在すると考えられ、本腫瘍に対す るホルモン療法の可能性が示唆された。
本研究は髄膜腫においてGnRHおよびGnRHRが細胞増殖の制御機構に関与していることを初めて明 らかにしたものであり、脳腫瘍学の発展に寄与する労作であると評価された。
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