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博士学位論文

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Academic year: 2022

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全文

(1)

博士学位論文

内容の要旨

および

審査結果の要旨

平成 26年3月

近畿大学大学院

医学研究科

(2)

大学院医学研究科博士課程修了者

(3)

氏名(生年河日)

博士の専攻分野の名称

博士学位論文審査結果の報告書

論文

学位授与の日付 学位授与の要件

大阪府

学位論文題目

医学 医第Ⅱ46号 平成26年3月20日 学位規程第5条第1項該当

(昭54.5.10生)

審査委員

Tribl and Trib2 inhibit granulocytic di丘erentiation by suppressing Akt pathway

(Trib1 および Trib2 は AKT のりン酸化を抑制す ることで穎粒球ヘの分化を抑制する)

主査=松村 副主査=西尾和 副主査=光

到教授 人教授 徹哉教授

‑87ー

かないよしたか

金井良高

言口

(4)

佃的】

Trib はシヨウジヨウバエにおける String/CDC25 を調節する分子として発見され、ショウジョウバエの CEBP ファミリーである Slb0 を分解する。 Trib1およびTrib2 (Tribl/2)の過剰発現により C/EBPαが分解されるこ とが白血病の発生に重要であることが既に示されている。しかし、 C/EBPαのノックァウトマウスでは白血病を 発症しないことが分かっている。また、 Akt のりン酸化の亢進が急性白血病発症に寄与すると考えられている。

一方、近年の報告でAktのt舌性が低い状態が白血病の病態に関係することも示されている。

そこで、 Tribl/2が白血病発症に関わるC/EBPαの分解以外の機序を解析することを目的とした。

【方法1

GCSFにより穎粒球ヘ分化するマウスの骨髄系細胞株である32D細胞にレトロウイルスでTribl/2を遺伝子 導入し過剰発現させ、 GCSFによる穎粒球分化およびAktシグナルに与える影響を、形態学的およびフローサ イトメトリーによる細胞表面抗原解析、ウェスタンブロッティングにより検討した。

【結果】

Tribl/2 を過剰発現した 32D 細胞(32D,Tribl/2)において、 GCSF による穎粒球分化が抑制され、また GCSF 刺激による Akt のりン酸化も抑制された。一方、 32D 細胞において、 Akt 選択的阻害剤を用いて GCSFでの穎粒球分化を調ベたところ、 Aktの阻害により穎粒球ヘの分化は抑制され、それはC/EBPαの分 解とは無関係であった。また、 32D、Tribl/2 に野生型C/EBPαを共発現しても完全にはTribl/2 による穎粒球 分化抑制効果を解除することができなかった。

【考察】

Tribν2 の過剰発現により C/EBPαが分解され穎粒球分化が抑制されるが、 C/EBPαを回復させても Tribl/2 による分化抑制は完全に回復しなかったこと、 Tribl/2 過剰発現により Akt のりン酸化が抑制され、

一方でAkt を阻害することで穎粒球の分化が抑制されたことから、 Tribν2 は少なくとも一部は Aktりン酸化 の抑制を介して穎粒球ヘの分化を阻害すると考えられた。

【結論】

Tribl/2はAktのりン酸化を抑制することで穎粒球の分化を抑制すると示唆された。

ノ弌、

2014年

ノ气、

公表予定

全文と要約

出版物の種類及び名称

出版物名

Acta Medica Kinki university

V01.39 NO.1

2014年 発行予定

博士論文の印刷公表

(5)

論文審査委員

主査

博士学位論文審査結果の要旨

副主査 副主査

教授

副査

教授

副査

教授

学位申請者

教授 教授

',邦く。

^

厘玉ーヨ

つΥ

博士の専攻分野 の名称

金井良高

学位授与の要件

主"、

1一

学系

学位論文題目

Tribl and Trib2 inhibit granuloCⅥic di什erentiation by suppressing Akt pathway

(Trib1およびTrib2 はAktのりン酸化を抑制することで穎粒球ヘの分化を抑制する)

、.'

近畿大学大学院医学研究科

血液・免疫・腎/機能制御学

学位規程第5条第 1 項該当

‑90‑

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﹁リ. 一0

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(6)

Trib はショウジョウバエにおいて Strin8 (CDC25)を分解することによって細胞周期を調整し 形態形成を制御する分子として発見された。また、ショウジョウバエにおいては卵子形成に重要 である Slbo (C炬BP ファミリー)をプロテアゾーム依存的に分解する。噛乳類の TribbleS には 3 つ のホモログ、 Tribl、 Trib2、 Trib3 があり、 TribvTrib2、 TribvTrib3、 Trib2杠'rib3 の間にはアミノ酸

配列においてそれぞれ約71%、約53%、約54%のホモロジーがある。

Trib1は白血病原性遺伝子である H0ね9/MeiS1によるマウス白血病モデルにおいて白血病発症を 加速させる分子として同定された。また、 Trib1あるいはTdb2を遺伝子導入した造血幹細胞をマ

ウスに移植すると、急性骨髄性白血病(AML)を発症することが報告されてぃる。ヒトにおいて は、 AML34例のノーザンブロツト解析で6例(17.6%)にTrib1の高発現を認め、 AML285例のマ イクロアレイ解析で4例(1.4%)にTrib2の高発現を認めた。

Trib1およびTrib2によるAML発症には穎粒球系ヘの分化に必須の転写因子であるC炬BPαの

分解が重要であることを他のグループが既に報告している。しかし、 C恨BPαのノックァウトマウ スではAMLを発症しないため、 Trib1およびTrib2による白血病発症機序は完全には明らかにさ

れていない。

審査結果の要旨

による白血病発症ににおける aEBPαの分解以外の機序を解明するために本研

そこで、 Trib112

究を計画した。

【方法】

ル3依存的に増殖し、 GCSFで穎粒球ヘ分化するマウス骨髄系前駆細胞株である32D細胞を用 いた。 32D にレトロウィルスにより Tribl、 Trib2 を遺伝子導入した。細胞増殖はATPアッセイで 評価した。32Dの顯粒球分化はGCSFの存在下で4日間培養後にFCMでCDHbの発現を解析し、

6日間培養後にメイギムザ染色で形態学的に評価した。 C/EBPαの分解、 AktおよびERKのりン酸

化はウエスタンプロット法により解析した。

(7)

【結果】

Tribν2 を過剰発現した 32D細胞(32D・Tribν2)において、 1L3 存在下ではMock 導入株(32D、

Mock)と比ベて細胞増殖に関しては影響を及ほさなかった。またIL、3 を除去した培地で培養する と、 32D・Tdbν2は32D・Mock と比ベて、より早期に細胞死することが明らかとなった。

32D・Mockおよび32D・Tribν2 をG・CSFで培養すると、32D、TribV2では穎粒球分化が抑制された。

また32D、TribV2はC炬BPαの蛋白量を減少させた。 32D、TribV2 に野生型のC恒BPαを遺伝子導 入し、 C/EBPαを回復させる実験では、コントロールベクター導入群と比ベFCMにてCDHb陽性 率の上昇を認めた(Tribν2:18.8%/14.4%→56.9%/657%)が、 32D、Mock にコントローノレベクター を導入した場合のCDnbの陽性率(78.0%)にさえも及ばなかった。

Tribν2が穎粒球分化抑制に関わる C恒BPα分解以外の機序としてG、CSFシグナルにおける Akt およびERK の影響を見た結果、 32D・Tribl/2はERKのりン酸化を 32D、Mock と同様に認めたが、

Aktのりン酸化に関しては32D・Mock と比ベて5分の 1程度に抑制した。

Akt活性の抑制がG・CSFによる穎粒球分化抑制に影響を及ぽすかをAkt選択的阻害剤のAPI‑2 を用いて検討した結果、 Aktの阻害により G・CSFによる32Dの穎粒球ヘの分化は抑制され、それ はC燈BPαの分解とは非依存的であった。

{考察】

TribV2は過去の報告で、その過剰発現によりマウス移植実験でAMLを発症することが示され ている。しかし、その詳細な機序は完全には解明されていない。中村らはTrib1によるAML発症 にはERKの活性化とそれによる C恒BPαの分解が重要であると報告し、 Keeshan らはTrib2によ るAML発症にはaEBPαの分解が重要であると報告している。 AMLの発症には細胞の増殖や生 存に関わるa郎S1変異と分化に関わるaasSⅡ変異の両者の異常があることが必要と考えられて いるが、C恒BPαの分解のみではClasSⅡ変異の条件しか満たさない。中木寸らの報告ではTrib1はERK を活性化することからそれがa砺S1変異に関わると考えられるが、樹立した32D庁rib112はERK の活性

‑92‑

(8)

化を認めず、細胞の増殖や生存を正に制御しなかった。むしろサイトカイン欠乏状態では

細胞死を促進した。そのことに関しては、中村らはマウスの造血前駆細胞においてERKの活性を 検討しており、細胞株と初代培養細胞との違いやTribν2がAktのりン酸化を抑制することで細胞 の増殖や生存が抑制されたためと考えられた。

まとめると、 Tribν2 の過剰発現により C炬BPαが分解され顯粒球分化が抑制されるが、 CIEBP αを回復させてもTribν2による分化抑制は完全に回復しなかったこと、Tribν2過剰発現により Akt のりン酸化が抑制され、一方でAktを阻害することで穎粒球の分化が抑制されたことから、 TribV2 は少なくとも一部はAktりン酸化の抑制を介して穎粒球ヘの分化を阻害すると考えられた。

【結論】

本研究により Trib1およびTrib2はC炬BPαを分解することに加えてAktのりン酸化を抑制する ことで穎粒球分化の抑制に関与することが明らかになった。

最近、 Aktのりン酸化が抑制されていることが、ある種の白血病細胞の未分イヒ性の維持に寄与す ることが報告されており、申請者がTrib1およびTrib2の穎粒球分化障害に貢献する新たな異常を 明らかにしたことは意義深く、本研究は学位を授与するに値する。

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