ア ン チ セ ン ス核 酸 工 学 に よ る リ ン ゴ 果 実 の 完 熟 抑 制 に 関 す る研 究
(研究課題番号:
0 7 6 6 0 0 0 3 )
平成7年度〜平成 8年度科学研究
費補助金 基盤研究
( C)
( 2)
研究成果報告書平 成
9
年3
月アンチセ ンス核酸工学 による リンゴ果実の 完熟抑制 に関す る研究
研究組織
研究代表者 :原 田竹雄 (弘 前大学農学部助教授 ) 研究分担者 :な し
研究経 費
平成
7
年度1 , 700
千 円 平成8
年度6 0 0
千 円計
2, 300
千 円研究発表等 (1)学会誌等
Ge no mi cnuc l e ot i d es e q ue n c eofar l pe nl n g‑ r e l a t e d1 ‑ a mi noc yc l opr o pa ne ‑ 1 ‑ c a r boxyl a t es ynt ha s ege n e( Md ACS‑ 1 )i na ppl e . Ha r a daT
,Su na k oT
,Sa kur a ba W
,Got oS
,Se n d aM
,Aka d aS
,I s hi ka waR
,a ndNi i z e kiM ( 1 997 )Pl a ntPhys i o
l.( i mpr e s s )
( 2)
口頭発表原 田竹雄 ・砂子智美 ・千 田峰 生 ・石川隆二 ・赤 田辰治 ・新 関稔 リンゴの ライ ブニ ング型
ACC
合成酵 素遺伝子 の構造解析日本育種学会
9 0
回講演会 東北大学1 99 5
年1 0
月吹
Ⅰ
.はじめに1‑2
Ⅲ.
リン ゴACS
遺伝 子族 の構成 比 較 ‑‑‑ ‑‑‑‑‑‑ ‑‑‑‑‑3‑7
Ⅲ . リン ゴ
ACS
遺伝 子 を含 む入
フ ァー ジ ク ロー ンの解 析 ‑8 ‑1 3
Ⅳ.
リン ゴ ライ ブ ニ ング型ACS
遺 伝 子 の塩 基配 列 ‑ ・‑‑‑‑1 4‑1 7
V.
おわ りに ‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑・‑‑‑‑‑1 8‑1 9
摘 要 ‑‑‑‑‑ ‑‑‑・‑ ‑‑‑‑‑‑ ‑‑‑‑ ‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑ ‑‑‑24
参 考 資 料 ‑ ‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑ ‑ ‑‑‑‑‑‑ ‑‑‑ ‑‑‑‑‑‑‑‑
38
l. は じめに
リンゴは栽培の歴史 も古 く、多 くの国で栽培 されている。我が国では生産額の約半分は 青森県で 占め られてお り、 この リンゴ産業 を支える様々な試験研究が県立 りん ご試験場や 弘前大学などで行われている。リンゴの育種 においては、主として食味、耐病性、多収穫、
栗色 に加えて、熟期や貯蔵性が常 に関心がは らわれてきた。 これは、晩熟巣 は貯蔵性が高 く、 しか も気温の低下 と伴 に、熟度 の進み方 も緩慢 となる ことに関係する。すなわち、貯 蔵性のある品種 は、販売期間が長 い ことにな り、出荷の調整が容易であるという大 きな利 点を有す るか らである。
ライブニ ングは果実 の肥大生長が止 まってか らの有機酸の消失、細胞 の軟弱化な どの生 理現象過程 をいう。 リンゴの成熟 はライブニ ングに伴 って呼吸量が急激 に上昇す るク リマ
クテ リック型であ り、他の このタイ プの果物 と同様、植物ホルモ ンであるエチ レンが ライ ブニング過程へのプログラムスイ ッチであることが判 っている。 この ことか ら、 リンゴの 成熟や貯蔵性 はエチ レンの生合成 と密接な関修 にある。 もし、エチ レンの生合成 を リンゴ 果実内で制御す る ことが可能 となれば、 トマ トでの成功例 と同様、果実のライブニ ングを 抑制す る ことに繋が り、その経済的な価値 は極めて大きな ものとなろう。また、エチ レン はス トレス応答 に関わ る植物ホルモ ンとして も古 くか ら知 られている。すなわち、物理的 傷害、病原菌の感染、湛水な どの様 々な ス トレスを受けると一過性 のエチ レン 生成の増 加が起 こり、 このエチ レン増加 に伴 い生理的あるいは生化学的な応答反応が引き起 こされ る。また、花弁の萎凋、茎葉の老化 に対するエチ レンの影響 は、作物の栽培管理や生産 物の流通上極めて重要な問題であ り、その生合成の制御機構 を解明す ることはライブニ ン
グの制御 のみな らず、様々な農学的観点か らも大きな意義 を持つ ことになる。
高等植物では、エチ レンは メチオニ ン‑
S‑
アデ ノシル メチオニ ン( SAM)
‑1‑
アミノ シクロプロパ ン‑ 1‑カルボ ン 酸( ACC)
‑ エチ レンの経路で生合成 される( Ya nge ta
l.1 984
)。 この経路 にはSA
M か らACC
を生成す るACC
合成酵素 (S‑ a de nos yl ‑ L‑ me
山i oni n e me t h yl t hi oa de nos i ne ‑
1ya s
e,EC4. 4. 1. 14
) と、ACC
か ら エチ レンを生成す るACC
酸化酵素が関与 しているが、
ACC
酸化酵素の活性は葉や茎の組織 中に常時存在 しているのに対 し、ACC
合成酵素の活性 は エチ レン生成 に比例 して上昇す ることか ら、 このACC
合成酵素が エチ レン生合成系の律速酵素 とされている。従 ってACC
合成酵素の発現 を人為的に操作 す ることによ りエチ レン生成 を制御できる可能性が示唆 され、そのためにACC
合成酵素( ACS)
遺伝子 の単離が試み られた。1 989
年 にSa t oe ta
l.( 1 989)
によって カボチ ャのACS
遺伝子が初めて クローニ ングさ れて以来、 トマ ト( 01 s one ta
l.1991,Rot t ma nne ta
l.1 991)
、カーネー ション( Ky e ta
l.‑ 1 I
1 992)
、アラビ ドプシス (Li a nge ta l .1 992
,Va nDe rSt r a e t e ne ta l .1 992)で分子 レベルの解
析が進み、 これ まで に①ACS
遺伝子 は多重遺伝子族 を構成 している、② 個 々のACS
遺 伝子 はオーキシン や ライ ブニ ング、傷害な どの刺激 に対 して特異的に発現す る、③ACS
遺伝子 の発現 は転写 レベルで制御 されていることな どが明 らか にされてきた。その一方 で、遺伝子工学的手法 を用 いてACC合成酵素遺伝子 の発現 をアンチセ ンス R NA
によっ て抑制 した形質転換 トマ トは、果実の エチ レン生成 を抑 える ことによ りライ ブニ ング を 抑制す る ことが判明 し( Oe l l e re ta l .1 991 )、 ク リマクテ リック 型果実 とエチ レンの関係
は分子 レベルで証明 された。そ こで本研究では、アンチセ ンス 核酸工学 (横 山
1 994)
による過熱防止措置 を施 した リンゴの作 出を目指 してACS
遺伝子の構造解析 を行 った。 リンゴではすでにライブニ ン グ 時の果実で発現 して いるACS
遺伝子 のc DNA
の塩基配列( Do nge ta l .1 991;
IAy‑ Ye ea nd Kni ght on1 995)が報告 されて いるが、ACS
遺伝子族の構成お よびそれ らの遺伝子領域 の 塩基配列 に関 しては これ まで解析が行われていない。 このため、 リンゴACC合成酵素遺
伝子族の構成 を明 らか にす るために、栽培品種間および種間で同酵素遺伝子族 の構成比較 を行 い、次 に個 々の遺伝子 をそれぞれ単離 し、制限酵素地 図を作製す る ことによって構造 解析 を進めた。最後 にライ ブニ ング型ACS遺伝子 の塩基配列 を明 らかに し、対立遺伝子の存在 とそれ らの特徴 について得 られた知見 を報告す る。
l l . リンゴ ACS 遺伝子族 の構成比較
ACS
遺伝子 は トマ ト( Li nc ol ne ta
l.1 993)
や カボチ ャ( Hua nge ta
l.1 991 )
、アラビ ドプシス
( Abe le ta
l・1 995)
、イネ( Za r e mbi ns kia nd
The ol ogi s1 993)
等でクロー ン化 され、個 々の遺 伝子 に関 して詳細な解析が行われてきた。 しか しなが らこれ らの研究では、品種間でのACS
遺伝子族の構成比較 はされていない。 リンゴ栽培品種では貯蔵性が重要な課題 と なっているが、貯蔵性の悪 い品種 は貯蔵性 の良い品種 と比較 してエチ レン 生成が多 い ことか ら
( Kondoe ta
l.1 991 )
、エチ レン生合成が貯蔵性 に関与 している ことが示唆 されて いる (横 田1 98 5)
0ACC合成酵素は エチ レンの生合成 を司る重要な酵素であ り、品種 によ り
酵素の活性 に差がみ られ る場合、その遺伝子領域 は貯蔵性 に優れた リンゴ品種 を識別す る上で重要な分子 マーカー にな る可能性がある。 また、近年、PCR技術の開発 によ り目 的の遺伝子領域の増幅が可能 にな ってきた。そ こで本章では、PCR法 によ り リンゴのACS
遺伝子 の一部 を増幅 し、実際に同酵素遺伝子 の一部である ことを確認 した後、その 増幅DNA
を プロー ブに用 いて 、 リンゴ栽培品種および野生種 についてRFLP分析 を行
なった。材 料 お よび方 法 1.供試材料
リンゴ栽培種 (M
a l u sd o me s t l ' c a L.Bor kh)1 4
品種お よび野生種( M.hu pe he DS l ' s Re hde r )
を供試 した 。 これ らの材料 は弘前大学農学部付属藤崎農場および青森県 りん ご試験場から分譲 して頂 いた。
2.DNA
の調製Va r a da r a j a ne ta
l.( 1 991 )の方法 に従 って成葉 よ り調製 した。すなわち 1g
の試料 を液体 窒素中で磨砕後、緩衝液( 1 00mM Tr i s ‑ HClpH8. 0
、50mM EDTA、500mM NaC
l、0.1 % 2
‑}ルカプ トエタノール、1
. 6 % SDS)
に懸濁 し、65℃ で1 5
分間保温 した。 これ に酢酸 カ リウムを加え、185 ℃
で5
分間静置 した後、4℃、15, 000 r pm
(アングル ローター、75孤 )
で2 0
分間遠心 した。上清 に イ ソプロパ ノール を加 え、‑8 5℃
で1 0
分間静置 した後、4℃、14, 500r pmで 20
分間遠心 した。 沈殿 をTE ( 50
mMTr i s ‑ HCI pH8. 0
、10mMEDTA)
緩衝液 に溶解 し、4℃、14, 500 r pm
で1 0
分間遠心 した後 、上清 に酢酸 ナ トリウム と イ ソ プロパ ノール を加 え、4℃、14, 500 r pm
で1
分間遠心、した。沈殿 をTE ( 1 0mM Tr i s ‑ HC
l、1‑ 3‑
mM EDTA)緩衝液 に溶解後 、Cs C1 2 ‑ Et Br
平衡密度勾配遠心 によ りRNAを除き精製DNA
を分画 した。3.PCR反応および増幅断片のクローニ ング
リンゴ
ACS
遺伝子のc DNA
の塩基配列( Donge ta l ・1 991)
をもとに遺伝子特異的なプ ライマーを合成 し、栽培品種 ・ゴールデ ンデ リシャス 'の成葉か ら調製 したDNA
を鋳型 にPCR反応 を行 った。 すなわち、1 0ng
のゲ ノミックDNAを25〟
1のPCR反応液 ( 1 0
mM Tr i s ‑ HCIpH8・ 9
、80mM KCl、1・5mM MgC1 2
、200L LM dNTPs
、0・25〟M
プライマー、0. 625Uni t sTt
hDNAポ リメラーゼ) 中で、94℃
、1分 ‑50℃、1
分 ‑72℃
、1分の反応 を 35サイ クル継続することによ り・ リンゴACS
遺伝子の増幅 を行 ったo増幅DNA
はTA
クローニ ングキ ッ ト(I n vi t r oge n)
を用 いて、pCRTM
ベクター に連結 した後 、CaC1 2
法 にょ り大腸菌 に導入 して クロー ン化 を行 ったo
4.
塩基配列決定法クロー ン 化 した増幅
DNA
は、AutoRe a dSe que nc i ngK it ( Pha r ma c i aBi o t e c h)
を用 いて シーケ ンス反応 を行 った。 シーケ ンス反応物 をAL・ F・ DNASe que nc e r
ll( Pha ‑ a c i d Bi ot e c h)
によって読み取 った後、ALFMana ge r TM ( Ve r s i on 2・ 21 Pha r ma c i aBi ot e c h)
を用 いて 解析 を行 った。5.RFLP
分析1 0〟g
の ゲ ノミックDNA
に50uni t s
の制限酵素を加え、全量1 00ul
の反応液 中で完全 分解 した。電気泳動は0・ 5
% 又は0・ 8
% 水平平板 アガ ロースを用 いて、16Vで 1 8
時間 行 った。泳動終 了後、ゲル を トランス ファー台にのせ、アルカ リ トランス ファー液( 0・ 4 M Na OH)
によ り一晩 プロテ イングを行い、変性DNA
を ナイ ロンメンブ レン( Hy bond‑
N+)上に固定 した。次にクロー ン化 した増幅 DNA
をECLdi r e c tn uc l e i ca c i dl a be l l i nga nd de t e c t i o ns ys t e m ( A me r s ha m)
を用 いて標識 し、DNAプ ロー ブ としたoハイ プ リダイゼイションに当たっては、フィル ター をあ らか じめ
ECLd i r e c tnu c l e i ca c i dl a be l l ‑ i nga ndd e t e c t i o n s ys t e m
の ブロッキ ング溶液 中で42℃
、1時間以上保温 した後、DNAプローブを加え、 さらに
1 2
時間以上保温 した。ハイ プリダイゼイ ション 後 フィルター を6M
尿素 と0・ 4 % sDS
、2× SSC
の混合液で42℃
、2 0
分間ずつ2
回洗浄 し、さ らに2 × SSCで室温・ 5
分間ずつ
2
回洗浄 した後、発光反応 を行 い、Hype rf i l m
上で約1
時間半感光 させたo結果お よび考察
1.PCR法 による リンゴ ACS
遺伝子領域の増幅pcR法 によ りACS
遺伝子 の一部 を増幅 した。 リンゴでは ライブニ ング時 に果実内で 発現 しているACC合成酵素の c DNA
の塩基配列( Donge ta
l・1 991)がすでに報告 されて
いることか ら、その配列 を基 に遺伝子特異的なプライマー を合成 した。セ ンスプライマー には
c DNA
の64bp‑8 3bp
までの配列[ 5' ‑ TACCATGAGGTCCTCAACAC‑ 3' ]
を、アンチ セ ンスプライマー には324bp‑305bpまでの相補配列 [ 5' ‑ GGTGAGCACTAAGTGG
TrGG
‑ 3'
】を用 いた。PCR反応を行 った ところ、51 4bpの DNA
が特異的に増幅 された( Fi g.1 )
。 しか しな が ら増幅DNAの大 きさが予想 され るサイズ ( 261bp)
よ りも大 きかったため、増幅断片 の塩基配列 を決定 した。その結果、 この増幅断片上の2
ヶ所 に、cDNA上にはない未知の
配列が存在 した。1つは大きさが1 21bpあ り、c DNA
の1 20bp目と 1 21bp目の間に、 も
う
1
つは大 きさが1 32bp
あ り、cDNA
の252bp目と253bp
目の間にそれぞれ存在 した。これ らの境界 にはスプライス部位 の共通配列
( 5' J GTイ ン トロン AGJ3' )が存在 してい
た ことか ら、 この2
つの配列 は イ ン トロンであると考 え られた。 さらにこの ことは トマト
( Li nc ol ne ta
l.1 993)
や カボチ ャ(Hua nge ta
l.1 991 )
、アラビ ドプシス(Ab e le ta
l.1 995)
、イネ( Za r e mbi ns kia ndThe ol ogi s1 993)
な どで も同一部位 に イ ン トロンが存在 している事実か らも裏付 け られる。
また、塩基配列 を決定 した結果、増幅
DNA
の塩基配列 とDo nge ta
l.( 1 991)
が報告 し ているc DNAの塩基配列 との間に 2
ヶ所の相違が兄 い出された。ひ とつは、cDNAの 274 bp目が Aであるのに対 し、我 々の結果では Gであった。 これ はコ ドンの 1
番 目に存在する塩基であ り、uni
ve r s a l c ode
に従えばDong ( 1 991 )
らのcDNAの データでは リジン、我々 のデータではグルタ ミン酸 に翻訳 され る。 ライブニ ング時に発現す る リンゴACC合成酵
素に関 してはすで に アミノ酸配列 の一部が報告 されてお り( Donge ta
l.1 991 )、我々の結
果の方が この ア ミノ酸配列 と一致す る。 一方、 もうひ とつの相違 はc DNAの 278bp目が T
であるのに対 し、我々の結果ではC
であったが、これ らの相違 はDongetal . ( 1 991 )
か我々の読み とりミス と考 えていたが、I
Ay‑ Ye ea ndKni ght o n( 1 995)
の完全長c DNAの配列 と我々
の配列が完全 に一致 した ことか ら、PCR法 によ り得 られた増幅DNA
はACS
遺伝子の一 部 (イ ン トロンを含む) と確信 した。そ こで以後の解析 には この増幅DNA
を プローブ として用 いた。
2.RFLP分析
‑ 5 ‑
リンゴ
ACS
遺伝子族の構成 を品種および種間で比較するために、 リンゴ栽培種1 4
品種 および野生種1
種( Ta bl el )
の成葉よ りそれぞれ調製 した ゲ ノミックDNA
のHindlH分 解物 に対 してRF LP
分析 を行 った。用 いた プローブはPCR
法 によって増幅 した リンゴACS
遺伝子 の一部領域 (51 4b p)である
。 その結果Fi g.2.
およびTa bl el
に示すよ うなRF LP
が検 出された。Ta bl e1.Re s t r i c t i onf r a gme ntl e ngt hpol ymor phi s msde t e c t e di na ppl ec ul t i va r sa nd onewi l ds pe c i e s . Fr a gme nts i z e sa r ei ndi c a t e di nkbp.
Cul t i va r s De t e c t e df r a gme nt skbp
Typ
eof a nds pe c i e s 9・ 8 6・ 6 4・ 0 3・ 5 3・ 3 b
andpat
ter
nM D o me sl J ' c a l n d o Ori n
J o n at ha n
G ol d e nDel i ci o u s St a r ki n gDel i ci o u s G o r d e nMel o n
T s u g a r u D el i ci o u s T o k o
W hi t eWi nt erp e a r mai n M ut s u
R al l sJ a n et S e ns yu Fuj i
M h u pe h e D S i s
I I I I I I l I I I I I I I V l I l I I I I I I I I I I I l I I
Hi n d
H で検 出されたRFLP
は、①3. 3kb
のバ ン ドが検 出され るもの (印度、1品種;Ty pe
l)、②3. 3kb
と3. 5kb
の バ ン ドが検 出され るもの (ゴールデ ンデ リシャス、王林 、
つがるほか7
品種;Ty pe
H)、③3. 5kb
の バ ン ドが検 出され るもの (国光、ふ じ、千秋 の3
品種;Ty pe
‖)、④4. Okbの バ ン ドが検 出され るもの ( M・hu pe he DS I s; Ty pel V)
の4
つの タイプ にわかれた (Fi g.3
、Tab l el )
0さらに、 これ らの
RFLP
パター ンを各 タイプ 間で比較 した ところ、Ty pe
"はTy pe
J とType H
のバ ン ドを共通 に有 していることか ら両者 のヘテ ロ型である ことが示唆 された.そ こで
Ty pe
JJlの バ ン ドパター ンを示す ̀国光 'に Ty pe
lの バ ン ドパ ター ンを示す ̀印度 'を掛 け合わせた品種 ̀甘錦 'につ いて も同様 にゲ ノミックサザ ン 分析 を行 った とこ ろ、 ̀甘錦 'は
Ty pe
llの バ ン ドパター ンを示 した( Fi g.3)。 この結果か ら、Ty pe
llはTy pe
lとTy pe
Hのヘテ ロ 型 であると考 え られ、 リンゴ の栽培品種間で検 出されたRFLPは Ty pe
l、Type
Hの2
つのホモ 型 とその間に形成 され るへテ ロ 型( Ty pe
ll)か ら 構成 されている ことが示唆 された。また、野生種 の
M・hu pe he DS l ' S
でTy pe
lの栽培品種で検 出 された3. 3kb
のバ ン ドが検 出された。 この ことは リンゴACS
遺伝子族の進化や多型の成 因、 さらには栽培品種への 分化 との関連 を考 える上で興味深 い結果 といえる。最後 に、 これ らの多型 と貯蔵性 との関係について も検討 したが、た とえば貯蔵性が
1
カ月程 しかな い ̀千秋 'が、貯蔵性の良い ̀ふ じ'や ̀国光 'と同 じ バ ン ドパター ンを 示すな ど、 これ らの多型 と貯蔵性 との間には明確な関係 は見 られなか った。実際、貯蔵性 には多 くの要因が関与 してお り、ACS遺伝子族のRFLPのみで品種間の貯蔵性の差 を説
明す ることはできないと思われる。 しか しなが ら、 これ らの多型が茎葉の老化な ど貯蔵性 以外 の形質 に関与 している ことも十分 に考 え られ る。今後 はさ らに多 くの栽培品種および野生種 を供試す ると同時 に、複数の制限酵素を用 いたよ り詳細な
RFLP分析 を行 う必要がある。
‑ 7‑
日 . リンゴ ACS 遺伝子 を含む 入 ファー ジクロー ン の解析
ACS 遺伝子 は多重遺伝子族 を構成 してお り、 これ まで に トマ トで 6 つ ( Rot t ma nne t a
l.1 991 ; Mor ia ndl ma s e ki 1 99 4) カボチ ャで 2 つ ( Hua nge ta
l.1 991) 、ア ラ ビ ドピシス で 5 つ ( Li a n ge ta l . 1 992) 、イネで 3 つ ( Za r e mbi ns kia nd T he ol ogi s 1 993) の遺伝子 が ある と報 告 されて いる。一方 、 リンゴで は ライ ブニ ング時 に発現す る遺伝子 ( hy‑ Ye ea nd
Kni gh t o n 1 9 95; Ros e nf i e l de ta
l.1 996) と、オーキ シン によ り誘導 され る遺伝子 ( Donge ta
l.1 991
, Kim e t a
l.1 992) の 2 つが報告 されて いるのみで、遺伝子族 の構 成 に関 して の知見 はほ と ん ど得 られて いな い。
また、前述 したよ うに、 リンゴ 栽培 品種 間お よび種 間で ACS 遺伝子 領域 の一部 をプ ロー ブ に用 いた場合 RFLPが検 出 されたが、 この成 因の特 定や 、実 際 これ らの構造変 異 が ACC合成酵 素 の機能やそ の遺伝子発現 に及 ぼす影響 を知 るた め には、個 々の ACS 遺伝 子 の構造解 析 が必要で ある。 また、将来 、エチ レン 生成 を司 る ACS 遺伝子 の ア ンチセ ン スN A を ライ ブニ ング 時 のみ発現 させ る ことによ って 同酵 素遺伝子 の働 き を抑制 し、
長期保存 の可能 な リンゴ果実 を作 出す るため には、 トマ トの場合 と同様 に ライ ブニ ング 時 に発現す る ACS 遺伝子 を単離 し、そ の プ ロモー ター領域 を含 む遺伝子全領域 を詳細 に 解 析す る必要が ある。 しか しなが ら、 リンゴ の場合 ライ ブニ ング時 に発現す る同酵 素遺 伝子 の c DNA配列 は 3 種報告 されて いる ものの ( I Ay‑ Ye ea nd
Kni ght on 1 995; Ros e nf i e l de ta
l.1 996) 、プ ロモー ター領域 を含 む遺伝子 全領域 につ いて は全 く知見 が得 られて いな いのが 現 状で ある。
したが って 、 これ らの解 析 を行 う上で リンゴ の ACS 遺 伝子族 を構成す る個 々の遺伝子 全領域 の ク ロー ン化 な らび に塩基配列 レベル の解 析が必要 とな って くる
。そ こで、 リン ゴACS 遺伝子族 を構成す る個 々の遺伝子 全領域 を ク ロー ン化す る 目的で 、栽培 品種
̀ ゴールデ ンデ リシャス 'を用 いて ゲ ノミ ックサザ ン解析 を行 い、 リンゴ ACC合成酵 素 遺伝子族 の構 成 を明 らか に した。 さ らに、ゲ ノミ ック ライ ブ ラ リー を作製 し、そ こか ら同 酵素遺伝子族 の遺伝子 を含 む 入フ ァー ジクロー ンをス ク リーニ ング して個 々の遺伝子 ク
ロー ンを単離 し、制限酵 素地 図 によ る構 造解 析 を行 った。
材料および方法
1.供試材料
本実験 には栽培 品種 ̀ゴールデ ンデ リシャス 'を供試 した。ゲ ノミ ックDNA の調製お よび ゲ ノミ ックサザ ン解 析 は、 I lに述 べた方 法 によった。
2. ゲ ノミック ライ ブ ラ リー の構築お よびス ク リー ニ ング
ゲ ノミック DNA を制 限酵 素 Sa u3 A
lで部分分解 した後 、パ ー シャル フィルイ ン 処理 を し、 入 FI X ‖/ Xho
IPa r t i a lf i l 1 ‑ i nVe c t orK it( STRATAGENE) の 入 FI X
Ilベ クター 中の Xho
Jサイ トに連結 した。Gi ga pa c k
HGol dPa c ka gi ngEx t r a c t( STRATAGENE) を用 いて パ ッケイ ジ ング 後 、大腸 菌 XL 1 ‑ Bl ue M RA ( P2)株 に感染 させ 、NZYMM 培地 ( 1 % NZ ア ミン、0. 5 % 酵母抽 出液 、0. 5 % Na C l 、1 0mM Mg S O4 、0. 2 % マル トース) を用 いて 、 37℃ 、一晩培養 しプ ラー ク を形成 させ た。 プ ラー ク を ナイ ロンメ ンブ レン上 に プ ロ ッ
トし、 メンブ ランを アル カ リ変性液 ( 0. 5M Na OH 、1 . 5M Na C l )で変性処理後 、 中和処 理 を施 し、8 0℃ 、2 時 間ベーキ ング を行 った。次 に前章 に述べ た方 法 によ って ク ロー ン 化 した増幅 DNA を DI GDNAhbe l l i nga ndDe t e c t i o nK it( Boe h r i nge rMa n n he i mBi o c he m ic a)
を用 いて標識 し、DNA プ ロー ブ とした。 プ ラー クハ イプ リダイゼイ シ ョン は、 メ ンブ ラ ン をあ らか じめ ハ イ ブ リダイゼー シ ョン 緩衝液 ( 30 % ホルム ア ミ ド、5× SSC 、2×ブ ロッキ ング 溶液 、0. 1 % L う ク リルザ ル コシ ン酸 、0. 02 % SDS) 中で、42℃ 、1 時 間保温 した後 、 DNA プ ロー ブ を加 え、 さ らに 1 2 時 間保温 した。 1 回 目のス ク リーニ ング で は ハイ ブ リダイゼー シ ョン 後 、 メンブ ランを 2× SSC と 0. 1 % SDS の混合液 で室温 、5 分 間ずつ 2 回洗 浄 し、 さ らに 0. 1× SSC と 0. 1 % SDSの混合液で 68℃ 、1 5 分 間ず つ 2 回洗 浄 した。2 回 目のス ク リー ニ ング で は、2× SSC と 0. 1 % SDSの混合液 で室温 、5 分 間ず つ 2 回洗浄 し、 さ らに 0. 2× SSC と 0. 1 % SDSの混合液で室温 、5 分 間ず つ 2 回、 0. 1×
SSC と 0. 1 % SDSの混合液 で 42℃ 、1 5 分 間ず つ 2 回洗浄 した。洗浄後 、発光 反応 を行 い、
Hype rf i l m 上でそれぞれ 2 時 間感光 させ た。
3. フ ァー ジ DNA の調製
ス ク リー ニ ングによ り得 られた フ ァー ジ を大腸 菌 XL1 ‑ Bl ue
MRA ( P2)株 に感染 させ 、 NZYM ( NZY 、1 0mM MgSO4) 液体 培地 中で、37℃、8‑ 1 2 時 間振 とう培養 した。Na Cl
( 終濃度 1M ) とク ロロホルム を加 え、 さ らに 1 0 分間振 とう培養 した後 、1 0, 000 r pm で 1 0 分間遠心 し、上清 に ポ リエチ レング リコール ( 終濃度 1 0 %) を加 え、1 時間氷 冷 した。
‑ 9 ‑
1 2, 000 r pm
で20
分間遠心 した後、ファージ沈殿 を緩衝液( 50
mM Tr i s ‑ HC1
、10mM Na C
l、1 0mM MgC 1 2)
に懸濁 し、クロロホルム処理 した後、上清 に等量の2
×STE ( 8 0
mMTr i s ‑ HCIpH7・ 5
、2% SDS、40mMEDTA)と プロテナーゼK
(終濃度1m
g/ ml )
を加え、70℃、1
5
分間保温 して ファージを破壊 した。 フェノール処理で除 タンパクした後、上清 を エタノール沈殿 し、ファージDNAを得た。4.
プラスミ ドへのサ ブクローニ ングファージDNAとプラス ミ ド
Bl ue s c r i pt KS
十をそれぞれ適 当な制限酵素で完全分解 した。切断 したプラス ミ ドについてはあ らか じめ アルカ リフォスフアタ‑ゼ
( BAP)
によ り5‑
末端 を脱 リン 酸化処理 した。次 にファージ
DNAの制限酵素断片 とプラスミ ドDNA
をDNAuga t i onKi t( Ta Ka Ra )
を用いて1 6℃、一晩連結反応 を行 った後、被感染能 を賦与 し
た大腸菌J M1 09
に加え、E.c o l iPul s e r( BI O‑ RAD)
を用 いたエ レク トロポ レーション 法に よ り導入 を行 った。導入後、大腸菌 を2 ×Y
T液体培地 (1. 6
% パ ク トトリプ トン、1%酵母抽出液、
0. 5%Na Cl )
中に移 し、37℃
、1時間振 とう培養 を行 った後、アンピシリン (終濃度50L
Lg/ ml )
、XIGa l(
終濃度200L
Lg/ ml )
、IPTG
(終濃度200L
Lg/ ml )
を含む2
×Y
T上層寒天培地( 2 ×Y
T、0.8
%寒天)上で37℃
一晩培養 し、コロニー を形成 させ た。形成コロニー の内、白色 コロニー を組換え体 として選抜 した。5.
プラスミ ドDNAの調製白色 コロニーを
2 × Y
T液体培地 (終濃度50L Lg / ml
アンピシ リン)中で37℃
一晩振 とう培養 した。8,000 r p m
で5
分間遠心 し、集菌 した後、上清を捨て、沈殿 をグル コース 緩衝液( 50
mM グル コース、25mM Tri s ‑ HClpH8. 0
、10mM EDTA)で懸濁 した。2
倍量の アルカ リSDS
溶液( 0. 2M Na OH
、1% SDS)を加え、5分間氷冷 し、5M酢酸 カ リウム( pH4. 8)溶液で中和後、氷 中でさらに 1 0
分間放置 した。1 5, 000 r pm
で1 5
分間遠心 して 上清 を回収 し、等量の イソプロパ ノール を加えて‑ 2 0℃
に2 0
分放置後、15, 000 r pm
で1 5
分間遠心 し、プラス ミ ドDNAを沈殿 させた。沈殿物 をT
E緩衝液 に溶解 し、CsC1 2 ‑ Et Br
平衡密度勾配遠心法によ りRNAを除き、精製DNA
を調製 した。結果 お よび考 察
1.ゲ ノミックサザ ン解析
リンゴ
ACS
遺伝子族の構成 をよ り詳細 に解析す るために、栽培品種 ̀ゴールデ ンデ リシャス'の成葉か ら調製 した ゲ ノミックDNAを
5
種類の制限酵素( Bg川
、E00R
l、E0 0RV、Hi ndl l l
、Sac
l)でそれぞれ分解 し、ゲ ノミックサザ ン解析 を行 った。用いたプ ローブ は前章のRFLP
分析で用 いた リンゴACS
遺伝子断片である0その結果、Hi
ndH
では前述の9. 8
、6. 6
、3.5
、3. 3kb
の4
本のバ ン ドが見出されたが、Bgll l
では15. 0
、10. 5
、6.2kb
の3
本のバ ン ドが、E00R l
では3. 7
、2.0
、1.5kb
の3
本の バ ン ド、E00RV
では1 0. 5
、8.8
、7.8
、6.5kbの 4
本のバ ン ド、Sacl
では2 1 . 0
、7.Okb
の2
本の バ ン ド がそれぞれ検 出された( Fi g.4)
。 用 いた プローブDNA塩基配列上にはこ
れ らの制限酵素の認識部位は存在 しないことか ら、 リンゴACS
遺伝子族は少な くとも4
つの遺伝子か ら構成 されていることが示唆 された。ACS
遺伝子では多重遺伝子族 を構成 していることが トマ ト( Rot t ma nne ta
l.1 991 )や
アラビ ドプシス( Li a nge ta l .1 992)な どで明 らかにされている
。 今 回のゲ ノミックサザ ン 解析の結果、 リンゴで も他 の植物種 と同様、複数の遺伝子 によって遺伝子族が構成 されていることが示唆されただけでな く、今 まで リンゴで報告 されているライブニ ング 時に発 現す るもの
( Do ng et a
l.1 991 )
とオーキシンによ り誘導 されるもの (K im et a
l.1 99 2)の他
にさらに別のACS
遺伝子が存在する可能性が示 された。2. ACS
遺伝子 を含む 入ファージクロー ンの制限酵素地図ゲ ノミックサザ ン 解析の結果、 リンゴ
ACS
素遺伝子族は少な くとも4
つの遺伝子か ら 構成 されていることが示唆された。そ こで これ らの個 々のACS
遺伝子の構造 を解析す る ために、栽培品種 ̀ゴールデ ンデ リシャス'の ゲ ノミックライブラリーを作製 し、前章 に詳述 した リンゴACS
遺伝子断片を プローブに用 いて プラークハイブ リダイゼーション を行い、ポジティブプラークを スクリーニ ングした。その結果、約5. 0
×1 05
個 のプラー ク 中で6
個 のポジティブクロー ン を得た (これ らの 入ファージクロー ン をそれぞれ 入AP1 ‑ 1
、人AP
1‑ 2
、 人AP1 ‑ 5
、 人AP2‑ 2
、 人AP2‑ 4
、 人AP31 2
と命名 した)Oこれ らの 入ファージクロー ンについて制限酵素の
Apa
l、Xholを用いて制限酵素地 図を作製 し比較 した ところ、 入AP1 ‑ 1
、 人AP1 ‑ 2
、 人AP1 ‑ 5
に関 しては同一の制限酵素部位 が マ ップできた ことか ら、同 じ ゲ ノム領域 を含んでいると考え られ る。 これ に対 して 入AP2‑ 2
、 人AP2‑ 4
、 人AP3‑ 2
の各 クロー ンはそれぞれ異なる制限酵素部位 を有 していた (Fi g.5)
。 次に各種 の 入ファージクローン 上のどの領域に遺伝子が存在するのか サザ ン 分析で調べた ところ、 入AP2‑ 4と 入 AP3‑ 2
は ファー ジクロー ンの末端部に存在 したのに 対 し、 入APl ‑ 2と 入 AP2‑ 2
は中央部に存在 していた。 トマ トや アラビ ドプシス で報告 さ れているACS
遺伝子の領域は大きくて も3kb程度であることか ら、 入AP l ‑ 2と 入 AP2 ‑ 2
‑ F ) F iL
は遺伝子の全商域 を含んでいる可能性が高いと判断 された。
さ らに、 入
AP2‑ 4
と 入AP3‑ 2
について も遺伝子 の全領域 を含む クロー ンを得 るために、低 ス トリンジェンシー条件下で もう一度 スク リーニ ング を行 った。その結果、さらに
7
つのポジティブクロー ンが得 られた (これ らの 入ファー ジクロー ンをそれぞれ 入AP1 ‑ 6
、人
AP2‑ 1
、 人AP21 3
、 人AP2‑ 5
、 人AP3‑ 3
、 人AP41
1、 人AP5‑ 2と命名 した)
。 これ らの ク ロー ンと前回の スク リーニ ングで得 られた 入AP1 ‑ 2と 入 AP21 2
を制限酵素のEc oR
l、Hi nd
lllで分解 し、サザ ンブロッ ト分析 を行 った ところ、 入AP1 1 6と 入 AP2‑ 5
、 人AP4‑ 1
で は 入AP1 ‑ 2
、 人AP2‑ 2と異なる シグナルが得 られた.そ こで これ らの 入ファー ジクロー
ンについて も制限酵素のApa
l、Xholを用いて制限酵素地図を作成 した ところ、 入AP1 ‑ 6
に関 しては 前回の スク リーニ ングで得 られた人AP3‑ 2と同一の制限酵素部位がマ ップ
できた。 さらに サザ ンブ ロッ ト分析か ら 入A P1 ‑ 6
は遺伝子 の全領域 を含んでいる可能性 が高いと判断 された( Fi g.5)
。 一万、 人AP2‑ 5
、 人AP4‑ 1
は これ まで に得 られた 入ファー ジクロー ンとは異なる制限酵素部位 を有 していたが、遺伝子商域 は末端部 に位置 し ていた。
( Fi g.5)
。 以上2
回の スク リーニ ングによってACS
遺伝子 に相 同な6
つの ゲノム領域 を クロー ン化できた.
次 に、 ライブニ ング 時 に発現す る
ACS
遺伝子 のブローモーター 領域 を含 む遺伝子領 域 を得 るためには、その遺伝子 を含むクロー ン を同定す ることが必要である。 この こと か ら、今回得 られた6
種類の 入ファー ジクロー ンの内、 どの クロー ンが対応するかが重 要 とな る。そ こでまず、 入AP1 ‑ 2と 入AP 1 ‑ 6
、 人AP2‑ 2
領域 中で遺伝子 の全領域 を含 んで いると考 え られ る約8. Okbの Apal断片 をそれぞれサ ブクローニ ングし (
それぞれpAP1 1 2
、pAP1‑ 6
、pAP2‑2と命名)、c DNA上 に サイ トが存在す る Ec oR
l、Hindl l l
およびSa c
lを用 いて制限酵素地図を作製 した
( Fi g.6)
。 その結果、pAP1 ‑ 2
、pAP1 ‑ 6
領域上 にc DNA
の制限酵素地図に対応す る領域が見出された。一方、pAP2‑2
は、cDNA上 に存在す
る
Xhol、Ec oR
l、Hindl l l
およびSa clの制限酵素 サイ トの うち、Xholおよび E0 0R l
サイ トは一致 した ものの、その下流 に存在す るHi ndH
およびSa cl
サイ トは存在せず異 な る制限酵素部位 を有 していた。 しか し、推定遺伝子領域の5'
側上流域ではpAPl ‑ 2と同
一の制限酵素部位 を有 していた( Fi g.6)
. この ことか ら、pAP21 2
は ライブニ ング時 に発 現す るもの とは別のACS
遺伝子であるか、 もしくは偽遺伝子である可能性が高い。また、 これ らの クロー ンについて制限酵素地図を作製 した結果、前述 した、栽培品種 間に見 られた
ACS
遺伝子 の多型の成 因に関 して も知見 を得 ることができた。プローブと ハイブ リダイズす る個々の クロー ンのHi ndH
断片の大きさか ら、pAP1‑ 2
、pAP1‑ 6
、p AP2‑ 2
のそれぞれの クロー ンは、栽培品種 ̀ゴールデ ンデ リシャス'のゲ ノミックDNA
のHi nd
H分解物 に対す る サザ ン分析で検 出された3. 5k b
、3.3k b
、6.6kb
のバ ン ド に対 応す ることがわかった。 この うち、pAPl ‑ 2
とpAP1 ‑ 6
には多型 を示す バ ン ドの ゲ ノム領 域が含 まれている ことか ら、 これ らの クロー ンを詳細 に調べた結果、pAP1 ‑ 6
では推定遺 伝子領域の上流 にあるE0 0R
I‑Hi nd
lll断片の大 きさが、p APl ‑ 2
と比べて約2 0 0bp
短いことがわかった
( Fi g. 3)
. この領域はち ょうど プロモーター商域 に相当しているため、この相違が遺伝子の発現 にどのような影響 を及 ぼしているのか興味が持たれた。
今後 は、遺伝子族 を構成す る個々の遺伝子の全商域 を完全 に含む 入ファージクローン を全て単離 し、塩基配列の解析 を行 うことによって、個 々の遺伝子の発現 について も解析 を行 う必要がある。
‑1 3‑
Ⅳ. リンゴライ ブニ ング型ACS 遺伝子 の塩基配列
前章で明 らか にされた リンゴ
ACS
遺伝子 ファミリーの中で、既報のライブニ ング型ACS
遺伝子のc DNA配列 と一部の制限酵素認識部位および塩基配列が一致す るクロー ン DNAを得ることが出来た。 また、興味あることに、 リンゴ栽培種 には対立遺伝子 と考 え
られた2
種類 のライブニ ング型ACS
遺伝子が存在 し、 これをホモ、ヘテ ロで有す る3グ
ループに分類 された. ̀ゴールデ ンデ リシャス'はへテ ロ型であった ことか ら、 このゲ ノミックライブラリーか らACSを含む
2
種のクロー ンを得 る ことが出来た。 このうち一方 のpAP1 ‑ 6
はc DNA
の制限酵素地図と完全 に一致す るが、PAP1‑ 2
はSa c I
の下流にXho
I 認識部位があること、またプロモーター と予想 される領域では、PAP1‑ 6に比べて約 200 bpほど長いことが確認 された。既報の ACSc DNA
は、我々が実験材料 として使用 した栽 培種 ̀ゴールデ ンデ リシャス 'か ら得た ものであることか ら、何故、PAP11 6
のタイプの みがc DNA
として報告 されたのか という疑問が生 じた。また、ACS
遺伝子の5'
隣接領域 には、 この遺伝子のプロモーター配列があるもの と予想される. このシス因子の解析 は、遺伝子ファミリー間の機能分担機構 についての知見が得 られると同時に、 ライブニ ング時 に特異的に機能す るプロモーターが得 られる可能性があ り、 これを使用 しての、ライブニ ングに関わる基礎 と応用の様々な研究 に有効利用 されることが出来よう。 そ こで、 これ ら
2
種のライブニ ング型ACS
遺伝子 とその隣接領域の塩基配列 を決定 した。実験材料及び方法
1.実験材料
リンゴ栽培種
( Ma l u sdo me s t l ' c a L. Bor kh)
の ̀ゴールデ ンデ リシャス'のライブニング 型ACS遺伝子領域 を含む と推定 された2
種のプラス ミ ド、PAP1‑ 2および pAP1 ‑ 6を用 い
た。2.
サブクローニ ングPAP1 ‑ 2
とpAP1 ‑ 6
をEc oR l
とHl ' Dd T H
で切断 した.それ らを0. 8% のアガロースゲルで
電気泳動 し、PAP1‑ 2
の3. 5k b 肋 d H
断片、PAP1 ‑ 6
の3. 3kb 肋 d H
断片、および両プラ スミ ドの 1. 5kbと 2. Okb
のEc o R l
断片をゲルか ら切 り出 した後、QIAq ui c kGe lExt r a c t i o n K
it ( QI AGEN)
を用 いて精製 した.各断片はファー ジミ ドベクターpBl ue s c r i pt"KS
+のEc oR
lとHl ' Dd"l
サイ トにDNALi ga t i onK it ( Ta ka
ra
)を用いて1 6℃
、一晩 ライゲ‑ ション反 応 を行った後、コロニー トランスフォーメー ション法 によって形質転換 したO転換菌はSOC液体培地 ( 2%
パ ク トトリプ トン、0.5%
パ ク トイース トエキス トラク ト、10 mM Na C
l、2. 5mM KC
l、10 mM MgC 1 2
、10 mM MgS O4
、2 0 mM
グルコース)で37℃
、1時間振塗培養 を 行 った後、アンピシ リン(終濃度50〃 ′ g / ml )
、XIGa l
(終濃度200〃′ g / ml )
、IPTG(
終濃度200〃′
a/
ml)を加えたLB
上層寒天培地 (1. 0%
パク トトリプ トン、0.5%
パ ク トイース トエキス ト ラク ト、1. 0% Na C
l、0.8%
寒天)上で37℃
一晩培養 し、コロニー を形成 させた。形成コ ロニーの内、白色コロニーを組換え体 として選抜 した。3.
プラス ミ ドDNAの調製白色コロニーを
LB液体培地 (
終濃度50〃′ g / m
アンピシリン)中で37℃
、一晩振塗培養 した。8,000 r pm
、5分間の遠心 によ り、集菌 した後、Mid iPl a s mi dpu r i f i c a t i on( QI AGEN)
の プロ トコール に従 ってプラスミ ドDNAを調製 した。4.
デ リー ションクロー ンの作製制限酵素で切断 したプラスミ ド
DNA
をフェノールークロロフォルム処理 した後、エタ ノール沈殿 した。沈殿 したDNA
をExo nuc l e a s e
Hbuf fe r( 5 0mM Tr i s ‑ HCIpH8. 0
、100 mM Na C
l、5 mM MgC 1 2
、10 mM 2‑
メルカプ トエタノール)に懸濁 し、Exonu c l e a s e
lllを加えた。37℃
で30秒、90秒、150
秒、210
秒、 ‑・と順次 とり出して、氷上のMungBe a nnu c l e a s e buf f e r( 3 0 mM
酢酸ナ トリウムpH4. 5
、100mM Na Cl
、1mM ZnCl 2
、10%グリセ ロール)に入
れた。それぞれ を 65℃ に1 0
分間、37℃ に5
分間静置後、MungBe a nnu c l e a s e
を加え、37℃、
1
時間酵素反応 を行 い、フェノールークロロフォルム処理、エタノール沈殿 をした。この
DNA
を Kl e nowbuf f e r( 7 mM Tr i s ‑ HCIpH8・ 0
、0・1 mM EDTA
、20 mM Na C
l、7mM MgCl 2
、0. 1 mM d NTP)
に懸濁 し、Kl e now
酵素を加え、37℃、1 5
分間反応 を行 い、エタノール沈 殿させた後、サ ブクローニ ング法 と同様 に、ライゲ‑ション反応 と形質転換 を行った。5.
デ リー ションクロー ンのプラスミ ドDNA調製目的のプラス ミ ドが導入 された大腸菌を
LB液体培地(
終濃度50〃′ g / ml
アンピシリン)中 で37℃
一晩振塗培養 した。8,000 r pm
で5
分間遠心 し、集菌 した後、上清 を捨て沈殿 をTEG( 2 5mM Tr i s ‑ HCIpH8・ 0
、10 mM EDTA
、50 mM
グルコース)で懸濁 し、 リゾチームーTEG ( 1 0mg/
mlリゾチーム)を加えて撹拝 した.アルカ リSDS
溶液( 0・ 2NNa OH
、1%SDS)、3M
酢酸ナ トリウム(pH4. 5)
をそれぞれ加え、10, 000 r pm l O
分間遠心後 、上清 を回収 し等量の11 5‑
イ ソプ ロパ ノール を加 えて、 ‑ 20℃ に 20 分 間、 1 5, 000 r pm l O 分 間遠心 によ りプラス ミ ド DNA を沈殿 させたO これ を TEbuf f e r( 1 0 mM Tr i s ‑ HC18・ 0 、 1 mM EDTA) に溶解 し、 RNa s e ( 0. 1 mg/ ml ) で 37℃ 30 分間 RNA を分解 した後 、 フェ ノールー クロロフォルム処理 して、上 層 を回収 し、エタ ノール沈殿 による DNA を TEbuf f e r に溶解 した.
6. シー クエ ンス反応
プ ラス ミ ド DNA は、 Se qui T he r mT MCy c l eSe que nc i ngK it ‑ LC( f orLI I CORSe qu e nc i ng ) ( Epi c e nt e rTe c hnol ogi e s ) を用 いて シー クエ ンス反応 させた。反応物 を DNAs e que nc e rMode l 4 000
1・ ( LLCOR) によって読 み とった後、 Ba s eI ma geI RSof t wa r eVe r s i on2. 1 0( LI ‑ COR) を用 い て解析 を行 った。
括 果 お よび考 集
p AP1 ‑ 2 および pAP1 ‑ 6 をサ ブクローニ ング とデ リー シ ョンを行 い、 Hl ' Dd"J 部位 か ら
Et o R
J認識部位 間 をシー クエ ンス した.そ の結果 、 pAP1 ‑ 2 では 5, 676b p 、 p AP1 1 6 では 5, 526bp の塩基配列 を決定す る ことが出来た ( Fi g. 7) 。
p AP1 1 6 は 4 つのエキ ソンか らな る 1 41 9 bp の コー ド領域 をもってお り、既報 の ライ ブニ ング型 c DNA(
IAy‑ Ye ee ta l .1 99 5) と完全 に一致 した. また、エキ ソ ンの数 とサイズ、 さ ら に、イ ン トロンの位 置 は トマ ト、イネ、ア ラビ ドプ シスの ACS 遺伝子 と類似 して いた ( Fi g.8 ) 。
一方 、 p APl ‑ 2 は p AP1 ‑ 6 とほ とん ど同 じ塩基配列 を示 した. しか し、 コー ド領域で は 7 箇所 の塩基置換が存在 し、塩基配列か ら予想 され る翻訳 ア ミノ酸配列で は、1箇所 のみに 違 いがみ られただ けで あった。 また、 1 ‑ 2 型 5‑ 隣接領域 には、 1 ‑ 6 型 に比べて転写 開始点 よ り 一 781bp の位置 に 1 62bp の挿入配列が認 め られた ことか ら、前章で観察 された、 助 d
H 分解後 の RFLP ( 3. 3kb と 3. 5kb) は、 この挿入配列が起 因 して いる ことが判明 した。
リンゴ栽培品種 の RFLP 分析で は ACS 遺伝子 は 1 ‑ 2 型 、 1 ‑ 6 型 のそれぞれ をホモで もつ 品種 とヘテ ロで もつ品種 の 3 タイ プに分類 され る ことが示 され、 さ らに、ホモ型 同士 の交 雑実生 はヘテ ロ型 とな る ことか ら、 この 2 種 の ACS 遺伝子 は対立遺伝子の関係 にあると 考 え られた。今 回の塩基配列決定 よ り、 これ らの遺伝子 が コー ドす る ACS のア ミノ酸配 列 は 99. 8% の相 同性 を有す る点や、 また、両遺伝子 の隣接領域間で も約 96% の相 同性 を 示 した ことか ら、対立遺伝子 の関係 にある ことが裏付 け られた。
対立遺伝子間の最大 の違 いは前述 の 1 62bp の挿入配列 の存否で あるので、 この配列の
両隣接領域 にプライマー を設定 して、 PCR を行 うことで、その増幅産物 のサイズか ら、
どち らの遺伝子 を有 しているかを判断できる。 そ こで、
M. pr u Dl ' f o l l ' a
、Mha DS l ' E O T l a
、M. s l ' e bo l d l '
1㌦M. s l ' kk l ' me DS l '
S、M. a s l ' a t 1 ' c a
lrついて この点 を検討 した ところ、いずれ も1 ‑ 6
型であった。 この ことか ら、本来の野生種 は1‑ 6
型であったが、 このタイプに挿入が起こった ことで
1 ‑ 2
型が誕生 した ものと考 え られた。この挿入配列の両端 には 6
塩基
(ATrju T)の直列繰 り返 し配列が存在す ること、3‑領 域にはA
に富む配列があることか ら、 レ トロ トランスポゾンの一種であるSI NE( s h o r t i n t e r s p e r s e dr e p e t i t i v ee l e me n t )
の特徴が兄 いだされた。そ こで、 この挿入領域 を含むPCR
産 物をプローブとしてゲ ノミックDNA
にハイブ リダイズ した ところ、多 くの断片が検 出さ れた。同時に使用 したイネゲ ノムではその様な シグナルが得 られなかった ことか ら、 リンゴゲ ノム上に同配列が多数存在することが判明 し、 この挿入配列は
S I NE
の一種であるこ とを強 く示唆 した。SI NE
は動物か ら植物 まで様々な生物種のゲ ノムに偏在す ることが明 らかにされてきた (高崎 と岡田1 99 5)
。 しか し、実際には植物の報告例は少な く( Mo c h i z u k i e t a l .1 991; U me d ae t a l ・1 991 )
、 リンゴでのSI NE
の特徴ず けを詳細 に行 うことは、この トランスポゾンが どのようにリンゴの変異性 に関わっているかな ど、多 くの観点か ら 興味が もたれる。
前述の様 に、既報の
c DNA
配列は1 ‑ 6
型であった。そ こで、1‑ 2
型の転写の有無を検討 した。 ライブニ ング時のmRNA
を抽出 し、RT‑ PCR
によ りc DNA
を作製 し、 これを両者 を 区別できるXh oI
で消化 した。その結果、PCR
産物 にはXh oI
の認識部位がな く、転写は1 ‑ 6
型のみであると判断された (図省略)。 しか し、1‑ 2
型はライブニング過程で全 く転 写されないのか どうかは、よ り明確な手法であるノーザ ンハイブ リダイゼーションによ り 確認す る必要があろう。 また、栽培種の中には1 ‑ 2
型 をホモで有す る品種 も存在すること か ら、転写パター ンが1 ‑ 6
型 と違 うのであれば、 これ らの栽培品種の表現型 にどのような 影響 を与えるか大変興味があるところである。最後 に、
5'
隣接領域のシス制御配列( c i s ‑ a c t i n gr e g u l a t o r ye l e me n t )
について検討 した。そ の結果の一部 をFi g. 9
、1 0
に示す。得 られた相同配列 はあくまで も類似性がコンピュー ター上で認め られたにすぎず、実際にシス制御配列 として機能 していることを決定 した も のではない。DNA
フッ トプ リンティングな どによる検証が必要 とされる。以上の様 に、本研究の最終 目的である組換え リンゴの作出のための遺伝子 とそのプロ モーター領域 を得 る ことが出来た。今後 は、上述の遺伝子そのものの特徴ずけを行 うと伴 に、アグロバクテ リウム法による リンゴの形質転換 を本格的に進める予定である。
‑1 7‑
V. おわ りに
エチ レンは他の植物ホルモ ンと同様、植物の生長や分化 の様々な過程 に関わ っている。 すなわち、種子 の発芽か ら落花、落葉そ して老化 まで と植物の一生を通 してエチ レンは機 能 している。 この うち、果実の成熟作用は、植物ホルモ ンとしてのエチ レンの発見 に結び ついたほど、古 くか ら知 られた現象であった。また、果実 は経済的価値が高い ことか ら、
貯蔵や輸送においての品質劣化の防止策の研究が活発 に行われ、その結果、エチ レンの影 響 を減少 させ るべき種々の貯蔵法が試み られ、CAな どの優れた方法が開発 され るに至 っ た。
エチ レンは最 も簡単な有機化合物であることか ら、オーキシンや ジベ レリンな どに見 られる糖結合 による貯蔵型 (不活性型) を持たない。 このため、生合成経路 の活性化 は細 胞内のエチ レン量 に直接反映す ることになる。そ こで、生合成系の律速酵素である
ACS
は 研究対象 として絞 られ、精力的に解析が進め られてきた。その結果、ACS
タンパク質の精 製、そ してその遺伝子が クローニ ングされた。 これ らの成果は、遺伝子工学 による 『フレ イバーセイバー トマ ト』の作出につながった訳であるが、 この ことは分子育種法を一般社 会 に紹介 した点か ら、与えたイ ンパ ク トは極めて大きな ものであった0一方、アラビ ドプシスのエチ レンに対す るの様 々な トリプル レスポ ンス変異体か ら、
エチ レン トランスダクション系 に関わる遺伝子が順次単離 され、 この数年間で、エチ レン 受容体 (レセプター)蛋 白質や各種
MA
Pキナーゼの相互関係が驚 くべきス ピー ドで解明 されてきている。 植物ホルモ ンの生理機構 については この数10
年間大きな進展はなかった と言えるが、遺伝子工学や組換え植物の手法はまさしくブ レー クスルーであった。他の植 物ホルモ ンにおいて も新知見が次々と見出されているが、その中で最 も研究が進んでいるのはエチ レン系である。
エチ レンはライブニ ングに代表 されるように植物 の生育段階の節 目に作用す ることか ら、エチ レン量 を適切 に調節することで、作物 に大 きな農業的価値 を付与する ことが可能 であろう。 例えば、エチ レン合成系を抑制す ることで、花の萎凋や落花 を妨げる実験は各 国で精 力的に進め られてお り、近い将来、従来の2倍や