有機 カ チ オ ン/カ ル ニ チ ン トラ ンス ポー ター と疾 患
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(2) Johnson. 症 候 群 (cMOAT/MRP2;. specific. organic. anion. (ATP7B;. Cu‑transporting. (ATP7A;. Cu‑transporting. (CFTR; ance. cystic. fibrosis. canalicular. transporter),. multi‑. Wilson. ATPase),. Menkes. ATPase),. い た.. く未 知 で あ り, SCD発. 病. ま ま で あ った. 1988年,. 嚢胞性繊 維症. transmembrane. しか し, そ の 分 子 的 実 体 に つ い て は長 い 間 ま っ た. 病. conduct‑. regulator) な どが 挙 げ られ る が, 本 稿 で は 最 近 原. るJVS. 症 の分 子的 機序 につ いて は謎 の. 小 泉 ら(13)によ っ て 自然 発 症 変 異 マ ウ ス で あ. (juvenile visceral steatosis) マ ウ ス が樹 立 さ れ. た. JVSマ. ウ ス で は 出生 直 後 よ り肝 臓 の肥 大・ク リー ム. 因遺 伝 子 が 同定 され た全 身 性 カ ル ニ チ ン 欠 乏 症 に つ い て. 色 化 が 起 こ り, 脂 肪 酸 の β酸 化 障 害 に 基 づ く と思 わ れ る. 解 説 す る.. 脂 肪 肝 を 生 じ る. さ ら に授 乳 期 後 半 か ら, 高 ア ンモ ニ ア 血 症, 低 血 糖 が起 こ り, 著 しい成 長 障 害 を きた し, 50% 以 上 の マ ウ ス が30〜40日. カル ニ チ ン とカ ル ニチ ン欠 乏 症 全 身 性 カ ル ニ チ ン欠 乏症 ciency;. SCD). (systemic. 齢 で 死 亡 す る. 生 後 のJVSマ. ウ ス 腹 腔 内 に カ ル ニ チ ン を投 与 し続 け る と, 脂 肪 肝 の 軽 carnitine. defi‑. は, 血 中 お よ び組 織 中 に お け る カ ル ニ チ. 減 が み られ る. 生 き延 び た マ ウ ス お よび カル ニ チ ン投 与 の 不 十 分 な マ ウ ス に は心 肥 大 や 骨 格 筋 異 常 が 認 め られ,. ン濃 度 が 著 し く低 下 す る ヒ トの遺 伝 性 疾 患 で あ る. カ ル. そ の 臨 床 症 状 の 類 似 か ら この マ ウ ス が ヒ トSCDの. ニ チ ン (β‑hydroxyl‑γ‑trimethylaminobutyric. ル マ ウ ス で あ る こ とが 示 さ れ た.. acid,. モデ. この マ ウ ス を 用 い て二. 構造 式 は図1参. 照) は, あ ら ゆ る 生 物 の各 組 織 に存 在 す. 階 堂 らの グ ル ー プ は, 遺 伝 学 的 解 析 に よ り原 因遺 伝 子 が. る分 子 量162の. 低 分 子 水 溶 性 化 合 物 で あ る. 生 体 内 で は. マ ウ ス の 第11番. 染 色 体 の特 定 の領 域 に存 在 す る こ とを. 遊 離 型 お よ び ア シル 基 との 結 合 型 で 存 在 す る. カ ル ニ チ. 示 し, この 絞 り込 まれ た領 域 にマ ウ ス の カ ル ニ チ ン トラ. ン は, 生 体 内 で リ ジ ン とメ チ オ ニ ンか ら肝, 腎, 脳 な ど. ンス ポ ー タ ー が 存 在 す る こ とが 予 想 され た(3).. で生 合 成 され る が, そ の 生 合 成 量 は体 内全 カ ル ニ チ ン量 の約25%に. 過 ぎ ず, 約75%は. 食 事 か ら摂 取 され る必 要. 有 機 カ チ オ ン トラ ンス ポ ー タ ー と して の カ ル ニ. が あ る. カル ニ チ ン は, ミ トコ ン ド リア に お け る脂 肪 酸. チ ン トラ ンス ポ ー タ ー の 発 見. 代 謝 の 必 須 因 子 で, 特 に 長 鎖 脂 肪 酸 の β酸 化 で は カ ル ニ チ ン濃 度 が 律 速 とな る. そ の た めSCD患. 筆 者 らは, 薬 物 の体 内 動 態 を支 配 す る要 因 と して, 各. 者 は脂 肪 酸 を. 組 織 細 胞 膜 にお け る 薬 物 輸 送 系 の 構 造 認 識 ・輸送 に関 す. 代 謝 して エ ネ ル ギ ー を得 る こ とが で きず, 特 に心 筋 や 骨. る研 究 を展 開 す る 中 で, 中外 分 子 医 学 研 究 所 の遺 伝 子 探. 格 筋 な ど血 液 中 か ら供 給 さ れ た 大 量 の カ ル ニ チ ン を 含. 索 グ ル ー プ と共 同 して, 疾 患 に 関 連 す る, ま た は創 薬 の. み, そ の エ ネ ル ギ ー 産 生 を 主 に脂 肪 酸 に頼 って い る組 織. た め の タ ー ゲ ッ トとな りう る新 規 遺 伝 子 の 発 見 を 目指 し. に お い て は, 進 行 性 の 心 筋 症 や 骨 格 筋 症 な どの 重 篤 な症. た研 究 を続 けて い た. 細 胞 膜 上 に存 在 し, 細 胞 内外 の 物. 状 が 現 わ れ る (表1).. 質 の 輸 送 を能 動 的 に制 御 す る トラ ン ス ポ ー タ ー タ ンパ ク. SCDの. 発 症 原 因 と して, 患 者 の繊 維 芽 細 胞 を用 い た膜. 質 は, 栄 養 物 質 の取 り込 み 口 と して, あ る い は逆 に不 要. 生 理 学 的 な 研 究 か ら, 患 者 細 胞 に お い て は細 胞 内 ヘ カ ル. な物 質 を細 胞 か ら排 出 す る た め の 廃 棄 口 とし て働 く重 要. ニ チ ン を輸 送 す る能 力 が 欠 如 し て い る こ とが 明 らか に な. な タ ンパ ク 質 で あ る. さ らに 最 近 で は, 本 来 生 体 に とっ. って い た(2). カル ニ チ ン は きわ め て 水 溶 性 の 高 い 物 質 で. て は異 物 で あ る様 々 な 医 薬 品 に つ い て も, それ が腸 管 に. あ る た め, 本 来 細 胞 膜 を透 過 で き な い はず で あ るが, 実 際 に は細 胞 膜 の 透 過 性 は よい. ニ チ ン を能 動 的 に輸 送 す る担 体. これ は, 細 胞 膜 上 に カ ル. ー ター. 表1. ■全 身 性 カ ル ニ チ ン 欠 乏 症. ficiency:. (Systemic. Carnitine. De‑. SCD). カル ニ チ ン トラ ン ス ポ. が存 在 して い るた め で あ る と推 測 され, SCD患. 者 において はその. 推定 上 の. カ ル ニ チ ン トラ ン ス ポ ー. タ ー が 欠 如 して い る こ とが 発 症 原 因 で あ る と考 え られ て. 図1. ■カ ル ニ チ ン の 構 造 式. 化 学 と 生 物 Vol. 38,. No. 7, 2000. 433.
(3) 図2. ■ヒ トOCTN1とOCTN2の. ア ミ ノ酸 配 列. お い て生 体 内 へ 取 り込 ま れ る際 に は トラ ン ス ポ ー タ ー に よ り輸 送 され て い る こ とが 明 らか とな っ て きて お り, 医 薬 品 の 吸収 性 や 体 内 動 態,. さ らに は組 織 特 異 的 タ ー ゲ ッ. テ ィ ン グ を考 え る上 で も トラ ン ス ポ ー タ ー の 重 要 性 が 認 識 され る よ う に な って きて い る. 筆 者 ら は そ れ ま で に, 有 機 カ チ オ ン 系 の 生 体 内 物 質 や 薬 物 を輸 送 す る 活 性 を も つ 新 規 ト ラ ン ス ポ ー タ ー OCTN1を. ヒ ト胎 児 肝 臓 よ りク ロー ニ ング し, そ の有 機. カ チ オ ン輸 送 能 の解 析 を 行 な っ て い た(4). さ ら に関 連 遺 伝 子 の 探 索 を行 な っ て い る 中 で, OCTN1と75.8%の 相 同 性 を示 す 新 規 な 構 造 を もつ トラ ン ス ポ ー ター が ヒ ト 腎 臓 に存 在 す る こ と を見 い だ し, そ の 遺 伝 子 の ク ロ ー ニ ン グ を行 な いOCTN2と. 名 づ け た (図2).. OCTN1と. フ. 図3 ■ヒ トOCTN2遺 ル ニ チ ン 取 り込 み 活 性 HEK293細. 伝 子 発 現HE293細. 胞 に ヒ トOCTN2遺. 胞 にみ られ るカ. 伝 子 を トラ ンス フ ェ ク シ ョン し,. ァ ミ リー を形 成 す る この トラ ン ス ポ ー タ ー は, 筆 者 らの. 放 射 性 カル ニ チ ンの 取 り込 み活 性 を測定 した. Mock. 当 初 の期 待 を裏 切 り, OCTN1に. 発 現 ベ クタ ー の み を トラ ンス フ ェ ク シ ョ ン した細 胞 へ の カ ル ニ チ ン取 り込 み を 示 す.. よ っ て 運 ば れ る テ トラ. エ チ ル ア ン モ ニ ウ ム (tetraethylammonium;. TEA). 以. 外 の有 機 カ チ オ ン系 の物 質 を ほ とん ど輸 送 し なか っ た. しか し, OCTN2とOCTN1の. ア ミノ 酸 配 列 構 造 か ら は. L‑[3H]カ. ル ニ チ ン: 10nM,. 取 り込 み: 3分,. 件:+Na+, 125mMNaCl, ‑Na+, C1. 平 均 ±標 準 誤 差 (n=3). 125mMN‑メ. は対 照 と して. 37℃, pH7.4,. 条. チ ル グル カ ミン ・. 同 様 な 基 質 特 異 性 が 予 想 され た の で, さ ら に様 々 な物 質 に対 す る輸 送 能 を丹 念 に調 べ て い った. そ して つ い に,. ラ ン ス ポ ー ター の特 性(5)と一 致 す る もの で あ っ た. そ の. 図3に. 他,. 示 す よ うに, OCTN2が. 有 機 カ チ オ ン を構 造 内 に. カ ル ニ チ ン輸 送 のKm値. が4.3μMと. 高親和 性 で あ. 有 す る カ ル ニ チ ン を き わ め て 効 率 よ く輸 送 す る こ と を発. る こ と, D‑カ ル ニ チ ン, ア セ チル ーD,L‑カ ル ニ チ ン お よ. 見 す る に至 っ た. しか も この 輸 送 は, ナ トリ ウ ム イ オ ン. び γ‑ブ チ ロ ベ タ イ ン に よ っ て カ ル ニ チ ン輸 送 が 阻 害 さ. (Na+). れ る な どの輸 送 特 性 が す べ て カ ル ニ チ ン トラ ン ス ポ ー タ ー の 特 性 に 一 致 す る もの で あ り, 筆 者 ら はつ い に 幻の. に完 全 に依 存 す る とい う特 性 を示 し, それ まで ヒ. トや マ ウス の 細 胞 を用 い て 観 察 さ れ て い た カ ル ニ チ ン ト. 434. 化 学 と 生 物 Vol.. 38,. No. 7, 2000.
(4) カル ニ チ ン トラ ンス ポー タ ー の 実 体 を 欄 ん だ こ と を確 信. い て 見 つ か っ た 変 異OCTN2は. した(6).. る こ とが 明 らか とな った. す な わ ち, JVSマ てOCTN2は. た った1つ. 完 全 に活 性 を失 って い ウ ス にお い. の塩 基 置 換 に よ る ミスセ ンス. カ ル ニ チ ン トラ ン ス ポ ー タ ー と カ ル ニ チ ン 欠. 変 異 に よ りカ ル ニ チ ン輸 送 能 を失 っ て お り, そ れ がJVS. 乏症. マ ウ ス の発 症 原 因 とな っ て い る もの と考 え られ た の で あ. 最 も興 味 が もた れ た の は, 筆 者 らが 発 見 した 新 規 トラ ン ス ポ ー タ ーOCTN2がSCD患. る(7). ヒ トSCDに. 者 に おいて変 異す る こ. つ い て は, 松 石 豊 次 郎 久 留 米 大 学 医 学 部. と に よ り, そ の 発 症 原 因 と な っ て い る か ど うか で あ っ. 助 教 授, 小 泉 昭 夫 秋 田大 学 教 授 (現 京都 大 学), 大 浦敏 博. た. まず, JVSマ. ウス におい て その遺 伝子 を調 べ て み. 東 北 大 学 医 学 部 助 教 授, 辻 本 豪 三 国 立 小 児 病 院 部 長 ら の. た. ヒ トOCTN2の. 配 列 情 報 を基 に ま ず 正 常 な マ ウ ス. OCTN2遺 のOCTN2遺. 伝 子 を ク ロー ニ ン グ し, さ ら にJVSマ. ウス. 伝 子 を ク ロ ー ニ ン グ し て 両 者 を 比 較 して. み た と こ ろ, 1つ の 塩 基 置 換 が 見 つ か っ た (図4). はOCTN2ト. ー ドす る コ ドン (CGG). お け るOCTN2遺. 系に. 伝 子 の解 析 を行 な っ た. その 結 果, い. ず れ の 家 系 に もOCTN2遺. 伝 子 の変 異 が存 在 す る こ と. が 明 らか と な っ た. それ らの 変 異 の位 置 を図5に. 示 す.. 目の ロ イ シ ン を. フ レー ム シ フ トに よ って 途 中 で 終 止 コ ドン が 出 現 す る こ. で あ り, こ れ が ア ル ギ ニ ン を コ. とに よ り, 正 常 よ りも短 い 不 完 全 な タ ンパ ク質 が で き る. ラ ン ス ポ ー タ ー の352番. コ ー ドす る コ ドン (CTG). それ. 協 力 の も と, 3組 の互 い に 血 縁 関 係 の な いSCD家. に変 化 して い た. この1つ. の変異. 形 式 の 変 異, 一 部 配 列 の 欠 損 お よび ス プ ラ イ シ ン グ部 位. に よ り, トラ ンス ポー タ ー機 能 は どの よ うな影 響 を受 け. の 変 異 が 見 い だ され, い ず れ も成 熟 タ ンパ ク質 の 合 成 お. る の で あ ろ うか?. よ び輸 送 機 能 を失 っ て い る こ とが 予 想 さ れ た.. そ こで, 両 配 列 を もつOCTN2を. そ. れ ぞ れ 動 物 細 胞 に発 現 させ, カ ル ニ チ ン輸 送 能 を測 定 し. べ て の 家 系 に お い てSCD患. て み た. そ の 結 果, 図4に. 継 い だ2つ. 図4. 示 す よ う にJVSマ. ウス にお. ■カ ル ニ チ ン トラ ン ス ポ ー タ ー タ ンパ ク質 の 発 現,. 貫 通 構 造 と, JVSマ. のOCTN2遺. また, す. 者 は両 親 か ら そ れ ぞ れ 受 け 伝 子 の 両 方 に 変 異 を抱 え て お. カ ル ニ チ ン トラ ン ス ポ ー ト活 性 お よ び マ ウ スOCTN2の. 推 定 さ れ る膜. ウ ス に お い て 見 い だ され た 変 異 の 位 置. 左 上に野 生型 お よびJVSマ. ウス か ら得 たOCTN2を. 発 現 させ たHEK293細. 現 と, 右 上 に放 射 性 カ ルニ チ ンの取 り込 み を示 す. 下 にマ ウ スOCTN2の 位 置 (中央 の 矢印) を示 す. L‑[3H]カ ル ニ チ ン: 10nM,. 取 り込 み: 37℃, pH7.4,. 化学 と生物 Vol. 38, No. 7, 2000. 条 件: +Na+,. 胞 で の カ ル ニ チ ン トラ ン ス ポー ター タ ンパ ク質 (60kDa) 推 定 され る膜 貫 通 構 造 とJVSマ. NaCl, ‑Na+,. の発. ウ ス にお い て見 いだ され た変 異 の. N‑メ チ ル グル カ ミン ・Cl. 平 均 ±標 準誤 差 (n=3). 435.
(5) 図5. ■ヒ トOCNT2の. 推 定 膜 貫 通 構 造 とSCD患. 図 上部 が 細 胞膜 外側 を示 す. SCD患 文献7)〜9) を も とに作 製 した.. 図6. 者 に お い て 見 い だ され た 変 異 の 位 置. 者 にお い て変 異 が 見 い だ され た ア ミノ酸 残 基 の位 置 と変 異 の種 類 を示 す. *は 終止 コ ドン を示 す. 図 は. ■生 体 内 に お け る カル ニ チ ン の 動 態. 糸球 体 にお い て濾 過 され た カル ニ チ ン は腎 尿細 管 にお い て そ の ほ とん どが再 吸 収 され る が, この 過程 にOCTN2が. 関 与 して い る と考 え られ. る.. り, OCTN2機. 能 の 完 全 な欠 損 が 発 症 の 原 因 で あ る こ と. が 示 され た. こ う して 筆 者 らは, SCDが ン ス ポ ー タ ーOCTN2の. カ ル ニ チ ン トラ. 機 能 欠 損 変 異 に よ り発 症 して. い る こ とを世 界 で 初 め て証 明 す る に 至 っ た(7,8). その後,. 436. ア メ リカ, カ ナ ダ, ドイ ツ にお け るSCD患 OCTN2に. 者 につ いて も. 変 異 が あ る こ とが 明 らか とな っ た(9〜11).. ノー ザ ン解 析 に よ りOCTN2はOCTN1と. 同 様, 特. に 腎臓 に強 く発 現 し, 骨 格 筋, 胎 盤, 脳, 心臓, (OCTN1. 化 学 と生 物 Vol.. 38,. No. 7, 2000.
(6) の 発 現 はな い) 肝 臓 に も発 現 が認 め られ た(6).ヒ トは カ ル. が 原 因 で あ る こ とが 明 らか に され て お り, 症 例 の 見 過 ご. ニ チ ン の ほ とん ど を食 物, 主 に 肉類 か ら摂 取 し て い る.. しの 可 能 性 が 示 唆 され る.. 血 中 の カ ル ニ チ ン は一 度 腎臓 の 糸 球 体 に よ って 濾 過 され るが, そ の90%以. OCTN2の. 遺 伝 子 変 異 の頻 度 は, SCDの. リス ク と い. 上 が 近 位 尿 細 管 に お い て 再 吸収 さ れ,. う点 か らだ けで な く, ヘ テ ロ で 変 異 を持 つ こ との健 康 障. それ に よ って 血 中 カ ル ニ チ ン レベ ル が 保 た れ て い る と考. 害 リス ク とい う点 か ら も重 要 な 問 題 で あ る. 先 に述 べ た. え られ て い る(2).し た が って, OCTN2は. よ う に, ヘ テ ロ で変 異 を持 つ 人 の 場 合,. 腎臓 尿 細 管 上 皮. そ の血 中 カ ル ニ. 細 胞 に お い て カ ル ニ チ ン の尿 か らの 再 吸 収 に 関 わ っ て お. チ ン レベ ル は正 常 人 に比 較 して 明 らか に低 い こ とが わ か. り, SCD患. って い る. ホ モ の遺 伝 子 異 常 を持 つSCD患. 者 に お い て は そ の機 能 が 欠 損 す る た め, カ ル. 者 の ような. ニ チ ン を再 吸 収 す る こ とが で きず 血 中 カ ル ニ チ ン の低 下. 早 期 の 激 しい 症 状 は それ に よ って 現 わ れ な い もの の, そ. を招 い て い る と推 測 され た (図6参 照).. の 恒 常 的 な カ ル ニ チ ン レベ ル の 低 さ が長 期 的 に どの よ う な 影 響 を もた らす か につ い て は, 今 後 の疫 学 調 査 を待 た. SCDの. ね ば な らな い. 老 化 過 程 で ミ トコ ン ド リア に お け る β酸. 遺伝子 診断. 化 の効 率 が低 下 す る こ とは ほぼ確証 され た現 象 で あ る SCDの. 原 因 遺 伝 子OCTN2が. 同定 さ れ た の で, 今 後. が, ヘ テ ロ個 体 に お い て は血 中 カ ル ニ チ ン レベ ル が 正 常. は患 者 か ら採 取 した ご く少 量 の 血 液 な どの試 料 を使 って. 人 に比 較 して 明 らか に低 い た め, 正 常 老 化 以 上 に ミ トコ. 直 接OCTN2遺. ン ド リア に お け る β酸 化 の効 率 が 低 下 す る 可 能 性 が あ. 伝 子 を 調 べ る遺 伝 子 診 断 を行 な う こ と. が 可 能 に な る. 従 来, SCDの. 確 定 診 断 は きわ めて煩 雑. る. 特 に, 中枢 神 経 系, 循 環 器 系, 腎臓 の 老 化 促 進, 筋. で, 最 終 的 に は患 者 の 細 胞 を用 い て カ ル ニ チ ン を取 り込. 肉 の 運 動 能 力 の 早 期 低 下 が 想 定 され, 今 後 疫 学 的 な 検 討. む か ど うか を測 定 し な け れ ば 完 全 な判 断 は 下 せ な か っ. が 必 要 とな ろ う. 重 要 な こ と は, これ ら予 想 さ れ る老 化. た.. しか し, 遺 伝 子 診 断 が 可 能 とな った こ と に よ り迅 速. 過 程 にお け る健 康 リス ク に つ い て は, カ ル ニ チ ン投 与 が. か つ 正 確 な 診 断 が行 な え る よ う に な り, 今 後 の 患 者 の 治. 有 効 で あ る 可 能 性 が あ る点 で あ る. 今 後, 一 般 人 口 に お. 療 に貢 献 す る こ とが 期 待 され る. 特 に, SCDの. け るマ ス ス ク リー ニ ン グが 可 能 なDNAマ. 場合重 要. イク ロア レイ. な の は, 早 期 に確 定 診 断 が行 な わ れ た な らば カ ル ニ チ ン. な どを 用 い たOCTN2遺. の 大 量 投 与 に よ り症 状 を抑 え る こ とが 可 能 で あ る点 で あ. ス テ ム の 開 発 と, そ れ に よ る大 規 模 な調 査 の実 施 が 早 急. る. SCDは. に 必 要 で あ る と考 え られ る.. 新 生 児 期 に発 症 す る こ とが 多 く, 遺 伝 子 診 断. に よ る迅 速 な治 療 方 針 の決 定 が 特 に 重 要 で あ る と考 え ら. 伝 子 の 変 異 ス ク リー ニ ン グ シ. *. れ る. SCDは1973年 で30数. に 最 初 の 患 者 が 報 告 さ れ て 以 来, 世 界. カ ル ニ チ ン欠 乏 症 は, そ の 他 の 代 謝 異 常 や 抗 て ん か ん. 例 の症 例 報 告 が な さ れ て い る に 過 ぎず(2),正 確 な. 薬 の バ ル プ ロ酸 や, エ メ チ ン, ジ ドブ ジ ン な どの 化 学 療. 疫 学 的 調 査 に よ る報 告 は現 在 まで 存 在 し な い. し か し,. 法 に よ っ て も ひ き起 こ さ れ る こ とが 報 告 され て お り, 2. 原 因 遺 伝 子 が 同 定 され た こ と に よ り, 今 後 この 点 に つ い. 次 性 カ ル ニ チ ン欠 乏症 に 分 類 され る(2). 最 近 の 筆 者 ら の. て も研 究 が 進 ん で い く もの と思 わ れ る. す で に共 同研 究. 研 究 結 果 に よ る と, 有 機 カ チ オ ン トラ ンス ポ ー タ ー で あ. 者 の小 泉 ら は変 異OCTN2遺. る 本 トラ ン ス ポ ー タ ー は, TEA以. 伝 子 の頻 度 につい て予 備. 外 に もH1拮. 抗薬 の. 的 な解 析 を進 め て い るが, そ の 結 果, 一 般 群 にお い て 変. メ ピ ラ ミ ンや 抗 不 整 脈 薬 キ ニ ジ ン, ベ ラ パ ミル な どの 有. 異OCTN2遺. 機 カ チ オ ン, さ らに は抗 て ん か ん 薬 で あ り有 機 ア ニ オ ン. 伝 子 を 持 つ 人 の 頻 度 は0.8%と. 予想 以 上. に多 い とい う結 果 を 得 て い る. こ の頻 度 は, 一 般 正 常 人. の バ ル プ ロ 酸 を も輸 送 す る多 機 能 性 を 示 した(12). また,. 中 に お い て ヘ テ ロ で 変 異OCTN2を. 持 って い る頻 度 で. 本 トラ ン ス ポ ー タ ー に よ る カ ル ニ チ ン輸 送 が, 多 くの 有. 発 症 頻 度 を計 算 す る こ とが で き. 機 カ チ オ ン性 化 合 物 の み な らず, 一 部 の 有 機 ア ニ オ ン に. あ り, そ れ か らSCDの. とい う驚 くべ き高 さ. よ って も阻 害 を受 け る こ とか ら, これ ら化 合 物 の 体 内 動. で あ っ た(8). こ の値 を確 認 す る た め に, さ ら に全 国 レ ベ. 態 制 御 因 子 と し て も重 要 な 役 割 を もつ も の と考 え ら れ. ル で, 大 規 模 な疫 学 的 調 査 に よ る詳 細 な検 討 が 必 要 で あ. る(12).す な わ ち, 正 常 な トラ ンス ポ ー タ ー 遺 伝 子 を持 つ. る と考 え て い る. 従 来 か ら, 一 般 的 に はSCDの. るが, そ の 値 は新 生 児6万 人 に1人. 発症頻 度. 健 常 人 で も, トラ ンス ポ ー タ ー タ ンパ ク質 を介 した 生 体. は低 い もの と認 識 され て い る. しか し, 近 年 の 米 国 にお. 物 質 と薬 物 との 相 互 作 用 に よ り, 2次 性 カ ル ニ チ ン欠 乏. け る乳 幼 児 突 然 死 (sudden. 症 な どの疾 患 が 起 こ る危 険 性 が 予 想 さ れ る.. infant death. syndrome). の 症 例 の検 討 に お い て も, 全 症 例 の 数 パ ー セ ン トはSCD. 化 学 と生 物 Vol. 38,. No. 7, 2000. ヒ トゲ ノ ム の 解 読 が ほ ぼ完 了 し, プ ロテ オ ー ム解 析 と. 437.
(7) い う 流 れ が 台 頭 し て き た.. トラ ン ス ポ ー タ ー の 実 体 と 機. 能 の 詳 細 が 今 後 さ ら に 明 ら か に な れ ば, 加 えて. 従 来 の 遺 伝 病 に. トラ ン ス ポ ー タ ー を 介 し た 薬 物 相 互 作 用 に よ る 疾. 患 に つ い て も 理 解 が 広 が る も の と 期 待 さ れ る.. 文 献 1). 岡 田 泰 伸,. 清野. き と病 気 ー, 1997. 2). R. Pons. 3). H.. &. D.C.. Nikaido,. 5). N.. H. &. J. Child N.. Genome,. Yabuuchi,. J.. Hayakawa. F.. 55, 1729. Neurol.,. そ の働. FEBS. Nezu,. A.. Sai,. 419, 107. I. Tamai, &. T.. (1995).. Saheki. &. J.. (1995). Y.. Lett.,. Suzuki,. 10, 2S8. Hashimoto, 6, 369. J.. Tsuji:. Hashimoto,. macol.,. ャ ネ ル と ト ラ ン ス ポ ー タ ー,. Vivo:. A.. Kuwajima, 6). チ. Horiuchi,. Mamm.. I. Tamai, Shimane. De. M.. Hayakawa: 4). 進:. ,分 子 医 科 学 で 病 気 を 識 る シ リー ズ, メ デ ィ カ ル ビ ュ. Tsuji:. H.. A.. Oku,. M.. (1997). Nikaido,. Biochem.. M. Phar‑. (1998).. I. Tamai,. R.. Ohashi,. Shimane,. Y.. Sai. &. J. Nezu, A.. Tsuji:. H.. Yabuuchi,. J. Biol.. Chem.,. A.. Oku, 273,. M.. 7) J. Nezu, I. Tamai, A. Oku, R. Ohashi, H. Yabuuchi, N. Hashimoto, H. Nikaido, Y. Sai, A. Koizumi, Y. Shoji, G. Takada, T. Matsuishi, M. Yoshino, H. Kato, T. Ohura, G. Tsujimoto, J. Hayakawa, M. Shimane & A. Tsuji: Nature Genet., 21, 91 (1999). 8) A. Koizumi, J. Nozaki, T. Ohura, T. Kayo, Y. Wada, J. Nezu, R. Ohashi, I. Tamai, Y. Shoji, G. Takada, S. Kibira, T. Matsuishi & A. Tsuji: Hum. Mol. Genet., 8, 2247 (1999). 9) A.M. Lamhonwah & I. Tein: Biochem. Biophys. Res. Commun., 252, 396 (1998). 10) Y. Wang, J. Ye, V. Ganapathy & N. Longo: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96, 2356 (1999). 11) E. Mayatepek, J. Nezu, I.Tamai, A. Oku, M. Katsura, M. Shimane & A. Tsuji: Hum. Mutat., 15, 118 (2000). 12) R. Ohashi, I.Tamai, H. Yabuuchi, J.I.Nezu, A. Oku, Y. Sai, M. Shimane & A. Tsuji: J. Pharmacol. Exp. Ther., 291, 778 (1999). 13) T. Koizumi, H. Nikaido, J. Hayakawa, A. Nonomura & T. Yoneda: Lab. Anim., 22, 83 (1988).. 20378. (1998).. 438. 化 学 と 生 物 Vol.. 38,. No. 7, 2000.
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