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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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     博 士 ( 工 学 ) 角 屋 学 位 論 文 題 名

エタノールを還元剤としたデイーゼルエンジン 排ガス用脱硝システムの研究

学位論文内容の要旨

  ディーゼルエンジン機関をはじめとするりーン燃焼エンジンは、工ネルギ一効率に優れており、

C02の削減が可能となることから地球温暖化防止の観点からも、今後の普及が期待されている。

しかし、これらの燃焼機関からはNOエをはじめとする有害成分が排出されており、世界各地で 厳しいエミッション規制が進められている。有害成分を低減する対策として、これまでにエンジ ンの燃焼技術の改良や触媒を用いる方法が検討されてきたが、今後の厳しい規制に対応できる方 法は未だに見出されていない。

  本研究では、エタノールを還元剤として用いるNOエ除去におけるAg/Al2〇3触媒の高い脱硝 性能に着目し、これを用いてりーン燃焼排ガス、とくに、定置式ディーゼルエンジン排ガス中の NOエ を 除 去 す る 脱 硝 シ ス テ ム の 開 発 を 目 的 と し た 実 用 化 研 究 を 行 っ た 。   本論文は全9章から構成されている。

  第1章では、世界的規模で強化されつっあるディーゼルエンジン排ガス規制に対応できるりー ンNOエ還元技術の開発の重要性にっいて述べるとともに、これまでの脱硝技術に関する研究と 開発の動向を概説し、本研究の目的と構成にっいて述べた。

  第2章では、Ag/Al203系触媒を用いた脱硝システムの実用化のために、ハニカム担持Ag/Al203 触媒を種々調製し、脱硝反応に対するアルミナ担体、銀原料、触媒の焼成温度の影響及びハニカ ム基材のセル密度の脱硝性能への影響を検討し、ハニカム担持触媒調製法の最適化を行った結果 にっいて述べた。

  第3章では 、ハニ カム担持Ag/Al203触媒を用いてNOエ`02、水蒸気及びS02濃度の脱硝性 能への影響を検討し、エタノールを還元剤として用いることにより、S〇2存在下においても80% 以上の高い脱硝率がえられることを明らかにした。とくに、水蒸気存在下、743K以下の温度域 において脱硝性能が促進されることを明らかにし、本法は既報の炭化水素を還元剤として用いた 脱硝法には見られない優れた特徴を有することを明らかにした。また、赤外分光法を用いて反応 中間体の生成と反応性を検討し、脱硝性能に対する水蒸気の影響や酸素の役割を明らかにレた。

  第4章では、実際のディー一ゼルエンジンを用いてハニカム担持Ag/Al203触媒の性能を評価し

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た結果、セル密度200 cell/inch2以上のハニカム基材に被覆した触媒が、空間速度(S.V.)〓

50,OOO/hの条件で80%以上の脱硝率を示すことが明らかにした。しかし、反応副生成物として CO及 び 炭 化 水 素(HC)が 高 濃 度 で 生 成 し 、 実 用 上 の 問 題 で あ る こ と が 判 明 し た 。   第5章では、前章で明らかになった問題点を解決するために、NOエだけでなく、COおよびHC の排出を低減する触媒システムの検討を行った。Ag/Al203触媒上で、エタノールによるN〇エ還 元を行った結果、COやHCのほかに、アセトアルデヒドやアンモニア、および、シアン化合物 が副生成物として生成することが認められた。これらの有害成分の酸化除去を試み、Pt/Al2○3― Ti02触媒をAg/Al203触媒下流に連結して試験を行った結果、CO、アセトアルデヒド、アンモ ニアなどの有害成分にっいては著しい低減効果が得られたが、脱硝率は大きく低下した。一方、

Ag/′A1203触媒とCu/尚203触媒及びR/魁203―Ti02触媒を連結した触媒システムは、ディーゼ ルエンジン排ガス中のNOエだけでなく、CO、HC及び各種有害成分のト一夕ルエミッションを 高い効率で低減することができることが明らかとなり、この触媒システムの最適化を行った。

  第6章では、実用的な条件下で高い脱硝性能を示すことが確認されたAg/.心203触媒のエンジ ン排ガス下における耐久評価を行った。その結果、600hのテストの間に脱硝率は経過時間とと もに低下した。耐久評価後の触媒を様々な角度から分析し、性能劣化の原因を検討レた結果、脱 硝率の低下はS02より、むしろ触媒に蓄積されるエンジンオイルからのアッシュによることを見 出した。

  第7章では、脱硝性能の低下の主原因と考えられるオイルアッシュの対策として触媒の改良を 行い、アッシュ成分を増量したェンジンオイルを用いて加速耐久試験を行った。その結果、

Ag胎J203触媒を臼一心203で被覆した触媒では、873Kのエンジン排ガス下の加速耐久試験にお いても脱硝性能の低下はほとんど認められず、この改良触媒によルオイルアッシュによる活性劣 化が抑制されることを見出した。

  第8章では、実際にコージェネレーションシステムとして稼働しているA重油(Sく1wt%)

燃料のディーゼルエンジンを用いて、エタノールを還元剤としたAg/A1203系脱硝システムの耐 久実証試 験を行 った。そ の結果、 コージ ェライトハニカムに担持した日ー203で被覆した Ag/A1203触媒は 、約200舛)mのS02を含むエンジン排ガス条件下でも、5600hの耐久試験に おいて安定で高い脱硝率を示すことが明らかになった。また、ヌタルハ二カムに担持した8― A1203被覆Ag/A1203十CuーPtん叫203触媒を用いると、NOエばかりでなく副生するCOおよび含 窒素化合物が著しく低減されることを実証するとともに、コージェライトハニカムの場合に問題 と な っ た 経 過 時 間 に 伴 う 圧 力 損 失 増 加 が 抑 制 さ れ る こ と を 明 ら か に し た 。   第9章では、本研究の総括と今後の課題にっいて述ぺた。

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学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 教授

竹澤 伊藤 千葉 服部

学 位 論 文 題 名

暢恒 博徳 忠俊     英

エタノールを還元剤としたデイーゼルエンジン 排ガス用脱硝システムの研究

  ディ ーゼルエ ンジン 機関をは じめと するりー ン燃焼 工ンジンは、エネルギー効率に優 れて おり、C02の削 減が可能 となる ことから 地球温暖 化防止 の観点か らも、 今後の普 及 が期 待されて いる。 しかし、 これら の燃焼機 関からはNOエなどの有害成分が排出されて おり 、厳しい エミッ ション規 制が進 められて いる。有 害成分を低減する対策として、工 ンジ ンの燃焼 技術の 改良や触 媒を用 いる方法 が検討さ れているが、今後の厳しい規制に 対応 できる方 法は未 だに見出 されて いない。

  本論 文は、工 夕ノー ルを還元 剤とし て用いるNOエ除去 におけるAg/Al203触媒の高い脱 硝性 能に着目 し、こ れを用い てりー ン燃焼排 ガス、と くに、定置式ディーゼルエンジン 排ガ ス中のNOエ を除去 する脱硝 システ ムの開発 を目的 としたもので、その主要な成果は 次の 点に要約 される 。

  1.ハニカ ム担持Ag/Al203触媒を 種々調製 し、脱 硝反応に 対するア ルミナ 担体、銀 原 料、 触媒の焼 成温度 及びハ二 カム基 材のセル 密度の脱 硝性能への影響を詳細に検討し、

ハ二 カム担持 触媒の 最適調製 条件を 明らかに した。

  2.ハ 二 カ ム 担 持Ag/Al203触 媒を 用 い てNOエ 、02、S02及 び水 蒸 気 濃度 の 脱 硝 性能 への 影響を検 討し、 エタノー ルを還 元剤とし て用いる ことに よりS02存在下 において も 80%以 上 の 高い 脱 硝 率が 得ら れるこ と、特に 、743K以下 の温度域 におい ては、水 蒸気 の存 在により 脱硝性 能が向上 するこ とを明ら かにした 。また、赤外分光法を用いて反応 中間 体の生成 と反応 性を検討 し、脱 硝性能に 対する水 蒸気の影響や酸素の役割を明らか にし た。

  3.実 際 のデ ィ ー ゼル エ ンジン を用い てハ二カ ム担持Ag/Al203触媒の 性能を評 価した

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結果、セル密度200 cell/inch2以上のハ二カム基材に担持した触媒が、空間速度(SV.)=

50、OOO/hのェンジン排ガス下でも80%以上の脱硝率 を示すことを実証した。一方、エタ ノ ー ル に よ るNOエ 還 元 に 伴 い 、COや 炭 化 水 素(HC) のほ かに 、微 量の アセ トア ルデ ヒ ドや アン モニ ア、 および、シアン化合物が副生成物として生成することを 見い出し、

これらの有害成分の除去 を試みた結果、Ag/Al203触媒とCu/Al203触媒及びPt/Al203‑Ti02 触 媒を 連結 した 触媒 シス テム を用 いる こと によ っ て、 ディ ーゼ ルエ ンジン 排ガス中の NOエだ けで なく 、CO、HC及び 各種 有害 成分 のト ー タル エミ ッシ ョン を高い 効率で低減 することができることを 明らかにした。

  4.エ ン ジ ン 排 ガ ス 下 に お い てAg/Al203触 媒の 耐久 試験 を行 い、 脱硝 率が 経過 時間 と とも に低 下し 、触 媒劣化が進行することを明らかにした。また耐久試験後 の触媒の状 態 分析 を行 い、 触媒 劣化 は排 ガス 中のS02に 起因するのではなく、工ンジン オイルから のアッシュ、特にりン成 分によることを明らかにした。これをもとに触媒の改良を行い、

リ ン成 分を 増量 させ たェンジンオイルを用いて加速耐久試験を行った結果、Ag/Al203を 臼‑AI203で 被 覆 し た 触 媒 が 極 め て 高 い 耐 久 性 を 示 す こ と を 明 ら か に し た 。   5.上 記 の 結 果 を も と に コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム と し て 稼 働 し てい るA重油

(Sく1 wt%)を燃料とするディーゼルエンジンを用いて、ハ二カムに担持した臼‑Al203被 覆Ag/Al203触 媒 の 耐 久 実 証 試 験 を 行 い 、 約200ppmのS02を 含 む エ ン ジ ン排 ガス 条件 下 、5600h後に おい て も、 安定 で高 い脱 硝率 が得られることを明らかにした 。また、ハ 二カム担持臼‑Al203被覆Ag/Al203十Cu‑Pt/Al203触媒 を用いることによって、実排ガス中 のNOエ ば か り で な く 副 生 す るCO、HCお よ び 各種 有害 成分 を高 効率 で除 去で きる こと を明らかにした。

  これ を要 するに著者は、エタノー ルを還元剤とするディーゼルエンジン排ガスのNOエ 除 去に 対し て、優れた性能を持つ高 耐久性複合触媒システムを開発したもので反応工学 お よ び 環 境 触 媒 工 学 に 対 し て 寄 与 す る と こ ろ 大 な る も の が あ る 。   ―   よっ て著 者は、北海道大学博士( 工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

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