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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 工 学 )    三 栗 祐 己

学 位 論 文 題 名

   次世代配電システムの信頼性・経済性の評価および      電圧制御手法の検討

(Evaluation of Reliability and Economic EfficlenCy ,VOltageCOntrolMethod     1nNeXtGenertionDiStributionSVStem )

学位論文内容の要旨

  低炭 素 社会 への 期 待の 高ま り、それに伴う太陽 光発電の普及、2011年3月に 発生した東日本大 震災を 契機とした、原子 カ発電の停止に伴う 上位系統の信頼度低下、蓄電技術の進歩による電気自 動車(electric vehicle; EV)の普及をど、電力.エネルギー業界を取り巻く環境は今、大きを転換期 を迎え ている。とりわけ 太陽光発電をはじめ とした再生可能エネルギー発電からの逆潮流に対する 電圧上 昇問題に対する対 応は、急務とをって いる。これは、電源側から需要家側への一方向の電力 潮 流を 前提とした従来 の電カシステムが 、近年増加してい る分散電源からの逆 潮流に対応しきれ を くな ってきているこ とが原因として挙 げられる。一般的 にこのようを分散電 源は需要の末端に 設 置さ れるため、特に 電カを供給する側 と電カを消費する 側の接点に相当する 配電システムにお いては 、供給側・需要家 側の双方の要求に柔 軟に対応すべく、大きく変貌を遂げる必要がある。こ うした 背景をもとに、次 世代の配電システム として「高柔軟・高信頼電気工ネルギー流通システム (FRIENDS)」や、 スマートグリッド といった概念が提 唱されている。

  本論 文ではそのようを 次世代の配電システ ムに関して、主にニつの観点からの検討を実施した。

一点目 は、次世代配電シ ステムの信頼性・経 済性の評価である。次世代配電システムの導入に適し た分散 電源の導入量、負 荷状態等を考察し、 システム導入に有利を条件を明らかにすることを目的 として 、信頼度の異をる ニつの需要に対して 電力供給を行うことを想定し、それを従来システムの 枠 組み で 行う 方法 と 、FRIENDSの枠組み で行う方法の両者 を信頼性、経済性の 観点から比較・検 討 した 。 二点 目は 、EVに よる 配 電系 統電 圧 の制 御手法の 検討である。配電系 統において、EVの 増 加に よる配電系統の 電圧降下を、EV自 身の制御により適 切をレベルに維持す ることを目的とし て、そ の制御手法を検討 した。以下に本論文 の構成とまとめおよび得られた知見を簡潔に述べる。

  第1章では、本 節の冒頭で述べた 背景を詳述し、本 論文の目的と構成、 および関連する研究動向 につい てをまとめて示し た。

  第2章では、従 来の配電系統で特 に電圧が問題にを っている状況および 、次世代配電システムと し て、FRIENDSとス マー ト グリ ッド の 概要 を述 べ た。 さら に 、EVの利 用可能 性として、EVに蓄 え られ た有効電カを系 統利用する場合に 、必要とをる経済 的インセンティプを 、EV所有者の利便 性の損 失を考慮して定量 的に評価した。その 結果、現状の技術では蓄電可能社エネルギー量が限ら れ てい る ため 、EVに 蓄え られ た エネ ルギ ― を系 統が利用 することはEV所有者 の著しい利便性の 損失に っをがり、必要を 経済的インセンティ ブは非常に大きく、実質的には利用が非常に難しい。

し かし をがら技術の進 歩に伴いEVに搭載 される蓄電池容量 が大きくをるほど、 翌日の走行に対し て 蓄え ら れる エネ ル ギー に余 カ がで るた め 、系 統利 用 がし やす く をる との 知 見が 得ら れ た。

  第3章 では 、FRIENDSの 信頼 度 およ び経 済 性の 評価を行 った。この評価では 、ある新規需要地 域を想 定し、そこに配電 設備をーから構成す ることを考えた時に、従来の配電方式の枠組みで配電     一690−

(2)

設 備を 構 成す る場 合 と、FRIENDSの枠組 みで構成する場合 を考え、両配電方式 の信頼度を比較す るとい う方法で検討した 。また、需要につい ては、それほど高い供給信頼度を求めをい「標準品質 需 要」 と 、高 い供 給 信頼 度を 求める「高品質需要 」の2種 類を仮定した。信頼 度の評価において は、時 系列モンテカルロ シミュレーション法 を用い、経済性の評価としては、システム構築にかか る設備 コストを算出した 。その際、システム 全体にかかるコストを両方式とも揃えて信頼度を比較 する方 法と、高品質需要 の信頼度を同一にし て、コストと標準品質需要の信頼度を比較する方法の ニつで 比較を行った。前 者の評価では、将来 、規制緩和の進展をどにより発電・送電系統の信頼度 が 低下 す るよ うを 状 況に おい ては、FRIENDS方式による信 頼度管理が優位に立 っ可能性が示され た 。一 方 、後 者の 評 価か らは 、FRIENDS方 式に お いて は、DGの導 入量 に対し て信頼度改善の度 合 いが 飽 和す る可 能 性も 示さ れ た。 その た め、FRIENDS方 式 を採 用す る際に は、DGを過剰に導 入して しまわぬよう注意 が必要であることが 示された。

  第4章 では 、 配電 系統 に おけるEVによ る電圧降下を、EV自身の制御で補償す る手法を提案し、

そ の効 果 をEVの導 入 可能 台数 に より 定量 的 に評 価した。 この手法は、EVの充 電には通常、時間 的な余 カがあることを利 用し、充電電カを抑 えること、およびそれにより生じたインバータの空き 容 量を 使って無効電力 制御をすることに より、EVの充電に よる電圧降下を補償 するものである。

もっと も基本とをる制御 である「PQ制御」、 電圧の予測を使ってさらにその制御を応用した「予測 制御」 、PQ制御をべース としてさらに電圧逸 脱情報のやりとりによって系統全体で協力的を制御を 実現す る「通信制御」を 提案した。その結果 、提案手法を採用すれば、EVによる電圧降下を補償す ること が可能とをること がわかった。ここで は電圧下限逸脱に対して非常に厳しい条件を想定して 評価を 行ったが、実際に はここで想定したよ うを過酷を条件はまれであるため、実質的には本手法 を 採用 すれぱEVの夜間 一斉充電に伴う電 圧下限逸脱という 問題は解消できるも のと考えられる。

  第5章では、4章で提案 した手法をより効率 的、安定的に動作させる手法を検討した。すをわち、

PQ制御 をさらに発展さ せ、必要最低限の 有効電カの抑制に より、可能を限り短 時間で充電を完了 させる 効率性と、周囲にEVが存在して同様の 制御を行ったときにも安定的′よ動作を実現する安定 性 を実 現 する 「改 良PQ制 御」 の 手法 を開 発 した 。本手法 では、EVが接続され ているノード電圧 を確認 しをがら有効電カ および無効電カを微 小量ずつ変化させて最低限、すなわち電圧下限値を下 回らを いぎりぎりの電圧 値を維持する。さら に、ハンチングの原因とをる有効電カおよび無効電カ の 微 小 調 整 量 と 制 御 不 感 帯 の 関 係 の 検 討 に よ り 制 御 が 安 定 と を る 条 件 を 考 察 し た 。   第6章では、本 論文で検討した結 果をまとめ、今後 への展望を示した。 本研究により、次世代配 電 シス テムの有効性お よび必要性を示し 、EVが配電系統に 及ばす影響およびそ の対策についての 知見が 得られた。

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(3)

学位論文審査の要旨 主査 副査

副査

教授 教授 准教授

北 小 笠原 原

学 位 論 文 題 名

裕幸 悟司 亮一

   次 世 代 配 電 シ ス テ ム の 信 頼 性 ・ 経 済 性 の 評 価 お よ び      電 圧 制 御 手 法 の 検 討

(Evaluation of Reliability and Economic Efficiency , Voltage Control Method     lnNeXtGenertionDiStributionSyStem )

  近年の電力系統に おいては,太陽光発 電・風力発電等の分散型電源の増大,蓄電技術の進歩による 電 気自動車(electric vehicle; EV)の普 及,2011年3月に発生した東 日本大震災を契機とした電力安 定 供給に対する需要 家意識の高まり顔ど ,電力・エネルギ ー業界を取り巻く 環境は大きく変化し て き ている.しかしを がら,現在の電力系 統は,電源側から需要家側への一方向・単一品質の電力潮流 を 前提とするととも に,発電と送配電の 機能を一体的に運用するシステムであるため.現状のままで は 上 記 の よ う を 環 境 の 変 化 に 十 分 に 対 応 で き 顔 く を っ て く る 可 能 性 が あ る .   こ うし た背 景 のも と、「高 柔軟・高信頼電気 工ネルギー流通シス テム(FRIENDS)」や、スマー ト グ リッドといった次 世代の配電システム の概念が提唱されている.本論文は,こうした次世代の配電 シ ステムに関して, 主に「信頼性・経済 性の評価」をらび に「EVによる配電 系統電圧の制御」の ニ つ の観点から検討を 行ったものである. 本論文で得られた主たる成果は以下のようにまとめられる.

(1)次世代配 電システムの導入 に適した分散電源 の導入量,負荷状態 等を考察し,システム導入に有 利 を条件を明らかにすることを目的として,信頼度の異をるニつの需要(標準品質需要,高品質需要)

に 対 して 電力 供 給を 行うこと を想定し,それを 従来システムの枠組 みで行う方法と,FRIENDSの 枠 組 みで行う方法の両 者を信頼性,経済性 の観点から比較・検討を行っている.供給信頼度評価におい

・ て,複数信頼度の電カを供給することを前提とした評価は世界的にも新しいものである,また.モデ ル 系統を用いたシミ ュレーションの結果 ,特に上位系統の 信頼度が低下する ようをケースおよび 需 要 が過密化するよう をケースにおいて, 次世代配電システ ムが従来配電シス テムよりも有利にを る こ とが定量的に示さ れた.次世代配電シ ステムの有効性に ついては,これま で定性的に議論され る ケ ースがほとんどで あり,本論文のよう にその信頼性や経 済性を定量的に評 価した研究はほとん ど 見 られず,本論文の 独創的を点と言える .

(2)配電 系 統に おい て ,EVの増加による 配電系統の電圧降 下を,EV自身の制 御により適切誼レベ ル に 維 持す るこ と を目 的として ,その制御手法を 検討している.EVを電力系統 の周波数制御に活用 す る という論文はすで に提案されてはいる が,EVを配電系統 の電圧安定化に利 用するという研究は 世 界 的にも新しい試み である.特に,PQ制 御,予測制御,通信制御という新しい電圧制御手法を提案す る と共に,それぞれ の有効性を実際的を 配電系統モデルに おけるEVの導入可 能量で評価しており . 本 論文の特色・独創 的を点であると言える.特に,通信制御については,情報通信技術(ICT),スマー ト メータを用いた, 電力系統と需要家間 の双方向通信の可能性を示すものであり,将来有望を技術に

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(4)

をるもの と期待できる,

(3)著者 が提 案 したEVのPQ制御 手法 を より効率的 、安定的に動作さ せるために,系統 電圧を常に 確認しを がら制御量を決定 する手法を提案している.これにより。電圧逸脱回避に最低限必要を充電 抑制及び 無効電力制御を実 施することが可能とをっている.また,より実際的を制御の観点から,EV のプラグ イン時,充電中の2つの運転 パターンにおける 具体的を制御モー ドや不感帯を適切に 設定 すること で制御のハンチン グを抑制する方法 等が明らかにされて いる.ここで得られた成果は,EV を電力系 統運用に活用する ことを想定した, 蓄電システムの設計 に有効を知見を与えるものと期待 できる.

  これを 要するに,著者は ,次世代配電システムについて,新しい信頼度評価手法および電圧制御手 法を開発 すると共に,実際 的を配電系統モデ ルを用いて,その有 効性を定量的に評価したものであ り,配電 工学,電力系統工 学の発展に寄与するところ大なるものがある.よって著者は北海道大学博 士(工学 )の学位を授与さ れる資格あるもの と認める.

‑ 693−

参照

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