876
CHEMRECTM
ク ラ フ ト黒 液 回 収 ブ 下 ス タ ー
ヨ タ ベ ル ケ ン ・エ ネ ル ギ ーAB ル ネ ・ ヒ ル ス ト ロ ー ム ス バ ン テ ・ニ ル ソ ン
CHEMRECTM
Kraft
Recovery
Booster
Rune Hillstrom and Svante Nilsson Gotaverken Energy AB
Gotaverken Energy AB in Sweden had developed the new black liquor recovery system , CHEMRECTM, which is based on black liquor gasification .
The first commercial CHEMRECTM kraft recovery booster plant
, capacity 3-4 t•EDS/h at Frovifors Bruk in Sweden was successfully started up in May 1991 and the continuous operation was initiated in August the same year.
CHEMRECTM booster is one of the applications of the system and gives incremental recovery capacity expansion in mills where recovery boilers are undersized.
In the paper, the development history of CHEMRECTM, the operating results at Frovifors are summarized and the new standard CHEMRECTM booster plant is introduced .
は じ め に ク ラ フ トパ ル プ 製 造 工場 に お け る 生 産 能 力 の 向 下上 を 考 え る 際,大 きな 障 害 と な る 問 題 点 の1つ に 回 収 ボ イ ラ ー の 能 力 が あ げ ら れ る 。 現 在,広 く使 わ れ て い る Tomlinson 型 の 回 収 ボ イ ラ ー は1930年 代 に 開 発 され , 基 本 的 な 技 術 は 変 更 さ れ て い な い が よ り大 型 化,高 効 率 化 す る こ と に よ り現 在 に 至 っ て い る 。 し か し,投 資 金 額 も大 き く処 理 能 力 の 向 上 を 計 る こ とが 難 しい こ と な ど か ら 生 産 の ボ トル ネ ッ ク とな っ て い る場 合 が 少 な くな い 。 弊 社 で は 従 来 か ら の 回 収 ボ イ ラ ー とは 違 い,黒 液 の ガ ス 化 を べー ス と す る 新 し い CHEMRECTM (ケ ム レ ッ ク)黒 液 回 収 法 を 開 発 した 。こ の CHEMRECTM 法 の 用 途 と して は2種 類 考 え ら れ て お り,1つ は 小 型 の 大 気 圧 型 ガ ス化 装 置 を 用 い て既 設 回 収 ボ イ ラ ー の 能 力 不 足 分 を 補 うブ ー ス タ ー 方 式 で(図1),も う1つ は 既 設 の 回 収 ボ イ ラ ー の 置 き換 え と して 加 圧 型 ガ ス 化 装 置 とガ ス タ ー ビ ン,排 熱 ボ イ ラ ー とを 組 み 合 わ せ た コ ン バ イ ンサ イ ク ル 方 式 で あ る(図2) 。 本 稿 で は ブ ー ス タ ー 方 式 のCHEMRECTMに つ い て 商 下業用 プ ラ ン トで の 操 業 経 験 を 含 め て 述 べ る こ と に す る。 背 景 黒 液 を ガ ス 化 す る とい うCHEMRECTM法 は, も と 図 1 CHEMRECTM ブ ー ス タ ー 図 2 CHEMRECTM コ ン バ イ ン サ イ ク ル
CHEMRECTMク ラ フ ト黒 液 回 収 ブー ス タ ー 877 も とス ウ ェ ー デ ンの 鉄 鋼 業 界 で の 研 究 活 動 の 中 か らで て き た 副 次 的 な 技 術 で あ っ た 。 1980年 代 にSKFス チ ー ル 社 が 高 炉 技 術 の 代 替 とす る た め の 新 し い製 銑 プ ロセ ス の 開 発 に 携 わ っ て い た 。 そ の プ ロセ ス の 中 で は 強 力 な プ ラ ズ マ 発 生 装 置 が 中 心 的 な役 割 を 占め て い た 。 そ の よ う な状 況 の 中 で 同 社 が この 強 力 なプ ラ ズ マ 発 生 装 置 を使 っ た 潜 在 的 な 他 の 用 途 を探 して い た 際 に,黒 液 回 収 ボ イ ラ ー の 代 替 設 備 と して の利 用 が 可 能 性 の あ る候 補 と して 取 り上 げ ら れ た 。 プ ラ ズ マ 発 生 装 置 は 黒 液 の 還 元,ガ ス化 の た め の 熱 エ ネ ル ギ ー 供 給 元 と して 使 う こ とが 考 え られ た 。 1983年 か ら炭 酸 ナ ト リウ ム の 生 成 を 極 力 お さ え る こ と を 目的 と した 高 温(1,300℃)で の ガ ス 化 テ ス トが 行 わ れ た。 そ の 結 果 か ら,技 術 的 に は炭 酸 ナ ト リ ウ ム 発 生 を低 くお さ え る こ とが 確 認 さ れ た が,プ ラ ズ マ 発 生 装 置 の 必 要 とす る電 力 費 は 高 い もの で あ っ た 。 そ の 後,1986 年 に は現 在 操 業 を 行 っ て い る もの と 同 じ950℃ で の ガ ス 化 テ ス トが 供 給 液300kg・DS/h程 度 の 規 模 の パ イ ロ ッ トプ ラ ン トで 行 わ れ た 。 そ の 目的 は 以 下 に あ げ る 点 に あ っ た 。 (1) 反 応 器 上 部 の 最 適 設 計 の 確 立 (2) 反 応 器 内 部 の 最 適 な ガ ス 流 の パ タ ー ン確 立 (3) さ ま ざ ま な種 類 の 耐 火 材 の 耐 腐 食,侵 食 に 対 す る情 報 収 集 (4) ガ ス 冷 却 とス ク ラ ビ ン グ シ ス テ ム に お け る硫 化 水 素 の 吸 着 度 測 定 (5) さ ま ざ ま な 条 件 下 で の 緑 液 の 組 成 分 析 (6) さ ま ざ ま な 条 件 下 で の 物 質 とエ ネ ル ギ ー ・バ ラ ン ス の 確 立 (1) 高 い炭 素 転 換 率 と高 い 還 元 率 を 得 る た め の 条 件 の確 立 す べ て の テ ス トは酸 化 剤 と して の 空 気 を 予 熱 す る た め に プ ラ ズ マ 発 生 装 置 を取 付 け,本 質 的 に は大 気 圧 下 で 行 わ れ た 。 こ の パ イ ロ ッ トプ ラ ン トの テ ス ト結 果 か ら導 きだ さ れ た 結 論 は,ガ ス 化 は 黒 液 か ら の エ ネ ル ギ ー と薬 品 の 回 収 に 対 し非 常 に 有 望 な 方法 で あ る と い う こ とで あ っ た。 こ の よ う な 経 過 を へ て1989年 ス ウ ェ ー デ ン の フ レ ビ ー フ ォ ス(Frovifors)社 と の 間 で最 初 の 商 業 用 プ ラ ン トの 納 入 契 約 が 交 わ さ れ た 。 CHEMRECTM の 黒 液 ガ ス 化 プ ロ セ ス CHEMRECTM で の 黒 液 の ガ ス 化 は,あ ら か じ め ガ ス バ ー ナ 等 で950℃ に 昇 温 さ れ たCHEMREC糊 リ ァ ク タ の 上 部 か ら黒 液 を コ ンプ レ ッ サ ー か らの 圧 縮 空 気 (これ を1次 空 気 と呼 ぶ)で 噴 霧 す る こ と に よ っ て 行 わ れ る 。 噴霧 さ れ た 黒 液 は リア ク タ 内 の 雰 囲 気 温 度 で ガ ス 化 し,分 解 され る。 分 解 さ れ た 黒 液 内 の 炭 素 の 一 部 は 酸 化 剤 と して 送 り 込 ま れ る500℃ に 予 熱 さ れ た2次 空 気 と リア ク タ 内 で 完 全 燃 焼 し,熱 を 発 生 す る。 ま た,残 りの 炭 素 は 蒸 気 と反 応 し,COとH2か ら な る可 燃 ガ ス とな る 。 炭 素 の 完 全燃 焼 に よ っ て 発 生 した 熱 の 一 部 は リア ク タ 内 の 温 度 を 維 持 す るの に も使 わ れ る た め,ガ ス 化 が 開 始 さ れ る と リア ク タ 内 へ の 外 部 か らの 熱 の 供 給 は2 次 空 気 が 持 ち 込 む もの 以 外 に は 必 要 が な く な る。 また,リ ア ク タ 内 の 温 度 の コ ン トロ ー ル は2次 空 気 の 供 給 量 を調 整 す る こ と に よ っ て 行 う。 黒 液 を ガ ス 化 し た 場 合,ナ ト リ ウ ム 化 合 物 は 以 下 の 状 態 に あ る と さ れ て い る 。 単 原 子Na ガ ス NaOH ガ ス NagS 融 液 NaOH 融 液 Na2CO3 融 液 ま た,非 ナ ト リウ ム 化 合 物 は以 下 の 通 りで あ る。 CO ガ ス H2 ガ ス CO2 ガ ス H20 ガ ス H2S ガ ス こ う して 得 られ た 生 成 物 か ら 主 と し てNa2CO3, Na2Sか ら な る 融 液 を分 離 し,ガ ス 状 生 成 物 を 急 冷 す る 。 急 冷 プ ロセ ス に お い て い くつ か の 競 合 反 応 が 起 こ る が,そ の 中 で 重 要 な もの を 次 に 示 す 。
(1) NaOH(gas) → NaOH (liq.)
(2) Na(gas) + H20 (gas) → NaOH (gas) +1/2H2 (gas) (3) 2NaOH (liq.,gas) +CO2 (gas)→ Na2CO3 (liq.)
+H20 (gas)
(4) 2Na(gas) +CO2 (gas)+H20 (gas)→ Na2CO3 (liq,) +H2 (gas) 急 冷 す る こ と に よ っ て(1)お よび(2)の 反 応 を促 進 し, Na2CO3の 形 成 を抑 制 で き る 。 プ ロ セ ス の 概 要 CHEMREC粥 法 の 心 臓 部 は ク エ ン チ ク ー ラ ー を 内 蔵 し た噴 流 床 式 黒 液 ガ ス 化 リア ク タ ー で あ る 。 1993 年 7 月 67
878 ル ネ ・ ヒ ル ス ト ロ ー ム,ス バ ン テ 。 ニ ル ソ ン エ バ ポ レ ー シ ョ ン ・プ ラ ン トか ら 送 ら れ る 黒 液 は フ ィル タ ー に よ りろ 過 さ れ,粘 性 を 低 く して 噴 霧 を 容 易 に す る た め に 熱 交 換 器 に よ っ て135℃ に 間 接 加 熱 さ れ る 。そ の 後,ロ ー タ リー 式 ス ク リ ュ ー コ ンプ レ ッサ ー で 加 圧 され た 空 気 に よ っ て,内 面 を 耐 火 材 で ラ イ ニ ン グ さ れ た 噴 流 床 式 リア ク タ ー へ 噴 霧 さ れ る 。 図1に 簡 略 化 した フ ロ ー を 示 す 。 リア ク タ ー は 温 度950℃,圧 力 は 大 気 圧 よ りわ ず か に 高 い 状 態 で 運 転 され る。 リア ク タ ー へ 送 り込 ま れ る 空 気 の お よ そ80%は2次 空 気 と して 使 わ れ る 。 酸 化 剤 と し て 使 わ れ る 空 気 は リ ア ク タ ー へ 導 か れ る 前 に ロ ー タ リ ー プ ロ ワ ー に よ り加 圧 さ れ,別 置 の オ イ ル,ま た は 天 然 ガ ス バ ー ナ ー に よ っ て500℃ ま で 加 熱 され る。 黒 液 は リア ク タ ー 内 の 還 元 雰 囲 気 に あ る 反 応 ゾ ー ン に お い て 硫 化 ナ ト リ ウ ム(Na2S),炭 酸 ナ ト リ ウ ム (Na2CO3)か ら な る ス メ ル ト小 滴 と,水 素(H2),一 酸 化 炭 素(CO)を 含 む 可 燃 ガ ス に 分 解 され る 。 回 収 ボ イ ラ ー の 場 合 と は 違 い,反 応 は 非 常 に 早 く1∼2秒 程 度 で 行 わ れ る 。 ス メ ル ト小 滴 と可 燃 ガ ス は ク エ ン チ ・デ ィ ゾ ル バ ー で 分 離 され る 。 ク エ ン チ ・デ ィ ゾ ル バ ー で は ス メ ル ト小 滴 と可 燃 ガ ス が 冷 却 液 に 直 接 的 に 接 触 させ られ る。 ス メ ル ト小 滴 は 弱 液 中 に 溶 解 し緑 液 と な る。 ガ ス 化 リア ク タ ー は 内 面 を耐 火 材 に よ りラ ン ニ ン グ さ れ て い る。 こ の 耐 火 材 の 性 能 に 対 す る 要 求 度 は 高 く, 特 に 高 温 下 で の 溶 融 ソ ー ダ と硫 化 物 に つ い て の 耐 陛 が 必 要 と さ れ る 。 耐 火 材 は 鋳 造 され る断 熱 材 の 層 と,そ れ に よ っ て 保 持 され る あ らか じ め焼 成 さ れ た 組 立 式 の レ ン ガ の 層 か ら 成 り 立 っ て い る 。 耐 火 材 の 材 質 は CHEMRECTMの た め に 特 別 に 組 成 さ れ た も の で,フ レ ビ ー フ ォ ス 工 場 で 稼 働 中 の 商 業 用 プ ラ ン トで の テ ス ト,開 発 を通 して 得 ら れ た も の で あ る。 ク エ ン チ ・デ ィ ゾ ル バ ー を通 過 後,リ ア ク タ ー で 発 生 し た 可 燃 ガ ス は ベ ン チ ュ リー ・ス ク ラ バ ー,お よび ス プ レー ・ス ク ラ バ ー に お い て 冷 却,洗 浄 さ れ る。 弱 液 と工 場 用 水 が ス ク ラバ ー の 洗 浄 水 と して 使 用 され る。 ス ク ラ バ ー を 出 た 清 浄 な 可 燃 ガ ス は 別 置 の ボ イ ラ ー で 燃 焼 さ れ,下L場 用 の プ ロ セ ス 蒸 気 が 作 ら れ る 。 クエ ン チ ・デ ィ ゾ ル バ ー で の ス ケ ー ル 発 生 は低 く押 え られ,処 理 量 に 影 響 を 及 ぼ す こ と は な か っ た が,こ れ か らの 設 備 に つ い て は 緑 液 の 配 管 を2系 統 に し て 交 互 に 使 用 し,使 わ れ て い な い 方 の 配 管 は 休 止 時 に 弱 液 で 洗 浄 す る シ ス テ ム に す る 予 定 で あ る 。 まわ りの 環 境 へ の 影 響 の 少 な い燃 焼 ガ ス は,既 設 回 収 ボ イ ラ ー の ス ク ラバ ー か,直 接 煙 突 をへ て 排 出 さ れ る。 商 業 用 プ ラ ン トで の 操 業 フ レ ビー フ ォ ス 社 は 板 紙 の 一 貫Il場 で 製 品 は 液 体 カ ー ト ン 用 の コー ト板 紙 が1三で,そ の 他 一 般 的 な 包 装 用 の 板 紙 も 製 造 し て い る。CHEMRECTMを 設 置 した 目的 は 薬 品 回 収 能 力 を75∼100t・DS/day増 加1させ る こ とに あ っ た 。 こ れ は 既 設 の 回 収 ボ イ ラ ー の 能 力 の 約 10%に あ た る量 で あ る 。 こ の 設 備 は1991年5月 に 試 運 転 を 開 始 し,同 年8月 か ら連 続 操 業 に 入 り,約1ケ 月 後 に は 満 足 で き る性 能 確 認 テ ス トが 行 わ れ た(写 真1)。 プ ラ ン ト レ イ ア ウ トを 図3に 示 す 。 初 期 の 段 階 で は プ ラ ズ マ 発 生 装 置 が 外 部 か ら の エ ネ ル ギ ー 供 給 元 と して 使 わ れ た が,プ ロ セ スの 詳 細 な調 整 が 進 む に し た が っ て プ ラ ズ マ 発 生 装 置 か らの 入 熱 壁 を 徐 々 に 減 少 させ る こ と が 出 来 る よ う に な り,最 終 的 に は 一 切 使 わ な くな っ た 。1992年 の1月 か ら は 外 部 か らの エ ネ ル ギ ー 供 給 を 受 け る こ とな く操 業 を 続 け て い る 。 平 均 的 な 操 業 デ ー タ を以 下ドに 示 す 。 処 理 量:75t・DS/day 以L 写 真 1 フ レ ビ ー フ ォ ス 工 場 で の プ ラ ン ト内 部 右 が リ ア ク タ ー 下L部,左 が ス ク ラバ ー 上部 図 3 フ レ ビ ー フ ォ ス工 場 で の CHEMREC TM ブ ー ス タ ー 概 要 図
CHEMRECIM ク ラ フ ト黒 液 回 収 ブ ー ス タ ー 879 還 元 率: 99% 炭 素 転 換 率: 99% 緑 液 中 の ド レ ッ グ ス : 1,000 mg/1 排 ガ ス 成 分 : SO2 100∼ 200 ppm NOx 50ppm TRS 2ppm以 ド 塵 100rng/ Nm3 生 成 ガ ス 組 成:CO 10∼ 12% vol H2 14∼ 16% voI CH4 0.05∼ 1% vol CO2 12∼ 14% vo1 生 成 ガ ス の 発熱 量 は 3.0∼ 3.4MJ/ Nm3 で あ る。 パ イ ロ ッ トプ ラ ン トで の デ ー タ と 比 較 し て ,フ レ ビ ー フ ォ スL場 で の デ ー タ はf想 以 上の もの で あ っ た 。 炭 素 転 換 率 か ら す る と,緑 液 の 清 澄 度 は 従 来 の 方法 で 得 ら れ た もの と ほ ぼ 同 じ で あ っ た 。 還 元 率 は リ ア ク タ ー 中 の ス メ ル トで 計 算 さ れ て い る。 ス タ ン ダ 下 ド CHEMRECTM プ ラ ン ト 弊 社 に は 標 準 化 さ れ たCHEMRECTMク ラ フ ト回 収 ブ ー ス ター ・シ ス テ ム が 用 意 さ れ て お り,そ の 処 理 量 は250t・ DS/ day で あ る。 こ の シ ス テ ム は,操 業 中 の 既 設 回 収 ボ イ ラ ー に 影 響 を 及 ぼ す こ と な く据 付 け る 事 が 出 来 る 。 緑 液 は ク エ ン チ ・デ ィ ゾ ル バ ー か ら ポ ン プ に よ り1:場 の 緑 液 シ ス テ ム へ 送 られ る。 註要機 器 の レ イ ア ウ トを 図4に 示 す 。 回収 ボ イ ラ ー の 処 理 鼠 を増 や す た め の 改 造 を 行 う に は,20∼40日 程 度 の シ ャ ッ ト ・ダ ウ ン が 必 要 と さ れ る が,CHEMRECTMシ ス テ ム の 場 合,リ ア ク タ ー が 独 立 した ユ ニ ッ トで あ る た め,回 収 ボ イ ラ ー を 止 め る こ と な く シ ス テ ム の 据 付,ス タ ー トを 行 う こ とが 出 来 る。 し た が っ て シ ャ ッ ト ・ダ ウ ン をせ ざ る を 得 な い 場 合 と 比 べ て 牛 産 ロ ス の 分,約 数 百 万 ドル が 節 約 で き る 。 シ ス テ ム に 必 要 な ス ペ ー ス は14×18m(パ ッ ケ ー ジ ・ボ イ ラ ー を 含 め た場 合 は14×32m)で あ る。 リア ク タ ー 及 び ス ク ラバ ー の 下 半 分 は 覆 う こ とが 望 ま しい 。 シ ス テ ム 中 で も っ と も大 き い機 器 は リア ク タ ー で,サ イ ズ は 径3m,高 さ15mで あ る 。 した が っ て す べ て の 機 器 は トレ ー ラ ー で の 輸 送 が 可 能 で あ る 。 CHEMRECTMシ ス テ ム で 生 成 さ れ た 可 燃 ガ ス は パ ッ ケ ー ジ ・ボ イ ラ ー か ,既 設 の バ ー ク ・ボ イ ラ ー で 燃 焼 させ る こ とが 出 来 る。 可 燃 ガ ス は 発 熱 量 が 低 い た め,バ ー ナ ー は 低 熱 量 用 の もの を使 う必 要 が あ る 。 ま た,不 完 全 燃 焼,燃 焼 の 停 止 を 防 ぐた め,オ イ ル を燃 料 と す る パ イ ロ ッ トフ レ ー ム が 使 用 さ れ る 。 こ のCHEMRECTMで は70℃ の 温 水 もつ く ら れ る 。 こ の250t・DS/dayの 標 準 プ ラ ン トの 設 備 動 力(コ ンプ レ ッサ ー,フ ァ ン,ポ ン プ 等)は お よ そ1下5MW 程 度 で あ る 。2次 空 気 用 の 予 熱 器 用 バ ー ナ ー の 燃 料 消 費 量 は オ イ ル の 場 合2701/h,天 然 ガ ス の 場 合 は300 Nm3/hで あ る 。 CHEMRECTMの 運 転 は 容 易 で あ り,回 収 ボ イ ラ ー の 中 央 操 作 室 で モ ニ タ ー 出 来 る た め,現 場 で の 連 続 し た 監 視 は 不 要 と な る。 ま た,CHEMRECTMシ ス テ ム は メ ン テ ナ ン ス を ほ と ん ど 必 要 と し な い の で,新 た に オ ペ レ ー ター を増 や す こ とな く操 業,保 守 を 行 う こ と が で き る。 お わ り に 以 上 CHEMRECTM につ い て 述 べ て き た が,既 存 の 回 収 ボ イ ラ ー に 対 す る利 点 を ま と め る と次 の よ う に な る。 (1) 単 位 固 形 分 あ た りの 投 資 額 が 少 な い (2) 設 備 が 独 立 した ユ ニ ッ トで あ る た め,黒 液 回 収 能 力 の 拡 大 が 容 易 に 行 え る (3) 設 備 が よ り コ ンパ ク トで あ る (4) ガ ス タ ー ビ ン,排 熱 ボ イ ラ ー と組 合 せ た コ ン バ イ ンサ イ クル へ の 適 合 性 (5) 高 い 還 元 率 (6) 大 気 へ の 放 出 臭 気 レ ベ ル が 低 い (1) ス メ ル トが 蓄 積 さ れ な い た め,ス メ ル ト水 爆 発 の 危 険 が な い 現 在,回 収 ボ イ ラ ー で の 回 収 能 力 が ボ トル ネ ッ ク に な っ て い る 工 場 に お い て は,既 設 回 収 ボ イ ラ ー を 長 期 に わ た っ て 止 め る こ と な く,設 置 ス ペ ー ス も少 な くて す む 点 も含 め てCHEMRECTMブ ー ス タ ー の 採 用 は 大 き な メ リ ッ ト と な る で あ ろ う。 図 4 処 理 量 250t・ DS/ day の CHEM-RECTMブ ー ス タ ー 概 要 図 1993 年 7 月 69
880 ル ネ ・ ヒ ル ス ト ロ ー ム,ス バ ン テ ・ニ ル ソ ン フ レ ビ ー フ ォ ス工 場 で の プ ラ ン トも随 時 改 良 が 加 え られ て お り,そ の 経 験 も含 め て 日本 に お い て も積 極 的 に 紹 介 して ゆ くつ も りで あ る。
参 考 文 献
・Stigsson,Lars : 1989 TAPPI International Chemi-cal Recovery Conference Proceedings
・Stigsson
, Lars : CHEMREC Kraft Recovery Technology, Kamyr Symposium 1990
お 問 い合 せ カ ミヤ 株 式 会 社 営 業 部 下 川 電 話 03 (5484) 2201