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相関性に着目した文学的文章の授業づくり : マッピング法を用いて

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(1)

相関性に互早レ占売晃異轟烹

?重

業づくり

平成

27年

研究報告書

兵庫教育大学大学院

学校教育研究科

教育実践高度化専攻

小学校教員養成特別 コース

(2)

目次 序章 問題の所在 と研究の方法・・・・・・・・・ 。・・・・ ・・ ・・・・・・・ ・・ 第1節 問題 の所在・・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ 第

2節

研 究の方法・・ ・・・・・ ・・ ・・・・・ ・・ ・・・ ・・・ ・・・・ ・・・2 第1章 文学教材 における相関性・・・・ ・・・・・・・・ 口・・・・・・・・・・・4 第 1節 国語教育 にお ける文学教育 ・・・ ・・ ・・・・・・・・・・・・ ・・・・4 第 1項 文学教育にお ける課題・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・ ・・・5 第

2項

これか らの文学教育に求 め られ る力・・・・・・・・・・・・・・ ・・・6 第

2節

相 関性 につ いて 。・・・ ・・・ ・・・・・ ・・ ・・・ ・・ ・・・・・ ・・ ・7 第 1項 相 関性 の定義・・・ ・・・・・ ・・・ ・・・・ ・・・ ・・・・・・・ ・・7 第

2項

相 関性 の読み の要件・・・・・・・ ・・・・ ・・・ ・・・・・ ・・ ・・・7 第

2章

相関性の読み取 りを促す学習活動・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・12 第 1節 相 関性 の視覚化 に関す る先行研 究・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・12 第 1項 思考 の視覚化 について 。・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 第

2項

シンキングツールの類型・ 。・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・ 。14 第

2節

相 関性 の読み 。視覚化の要件 とシンキングツールの選定・ ・・・・ ・・・・18 第 1項 相 関性 の視覚化の要件・・・・・・・ ・・・・・・・・・・ ・・・・・・18 第

2項

相 関性 の読み の要件 とシンキングツールの照合・・・・・・・・・・・・18 第

3項

相 関性 の視覚化の要件 とシンキングツール の照合・・・・・・・・・・・19 第

3節

相 関性 を読み取 る新 たなマ ッピング法の提案 ・・・・・・・・・・・・・ 。22 第 1項 五)人物 間の対比的関係 を言葉 と記号で表すマ ップ・・・・・・・・・・・22 第

2項

)拡散的な思考 と収束的な思考 を持 ち合 わせていることを表すマ ップ・・24 第

3章

実践 の 目的 と方法 口・ 0・ ・ 口・ ・・・・・・・・・・・・・ ・・・ ・・・・28 第 1節 実践の仮説・・ ・・・・ ・・・ ・ ・・ ・・・ ・・・・・・・ 。・・・・・・28 第

2節

実践 の方法・・・・・・・・・・・・ ・・ ・・ ・ 。・・ 。・・ ・・ ・・・・29 第

1項

学習指導過程・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・ 。・・・ ・29 第

2項

授業展開・・・・・・・・ ・・ ・・・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・33 第

3項

活動 の具体・・・・・ ・・・ ・・・ ・・・・・・ ・・・・・・・ ・・・ 。34 第

3節

評価方法・ ・・・・・・ ・・ ・・ ・・ ・・・ ・・ ・・・・・・・・・ ・・ 。36 第 1項 マ ッピング法 に関わる評価方法・・・・ ・・・・・・・ ・・・・ ・・・・36 第

2項

「ごん ぎつね」における読みの評価 について 。・・・・・・・・・・・・37

(3)

4章

授業実践 の結果 と考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・43 第 1節 実践 の成 果 の概要・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・ ・・・・・・ ・・43 第2節 マ ッピング法 を用いた学習の分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44 第 1項 評価 基準 に照 らした分析・・・・・・・・・・・ ・・・・ ・・ ・・ ・・ 。44 第

2項

相 関性 の読み取 りと再構成 の観点か ら見たマ ップ分析・ ・・ ・・・ ・・ 。45

3項

交流 の観 点か ら見たマ ップ分析一

MO児

を例 に一 ・・ ・・ ・・・ ・・・51 第

3節

授 業実践 の成果 と課題・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・55 第 1項 マ ッピングにおける新たな読みへの可能性・・・・・・・・・・・・・・55

2項

読み の不十分な児童への指導・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・58 第

3項

成果 と課題・・ ・・・・ ・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・・・・・・・・・62 終章 研究の成果 と今後の課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・64 第 1節 研 究 の成果・・・・・・・ 。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・64 第

2節

今後 の課題・ ・・・・・・・・・・ ・・ ・・ ・・・・ ・・・・・・ ・・・65 引用・参考文献・ ・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・ ・・・・ ・・・・・66 謝辞 巻末資料

(4)

序章 問題の所在 と研究の 目的 第

1節

問題 の所在 国立教育政策研 究所 による平成

26年

度全国学力・学習状況調査 において

,国

語科 「読 む こと」に関す る問題 の正答率が 68.7%と 四領域 の中で最 も低 く

,そ

の 中で も 「物語の 登場人物 の相互関係 を提 えること」 に課題 が見 られ ることが示 された1ヽ 田近洵一 (2013)も また

,現

在の国語教育における 「叙述に即 した読み」に,「関係」

を読むという本来の意味が失われつつあることを指摘している

2、

これらのことから

, 文学教材 にお ける人物相互の関係性 に着 目した読み に課題 がみ られ ることがわか る。 西郷竹彦 (1978)や田近 (1996)が述べ るよ うに文学にお ける読み とは

,心

情や作者 の 意図を読む こ とであ り

,そ

れ らは場面での出来事や

,他

の登場人物 との関係

,状

況 な ど 様 々な形象が作用 し合 うこ とによつて成立す る3xし っ ま り

,読

み とはそれ までの関係 の 中に生 まれ る相 関性 に基 づいて語 られ るべ きであ り

,登

場人物 の心情や作者 の意図を読 み解 くためには

,そ

の相 関性 を捉 える力が必要であることを示 している。 この関係性 に 着 目した読み について西郷 (1996)は

,こ

れ を関係認識 の力である とし

,自

分 たちを取 り巻 く現実その ものの中にある諸関係 を正 しく認識 し

,さ

らにそれ らの諸関係 をよ り良 き方向へ変革 してい く主体 と して育て上げてい く力 として位置づけてい る。 さらに西郷 は

,文

学作品 にお ける関係認識 とは形象の相 関性 を読む ことである とし

,こ

の相 関性 を 読むことが文学において肝要であると述べている5、 したがって

,こ

れか らの文学教育 には

,人

物間の相関性 を読み取るための指導が求められているとい うことがいえる。 この相関性の読みについて増 田繁夫 (2002)は

,物

語の中の関係性 を言語のみによっ て直接的に理解す ることは非常に困難であ り

,イ

メージ化するための補助手段 として具

体的視覚的なものが必要であると述べている

6、

ィメージ化の手段としては,表やチャ

ー トな ど図を用いた実践が行われ

,知

識や考 えの拡充や アイデ アの創 出に有効性 が認 め られてい る。 しか し

,こ

れ らの表や チ ャー トな ど図 を用いた実践 には,「関係 」その もの に 目を向けた

,相

関性 の読み取 りにおいて不十分 な点が見 られ る。 そ こで

,物

語 の登場 人物 の関係性 を視覚化 し,相関性 を正確 に読み取 るための手立てが必要で ある と考 える。 なお,「関係 」に着 日 した相 関性 の読み取 りの要件 については第 1章で触れ ることとす る。 関係性 を とらえる手段 の一 つ と して,マ ッピング法が あげ られ る。マ ッピング法 とは, イ メー ジマ ップや コンセプ トマ ップな どの思考 を視覚化す るシンキングツール の一種で あ り

,事

象 ご とをつ な ぎあわせ ることによつて

,そ

の関係性 の意味を見出す といつた効 果 を持つ。 マ ッピング法 について小林康宏 (2008)は

,マ

ップ には思考 を広 げ る機能や 思考 をつなげ る機能

,思

考 をま とめる機能 があ る と述べ てお り

,こ

れ らの機能が国語科 にお ける読解 において有効 であると述べている7し また瀬り│1武 (2000)も

,マ

ッピン

(5)

グ法の関連付 ける思考 によって

,文

章や言葉

,表

現 を比較 しなが ら自分の読み に修正 を 加 え

,確

かな読みへ と深 めることができるとし

,国

語科 にお け るマ ッピング法 を用 いた 学習の有用性 を述べ てい る8、 そ こで

,国

語科 にお けるマ ッピング法 を用いた学習につ いての文献 を対象 に調査 を行 つた。その結果

,管

見では 「マ ッピング」や 「マ ップ」等 を取 り上げていた文献 において

,主

に文章構造理解

,心

情理解

,作

文のための連想 ツー ル,概 念知識理解,情 報統合,交 流のためのメモな どにマ ッピング法が用い られ ていた。 しか し

,そ

の 中で も人物の関係性 に着 日した実践は ごくわずかであった。 これ らの文献 調査 か ら

,文

学教材 にお け る人物や事象間の相 関性 の読みの必要性が示 され なが らも, この相関性 を読み取 るための具体的な方法や手立てを明 らかにす る研 究については

,十

分 に取 り組 まれ ていない こ とがわか る。 そ こで本研究では

,文

学教材 にお ける相関性 の読みや視覚化の要件 について検討 を行 い

,そ

の要件 を満 たす シンキングツールの選定及び改変 を行 う。そ して

,文

学教材 にお ける登場人物の相 関性 に着 目した,マ ッピング法 を用 いた学習指導のあ り方 を検討す る。 なお

,シ

ンキングツールや マ ッピング法の詳細 については第

2章

で述べ るもの とす る。 第

2節

研究の方法 本研 究では

,文

学教材 を登場人物 の相 関性 に着 日して読む ことによって

,登

場人物 の 心情 を読み取 り

,個

人 の読み の内容 を深化・拡充す ること

,そ

して新 たな考 えの創 出を 目的 とした

,マ

ッピング法 を用 いた授業 について考察す る。研 究の方法は主に 「文献研 究」 と 「実践分析」の二つで行 った。 まず第 1章 では

,文

学教 育 の課題 について言及 し

,こ

れ か らの文学教育に もとめ られ る力 として

,相

関性 を読む力 の必要性 を述べた。 その うえで相 関性 の定義付 けを行 い, 相 関性 の読み の要件 を設定 した。 第

2章

では

,シ

ンキングツール と思考スキルの分類表 をもとに

,相

関性 の視覚化 に必 要 な事項 について考察 し

,相

関性 の視覚化の要件 を設定 した。 そ して 「相 関性 の読みの 要件」,「相 関性 の視覚化の要件」 とシンキングツール の照合 を行い

,そ

れ ぞれ の要件 を 満 たす こ とので きる新たなマ ッピング法の在 り方について述べ る。 第

3章

では

,マ

ッピング法 を用 いた相 関性の読み取 りについて仮説 を示 し

,第

2章

で 提案 したマ ッピング法 を中核 とした単元指導計画や授業展開

,鶴

田清 司 (1993)ら の文 献 を基 に作成 した評価基順や評価方法な ど授業実践方法の具体 について述べ る。 そ して第

4章

では

,授

業実践 の結果 について

,児

童 の成果物や発話記録 を対象 に分析 を行い

,研

究テーマ を もとに考察 を行 つた。 さらに

,今

回の実践 の成果 と課題 点を中心 に整理 を した。 最後 に本研 究の成果 と課題 を述べ

,研

究のま とめ と した。

(6)

引用文献

1

国立教育政策研究所『 平成26年全国学力・学習状況調査報告書小学校国語』文部科 学省,2014,p.10.

2

田近洵一『想像の(読み〉新論一文学の(読み)の再生を求めて』東洋館出版,2013, p.160.

3

西郷竹彦『文学の読み方・教え方』部落問題研究所

,1978,p.65.

4

田近洵一『創造の

(読

み〉―読書行為をひらく文学の授業一』東洋館出版

,1996, p.68.

5

西郷竹彦『西郷竹彦文芸・教育全集』第

2巻

,恒

文社

,1998,p.19.

6

増田繁夫 「文学と文学の危機とは何か」日本文学協会

『 日本文学』第

51巻 5号

, 2002, p.43.

7

小林康宏『文学的文章教材を学習材として

,発

達に応 じた読みの力を育てるための 指導のあり方∼マ ップを用いて∼』全国大学国語教育学会『全国大学国語教育学会 発表要旨集』

H4号

,2008,p.205.

8

瀬り│1武美『国語科教育における構造学習―コンセプ トマ ッピング・アプローチー』 明治図書,2000,p.73.

(7)

第 1章 文学教材 における相関性 本 章では

,西

郷竹彦

,浜

本純逸 らの文献 をも とに

,今

日の文学教育の役割 とその課題 に触れなが ら

,文

学教材 にお ける相 関性 の読みの必要性 について述べてい く。 そのため にまず

,国

語 科 にお ける文学教材 の位 置づ けと

,そ

の特徴 で もある文学体験 について述 べ

,そ

こか ら文学額教材の読み と相 関性の関連 について言及 し

,そ

して最後 に

,文

学教 材 にお ける相 関性 の読みの要件 を定める。 第1節 国語科における文学教育 西郷竹彦 (1998)は国語科における文学教育について

,文

芸の形象を読ませ る中で, 人間を歴史的

,社

会的存在 として具体的に認識 させ

,

日本の現実の矛盾 をは らむ諸関係 を正 しく把握 させ るとし

,そ

うして培われた関係認識能力を, さらに現実の諸関係 をよ り良き方向へ変革 していく志向 とそのための能カヘ と転化 させ るものが文学教育である と述べている。さらに西郷は,こ の国語科における文学教育を 〈ものごと)を見る日と, つ くり変える手をきたえる教育 と名付 け,(ものごと

)の

見方

,変

え方を学ばせ る教育 と して位置付けている1)。 また

,浜

本純逸 (1996)は

,文

学作品を読むことは

,読

み手が形象的表現を手がか り に

,意

味を発見 してい く営みであ り

,そ

の過程で人物 (他者

)と

出会い

,自

己を取 り巻 く状況を捉え直 して

,自

己を豊かに してい く営みであると述べている2ゝ この文学の読みについて府川源一郎 (1995)は

,文

学体験 をさせ ることが重要である とし

,そ

の文学体験の成立には

,読

み手が作品の文体に潜 ることで 自己を多重化 し

,多

様な登場人物の中に参加 し,同時にそこか ら距離をとることが必要であると述べている。 さらに続 けて府川は

,こ

うした作品中の他者 との対話が

,文

学体験の成立に大きくかか わつていると述べている3ゝ この文学体験 について浜本 (1988)は

,作

品を読んで 「どう感 じるか」「どう思 うか」 を読者 にゆだね ることによ り

,一

人ひ とりの読者 がそれ ぞれ の生活経験 を賭 けて多様 な 意味づ けを行 うこ とで

,そ

こに広が りのある豊かな文学の授業が生まれ るとし

,こ

の よ うに読者 が 自己 とのかかわ りにおいて作品世界 を意味づけよ うとす るとき

,人

物 ととも に 「出来 ごと」 を生 きよ うとす ることが始 ま り

,人

物 の行動へ の共感や反発が生まれ, そ こか ら文学的な感動 の体験 が生まれ ると述べてい る4)。 田近洵一 (1996)は

,文

学 の読み とは虚構世界 をつ く り出 し

,そ

の世界 と関わつてい くことで ある とし

,そ

れ は

,読

者 が 自分以外 の人物 の言動 をシチ ュエー シ ョン との関係 をお さえて,イ メー ジ と して仮構す るとともに,そこに生み出 した虚構 の世界 を生 きる, しか も生 きなが ら

,そ

の世界 を相対比 し

,そ

こでの人物の言動 を第二者 として批評す る

(8)

ということであると述べている

5、 これ らの こ とか ら

,文

学教育 とは

,読

み手が文学に触れ

,作

中人物 の様子や言動

,そ

れ らを取 り巻 く様 々な状況 の意味に思 いを巡 らしなが ら

,同

時 にその人物 の視点に立 っ て思 いを共有す るものであるといえる。 また

,読

み手 はそれ に対 して第二者 の視点か ら 客観 的に批評 を行 いなが ら

,非

日常の虚構 空間を味わ う。 この よ うに

,文

学教育 とはそ の作品世界に対す る共感や反発 といつた思いや考 えか ら

,何

らかの意味や価値 を見出 し てい くとい うこれ ら一連 の文学体験 を通 して

,自

己を取 り巻 くもの ごとや状況 を捉 え直 す力 を養 い, これ か らの 自分 を豊かに してい くには ど うすべ きか とい う考え方や判断力 を身 につ けるための ものであるといえる。 第1項 文学教育 における課題 西郷 (1998)は

,文

芸 を学ぶ ことによって

,個

性 的で形象的

,典

型 的 な (つま り文芸 的な

)も

の ご との見方

,考

え方

,表

し方 を身につけ させ る必要がある と述べている の。 また

,増

田 (2002)は

,文

学作品の特質 は

,概

念化 の困難 であ り

,概

念化 にな じみ に くい物事 の感 覚的な レベル の在 り方

,概

念化す る過程で抜 け落 ちて しま う物事の個別性 や曖味性,と い つた側 面までをも概念的な言語です くいあげるところに認 め られ るとし, 現在 の人 々の身近 な ところには,「読む」とい う行為 に よつて他者や この世界 に主体的 に 関わ つてい くとい うあ り方や

,こ

れ に類す る機能 を持つ ものがあま りな く

,未

来の情報 過剰化 した社会 においては

,文

学作品 を読む とい う生活 はます ます必要で重要 になると い うことを指摘 してい る。そ して

,言

語 (文字

)の

よ うな高度 に抽象化 され た表現手段 のみによつて

,直

接的 に理解す ることには非常な困難 があ り

,イ

メー ジ化す るための補 助手段 な どと して具体的視覚的感 覚的なものによる助 けを必要 とす るとも述べている 7ゝ これ を換言すれ ば

,こ

れ か らの情報過剰化 した社会 を生 きてい くためには

,も

の ごと の見方や考 え方 を身 につ け させ

,他

者や世界 に主体的 に関わつてい くことが求め られ る とい うことである。 ここでい う見方考 え方 を身 につ け

,他

者や世界 と主体的 に関わる と い うのは

,西

郷 (1996)が述べ る関係認識 の力 助を養 うことを意図 している と考 える。 西郷の述べ る関係認識 の力 とは

,自

分 たちを取 り巻 く現実その ものの中にある諸関係 を 正 しく認識す る方 向へ と転化 し, さらにそれ らの諸関係 をよ り良き方向へ変革 してい く

主体として育て上げていく力である

9ヽ

つまり

,子

どものうちに,人 間や事物はすべて

関係 をもつて存在す るものであることをしつか りと認識 させ, さらにこの関係は不変・ 固定 したものではな く,変革するものであるとい うことを体験 し理解 させ ることであ り, これか らの社会には

,そ

ういつた関係 に目を向け

,そ

の関係の意味を考える力が必要だ とい うことである。 しか し現代の社会では

,他

者 との関係 を認識する力 を養 う場が少な

,ま

たそのような関係性を言語のみに頼つて理解することは困難であるということが

問題 で あ る とい え る。 5

(9)

2項

これ か らの文学教育に求め られ る力 第 1項では

,こ

れ か らの社会 を生き抜 くためには

,も

の ごとの見方や考 え方 を身 につ け させ

,他

者 や世界 に主体的 に関わ るために必要な関係認識の力 を

,文

学教材 を通 して 養 うこ とが必要で あ るこ とを述べた。 文学教材 の 目指す ものについて香月正登 (2013)は

,物

語 の世界 に生 き

,物

語 の世界 か ら離れ

,深

い思索へ と向かつてい くこと

,つ

ま り豊 かな文学体験 を させ ることにある と述べ てい る。 さらに香月 は

,豊

かな文学体験 とは ことばの働 きによって形成 され

,こ

の働 きに気づかせ る言語認識 の指導が国語科固有の学習である としている。 そ して香月 は,「なぜ

,そ

の よ うに感 じるのか」「なぜその よ うに書 きだすのか」 を論理的 に とらえ るこ とに よつて

,豊

か な文学体験 は確 か さを持つ。 そ こで必要 になるのが言語技術であ る。人物 をとらえる技術

,表

現 を とらえる技術

,視

点 を とらえる技術

,こ

ういった言語 技術 の習得や活用 に よって

,物

語 の味わいが広 が り

,深

ま る と述べ てい る10)。 ここで香 月が述べてい る

,人

物 を とらえる技術

,表

現 を とらえる技術

,視

点 を とらえ る技術 とい う言語技術は

,社

会 のなかで生 きるた めの力 だ ともい える。 す なわち文学教育 とは

,社

会 の中で他者や世界 との関係 を認識 し

,そ

こに主体的に働 きかけるために

,虚

構 世界 の

,主

人公やそれ を取 り巻 く人物や環境 の関係 を とらえ

,時

には主人公 に成 り代わ り

,時

には第二者の視点か ら

,そ

の虚構世界の出来事 に関わつて い くとい う文学体験 を通 して

,他

者や世界 の関係認識 力や それ らに対 してのかかわ り方 を学ぶ ことを 目的 としてい る といえる。 では

,文

学作 品の 中にお ける関係認識 とは何 を指すのか。 これ について西郷 (1996)

,文

芸 を読む とい うことは

,文

芸の形象 を読み取 る とい うことであ り

,文

芸 の形象の 読み取 りは

,形

象 の相 関性 を形象的思惟

,概

念 的思惟 とい う心理的 。認識論 的過程 を総 合 しつつ

,概

念化⇔表象化 をお しすす めてい くことである と述べている。 そ して

,こ

の 形象 の読み取 りについて西郷 は

,読

み進 め るにつれ て

,低

次の概念化⇔表象 化 をよ り高 次の、 よ り本 質的

,基

本的 な概念化⇔表象化へ とレベル ア ップす ることである と述べて い る。.さ らに西郷 は

,こ

の最高の次元が

,主

題 。思想 の概念化す ることであ り

,か

つ, 典型 としての形象 を トータルイメージとして表象化す ることであると述べているllヽ こ こでい う形象 とは

,

自己の意思・感情を持 ち思考を働かせ

,欲

求・欲望・願 いにもとづ き行動 し

,他

の形象に能動的に働 きかけ

,他

の形象の変革を通 して 自己を変革する

,い

わば人間や物語に登場する動物な どを指す人物形象

,そ

して

,

自己の意思・感情・欲求 をもたず

,他

の自然形象 との間にある関係 を持ちなが ら

,人

物形象により働 きかけられ る受動的なもので,自 然の風物,物などを指す 自然形象のことであ り,そ の総称を“形象" とぃ ぅ12)。 つま り

,文

学作品における関係 を認識するとい うことは

,形

象 と形象の関係 を認識す るとい うことだ といえる。 この形象 と形象の関係性 を西郷は形象の書目関性"と呼び

,こ

(10)

の相 関性 を読む ことが文学 において肝要であ り

,文

学教育 に よつて養 うべ き力 であ る と 述べ てい る とい える。 したがつて

,文

学 を読み

,虚

構世界 での様 々な形象の相 関性 を読 む こ とで

,形

象 同士の関係性 を把握す るとともに

,そ

こに 自ら働 きかける力 を養い

,そ

こで得た体験 を

,現

実での ものの見や 方考 え方

,他

者や異 なる世界へ のかかわ り方 に反 映で きるよ うな文学 の授業が求め られ ているといえる。今回は

,虚

構世界 での形象 同士 の関係性 である相 関性 に着 日し, どの よ うにその相 関性 を読み とつてい くのかについて 言及 じてい く。 第

2節

相関性 につ いて 前項で

,虚

構世界 での形象 の相 関性 を読み取 ること必要性 を述べた。本節 では

,そ

の 相 関性 の定義 づ けを行 い

,そ

の相 関性 の読みの要件 について言及 してい く。 第 1項 相関性の定義 西郷 (1996)は

,文

学作 品 中のすべ ての形象 は

,そ

れ と相 関す る他 の形象 との間に相 互作用

,相

互依存 の不可分

,相

補 的な関係 をもち

,全

一体な もの として文芸の世界 を形 成す る と述べ ,こ れ を形象 の「本目関性」と定義 している13し っ ま リーつひ とつの形象 は, 単独 で存在す るのではな く

,作

中に登場す る全 ての形象 との関わ り合 い とい う相 関性 に よつてその存在が明確化 され

,形

象 として意味づ け られ てい る といえる。 浜本純逸(1996)は

,文

学作品の読みの実質 は

,登

場人物 を場 面の中で出来事 に出会わ せ

,そ

こに書かれてい ること全てを通 して

,読

者 がイ メー ジ し

,関

係 づ け

,自

分 な りの 意味 を見出す ことにある14)と し

,人

物や 出来事 の相 関性 の中にこそ意味や価値があるこ とを述べてい る。 以上の こ とか ら,これ までに述べ られ て きた相関性 を読む とい うことは,「 自分 と他者, またそれ らが置かれ てい る状況な ど

,相

互 関係 の間にあるつなが りの意味や価値 に気づ くこ と」であると定義 できる。 第

2項

相 関性の読みの要件 次 に

,こ

れ まで述べて きた相 関性 を

,文

学教材 の中で どの よ うに読 んでい くのかにつ いて考えてい く必要がある。 ここか らは

,文

学教材 にお ける相 関性 の読み取 りに必要な 要件 について述べ てい く。 その際

,西

郷竹彦

,浜

本純逸

,田

近洵一

,鶴

田清 司の四者 が それ ぞれ の文献において

,文

学教材 にお ける相 関性 の読み に必要 な事項 を述べてお り, これ ら四者 の述べ る相 関性 の読みの要件 を稿者 が考察 し

,以

下の

5点

に整理 した。

(11)

(1)話の流れに即 した読み 田近 (2013)は

,読

みを深 める視点 として 「人間追及 。人間理解」 と「構造分析」を あげ

,人

物 と状況のかかわ り

,出

来事の因果関係

,話

の順序性などか ら

,そ

こにどのよ

うな意味があるのかを考えることに読みの深まりがあることを述べている

15、

田近は

, これ までに述べ られてきた形象 の相 関性 に加 え

,話

の順序性 に着 日している。 これ は, すべての場面 を通 して読み

,ど

の よ うに話が展開 しているのか

,ま

た人物の心情が どの よ うに変化 してい るのかを的確 に把握す ることを述べてい る と考 える。 (21場面 内の相関性 と場面 ごとの連 関性 ここまでで述べてきた形象 の相 関性 について西郷 (1996)は

,形

象 を筋 の展 開に した が つて読み進 めてい くとき

,そ

の時点時′点にお ける形象関係 を相 関性 ととらえてお り, これ らの時点 をつ ないで発展す る形象 関係 の一貫性 を全一性 と名づ けている。 さらに, これ について西郷 は

,時

間の流れ全体 の中で とらえた ときを全一性 といい

,あ

る時点で 断 ち切 つた断 面に現れ る関係 を相 関性 としている10。 換言すれ ば

,文

学教材 にはその物 語全体 を貫 く形象 の関係性 つ ま り相 関性があ り

,そ

れ を全一性 とす る。 そ して この全一 性 は,・ 区切 られ た場面 ご との相 関性 が関連 し合い

,積

み重 な ることで生み出 されている とい える。要す るに

,文

学教材 にお け る相 関性 を読む とは

,そ

の物語全体 を貫 く相関性 を読む こ とであ り

,そ

のためには場面 ごとに区切 られ た

,場

面内の相 関性 を読み取 る必 要 がある とい うこ とである。 (3)人物間の対比的関係性 鶴 田清 司 (1993)は

,文

学教材 の読 み について

,物

語 な どでは対立す る人物間の関係 (相克・ 葛藤

)が

描 かれ るこ とが多い とし

,文

学教材 の作 品の筋 において

,人

物の対比 的 関係 に注 目す るこ とは

,作

品の構造や人物像 を明確化

,主

題や思想 を認識 してい くう えで非常 に有効であることを述べてい る17ヽ 西郷竹彦 (1978)は相 関性 について

,文

章 とは一種 の記号であ り

,こ

の文章 を手がか りと して我 々は形象・ イ メー ジをつ く りだ してい く。 さらに西郷 は

,形

象 を作 り上 げて い くことを形象化 と呼び

,こ

の形象化 の段階において一つの もの 。ことを捉 えるために は

,作

中に登場す る全 ての形象 と形象 との関係 を抑 える必要があると述べてい る18ゝ これ らは

,文

学教材の主題や思想 を読み取るためには

,人

物間の関係 に着 目させ るこ との必要性を述べているといえる。鶴 田はこの人物間の関係 に着 目す るとい うことは, 人物の対比的関係 に着 目す ることであるとしている。したがって,文学教材の読みには, 人物間の関係つま りこれまで述べてきた人物間の相関性 を読む ことの重要性 を述べつつ, その相関性 とは

,物

語に登場する人物間の対比的関係の中に見えるものであることを示 しているといえる。

(12)

14)イ メージ化 田近 (1996)は

,文

学作品は

,個

々のイメージが相互に関係 しあってつ くり出す 「イ メージの関係様相」 として とらえることができ

,一

人ひ とりの読み手が

,言

葉 を媒介 と してイメージをどう描 くか

,そ

してそれをどう関係づけ

,そ

こにどのよ うな意味を見出 すのかによつてそ こに成立す る作品世界の内実は決定 され ることを述べてお り,これは, 学習者が言葉 を媒介 としたイメージとイメージの関係性に着 目することの必要性を述べ ている。そ して田近は同時に

,言

葉のイメージ化の必要性 も述べているといえ

,そ

のイ メージ化の具体的なはた らきについて以下の三点を挙げている19)。 ① 他者 の立場に立つ (視座 を転換す る) ② 人物のよ うすをイメージ化 し

,心

情を思いや る ③ もの 。ことのよ うすを思い描 く ①の他者の立場 に立つ とは

,自

分以外の他者の立場に立つこと

,そ

の他者 の 日でもの を見て

,想

像的意識主体 として

,虚

構 の立場に立つ とい うことである。読者は

,作

中人 物の立場に自分を置き

,作

品が描かれた諸事象 と出会 う。すなわち

,読

者になることに よつて人は

,視

座 を転換 し

,今

自分が立っている立場ではない虚構の立場でものを見る ことができる。 ②の人物のよ うす をイメージ化 し

,心

情を思いやるとは

,作

中人物の立場に立つこと で

,必

然的にその人物の心情を思いや ることにつながるとい うことである。人物が何 と 出会い, どのように感 じ, どのよ うに思つたか

,を

感 じ取る。 ここで大事なことは

,状

況 とそこでの言動の読みを心情の読みの前提 とし

,そ

の上で人物が, どのよ うな行動を とつているかをとらえることである。 ③のもの 。ことのようすを思い描 くとは,人 物の置かれた状況が,人 物の立場に立ち, 彼が見たもの 。ことの様子 を思い描 くことで鮮明になるとい うことである。作品に描か れたもの・ ことは

,人

物の内面や存在の仕方に関わるもの として

,そ

の人物の立場か ら とらえられた時

,初

めて状況 となる。そ して

,そ

れをイメージとして思い描 くことで, 読者は人物が見たよ うに見

,感

じたよ うに感 じる。すなわち

,人

物 とその状況を共有す ることができるとい うことである。 以上のはた らきによつて

,物

語に出てくる言葉をイメージ化 し

,そ

こか ら関係性 を読 み取ることが相関性 を読む ことにつながると考える。 151相関性の再構成 田近 (1996)は

,全

体構造や事象を捉 えるにあた り

,次

の事を述べている。「個々の事 象イメージは

,他

との関係 のなかに成立す る。すなわちイメージは

,独

立的・断片的に 9

(13)

成立す るものではない。文脈 の中で

,他

との関係 にお いて成立す る。 そ して作品世界の 全体 は

,そ

れ を構築す る全 ての事象 に何 らかの関係 が見出 され なけれ ば

,一

つのイ メー ジ として完結 しない。 どう関係づけるかが

,イ

メー ジ世界の広 が りや深 ま りな ど

,そ

の 内実 を決定す る。言 い換 えるな ら

,事

象 間に どの よ うな関係 を見出す のかが

,イ

メー ジ を生起せ しめると同時に

,規

定 しもす る20、」 このことか ら

,作

品全体や個々の形象を 捉えるためには,登場人物 と他 との相関関係 を明 らかに し,そこか ら自分が何 に注 目し, どんな意味を見出すのかを考える必要があると言い換えられ る。そ して

,相

関関係 を自 分な りに再構成す ることで読みの広が りが生まれるのではないか と考える。 浜本 (1996)は

,文

学作品 とは人物が何かに出会つて変わってい く過程が描かれてい るとし

,そ

の過程 を見る観点 として

,①

何が変わったか

,②

どのよ うに変わつたか

,③

何によって変わつたか

,④

変わったことについて どう思 うかの

4点

をあげ, これ らの観 点で読むことで読者は

,作

品世界を生きた後の読者 自身の 自己の捉え直 しを行い

,自

己 の考えを見つめてい くことにつながるとのべている21、 この二者 が述べ るよ うに

,文

学教材 に登場す る人物 の心情 は移 り変わる ものであ り, それ に呼応す るよ うに相関性 も場面を追 うごとに

,ま

た場面内において も変化 してい く ものである。 つま り

,場

面 ご とにその変化 に応 じて相 関性 の再構成 を行 う必要があるこ とを示唆 してい る といえる。 以上の ことよ り

,相

関性 の読むためには

,ま

ず登場人物それ ぞれ の相 関関係 を明 らか に し

,場

面 ご との関連 を見出す こと。 次に場面 ごとの相 関関係 か らその変化 を捉 えるこ と。 そ して

,変

化 に影響 を与 えた ものや

,変

化前 と変化後 を比較す るこ とで 自分な りの 解釈 を生み出 し

,相

関性 を再構成す る ことが必要であるといえる。 そ こで

,相

関性 の読 みの要件 として見 出 しであげた

5点

を定め以下に示す。 (1)話の流れ に即 した読み 12)場面内の相 関関係 と場面 ご との連 関性 13)人物 間の対比的 関係性 14)イ メー ジ化 151相関性 の再構成 引用文献

1)西

郷竹彦『 西郷竹彦文芸・教育全集』第

2巻

,恒

文社

,1998,pp.21-22.

2)浜

本純逸『 国語科教育論』漢水社,1996,p.91.

3)府

川源一郎『 文学すること 。教育すること一文学体験の成立をめざして一』東洋館

(14)

出版

,1995,pp.9-16.

4)西

郷竹彦

,足

立悦男

,浜

本純逸『 文学教育基本論文集』第

4巻

,明

治図書,1988, p.314.

5)田

近洵一『創造の

(読

み〉―読書行為をひらく文学の授業一』東洋館出版

,1996, pp.6-15.

6)上

掲 書 1),p.23.

7)増

田繁夫 「文学と文学研究の危機とは何か」日本文学協会『 日本文学』第

51巻 5 号, 2002, pp.43-46.

8)上

掲書1),p.19.

9)同

書.

10)香

月正登『 あ らゆる教材 を 「図解」す る小学校国語科教材研究シー トの活用』東洋 館 出版

,2013,pp.8-9.

H)上

掲書 1),p.H2.

12)上

掲書 1),pp.99-100。

13)西郷竹彦『西郷竹彦文芸・教育全集』第

1巻

,恒

文社

,1996,p.84.

14)浜

本純逸『文学を学ぶ 。文学で学ぶ』東洋館出版

,1996,p.24.

15)田

近洵一『創造の

(読

み〉新論一文学の

(読

)の

再生を求めて』東洋館出版

,2013, pp。 151--152.

16)上

掲 書 1),p.H4.

17)鶴

田清司『 ごんぎつねの (解釈〉 と 〈分析〉』明治図書,1993,p.101.

18)西

郷竹彦『 文学の読み方・教え方』部落問題研究所,1978,pp。67-68.

19)上

掲書5),p.22.

20)上

掲書5),R41.

21)上

掲書2),pp.89-90.

(15)

2章

相関性の読み取 りを促す学習活動 ここまで

,第

1章第 1節 で

,文

学教育における相関性の読み取 りの必要性を述べ

,第

2 節では

,そ

の相関性の定義づけと

,相

関性の読み取 りに必要な要件について述べてきた。 しか し

,1節

で増田が指摘 していたように

,高

度に言語化 された相関性を言語のみによっ て理解することは困難であ り

,そ

れをイメージ化するための補助手段などとして

,具

体的 視覚的感覚的なものによる助けが必要である。そこで本章では

,相

関性 を視覚的に表すこ との必要性 と

,相

関性の視覚的理解の手段 としてシンキングツールを取 り上げ

,そ

れ らの 分類か ら, 昧目関性の読みの要件」を満たすシンキングツールの選定を行 う。 さらに,「本目 関性の視覚化の要件」 との照合を行い

,文

学教材における相関性の読みに適切であると考 えられる

,コ

ンセプ トマ ップやイメージマ ップについて述べていくこととする。

1節

相関性の視覚化に関する先行研究 本節ではまず

,言

語のイメージ化つま り思考の視覚化の必要性を述べ

,そ

の手段 として シンキングツールを取 り上げる。そ して

,そ

のシンキングツールを思考スキル ごとに分類 し

,黒

上晴夫 ら (2012),関 西大学初等部 (2013),山 本茂喜 (2015)ら 三者の文献をもと に

,新

たな分類表を作成する。 第1項 思考の視覚化について 浅井靖生 (2004)は相関性の視覚化について

,学

習者が文章に出会つた とき

,文

脈を整 理 しなが ら理解することは容易でないため

,教

材に並ぶ多くの言葉

,そ

こに表現 される登 場人物の心情やその変化

,展

開・動きなどを「言葉」 と「記号」に置き換えることで

,よ

り客観的に教材を理解・分析することができることを述べている。 さらに浅井は

,こ

の視 覚化によって

,学

習者にとって難解な言葉を自身の言葉で理解 しやすい言葉に置き換え, 対義表現 。類義表現を頼 りに言葉の相関を図示す ることで

,学

習者 の言語論理思考が育ま れ てい くと述べている1)。 浅井の述べ るよ うに

,物

語 の展開

,そ

こに出て くる人物の心情 やその変化

,動

きな どを言葉や記号な どによって図示す ることで読み取 ることができるこ とが明 らかになった。 さらに

,こ

こで浅井は“言葉の相関"とい う文言 を用いている。 これ は

,人

物の心情や物語 の事象な どを表す言葉 と言葉の関係性であると言い換 えることがで きる。つま り登場人物の心情やその変化

,展

開や動 きの関係性 を図示す ることで

,そ

れ ら の相関性が明 らかにな り

,文

学教材 の主題や思想 を読み取ることにつなが るといえる。 こ うした視覚化 によつて関係性 を見つけ出す手段の一つ として,関西大学初等部(2013) は

,シ

ンキングツール をあげている。 このシンキングツール とは

,頭

の中の情報を書き込 むための図形の枠組みであ り

,頭

の中にあるイ メージや情報 を外 に出す ことを促 し

,そ

(16)

して視覚化 されたものの関係性を見やす くするものである2ゝ また

,子

のシンキングツールについて黒上晴夫・小島亜華里 。泰山裕 ら (2012)は

,シ

ンキングツールは頭の中にある漠然 としたイメージにいろいろな角度か ら光を当て

,断

片 的に表 した り

,今

まで見えていなかった関係に気付かせた り

,そ

れ らを客観的に捉え

,別

の見方や新 しい考えが生まれるのを助ける働きがあるとし

,そ

の役割について次の7つを あげている3ゝ ①アイデアや問題 を視覚化する ②考えや情報を整理する ③考えをす ぐにフィー ドバ ックする ④学んだこと同士のつなが りを明確化する ⑤意見を友達同士で共有する ⑥知識を新 しくつ くりあげる ⑦考えを評価する 山本茂喜 (2015)は

,こ

ういった思考方法を視覚化 したものの総称をビジュアル・ ツー ル と呼び

,こ

のビジュアル・ツールは自分の考えを表現する学習や批評

,ス

ピーチや レポ ー ト,創作などの創造的な表現活動の場面には欠かせ ないものであると述べてお り,また, このビジュアル・ ツールを学習に用いる効果を以下のようにまとめている。。 ①思考の型を身につけることができる .思考の型は

,既

有の知識を引き出 し

,知

識同士を結び付ける働 きをする。思考の型 を見えるようにするだけでなく

,も

のごとの相互関係 をも見えるよ うにする。 ②子供の考えが見えるようになる 子供 も自身の思考を見えるようにするとともに

,交

流の際に

,友

達の考えを一 日で 理解できる。教師にとつても

,子

どもの考えの足 りないところや

,違

いを示 してくれ る。 どのように考えた らいいのか

,次

はどのような学習をするのか とい う学習の方法 を示す ロー ドマ ップの役割。 ③学習がすつき りとわか りやす くなる やることがシンプルかつ明快で

,子

どもの興味関心 。意欲を育てる。 ④汎用性があ り、次の学習に生かすことができる 他の教科・教材で転用可能。「転移する学力」「生きた学力」を育てる。 13

(17)

⑤対話・交流ができるようになる 対話・交流のためには, ビジュアルツールで

,自

分 と相手の考えの違いを 「見える 化」 してお く必要がある。同 じシンプルなフレームの図だか らこそ

,相

手との意見の 違いが一 日でわかる。まず,「くらべる」機能をもつ ビジュアル ツールで,自 分の気づ かなかったことが らを付け加 え

,そ

の後で,「つなぐ」機能をもつ ビジュアルツールで 自分の意見を組み立てるようにすれば

,対

話のコピペ状態を防 ぐことができる。 三者の述べる

,シ

ンキングツールや ビジュアル・ ツール とは

,頭

の中の情報を書き込む ための図形の枠組みであり

,頭

で思考 したことやイメージを取 り出 し

,そ

の視覚化 された ものの関係性を見つけるために思考を図示するものである。今まで見えていなかった関係 に気付かせた り

,そ

れ らを客観的に捉え

,別

の見方や新 しい考えが生まれるのを助けた り する働きがあるものであるといえる。なお

,本

項では上記のような機能を持つ視覚化の手 段の総称をシンキングツール と呼ぶこととする。 第

2項

シンキングツールの類型 関西大学初等部 (2013)は

,こ

れまで述べてきたシンキングツールを

,思

考スキル とそ の活用例について分類 したものを表 1に まとめている5ゝ 表

1

思考スキルとシンキングツールの分類表

1(関

西大学初等部 2013) 思考スキル シンキングツール 活用例 比較す る 物語 の比較 (国) 場面の比較 (国) 人物 の比較 (国) 互いの読みの比較 (国) 文字や図形 の比較 (国・算 。図)

(18)

分類 す る 初発 の感想 (国) 登場人物 の行動分析 (国) 図形 の分類 (算) 地域の特徴 (社) 調査活動 のデー タ (社・ 総)

iX撫

多面的に見 る 討論 (国 。社・総) フィール ドワー クの感想 。調べた こと (生 。社) 地域の良 さをま とめる (社) 観 察記録 (理) 遠足の楽 しさ (特) 関連付 け る ある事象 に関す る概念 をま とめ る (理 。社) 地域 についての考えをま とめる (総) 15

(19)

構 造化す る 自分 の考 えを説 明 (国 。社) 説 明文の読解 (国) 筆者 の主張に対す る自分の考え (国) テーマ に対す る考え (総) 学級 目標 (学) 証券か ら導 き出す (算) 評価す る 俳句や作文の評価 (国) 学年集会 (学) 行事 の振 り返 り (特) また

,こ

の表で述べ る思考スキルの定義についても以下のよ うにまとめている の。 〔比較す る〕.…複数 の事象 の相違点や共通点を見つけ出す 〔分類す る〕。..物事をい くつかのま とま りに区分す る 〔多面的にみ る〕...視点や立場 を変 えてみ る 〔関係づ ける〕.…既習事項や経験化 とことが らを結び付 ける 〔構造化す る〕.‥複数 の事柄 の関係 を構成す る 〔評価す る〕.…物事の是非

,善

悪等 を指摘 し

,自

分の意見を述べ る 山本 (2015)の 文献にも

,10種

類 のシンキングツールがあげ られていた。 しか しこの文 献においては

,思

考スキル別 にシンキングツールの分類が行われていなかったため

,稿

者が,上記 の分類表 と山本のあげるシンキングツールの用途 を照 らし合わせ分類 を行つた。 それ らを以下の表2にま とめる。

(20)

思考 スキル シンキングツール 〔比較す る〕 ベ ン図 〔分類する〕 問題解決ボ ックス 〔多面的 にみ る〕 マンダラマ ップ

,フ

ィッシュボーン 〔関係 づ ける〕 二項対 立チ ャー ト 〔構造化する〕 ツ リー図

,ピ

ラ ミッ ド・ チ ャー ト

,問

題‐解決チ ャー ト 〔評価す る〕 K‐W‐

Lチ

ャー ト 表

2

思考スキル とシンキ ングツールの分類 (山本 2015の 文献 をもとに) 黒上 ら (2012)は

,思

考スキル を

30種

,シ

ンキングツール を20種類 あげ

,そ

れぞれ 対応表 にま とめている。 しか し

,こ

の30種類 の中には,「多角的に見 る」 と 「多面的に見 る」な ど

,同

様 の効果 としてま とめ られ るもの も多いため

,前

述の よ うに関西大学初等部 (2013)の 分類表 をもとに稿者がシンキングツール を再度分類 し直 し先ほ どの表に加筆 し 表3にま とめた。 黒上 らの述べ る思考スキルの中には

,こ

れ までに関西大学初等部によっ て分類 されていなかった 〔アイデアを出す〕〔推論す る〕とい う思考スキルの存在が明 らか になった。 表

3

思考スキル とシンキ ングツールの分類 (黒上 ら2012の文献 をもとに) 思考スキル シンキングツール 〔比較す る〕 ベ ン図

,マ

トリクス

,座

標軸 〔分類する〕 問題解決ボックス

,デ

ータチャー ト

,ベ

ン図,く ま手チャー ト, 座標軸

,情

報分析チャー ト 〔多面的にみ る〕 マンダラマ ップ

,フ

ィッシュボーン

,バ

タフライチャー ト

,マ

ト リクス

,六

色帽子

,PMI,く

ま手チャー ト, 〔関係づける〕 二項対立チ ャー ト,イ メー ジマ ップ

,ス

テ ップチ ャー ト,コンセ プ トマ ップ

,同

心 円チ ャー ト

,ク

ラゲチ ャー ト 〔構造化する〕 ツ リー図

,ピ

ラ ミッ ド・ チャー ト

,問

題―解決 チ ャー ト

,ス

テ ッ プチャー ト

,プ

ロッ ト図 〔評価す る〕 K‐W‐

Lチ

ャー ト

,イ

メー ジマ ップ

,PMI

〔アイデアを出す〕 イメージマ ップ,く ま手チャー ト

,x/Y/Wチ

ャー ト 〔推論する〕 キャンディチャー ト

,同

心円チャー ト, 17

(21)

2節

相関性の読み 。視覚化の要件 とシンキングツールの選定 第

1項

相関性の視覚化の要件 ここまで述べてきた思考スキルの中でも

,相

関性の読みに必要だ と考えられ るのが

,関

西大学初等部の文献で述べ られている 〔関係づける〕思考スキルである。 この 〔関係づけ る〕思考スキルに関 して関西大学初等部は

,拡

散的な思考 と収束的な思考の両方に活用で きるスキルであることや

,人

物間の関係を見つけること

,そ

の関係がどういったものなの

かという関係性に焦点化させる特徴があることを述べている

7、

拡散的な思考。収束的な

思考 とは

,文

学教材 で考 えた場合

,一

人の人物や一つの出来事か ら他の人物や出来事 との 関係 を見つ けてい く思考が拡散的な思考であ り

,明

らかになった関係性か ら心情や主題な どを読み取 る思考であると考 える。 また

,こ

の 〔関係づ ける〕思考 スキル に分類 され るシ ンキングツールについて山本や黒上 らは

,物

語 のテーマや人物 関係 を表す ことや

,関

係 に

ついて情報や経験をもとに埋めていくことで,構造について深く理解していく側面と,出

来上がった構造全体を見ることで

,新

しい理解を生み出す側面の二面性があることを述べ

ている

8P、

これらのことから

,こ

の 〔

関係づける〕思考スキルが人物間の関係の読みには

有効であるということ,そ してその内実には拡散的な思考と収束的な思考の二面性を持ち

合わせているということがいえる。

つま り

,相

関性 の視覚化 に必要なのは,〔関係づ ける〕思考 スキル が働 くシンキングツー ルであるとい うことであ り

,そ

の要件 を以下にま とめる。 i)複数 の人物 間の関係 を表す ことができる 五)人物 間の対比的な関係 を言葉 と記号で表す ことができる 面)拡散的な思考 と収東的な思考 を持 ち合わせていること

2項

相関性の読みの要件 とシンキングツール との照合 ここまで述べてきシンキングツール はいわば思考視覚化の手段の総称であ り

,三

者の文 献か らも分かるよ うに、こ ういった思考を取 り出 し視覚化す るツールは数種類存在す るこ とが確認できる。 この数種類のシンキングツールの中か ら

,文

学教材 にお ける相関性の読 み取 りに適 したシンキングツール を選定す る必要がある。そ こで

,本

項では

,文

学教材 に お ける相関性 を読み取 りに必要な要件 とシンキングツールの思考スキル を照合 しシンキン グツールの選定を行 う。 シンキングツールの選定に当たつては

,第

1章第

2項

で述べた, 「文学教材 における相関性の読みに必要な要件」を参照す る。 まず,「文学教材 における相 関性 の読みに必要な要件」

5点

を踏 まえた うえで

,シ

ンキン グツールの選定を行 う。文学教材の読みは通常

,話

の最初か ら行われ ることがほとん どで あるため

,必

然的 に話の流れ に即 した読みになると考え られ る。 また,15沐目関性の再構成

,図

示 した ものを再度描 き直す ことでその要件が満た され ると判断できる。 よって今回

(22)

は この

5点

の中で も,121場面内の相 関関係 と場面 ごとの連関性,(3人物 間の対比的関係性, (4)イ メー ジ化の3点 に着 日し,この3点 の読み取 りに適 したシンキングツール を選定す る。 これまでに述べてきた黒上

,山

,関

西大学初等部 らがあげるシンキングツール には, 14)のイ メー ジ化 を促す効果が認 め られ るため

,こ

の条件下でシンキングツールの選定を行 うことは難 しい。そ こで

,稿

者 が作成 した分類表 をもとに

,そ

の中で も

,相

関性 に関連が 深い と考 える“「関連づける」思考スキノレ'を持つ シンキングツール の中か ら選定を行つた。 その結果

,<二

項対立チ ャー ト

,ス

テ ップチャー ト

,同

心 円チャー ト

,ク

ラゲチ ャー ト, イ メー ジマ ップ

,コ

ンセプ トマ ップ

>に

「関連付ける」思考スキルが用い られ ることが認 め られた。 この うち

,二

項対立チ ャー ト

,ス

テ ップチャー ト

,同

心 円チャー ト

,ク

ラゲチ ャー トの二つは,一つ も しくは二つのことが らの関係性 について表す ことに適 しているが, それ ら以外 または複数 との関係性 について表す ことができないため,(21場面内の相関関係 と場面 ごとの連関性の要件 を満たす ことができない。 これ らと比較す ると

,コ

ンセプ トマ ップやイ メー ジマ ップは

,マ

ップに言葉 を複数配置できる点や

,そ

のつなが りを リンクに よつて示す点において

,相

関関係 を図示す ることに適 している部分があることが認 められ る。そ こで次項では

,イ

メー ジマ ップ

,コ

ンセプ トマ ップの持つ特徴か ら相 関性の視覚化 にお ける適正について検討す る。 第

3項

相関性の視覚化の要件 とシンキ ングツールの照合 本項では

,相

関性 の読みの要件 とシンキングツール との照合によって残 つた

,コ

ンセプ トマ ップ とイ メー ジマ ップについての詳細 を述べ

,シ

ンキングツール と相関性の視覚化の 要件 どの照合を行 う。ここでは第

2章

1項で述べた 財日関性の視覚化の要件」i)複数の人 物間の関係を表す ことができる,五)人物間の対比的な関係 を言葉 と記号で表すことができ る

,面

)拡散的な思考 と収東的な思考を持ち合わせていること

,の

3点

を参照する。 コンセプ トマッピング (概念地図法

)に

ついて 概含地図法について弓野憲一 (1997)は

,知

識構造内に貯えられた知識及び現在構築さ れつつある知識を概念地図の形で表現するものであると述べ

,そ

の特徴 として次の

7点

を あげている10ヽ

①幼児から第一線の研究者の学習内容及び学習計画の立案に使えること

②国語,算数

,理

,社

,家

,技

,体

育などほぼ全ての教科に応用可能なこと

③低学年の子どもにも容易に発見学習を可能にすること

④自分の未来と関連づけて学習者自身が種々の教材及び学習活動の意味を理解出来る

こと

19

(23)

⑤学習者一人ひとりの興味や関心, さらには能力に応 じた個別学習の計画を

,学

習者 と教師が一緒になって立案することを容易にし

,一

人学びを実現させること ⑥学習者の動機づけを高め

,さ

らに学習に対する責任を自覚できること ⑦子 どもの創造性や主体性を育成すること

また

,概

念地図法を用いた読みの効果として以下の

5点

をあげている

11ヽ (ア

)文

章の読み取 り 。段落相互の関係の把握・物語 の主題や登場人物の気持 ちの変 化 の読み取 りが増す こ と (イ

)学

習問題 を 自分で設 定できること (ウ

)議

論が活発化 したこと (工

)学

習す る諸概念間の関係 の理解が増す こと (オ

)児

童 。生徒 の動機づけが高まること 黒上 ら (2012)は

,概

念地図法は図 1に 示す よ うに

,複

数 の 「ことが ら」の関係や関連 についての考 えを書き出 し

,全

体の構造 についての考 えを作 りだす ことにつなげる手法で あ り

,関

係についてのアイデアを様々な情 報源や既有知識を用いて埋めていくことで, 構造について深 く理解 していくと言 う側面 と

,出

来上がった構造全体を見ることで, 新 しい理解が生まれた り

,新

しい疑間が生 まれた りするとい う二つの側面がある。 ど ちらも

,学

習対象について

,よ

り深い理解 を促 し

,新

しい考えを生み出させ ることに つながると述べている12ゝ イメージマップ (ウェッビング

)法

について 開浩和 (2002)は, ウェッビング法を発想支援のツール として用いてお り

,こ

の発想支 援の類型として①発散的思考支援

,②

収束思考支援

,③

アイデア結晶化思考支援の二つを

あげている

13、

さらに

,こ

の二つの支援について開は

,発

散的思考支援とは

,何

が問題か

, 現状は どうなってい るのか といった問題提起 と現状把握 を行 うための支援のこと

,収

束的 思考支援 とは

,数

あるポイ ン トの中で

,問

題 の本質が どこにあるのか本質の追究のための 支援の こと

,ア

イデア結晶化思考支援 とは

,問

題 を解決す るためのアイデア として形 にま とめる支援のことであると述べてい る14ゝ

σ

b

図1コンセプ トマップ (黒上ら 2012)

(24)

黒上 ら (2012)は

,イ

メージマ ップは図2に示す ように

,文

章に組み入れる事柄や

,調

べる事項についての発想を広げると述べ,さ らに,ト ピックのどれかの特徴 (色

,形 ,味

, 香 り

,用

途など

)に

着 日して

,そ

の視点で関連を探す ようにし

,次

々に視点を変えていく ことでアイデアが広がると述べて い る。 また

,黒

上 らは

,イ

メー ジ マ ップを単元の始 め と終わ りに書 くことで

,自

らイ メー ジマ ップを 比べ

,ど

こで どんなことを学んだ のか

,な

ぜ そのよ うなつなが りに 変わつたのかを振 り返 ることで, 子 ども自身が学習の成果 について も深 く考えることができる と述ベ ている1均 。 図

2

イ メー ジマ ップ

(黒

上 ら 2012) このように

,上

記の二つのシンキングツールには

,言

葉をマ ップ上に配置 した り

,考

え たことなどを書いた りし

,そ

の間を線でつなぐことによって

,そ

れ らの関係性を明らかに していくとい う点で共通す るため

,i)複

数の人物間の関係を表す ことができる,と い う要 件を満たす。 しか し, 五

)人

物間の対比的な関係を言葉 と記号で表すことができる、血)拡 散的な思考 と収束的な思考を持ち合わせていること

,の

要件に関 しては

,そ

れぞれのマッ プのみでは満た しきれない ところがある。 こ

,い

つたシンキングツールについて小林康宏 (2008)は

,考

えたことや思いついたこ

となどの思考を視覚化するものの総称をマッピング法と呼ぶとしている“しまた

,こ

のマ

ッピング法 について塚 田泰彦 (2001)は

,概

念の組織化 されたデザインを構築 し創造す る ことであ り

,関

与的な情報 を選択 し

,こ

れ に固有の位置づけを与え

,全

ての事実を一つの 全体に関係づけた り

,ま

た最後 にはその教材文に対す る読者個人の反応 を反映 させた りす ることであると述べている17ゝ 「相関性の読みの要件」「相関性の視覚化の要件」それぞれの要件 と照合 し

,シ

ンキング ツール の選定をお こなった結果, どち らも 「相関性の読みの要件」(1)話の流れ に即 した読 み,(21場面内の相 関関係 と場面 ごとの連 関性

,(3人

物間の対比的関係性,に)イメージ化, (5沐目関性 の再構成 については満 たす ことができた。しか し,財目関性の視覚化の要件」五

)人

物 間の対比的な関係 を言葉 と記号で表す ことができる、Ш)拡散的な思考 と収束的な思考を 持 ち合わせ ていること

,の

要件 を満たす ことはできなかった。 したがって

,こ

れ らの要件 を満 たす ことができるよ うシンキングツールの改善が必要であると考える。そこで,塚田, 小林 の述べ るよ うな機能 を持つ シンキングツール をマ ッピング法 とし

,こ

れ ら「相関性の 視覚化」 五

)人

物 間の対比的な関係 を言葉 と記号で表す ことができる

,面

)拡散的な思考 と 9 “

(25)

収束的な思考を持ち合わせていること

,の

要件を網羅できる新たなマ ッピング法を第 3節 で提案することとす る。 第

3節

相関性 を読み取 る新たなマ ッピング法の提案 マ ッピング法 を考 えるにあたって

,そ

の基本形は 「相関性の読みの要件」を満たす コン セプ トマ ップ,イ メー ジマ ップのよ うに, 複数 の言葉 をマ ップ上 に配置 し

,そ

れ ら を線でつな ぐ図を基本形(図 3)とす る。 この基本形マ ップの四角の部分は

,物

語 の形象である登場人物や事象 を書き込み, それ らをつな ぐリンクは

,そ

の人物間, 事象間にかかわ りがあることを示す もの とす る。 図

3

マ ッピングの基本形 第1項 五)人物間の対比的関係 を言葉 と記号で表すマ ップ 本項では

,先

に述べた 財目関性の視覚化の要件」五)人物間の対比的関係 を言葉 と記号で 表す ことができる

,を

満 たすために基本形のマ ップの改変を行 う。 まず

,形

象 の配置に関 して触れ る。形象の配置については

,あ

らか じめ形象 と配置 を教 師が指定す るや り方 と

,児

童 に 自由に配置 させ るや り方が考 えられ る。読み手の様々な捉 え方 を認 めるとい う文学教材の特色 を損なわないためにも

,形

象 の配置 は児童 に任せ るベ きであると考える。そ こで

,児

童 に取 り外 し可能なシール を配布 し

,そ

こに 自分で選んだ 形象 を書き配置 させ る。そ して読みの途 中で,形象 に対す る考 えや捉 え方が変わった場合, 瞬時に形象 の配置 を変更できるよ うにす る。 ここでの 自分の解釈 による自由な形象選択・ 配置が主体的に読み を進 める原動力 となると考 える。 しか し一方で

,読

みの苦手な児童に とつては,その形象 の選択や配置が困難である場合がある。そ ういった児童 も視野に入れ, 基本的には 自由に選択・配置 させ るもの とし

,読

みの難 しい児童に対 してのみ

,支

援 とし て形象や配置をあ らか じめ してあるマ ップを渡すな どの配慮が必要である。 次に, リンクをつな ぐ関係づけについて述べ る。 田近 (1996)は

,関

係 を発 見す る読み について

,関

係様相 と してのイメー ジ世界は単に事象 を配置 しただけで生まれず

,個

々の 事象の像は描 けて も

,情

感 を伴 つた一つのイメージ世界は成立 しない とし

,作

者 が事象間 に どの よ うな関係 を見出 したか

,事

象間を ど う関係づ け

,そ

こにどのよ うな意味を見出 し たか

,そ

の事象関係 をどうい う思いで見ているかをとらえなければな らない と述べている 18、

これは

,形

象間の関係に着目し,そ こにどのような意味があるのかを読み取るという

ことである。これをマップに置き換えると,形象間の関係とは形象をつなぐ線,つ まリリ

表 1  各場面で読ませたい内容 場 面 読ませ たい内容 第①場面 1ひ とりばつちであるとい うごんの境遇 2い たず らをしたのは ,兵 十への悪意か らではなく ,ち ょっとした出 来心で思わずやって しまつたとい うこと 第②場面 自分のいたず らによつて兵十の母が死んで しまったのではないか 2あ んなことを しなければよかつた と自らの行いを後悔 していること 第③場面 1兵 十 も自分 と同 じひ とりぼつちであることに気づき ,同 情の気持ち を持つていること 2回 を重ねるごとにごんの兵
図 4  ④・⑤場面RT児のマップ (ま とめマップ ) 3)異 なる叙述を関連させて人物の心情を想像することができている 図 5は 第③場面における RT児 のまとめマ ップである。このマ ップから ,異 なる叙述 を関連させて人物の心情を導き出していることがわかる。 RT児 のマップには ,「 しまっ た !!ま たいたず らみたいなことをしてしまつた。 とりあえず栗を置いて帰ろう」とい うごんの心情が書かれていた。この心情の根拠 として ,本 文の 「ごんはこれはしまった と思いました。」 (図 5‑
図 5  ③場面 RT児 のマップ (ま とめマップ ) 4)場 面内での気持ちの変化に気づき ,マ ップにまとめる際に気持ちにナンバ リングや 順序を示 している 図 6,7に 示 した児童二人の第⑥場面のまとめマップには ,ナ ンバ リングや順序を示す 言葉によって気持ちの変化を表す記述が見 られた。まず ,図 6に 示す RT児 のまとめマ ップでは ,ご ん・兵十それぞれの気持ちに① ,② とい う番号をつけている。それぞれ① を付けた気持ち (図 6‑⑤ ,⑥ )と い うのはどちらもこの第⑥場面
図 6  ⑥場面RT児 のマップ (ま とめマップ ) これ らのことから ,RT児 ,HT児 が場面内でのごんの気持ちの変化 とその順序に気づ き ,そ れを意識 して書き分けていたとい うことがわかる。前場面での気持ちを踏まえて 本場面の気持ちを考えた り ,場 面内での登場人物の気持ちの移 り変わ りをとらえた りと いつた ,気 持ちの移 り変わ りを書き分け ,そ れ らを対比的に見ることで人物の心情を的 確にとらえられていることがわかる。 図 7  ⑥場面HT児 のマップ (ま とめマップ)
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参照

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