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博士(工学)鄭 址旭 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)鄭   址旭 学位論文題名

事象関連電位に基づく視覚的群化の      脳 内 プ ロ セ ス に 関 す る 研 究

学位論文内容の要旨

  近 年、 ヒト の視覚プ口セスを工学的にモデル化し画像処理を行う研究が 進ん でい る。 複雑な自然のイヌージに対して、ヒトはイメージを統合また は分 離し 簡単 に見分けることが出来る能カを持っている。脳内におけるそ のプ 口セ スの 解明は、新たな画像処理機器の設計あるいはコンピュータピ ジョ ン研 究に 役立てることができると期待されている。本研究では、全頭 にわ たる 脳波 の多チャンネル同時計測に基づき、ヒトを対象に視覚的群化 に関 わる 脳内 プ口セスを非侵襲的に調べることを目的としている。具体的 には類同性の要因により小さいバターン(マイク口バターン)が集まって視 覚的 に領 域分 離を引き起こすテクスチャー分離現象に基づき、群化により 分離される領域をターゲット(標的)として、そのターゲットが認知される まで の脳 内プ 口セスを反応時間、事象関連電位、脳波リズムの計測により 調 べ た 。 本 論 文 は 全 体 と し て 7章 か ら 構 成 さ れ て い る 。   第1章 では 、脳波 を用 いた 視覚 的群 化研 究の意義、および研究目的につ いて述べた。

  第2章 では 、視覚 的群 化の 基礎 とな る生 理学的知見、視覚的群化に関す る従 来の 研究 の概略、さらに脳波に基づく脳機能研究の概略について述べ た。

  第3章では、脳波計測の実験装置、計測方法、実験課題について述べた。

実験には直交する2つの線分からなる[v]と【冫]のマイク口パターンで構成 された円形の刺激を使用した。この刺激において[v]により形成される四分 円が ター ゲッ トで あり 、そ の位 置は 円を45°と135°の 対角 線で 分け た4 つの視野領域(上下左右の四分円1〜4)の中から試行毎にランダムに決定し た。 実験 では 、被 験者 がポ タン を押 すと2秒後に刺激が呈示され、被験者 はタ ーゲ ット の四分円の位置が分かったら直ちにポタンを押す。それによ り、 モ二 夕ー 上の 刺激 が消 えて 固視 点だ け表示され、さらに2秒後に回答 用の 円形 バタ ーンが呈示され、被験者はその中のーつの四分円をマウスで

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選 択する。 ここで、 刺激呈示か ら被験者 がポタン 押しを行うまでの時間を 反応時間と定義した。

  第4章では、 脳波デー タの処理に用いた加算平均法、トポグラフイー法、

ス プ ラ イ ン ・ ラ プ ラ シ ア ン 法 な ど の 解 析 方 法 に つ い て 述 べ た 。   第5章では、 課題遂行 時における 反応時間 、事象関 連電位、8〜13Hz帯域 の 脳波リズ ムの計測 結果を述ぺ た。まず 反応時間 に関して、夕ーゲット呈 示 位 置 によ り 反応 時 間 には 有 意な 差 が あり、 四分円1と2に対する反 応時 間 は 四 分円3と4に 対 する 反 応時 間 に 比べ 有意に 短いこと が分かった 。一 方 、 四 分 円1と 四 分 円2並 び に四 分 円3と 四分 円4と の間 に は 有意 な 差が 見 ら れ な か っ た た め 、 四 分 円1と2及 び四 分 円3と4に対 す る 結果 を 一緒 に扱うことにした(以下、四分円1/2と3/4と呼ぷ)。

次 に 事 象関 連 電位 に 関 して 、 四分 円1/2と3/4に共通 して約90msを ピーク 潜時とする陽性成分(成分I)と約150msをピーク潜時とする陰性成分(成分 u)が後頭部に見られた。さらに、約320msをピーク潜時とする陰性成分(成 分III)が中心中央部位に見られた。最後に陽性の成分(成分IV)が頭頂部近傍 に 見 ら れ、 そのピ ーク潜時 は四分円1/2が485msである のに対し 四分円3/4 で は545msと60msの差 が あ った 。 スプ ラ イ ン・ ラ プラ シ ア ン分 布 か ら各 成 分の信号 源のおお よその位置 を知るこ とができ 、四分円1/2と3/4に対す る 各 成 分の 信号源 はいずれ も一致し ている事 が分かっ た。成分Iの 信号源 は 、後頭葉 の左右両 半球の対称 的、局所 的な電流 であった。また、成分II の 信 号 源 も 後 頭 葉 の 左 右 両 半 球の 局 所 的電 流 であ っ た 。成 分m及 びIの 信 号 源 は、 前頭葉 、頭頂葉 、後頭葉 の左右両 半球の対 称的な部位 に合計6 っ あると推 定された 。スプライ ン・ラプ ラシアン 分布の継時変化を調べた 結 果、四分 円1/2と四分 円3/4との間で 前頭葉の 活動の持続時間に差が見ら れ 、 そ の活 動の開 始潜時は 両者とも ほぼ同じ260msであるの に対し、終 了 潜 時 は 四 分 円3/4の 方 が1/2に 比 ベl10ms長い こ と が分 か った 。 最 後に8

¥‑13Hz帯 域の 脳 波リ ズ ム に関 し て、 四 分円1/2と3/4共に減 衰、回復 の過 程 が 見 られ 、 減衰 は 成 分niのピ ー ク 潜時 で あ る約320msで 最 大と な り、

部 位として は後頭の 減衰が大き いことが 分かった 。一方、回復は成分IVの ピーク潜時以降に前頭葉を中心として見られた。

  第6章 では 、 第5章で 述 べ た結 果 を考 察 し た。 特 に4つの 事 象 関連 電 位 成 分と脳内 プ口セス との関連に 関して、 スプライ ン・ラプラシアンによる 結 果 と8〜13Hz帯域の脳 波リズム との関連 も含めて 検討を行 った。スプ ラ イ ン・ラプ ラシアン 解析の結果 は事象関 連電位の 各成分が左右両半球の後 頭 、頭頂、 前頭葉の 活動の相互 関係によ り生じて いることを示しており、

反 応 時 間の 差を考 慮すると 潜時約270ms以 降の前頭 葉の活動 が夕一ゲッ ト 認知に関わる活動を反映していると推察された。

  第7章では、本論文で得られた結果を総括した。

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学位論 文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授

栗城 伊福部 山本 小林

学 位 論 文 題 名

眞也      克之 哲生

事 象関連 電位に基づく視覚的群化の      脳 内 プ ロ セ ス に 関 す る 研 究

  ヒ ト の 視 覚 プ □ セ ス を 工 学 的 に モ デ ル 化 し 画 像 処 理 を 行 う 研 究 が 進 ん で い る。

複 雑 な 自 然 の イ ヌ ー ジ に 対 し て 、 ヒ ト は イ メ ー ジ を 統 合 ま た は 分 離 し 簡 単 に 見 分 け る こ と が 出 来 る 能 カ を 有 し て い る 。 そ の プ ロ セ ス の 解 明 は 、 新 た な 画 像 処 理 機 器 の 設 計 あ る い は コ ン ピ ュ ー タ ビ ジ ョ ン 研 究 に 役 立 て る こ と が で き る と 期 待 され てい る。

  本 研 究 は 、 視 覚 的 群 化 現 象 に 基 づ き 分 離 さ れ る 領 域 を タ ー ゲ ッ ト ( 標 的 ) とし て 、 そ の タ ー ゲ ッ ト が 認 知 さ れ る ま で の 脳 内 プ 口 セ ス を 調 べ る こ と を 目 的 と し て い る 。 具 体 的 に は 、 テ ク ス チ ャ ー 分 離 課 題 遂 行 時 の 反 応 時 間 、 事 象 関 連 電 位 並 び に 脳 波 リ ズ ム の 変 動 の 計 測 と 解 析 に よ り 脳 の 神 経 活 動 を 検 討 し て い る 。 実 験 には 直交 する2つの 線分 から なる 【v]と [ 〉] のマイク口バターンで構成 された円 形 の 刺 激 を 使 用 し た 。 こ の 刺 激 に お い て[v]に よ り 形 成 さ れ る 四 分 円 が タ ー ゲ ッ ト で あ り 、 そ の 位 置 は 円 を45° と135° の 対 角 線 で 分 け た4つ の 視 野 領 域f上 下 左 右 の 四 分 円14)の 中 か ら 試 行 毎 に ラ ン ダ ム に 決 定 し た 。 本 研 究 の 主 な 成 果 は 以 下の 点に 要約 され る。

1) 刺 激 呈 示 か ら 被 験 者 が ボ タ ン 押 し を 行 う ま で の 時 間 を 反 応 時 間 と 定 義 し タ ー ゲ ッ ト 呈 示 位 置 に よ り 反 応 時 間 を 計 測 し て い る 。 そ の 結 果 、 夕 ー ゲ ッ 卜 呈 示 位 置 に よ り 反 応 時 間 に は 有 意 な 差 が あ り 、 四 分 円12に 対 す る 反 応 時 間 は 四 分 円34に 対 す る 反 応 時 間 に 比 べ 有 意 に 短 い こ と を 見 出 し た 。 一 方 、 四 分 1と 四 分 円2並 び に 四 分 円3と 四 分 円4と の 間 に は 有 意 な 差 が 見 ら れ な か っ た た め 、 四 分 円12及 び 四 分 円34に 対 す る 結 果 を 一 緒 に 扱 う こ と に し たf

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下、四分円1/2と3/4と呼ぶ1。

(2)反応時間と同時に脳波を測定し、テクスチャー分離課題に伴う事象関連 電位を調べた。その結果、四分円1/2と3/4共に4つの成分が見られた。四分円 1/2と3/4に共通して約90 msをピーク潜時とする陽性成分(成分I)と約150 ms をピーク潜時とする陰性成分(成分II)が後頭部に見られた。さらに、約320 ms をピーク潜時とする陰性成分(成分m)が中心中央部位に見られた。最後に陽 性の成分(成分IV)が頭頂部近傍に見られ、そのピーク潜時は四分円1/2が485 msであるのに対し四分円3/4では545 msと60 msの差があることを見出した。

(3)スプライン・ラプラシアン分布から各成分の信号源のおおよその位置を 推定することができ、四分円1/2と3/4に対する各成分の信号源はいずれも一致 している事が分かった。成分Iの信号源は、後頭葉の左右両半球の対称的、局所 的な電流であった。また、成分IIの信号源も後頭葉の左右両半球の局所的電流 であった。 成分m及 びIの 信号源は、 前頭葉、頭頂葉、後頭葉の左右両半球 の対称的な部位に合計6っあると推定された。スプライン・ラプラシアン分布 の経時変化を調べた結果、四分円1/2と四分円3/4との間で前頭葉の活動の持続 時間に差が見られ、その活動の開始潜時は両者ともほぼ同じ260 msであるのに 対し、終了 潜時は四分 円3/4の方 が1/2に比ベ110 ms長いことを見出した。

(4)8〜   13 Hz帯域の脳波リズムに関して、四分円1/2と3/4共に減衰、回復の 過程が見られ、減衰は成分niのピーク潜時である約320 msで最大となり、部位 としては後頭の減衰が大きいことが分かった。一方、回復は成分IVのピーク潜 時以降に前頭葉を中心として見られた。

(5)スプライン・ラプラシアン解析の結果は事象関連電位の各成分が左右両 半球の後頭、頭頂、前頭葉の活動の相互関係により生じていることを示してお り、反応時間の差を考慮すると潜時約2 70 ms以降の前頭葉の活動がターゲット 認知に関わる活動を反映していると推察された。

  以上を要するに、著者は、高分解能の脳波計測と生体信号処理を通して視覚 的群化に伴う大脳神経活動を非侵襲的に検討し、ヒトの視覚情報処理について の新知見を得たものであり、生体工学並びに認知脳科学に対して貢献するとこ ろ大なるものがある。よって著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与さ れる資格あるものと認める。

参照

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