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博 士 ( 工 学 ) 栗 岡 学 位 論 文 題 名

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Academic year: 2021

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     博 士 ( 工 学 ) 栗 岡 学 位 論 文 題 名

トンネル空間における火災安全に関わる実験的研究 学位論文内容の要旨

  本 論文は、 トンネ ルを始 めとす る地下 構造物 ・施設 の重要 性や用途等から、安全の目標を定め、そ こに 予想さ れる火 災の規 模を想 定した 対策が 十分であ るか、 否かを評価して設計する性能設計の考え 方( 火災安 全設計 法)の確啻を目的として、トンネル空間(半閉鎖空間)における火災の挙動を把握・

定式化する解析の手法を検討している。

  本論 文 は15章 で 構 成 され て い る 。第1章では、 本研究 の背景 、目的 および 研究の 特色を 述べた 。 第2章 で は 既往 の 研究に触 れなが ら、本 論文の 各章の 内容と 得られ た成果 の概略を 述べた 。第3章 で は、 本研究 で行っ た火災 実験装 置およ び実験 条件等を 述べて いる。トンネル断面形状が火源近傍の火 災性 状に与 える影 響を実 験的に 明らか にするために、火源形状を↓定とし断面アスベクト比(以下Ap=

縦/横 ) を111〜1/3の3種 類に変 化させ た。ま た、火 源形状 がトン ネル空 間内の火 災性状 に及ぼ す影 響を 把握す るため に、ト ンネル 断面形 状をAp=l/2と し、火 源形状 はその縦横比を3:1〜l:3の範囲と して 、火源 の大き さや換 気風速 を変化 させた 実験を行 った。 実験はフルードモデルを採用し、模型実 験の諸条件を決定した。

  火 災初期に おける 避難・ 救助活 動時の 人体や 躯体へ の熱負 荷を検討するために、熱負荷の主要因と なり うるト ンネル 空間内 の火炎 の傾斜 角度や その長さ 等の火 炎形状 に注目 し、第4章では 、自由空間 にお いて横 風を受 けた火炎傾斜に対し、発熱速度(Q)を鉛直上昇速度に置換し、また、横風速度(V)を 火源 近傍の 代表速 度に置 換して 、火炎 の有効 高さを変 数とし た火炎傾斜の角度の工学的予測式を導出 した 。有風 時の有 効火炎高さについて代表長さDを用いてフルード数(FrD:ニy2/gD)および無次元発熱速 度(Q.D Q/10ヨC。Tagl/2D5/2)の組み合わせ関数を用い、床なしと床あり条件で簡易計算式を提案した。

  第5章では 、自由空 間にお いて採 用した 手法が 、トン ネル内 の火炎 形状予測 へ向け て適用可能か、

否か を検討 した。 トンネ ル内の 火炎の 傾斜角 度を定義 するた めに2種 類の角 度を導 入し、 天井への接 炎の 有無に 関わら ず、火 炎軸に 沿った 接線を 火源表面 高さレ ベルとの交点で定義する角度の関数とし た方 が、汎 用性に 富むこ とを明 らかに した。 トンネル 天井に 接炎しない状況の有効火炎高さは、自由 空間 におけ る性状 に、空 間の拘 束条件 を考慮 した形状 表現が 可能であることを示し、その予測式を提 案した。

  第6章では 、火災プ リュー ム性状 の簡易 的なモ デル化 を行い 、トン ネル空間 内にお ける仮想点源の 長さ は、ト ンネル 長さ方 向の場 合、ト ンネル断面方向の火源長さ(D2)の関数としたQ゛D2との相関性が 高く 、卜ン ネル短 手方向 の場合 、トン ネル長手方向の火源長さ(Di)の関数としたQ゛DIとの相関性が高 いこ とを明 らかに した。 火災プ リュー ムの主 軸温度は 、自然 換気時はMcCaff reyの提案式とほぼ同等 の温 度性状 を示し 、強制 換気時 は火源 からの 中心軸上 の距離 (L)と 発熱速 度によ って火 炎片領域で (L/Q2/5)の ー1乗、 プリューム領域で―5/3乗の関数となった。火災プルュームの半径方向の温度分布は Apと無 関 係 で あり 、自然 換気時は 自由空 間の2〜3倍に拡 大し、 強制換 気時は 火災プ リュー ム軸の 距 離に 対する 横方向 の距離 の比の 対数に 比例し ていた。 トンネ ル内の火炎性状は、自然換気と強制換気 およ び接炎 の有無 によっ て異な ってい た。自然換気時及び強制換気・接炎時の場合、空間高さ(H)を 用い た無次 元数と 火炎特 性の相 関性が 最も高 いことを 明らか にした。強制換気・非接炎時の場合は、

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火源径(DO〓[Dl:kD2] 1/2)を用いた無次元数と火炎特性の相関性が最も高いことが分かった。自然換気時 の火炎 長さは、 はQ゛Hの2/5乗の 関数、 最大火 炎幅はQ゛Hの2/3乗 の関数 となり、最大火炎幅提示位置 は、発 熱速度と 明瞭な 相関性 が存在 せず、 最大火 炎幅提 示位置 と仮想点 源の和 が空間高さと一致する ことを 明らかに した。 強制換 気・非 接炎時 の火炎 長さはQ Hの3/4乗 、最大 火炎幅はQ゛Hの1/2乗、最 大火炎幅提示位置は組み合わせ関数(Q゛DO Fr DO―1/6)の1/3乗に比例していた。強制換気・接炎時の火 炎長さは組み合わせ関数(Q HF rH‑1/6)の3/5乗、最大火炎幅は組み合わせ関数(Q HFrH・l/6)の1/3乗、

最 大 火 炎 幅 提示 位 置 は 組み 合 わ せ 関数 (Q゛H FrHl/2)の1/3乗 に 比 例す る こ と を明 ら か に した 。   第7章 では、 強制換 気時に おける 火源近 傍性状 として 、天井直 下に出 現する 最高上 昇温度 、その 呈 示位置 に注目し 、これ ら諸因 子に対 する簡 易予測 式を導 出する とともに 、Apが空間天井近傍の温度性 状に 与える 影響を 検討し 、火源 から天井 までの 高さ(H)とト ンネル 断面幅(b)の組合 関数(H3/b)川 を関数 とする空 間代表 長さの 関係式 を導出 した。 次に、 火源の 代表長さ を表記 するために、トンネル 断面幅 と強制換 気流に 面する 火源長 さ(D2)によ り定義 される無次元長さ(b/D2)l/2の関数となる補止項 を求め 、空間断 面形状 と火源 形状の 異なる 場合に 適用し うるト ンネル火 災時天 井近傍最高上昇温度、

その呈示位置並びに火炎傾斜角度の簡易予測式を導出した。

  第8章 では、 矩形断 面のAp( 側壁効 果)に 配慮し た自然 換気時 の天井 近傍を流 動する 熟気流 の温度 減衰 性状を 予測す る実験 式を導 出した。 天井ジ ェット の温度 は、そ の減衰 が殆ど 生じな い領域とr/H

(r:火 源からのトンネル長手方向水平距離[m])のべき乗数に比例して減衰する領域とに大別できる。

ほぼ゜定の温度上昇を示す領域は、Apに依存し、.Ap:ニ1/1の場合、「/Hく0.5、Ap= 1/2あるいは1/3の 場合r/HくO.2で あ っ た。 天井 ジェッ トの温 度上昇 の減衰 性状をr/Hの関数 として 、また 、この 簡易 式 中 の 比 例 定 数 お よ び べ き 乗 数 を 各 々Apの 関 数 と し て 表 現 し た 近 似 式 を 提 案 し た 。   第9章 では、 強制換 気時に 天井近 傍に形 成され る最高 温度とそ の呈示 位置に 着目し 、遡上 熱気流 先 端近傍 の給気側 の温度 上昇と 遡上側 の温度 減衰の 性状が 異なる 境界点を 、遡上 先端位置と仮定して解 析を進 め、発熱 速度と 換気風 速およ び遡上 位置に おける 関係式 の定式化 を試み た。従前の遡上阻止風 速と発 熱速度の 関係は 、遡上 した煙 層の天 井近傍 の温度 特性と 換気流の 関係を 示しており、既報告の 遡上阻止に関する複数の模型実験結果の統宀・的な整理方法を提示した。

  第10章で は、縦 流式換 気方式 を採用 したトン ネル空 間を対 象とし 、極端 な煙層の遡上が生じていな い状況 下におけ る排煙 側のト ンネル 長手方 向への 煙層の 温度減 衰および 垂直温 度分布、さらに煙層温 度減衰 に対する トンネ ル空間 断面形 状の影 響につ いて検 討した 。強制換 気時の 排気側の温度分布が、

正規 型 分 布 をし て い る と仮 定し 、強制 換気時の 排気側 天井近 傍煙層 の温度 減衰勾 配をApの 関数と し た 実 験 式 を 提 案 す る と と も に 、 実 規 模に お け る 実験 結 果 と の比 較 か ら その 妥 当 性 を確 認 し た 。   第11章で は、ト ンネル 火災時 の避難 ・消防活 動にお ける安 全性の 向上に 資するため、求められた火 炎形状 およびプ リュー ム性状 の実験 式を利 用した 放射受 熱の予 測手法に ついて 検討を行った。自由空 間、ト ンネル空 間にお ける放 射受熱 量は、 火炎の 表面温 度に配 慮する方 法より も中心軸温度を考慮す る方 法の方 が、実 測値に より近 い値を示 すこと を明ら かにし た。火 炎領域 を1枚の 平板に 置き換 える 簡易 法では 、放射 体温度 として600℃を用 い、強 制換気 時には垂 直な平 板を床 面仮想 火炎出 発点( 給 気側観 測点では 火源の 給気側 境界) と火炎 先端( 接炎時 は天井 近傍最高 温度呈 示位置)の中間点に設 置する方法が、実測値の再現性に優れていることを明らかにした。

  第12章 で は 、Ap=l/2の 空 間を用 いた模 型火災 実験を 対象と して、LES乱流モ デルを 用いたCFDの数 値実験 を行い、 実験結 果と比 較し、 数値実 験上の 問題点 ならび に火災実 験から 得られた簡易モデルの 有効性 を確認し た。シ ミュレ ーショ ンによ る火災 プリュ ームの 傾きは、 実験結 果とほぼ一致したが、

火源近 傍の火災 プリュ ームの 温度分 布は、 実験結 果より も幅が 狭くなる 傾向を 示した。Apが小さくな ると、 高温度呈 示位置 は減少 し、火 源直上 に近づ くけれ ども、 遡上側の 温度は 低くなる。Apが大きく なるほ ど、火源 から遠 ざかっ た位置 で温度 上昇が 低くな るとと もに、天 井近傍 長手方向における短手 中央の 値と短手 平均の 値の差 異は少 なくな る傾向 を示す ことを 明らかに した。 シミュレーション結果 の天井 近傍温度 分布は 、衝突 時の火 災プリ ューム がプル ューム 領域と火 炎片領 域の場合、簡易予測式

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と概ね一致した。

  第13章では、災害発生時に予測される危険性の抽出を行い、道路トンネルの既往の事故調査デー夕 等をもとに、事故の発生確率を求め、潜在的な危険性を確認した。次いで、対策を考える上で最も重 要な 要素と なる火源設定の考え方と火災事故時の発熱速度に関するケーススタディを行った。

  第14章では、既存の法令等に基づいた仕様書的な設備設置の対策から離れて、道路トンネル空間の 現状の設備的な防災対策の概要を述べるとともに、本来的なトンネル火災時の安全確保に必要な要件 の整理を行い、技術的な安全の確認方法における「出火および火災拡大の防止」の項目に対し、既存の 方法をべースにして13章までの新知見を加えて例示した。

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学位論 文審査の要旨

主 査

  

教 授

  

繪 内 正 道 副 査

  

教 授

  

窪 田 英 樹 副 査   教授

  

工藤 一彦

副 査   助教 授   早 坂洋 史

副 査上 席研 究官山 田常 主( 独立 行政 法人 消防研究所)

学位論文題名

ト ンネル空 間における火災安全に関わる実験的研究

  本論文は、15章で構成されており、トンネルを始めとする地下構造物・施設の重要陸や用途等から、安全の目標を 定め、そこに予想される火災の規模を想定した対策が十分であるか、否かを評価・設計する性能設計の確立を目的と し て 、ト ンネ ル空 間 にお ける 火災 の挙 動 を把 握・ 定式 化 する 解析 の手 法を 実 験的 に検 討を 加え て いる 。   第1章では、本研究の背景や目的、第2章では、各章の内容紹介と得られた成果の概略を述べている。トンネル断 面形状が火源近傍の火災性状に与える影響を実験的に明らかにするために、第3章では、本研究で行った火災実験装 置および実験条件等を明らかにすると共に、火災にフルードモデルを採用し、火源の大きさや換気風速を変化させ、

模型実験の諸条件を決定している。

  火災初期における避難・救助活動時の人体や躯体への熱負荷を検討するために、熱負荷の主要因となりうるトンネ ル空間内の火災の傾斜角度やその長さ等の火炎形状に注目し、第4章では、自由空間において横風を受けた火炎傾斜 に対し、発熱速度を鉛直上昇速度に、また、横風速度を火源近傍の代表速度に置換して、火炎の有効高さを変数とし た火炎傾斜の角度の工学的予測式を導出し、簡易計算式を提案している。

  自由空間において採用した手法が、トンネル内の火炎形状予測へ向けて適用可能を検討するために、第5章では、

天井への接炎の有無に関わらず、火炎軸に沿った接線を火源表面高さレベルとの交点で定義する角度の関数とした方 が、汎用性に富むことを明らかにしている。トンネル天井に接炎しない状況の有効火炎高さは、自由空間における性 状 に 、 空 間 の 拘 束 条 件 を 考 慮 し た 形 状 表 現 が 可 能 で あ る こ と を 示 し 、 そ の 予 測 式 を 提 案 し て い る 。   第6章では、火災プリューム性状の簡易的なモデル化を行い、自然換気はトンネル長手方向の火源長さを考慮した 代表長さ、強制換気・接炎時は空間高さ、を用いた無次元数と火炎特陸の相関性が最も高いことを明らかにしている。

  第7章では、強制換気時における火源近傍性状として、天井直下に出現する最高上昇温度、その呈示位置に注目し、

これら諸因子に対する簡易予測式を導出するとともに、空間断面形状と火源形状の異なる場合に適用しうるトンネル 火 災 時 天 井 近 傍 最 高 上 昇 温 度 、 そ の 呈 示 位 置 並 び に 火 炎 傾 斜 角 度 の 簡 易 予 測 式 を 導 出 し て い る 。   第8章では、矩形断面の側壁効果に配慮した自然換気時の天井近傍を流動する熱気流の温度減衰性状を予測する実 験式を導出し、簡易式中の比例定数および「べき乗数」を各々側壁効果の関数として表現した近似式を提案している。

  第9章では、強制換気時に天井近傍に形成される最高温度とその呈示位置に着目し、遡上熱気流先端近傍の給気側 の温度上昇と遡上側の温度減衰の性状が異なる境界点を、遡上先端位置と仮定して解析を進め、発熱速度と換気風速 およ び遡 上位 置における関係式の定式 化を試み、複数の模型実験 結果の統一的な整理方法を提 示している。

  第10章では、縦流式換気方式を採用したトンネル空間を対象とし、極端な煙層の遡上が生じていない状況下におけ る排煙側のトンネル長手方向への煙層の温度減衰および垂直温度分布、さらに煙層温度減衰に対するトンネル空間断 面形状の影響について検討し、強制換気時の排気側天井近傍煙層の温度減衰勾配を側壁効果の関数とした実験式を提 案すると共に、実規模における実験結果との比較からその妥当性を確認している。

  第1I章では、トンネル火災時の避難・消防活動における安全性の向上に資するため、求められた火炎形状およびプ 154

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リューム性状の実験式を利用した放射受熱の予測手法について検討を行い、自由空間、トンネル空間における放射受 熱量は、火炎の表面温度に配慮する方法よりも中心軸温度を考慮する方法の方が、実測値により近い値を示すことを 明らかにしている。

  第12章では、LES乱流モデルを用いたCFDの数値実験を行い、数値実験上の問題点ならびに火災実験から得られた 簡易モデルの有効性を確認している。

  第13章では、災害発生時に予測される危険性の抽出を行い、道路トンネルの既往の事故調査デー夕等をもとに、事 故の発生確率を求め、潜在的な危険陸を確認し、対策を考える上で、最も重要な要素となる火源設定の考え方と火災 事故時の発熱速度に関するケーススタディを行った。

  第14章では、仕様書的な設備設置対策を離れ、新知見を加えて道路卜ンネル空間の現状の設備的な防災対策を例示 し、第15章は、本論のまとめとしている。

  これを要するに、著者は、トンネル空間の火災について精緻な模型実験を中心に検討を加え、安全性に関わる新知 見を得たものであり、防災工学、建築環境工学、火災工学に貢献するところ大なるものがある。よって、著者は、北 海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

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参照

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