第 9 章 GEM の X 線検出器への応用 103
10.3 X 線検出器への開発
第 10 章 研究成果と今後の課題
今までGEM自体の性能評価や、応用として開発した検出器の性能評価を行ってきた。最後に、
これまでの研究成果と今後の課題についてまとめる。
10.1 GEM チェンバーの基本特性、新しいタイプの GEM の開発
まず、GEMの多段構成にした状態での各領域における電場や、∆VGEMの働きを調べ、GEM の基本特性を理解した。ガスワイヤーチェンバーでは105程度の増幅度を得ることは容易であった が、GEMを用いたチェンバーでも、50µm厚GEMを3枚使用することで105程度の増幅度が得 られた(P10ガスを使用)。
電荷分布に関しても調べたが、電荷分布はGEMの構造に依らず、GEMを用いたチェンバーの 全体のギャップとその間の電場に依存していることが判明した。
新しいタイプのGEMの開発において、100µm厚GEMが50µm厚GEMよりも効率よく、電 圧を印加できる事がわかった。その為、100µm厚GEMを使用すれば、50µm厚GEMよりも少な い枚数で高い増幅度が得られるが、1枚で106程度の増幅度を得ることが出来れば、高い増幅率が 求められる、X線検出器において有効に利用することが出来る。その為、さらに高い増幅率を得る ためには、新たな形状のGEMを考えていく必要があるだろう。また、変換層として用いるGEM として、25µm厚GEMの開発も行い、増幅率が1となる電圧を決めることは出来た。今後は、こ の25µm厚GEMに10BやAuを蒸着させたものを試験していくことが必要である。
10.4 その他の課題
また、大型GEMの測定が進み、基本特性を理解したうえで、大型の100µm厚GEM、B-GEM、
Au-GEMを開発し、中性子検出器やX線検出器の大型化も行いたい。
最後になるが、読み出しシステムとして新システムと0.8mmピッチの二次元読み出しストリッ プ基盤を併用する場合、図10.1のような微分波形が見えてしまう。これは、ASICチップに用いて いるバイアス電源と、読み出し基盤に塗布している、カーボンを介して入力端子間に電流が流れて 誤動作する為と予想されるが、この点を改善していく必要があると考えている。
図10.1: モニターによる読み出し基盤の裏側の信号
謝辞
本研究をまとめるにあたり、研究に対する取り組み方や論理的思考などをご教示頂いた千葉順成 教授に謹んで感謝の意を表します。
高エネルギー加速器研究機構で研究、実験を行う際に、多大な御助力を承った宇野彰二准教授
(高エネルギー加速器研究機構)に深く感謝の意を表します。
エレクトロニクスの基礎、研究会発表や修士論文の際に多大な助言を頂きました、内田智久氏
(東京大学学術研究支援員)に深く感謝致します。
測定方法、解析方法など多大な助言を頂きました、高エネルギー加速器研究機構の測定器開発室 のMPGDグループの皆様に深く感謝致します。
測定や実験などを行ううえで、共に助け合い、相談にのっていただいた中川真介氏(大阪市立大 学宇宙・素粒子実験物理学研究室修士課程)、長屋慶氏(同研究室修士課程)に感謝致します。
公私に渡り私を支えてくださった千葉研究室の皆様、友人に感謝致します。
最後に、今まで心配ばかりかけたにもかかわらず、最後まで見守ってくれた両親に感謝致します。