第 5 章 新しいタイプの GEM の開発 42
5.5 後退 GEM
GEM1枚で100µm厚GEMよりもさらに高いガス増幅度を得ることを目的として、次のような
図 5.13: Radiation GEMと通常の100µm厚GEM(70µm径)の∆VGEMに対するガス増幅度の 測定
• 検出面積:10cm×10cm
• LCP(絶縁体)の厚さ:100µm
• 孔径(Cu):90µm径、130µm径
• 孔径(LCP):70µm径、90µm径
• ピッチ間隔:140µm
電極であるCuの孔径とLCPの孔径を変え、絶縁体の孔径を小さくすることで高いガス増幅度 が得られるようにした。このGEMを後退GEMと呼ぶ。
後退GEMには2種類あり、それぞれで、CuとLCPの孔径が異なる。それぞれの様子を表した ものが図5.14と図5.15である。
図 5.14: 後退GEM孔径90µm径(Cu)、
70µm径(LCP)
図5.15: 後退GEM孔径130µm径(Cu)、
90µm径(LCP)
図5.14では思ったように電圧をかけることが出来なかったため、図5.15の後退GEMでガス増 幅度に対する、∆VGEM依存性、ED依存性、EI依存性を調べた。ここでも100µm厚GEMと比 較するため、100µm厚GEMの時と同様のセットアップにして測定を行った。
その時の各領域の電場等の設定は表5.6のように設定して行った。
表5.6: 後退GEMの各パラメーターにおけるガス増幅度の測定の時の各領域の設定 パラメーター 使用ガス ∆VGEM(V) ED(kV/cm) EI(kV/cm)
ED Ar-CO2 800 0.3∼3.0 6.0
EI Ar-CO2 800 1.5 3.0∼8.5
∆VGEM Ar-CO2 750∼870 1.5 6.0 Ar-CO2 750∼870 2.0 6.0 Ar-CO2 750∼870 3.0 6.0 Ar-CO2 750∼870 4.0 6.0 Ar-CO2 750∼870 5.0 6.0 Ar-CO2 750∼870 4.0 3.0 Ar-CO2 750∼870 4.0 4.0 Ar-CO2 750∼870 4.0 6.0 Ar-CO2 750∼870 4.0 8.0
5.5.1 E
Dとガス増幅度の関係
まずは、EDを変えた時のガス増幅度がどのように変化するかを調べた。
その時の結果が図5.16となる。
図 5.16: EDに対するガス増幅度の変化
今までは、EDを高く設定しても、高いガス増幅度が得られることはなかったが、この結果を見 る限りでは高く設定した方がよさそうである。
5.5.2 E
Iとガス増幅度の関係
次にEIを変えた時のガス増幅度がどのように変化するかを調べた。
その時の結果が図5.17となる。
図5.17: EIに対するガス増幅度の変化 今までと同様にEIを高く設定すると高いガス増幅度が得られた。
5.5.3 ∆V
GEMとガス増幅度の関係
最後に∆VGEMを変化させた時の、ガス増幅度の変化を測定した。EDに対するガス増幅度の変 化の測定から、今までの50µm厚GEMや、100µm厚GEMとは異なり、EDを高めに設定した方 がよさそうなことがわかったので、EI、EDを変化させながら、∆VGEMに対するガス増幅度の変 化を測定した。
まずは、EIを6.0kV/cmに固定して、EDを変化させた。
その時の結果が図5.18となる。
この結果を見ると、EDを4.0kV/cmに設定した方が高いガス増幅度が得られそうである。
その為、EDを4.0kV/cmに固定して、EIを変化させた。その時の結果が図5.19となる。
図5.19: EIをパラメーターにした時の、∆VGEMに対するガス増幅度の変化の測定 EIを高くするほど、高いガス増幅度が得られたが、高すぎると放電が起こってしまい、途中から 測定できない。その為、高い電場にすれば高いガス増幅度を得られる、とはいえない結果になった。
通常の100µm厚GEMのガス増幅度とさほど変わらないため、さらに高いガス増幅度を得るた
めには、他の形状を考える必要があるといえる。