第 8 章 中性子ビームによる検出器の性能評価 78
8.1.2 今年度の結果
率は30% となった。この結果はシミュレーションの結果から予想される値とほとんど違わず、昨 年度よりも少ない枚数で検出効率が稼げていることがわかる。
次に、位置分解能を評価するために、直径0.5 mmのピンホールを使って、信号の拡がりを見 た。その結果は図8.12となっている。
図 8.12: 左図:直径0.5mmのピンホールを使った時の二次元画像データ、
右図:X-chの信号の拡がり具合
ほとんどの検出位置はひとつとその隣のストリップであり、そのさらに隣のストリップは約2桁 落ちとなっている。この結果を以下の点を踏まえた上で解析した。
1. 読み出しストリップのピッチ間隔が0.8mmピッチ 2. 隣やさらに隣と中心との比
3. 直径0.5mmのピンホールを使ったことは考慮しない
その解析結果として、位置分解能はXが0.465mmで、半値幅は1.09mm。Yが0.507mmで、半 値幅は1.19mmとなった。
次に、サンプルを用いて広角散乱のテストを行った。今年のサンプルは、単結晶のSiO2とNaCl の2種類である。まず図8.13のようにセットアップをし、NaClの測定をした。
昨年度はブラックピークが見えるようにサンプルを回転させながらデータ収集を行ったが、今年 は図8.13のようにゴニオメーターを用意し、サンプルをサンプル台の上で固定し、GEMチェン バーを回転させることでブラッグピークが検出できるようにした。図8.14のようにGEMチェン バーを回転台ごと回転させた。また、昨年度はビームを絞らず測定したが、今年はサンプルの前で もビームを絞って実験を行った。サンプル前のスリットの大きさは2mm×2mmである。
このようなセットアップで測定をし、得られた結果が図8.15である。
図8.15の各画像で書かれている値は理論から考えられる散乱角とhkl面である。表8.1.2と表
8.1.2が各パラメータに関する理論値と測定値を比較したものである。
表8.1.2と表8.1.2からわかるように、だいたい理論値のあたりでブラックピークを測定できた といえる。このことから中性子散乱実験にGEMを使用することが出来るといえる。
次に、SiO2に関しての測定を行った。SiO2はNaClのように鋭いピークが見えるのではなく、
構造上の理由から円のピークが見える。そのため、ピークが出ないところは散乱光が来ないという わけではないので、ビームのシグナルを強くする必要があるため、NaClを測定した時よりも上流
図8.13: セットアップ図
図8.14: 模式図
図8.15: 単結晶NaClのブラックピーク
hkl面 理論値 測定値 002 -23.4◦ -24◦ 022 10.8◦ 9.00◦ 004 36◦ 36◦ 024 0.90◦ 0.25◦
表 8.3: 各hkl面に対応する結晶の角度に関する 理論値と測定値
hkl面 理論値 測定値 002 46.8◦ 47.7◦ 022 68.3◦ 70.0◦ 004 106.0◦ 107.3◦ 024 126.8◦ 130.0◦ 表8.4: 各hkl面に対応する散乱角に関する 理論値と測定値
たビームが後方で散乱したりすることがないようにボロン入りゴム等を置いてセットアップを行っ た。実際のセットアップ図は図8.16で、模式図は図8.17となっている。
図8.16: セットアップ図
図8.17: 模式図
図8.16のようにセットアップした後に測定を行った。ピークが点ではないので散乱パターンに 沿ってスキャンした。その時の測定データが図8.18である。比較のため同じサンプルを用いて3He カウンターで測定したデータを紹介する(図8.19)。
図 8.18: SiO2の結果(GEMチェンバー) 図8.19: SiO2の結果(3Heカウンター) ビームの波長が異なるためピークの散乱角は一致しないが、ピークの出方が一致している部分 (30◦や50◦付近)は確認できる。ただ、ピークが確認できていない部分があるのでその部分に関し ては原因を究明している。また、この3Heカウンターでのデーターはサンプルから離して、たくさ んの3Heカウンターを設置して得られたデータである。強度が落ちるため、11時間かけて測定し たデータであるが、GEMチェンバーはある角度で30分スキャンをし、それを別の角度で測定す る、ということを6回繰り返したものであるので、測定にかけた時間は3時間である。もし、ピー クが検出できていない部分の問題が解決されれば、SiO2のような円のピークが見えるものの散乱 実験にも使えるだろう。