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図2.3.2国際援助機関等が対象とする都市問題の構成

 これは、国際援助機関等が対象とする都市問題について、4つの機関でどのように異な るか、または同じであるか図化したものである。これにより、4っの機関の違いを容易に判 読できる。多くの機関が対象とする都市問題は必然的に図2.3.2の中心部に配置され、

周辺に位置している都市問題はその機関特有の都市問題と理解できる。つまり、問題の 位置関係とその偏りから各機関が対象とする都市問題の分散を把握することができる。

 4つの機関が都市問題の対象として位置付けているものは、「都市基盤施設」と「都市 の貧困」の2項目ある。続いて3つの機関が共通で対象とする都市問題としては、9項目 ある。そこで、これら4っの機関が共通して対象とする2項目と3っの機関が共通して対 象とする9項目を合計した11の都市問題が、国際機関等が対象とする代表的な都市問 題であると考えられる。

 これを各機関別に見ると、世界銀行は、10項目中4項目がハードな施設整備に関する 問題であり、国際融資機関の立場から主に施設整備を通じて都市問題の改善を図ろうと する姿勢が確認できる。

 UN−HABITATは、社会的疎外、家族や治安などの社会問題も都市問題に含めており、

都市政策、施策運用に関わる課題が9項目中4項目となっているなど、都市計画技術も 合わせると比較的ソフト面の課題を主な都市問題の対象としており、国連の都市・住宅の 専門機関として政策・施策的アプローチにより都市問題に対処しようとする傾向が確認で

きる。

 JICAは、人口、エイズ・感染症など人口・健康部門も都市問題に含めており、

UN−HABITAT同様に都市の管理組織など都市政策、施策運用、および都市開発手法 など都市計画技術に関わるソフト面の課題を主な都市問題の対象としている(9項目中6 項目)。JICAは我が国の援助実施機関の立場から事業の大きな柱として開発途上国の 組織・人材育成を掲げており、この方針は都市問題の分野でも確認できる。

 目本都市計画学会は、今回比較した機関内では16項目中14項目と最も多くの都市 問題項目を網羅している。都市計画を研究する立場から幅広い都市問題を研究対象と しており、その構成も、ハード面、ノフト面のどちらかに偏向した特徴はなく、双方のバラン スが取れたものとなっている。

 このように4つの機関は、世界銀行がハード面、UN−HABIT、JICAがソフト面、そして 日本都市計画学会は両者を均等に、それぞれ機関の役割・事業内容などの特徴を反映 して都市問題を技術協力や研究の対象としていることが明らかになった。

3.国際機援助関等が対象とする都市問題の分類・体系化

前段2.で選定した16項目の都市問題を体系化するため、問題を発生要因と整備すべ き課題(整備課題)毎に3っカテゴリーに分類した。整備課題の設定基準は次のとおりで

ある。

①都市問題の発生要因が、都市計画技術が不備、あるいは未整備であることにより生  じており、将来、計画の策定、改定に向けた「ソフト的対策」が必要とされている問題  を、「都市計画制度の課題」とした。

②都市問題の発生要因が、都市施設の不足、あるいは未整備であることにより生じて  おり、将来、容量を拡充するための施設整備として「ハード的対策」が必要とされて  いる問題を、r都市施設整備の課題」とした。

③都市問題の発生要因が計画技術や施設運用面の不手際から生じており、今後は  既存計画や施設の利用に関わる戦略、施策、政策立案など「マネージメント的対  策」が必要性とされている問題を、r都市政策・施策運用の課題」とした。

 上の基準に準拠して検証を繰り返し、都市問題の分類・体系化を行った。これらの検 証を経て作成した国際機関等が対象とする都市問題は表2.3.3のとおりである。

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 表2.3.3発生要因、整備課題より分類・体系化した国際援助機関等が対象とする都市 問題

1

No

    蜀     5z,■ 、F5

   法制度 都市計画法、公共用地取得制度

2 都市計画 国土・地域計画、M/P、都市計画、土地利用、空間計画、都市構造、都市景観 都市計画事業、都市

画制限

髭 ■ 58 1㍗『乃}z

市基盤施設

 土地区画整理、市街地整備手法、中心市街地活性化、再開発、災害復興開発、用途規 制、建築規制

F

都市施設(上下水道、ゴミ処理施設、教育施設)、情報通信技術(IT)、電力、熱・エネル ギー供給施設

5 都市交通 公共交通、街路、自動車交通、運輸交通、物流、歩道

6 都市防災 防災施設、災害対策

7 公園・緑地 造園、公園、グリーンベルト、遊び場、リゾート開発、ウオーターフロント開発、観光施設 居住施設

F     夏 都市管理組織

住宅・建築、建築制度、居住環境、公営住宅、宅地整備、不動産

脇ξz,ρ ,『

ッド・ガバナンス(良い統治)、組織能力の向上、技術移転、都市計画教育 10 都市開発政策 都市の成長管理、都市財政、都市経済、リサイクル運動、過密化対策

11 地方分権 地方計画、地方分散政策

12 都市の貧困 貧困層への都市サービスの提供、スクオッター対策、ホームレスの問題、失業対策 13 住民参加 住民参加、コミュニティ開発、民間セクター開発、民活、NGO

14 社会問題 社会的疎外、家族の不安定性、治安悪化 15 人ロ・健康 人口・エイズ/感染症

16 環境保全 歴史的建造物、歴史的環境保全、街並み保全、環境影響評価、公害対策

表2.3.3の作成にあたっては、以下の観点から分類・体系化を行った。

 まず、都市問題のソフト的対策である「都市計画制度の課題」については、①都市の規 制と開発行うための法・制度、②M/P、土地利用、空間計画などの都市計画、③土地区 画整理や市街地整備手法などの都市計画事業と都市計画制限の3っに分類できる。な お、都市管理組織、都市開発政策については、政策や管理運用の側面が強いことから、

都市政策・施設運用の課題に含めている。

 次に、都市問題のハード的対策である「都市施設整備の課題」は、施設整備に関する

①都市基盤施設、②都市交通、③都市防災、そして④公園・緑地が該当するものとした。

当然のことながら、これらの項目にもソフト的対策で述べたような、それぞれの中長期にわ たる整備方針や整備計画が存在するが、これらの方針や計画はあくまでも個別施設の建 設、あるいは事業実施を行うための根拠や妥当性を評価、判断するために作成するもの である。M/Pが整備すべき方針や望ましい土地利用のあり方を包括的に示しているのに 対して、施設計画は、事業採算性を判断するフィージビリティ調査(F/S)や、基本設計調 査(B/D)、詳細設計調査(D/D)が主となっている。そこで、これらの施設計画にっいては、

その上位計画であるMIPとは区分し、あくまでも「都市施設整備の課題」として類別した。

なお、⑤居住施設は、学校や病院といった公共建築物と異なり、通常都市施設としては 含まないが、スラム対策は、開発途上国の都市問題を取り扱う上で欠かせない観点であ り、居住環境整備や公営住宅など公共的な側面が強いことも勘案し、都市施設整備の 課題として含めた。

 最後に「都市政策・施設運用の課題」には、政策、組織・管理、施設運用を要因とする ものが含まれており、これらは①都市管理組織、②都市開発政策、③地方分権に該当す る。さらに、④都市の貧困、⑤住民参加、⑥社会問題、⑦人口・健康は社会的要因が強 い問題項目であるが、これらに対応する都市政策は、一般的にソフト的技術というより、む しろマネージメント的技術であると考えられ、当課題に含めている。なお、環境保全につい ては、各機関の実施方策や施策を見る限り、その内容は総合的、政策的な取り組みが主 体となっていることから⑧都市政策、施設運用の課題に含めるものとした。

 図2。3.3は整備課題より分類・体系化した国際機関等が対象とする都市問題の関係を 示した概念図である。

都P;方計画緻厘 の課題

◇法制度

◇都市計画

◇都市計画事業・

都市計画制限

都P族彪設整蒲の課題

◇都市基盤施設

◇都市交通

◇都市防災

◇公園・緑地

◇居住施設

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図2.3.3整備課題より分類・体系化した国際援助機関等が対象とする都市問題の概念図

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2.4本章のまとめ

 本章は、①都市問題に対する技術協力を行っている国際援助機関の調査・資料、そ れに関する研究を行っている学会の研究、文献のレビューを通じて、各機関が対象とす る都市問題の範囲、項目、位置付け、特性、差異を明らかにし、②都市問題の項目を発 生要因と整備課題に応じて分類・体系化し、③国際援助機関等から見た開発途上国に おける都市問題の全体構成を明らかすることを目的としている。

 このため、開発途上国における都市問題を対象として、世界銀行、UN−HABITAT、

JICA、目本都市計画学会の文献、資料レビューを行い、各機関が対象とする開発途上 国における都市問題の分析を行った。これにより、次のことが明らかかになった。

1)世界銀行は、設立当初から開発途上国の都市開発および都市問題の解消・緩和  に向けた支援を積極的に行っており、都市問題を「世界銀行が取り組むぺき重要な  開発課題」の一つとして位置付けている。このうち、世界銀行が支援すべき課題とし  て掲げている36の開発課題とその小分類から同銀行が支援対象とする都市の間題  項目にっいて整理を行い、r都市財政」など11の項目を同銀行が支援対象としてい  る都市問題に選定した。問題項目の構成としては、全体の4項目がハードな施設整  備に関する問題項目であり、世界銀行は国際融資機関の立場から主に施設整備を  通じて都市問題の改善を図っていることが確認できた。

2)UN−HABITATは、都市・住宅開発支援の専門的な国際機関として、都市化対策や  住居と人問居住問題の支援を行っており、急激な人口増加にともなう開発途上国の  都市問題は、今目人類が直面する最も重要な課題の一つであると指摘している。特  に、同機関は、人間居住分野における質の向上のために12項目にっいて積極的な  取り組み策を講じる必要があると位置付けており、このうち、重複する項目を除く11項  目をUN−HABITArが対象とする都市問題として選定した。UN−HABITATは、社会  的疎外、家族や治安などの社会問題も都市問題に含めており、都市政策、施策運  用に関わる項目が4っある。さらに、都市計画制度に関する問題項目も合わせると比  較的ソフトな問題項目が主な支援対象となっており、UN−HABITATは、政策・施策的  アプローチにより都市問題に対処しようとしている傾向が確認できた。

3)JICAは、効果的な国際協力に資するため、協力分野別の「分野別援助計画」等を  策定している。これを整理すると、「都市環境」など90年代後半は環境整備の視点か  ら都市問題を位置付けていたが、2000年以降はr地方行政」、r地域おこし」、あるい  は「ソーシャル・キャピタル(社会資本)」など政策支援分野、および産業分野の視点  から都市問題を位置付けしていることが確認できた。JICAは積極的に取り組む「開発  途上国の抱える課題」として22項目を掲示している。このうち、実際に行われている  技術協力の事例を参考に、都市部に限定される12項目を都市問題として抽出し、こ  れをJICAの対象とする都市問題として選定した。JICAは、人口、エイズ・感染症など  人口・健康部門も都市問題に含めており、UN−HABITAT同様に都市の管理組織な  ど都市政策、施策運用、および都市開発手法など都市計画技術に関わるソフト面の  課題を主な都市問題の対象としている(6項目)。JICAは我が国の援助実施機関の