都市問題の分類・体系化
2.1 はじめに 2.1.1本章の目的
開発途上国における都市問題の解消・緩和を目的として、都市計画制度に関する技 術協力を行うためには、技術協力の対象となる都市問題について、その全体構成をまず 理解する必要がある。
本章の目的は、①都市問題に対する技術協力を行っている国際援助機関の調査・資 料、それに関する研究を行っている学会の研究、文献のレビューを通じて、各機関が対 象とする都市問題の範囲、項目、位置付け、特性、差異を明らかにし、②各都市問題を 発生要因と整備課題に応じて分類・体系化し、③国際援助機関等から見た開発途上国 における都市問題の全体構成を明らかすることにある。
2.1.2本章の方法
本章における分類・体系化の方法は、①都市問題に関する豊富な情報を有している 国際援助機関(2機関)、我が国の援助実施機関、学会による4つの機関(これらを国際 援助機関等とする)を選定し、②その文献、資料のレビューを通じて、各機関が都市問題 の対象としている項目を抽出する。
これにより、③国際援助機関等が対象としている都市問題の位置付け、特性、差異を 明らかにし、④相互比較による用語の統一、類似項目の統合、あるいは分割を行い、都 市問題の発生要因と整備課題に応じて項目を分類・体系化する。
2.1.3本章の手順
本章の手順は、次のとおりである。
1)2.2では、開発途上国における都市問題に着目し、国際援助機関等の文献、資料レ ビューを行い、各機関の都市問題の位置付けを明らかにする。
第一に、開発途上国における都市問題を分類・体系化する意義を定める。(2,2.1)
第二に、国際金融機関である世界銀行が対象とする開発途上国における都市問題
を分析する。(2,2,2)
第三に、都市・住宅開発支援を専門とした国際機関であるUN−HABITATが対象とす る開発途上国における都市問題を分析する。(2.2.3)
第四に、目本の援助実施機関である独立行政法人国際開発機構(JICA)が対象と する開発途上国における都市問題を分析する。(2.2.4)
第五に、都市計画研究の学会である(社)日本都市計画学会が対象とする開発途上 国における都市問題を分析する。(2.2.5)
2)2,3では、1)で分析した国際援助機関等が対象とする都市問題について比較・分析 を行い、その分類・体系化を行う。
第一に、各機関が対象とする都市問題を分類・体系化する視点、方法、手順を定め
る。(2.3.1)
第二に、各機関が対象とする都市問題、および整備課題を比較・分析する。(2。3.2)
第二に、各機関が対象とする都市問題の分類・体系化を行う。(2.3.3)
2)2.4では、本章をまとめる。
第2章 国際援助機関等から見た開発途上国における都市問題の分類・体系化
2.1はじめに 2.1.1本章の目的
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.1.2本章の方法
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2.2国際援助機関等が対象とする開発途上国における都市問題 2.2、1開発途上国における都市問題を分類・体系化する意義
◇
2.22開発途上国における都市問題を分類・体系化するための機関の選定1
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2.2.3世界銀行が対象とする開発 途上国の都市問題
2.2.5国際協力機構(J【GA)が対象 とする開発途上国の都市問題
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◇
2.2.4UN−HABITATが対象とする 開発途上国の都市問題
2.2.6日本都市計画学会が対象と る開発途上国における都市問題
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2,3、国際援助機関等が対象とする都市問題の分類・体系化 2.3.1国際援助機関等が対象とする都市問題の分類・体系化を行う手順
◇
2.3.2国際機援助関等が対象とする都市問題の整理・統合と分類・体系化
号
2,4本章のまとめ 図2,1.1本章の流れ 30
2.2 国際援助機関等が対象とする開発途上国における都市問題 2.2.1開発途上国における都市問題を分類・体系化する意義
開発途上国の都市問題は、統計資料の未整備などに起因して基礎的な情報入手が 困難な場合が多く、序章で述べたように研究実績も十分に蓄積されていないことから、都 市問題の全体構成が正しく認識されるに至っていない。
各都市には固有の問題や課題があり、解消・緩和に至るアプローチもそれぞれ異なる。
しかし一方では、経済レベルや都市基盤施設の整備状況が比較的類似している開発途 上国の都市を対象とした場合、これらの都市に共通する都市問題も多いと考えられる。従 って、各国、各都市で異なる都市問題の項目、構成を整理し、各国、各都市に適用でき る一般的な分類・体系化を行うことは、今後の技術協力を効果的にするために有意義で
あると考えられる。
そこで、都市問題の分類・体系化を図るために、本章においては、国際援助機関等の 資料、文献を用いて情報の整理・分析を行う。また、国際援助機関等の視点から都市問 題の分類・体系化を行う理由は、次の3点である。
①開発途上国の都市問題にっいて最も豊富な情報を有しており、正確な分類・体系 化が可能となる。
②各機関が対象とする都市問題項目の分類・体系化を行うことにより、技術協力の 担い手である実施する側から見た都市問題の項目が明らかになる。
③第3章、第4章において行う援助の受け手であるカウンターパートによる都市問題 の構造化、政策・事業の優先度評価の結果と比較することにより、都市問題に関 する両者の特性、差異の確認が可能となる。
2.2.2開発途上国における都市問題を分類・体系化するための機関の選定 本章では、開発途上国の都市問題を分類・体系化するために、その研究対象として、
開発途上国の都市問題に関する4っの機関を選定した。本4っの機関は、①開発途上 国の幅広い分野に取り組んでいる総合的な国際援助機関、②都市問題対策を専門とす る国際援助機関、③日本の技術協力を行う事業実施機関、④都市問題の研究を行う学 会から、それぞれ一っを選定するものとした。
表2。2.1に、本研究の対象として選定した4っの機関名、選定した理由、および研究を 進めるにあたり着目すべき点について示す。
表2.2.1本研究の対象として選定した各機関と選定理由
No 機関名 選定理由 着目点
1 世界銀行 世界銀行(世銀)は、開発途上国へ商業 行ベースよりも有利な条件で開発資金 融資する国際機関(MDBs)である。
の他にも、アジアなどの対象地域に特化 た開発金融機関は、他に4機関存在す
が、世界を対象とする世界銀行は2003 現在184ヶ国が加盟と加盟国が最も多
。さらに世界銀行は、融資事業だけでは く、技術協力の支援も幅広く行っており、
界銀行を国際援助機関の代表として選
した。
世界銀行が対象とする援助、
資対象とする分野は、都市 備事業のみならず、農業や 健・衛生など非常に広範であ
。これら多様な援助、融資事 を進めるに際に、都市問題を のように位置付けているのか 着目する。
TheWorldBankGrou
2 国連人間居住計画 国際連合(国連)は、「主要機関」である総
、安全保障理事会、経済社会理事会、
託統治理事会、事務局等、多数の委員
、機関、基金などから成る組織である。
のうちUN−HABITATは、「まちづくり」の 点から都市・住宅環境問題の改善に取 組んでいる国連の専門機関である。よっ
、都市問題対策を専門とする国際援助
都市・住宅に関する国際専門 関が都市問題をどのように 置付けているのかについて
目する。
United Nations Hulnan Settlements Pro ram
機関の代表としてUN−HABITATを選定し
た。
3 国際協力機構 国際協力機構(JICA)は、日本における技 協力、無償資金協力事業など国際協力 実施機関であり、日本の国際協力/援
都市分野への国際協力を推進 るに際して、技術協力の実施 関が都市問題をどのように 置付げているのかについて
目する。
Ja all hlternationa1
Cooeration Aenc
幽
助実施機関の代表として選定した。4 日本都市計画学会 開発途上国における都市計画の研究を数 日本の研究者が開発途上国の
32
The Cit Plannin 多く行っている日本都市計画学会を学協 皿 都市問題を研究対象として、ど ように位置付けているのかに いて着目する。
InstituteofJa an CPIJ 会の代表として選定した。
2.2.3世界銀行が対象とする開発途上国の都市問題
1.世界銀行が開発途上国の都市問題を意識するに至った時代的な背景
国際開発機関である世界銀行は、発足当初の目的であった加盟国に対する第二次 世界大戦後の「経済復興支援」から、戦後は「南北問題」解消のための支援へと業務目 的を移行させている。業務内容としては、インフラストラクチャー整備を中心とするプロジェ クト借款業務から経済構造調整を目的とした構造調整融資、環境問題や旧計画経済諸 国における市場経済への移行支援など、世界情勢や社会環境の変化にともない、業務 内容も変化してはいるが、一貫として開発援助の分野で主導的な役割を果たしている1)。
世界銀行は設立当初から開発途上国の都市開発および都市問題の解消・緩和に向 けた支援も積極的に行っている。また、世界銀行は開発途上国における都市人口の急 激な増加、それにともなう貧困層の増加、環境悪化等の側面から開発途上国の都市問 題に対しても非常に高い関心を有しており、次の2.で整理するように都市問題を「世界銀 行が取り組むべき重要な開発課題」の一っとして位置付けている。
2.世界銀行が対象とする開発途上国における都市問題の位置付け
世界銀行は、表2.2.2(1)に示すようにr世界銀行が取り組むべき重要な開発課題
(Topics in Development)」と題して融資事業における支援重点開発課題36項目を取り 上げている。このうち、保健医療、教育、経済・金融など主に国家的取り組みが必要な課 題を除くと、都市問題と関係の深い課題は16項目となる(配色部分)。
世界銀行が対象とする課題は、開発(環境保全を含むバランスの取れた概念)の視点 から問題の発生要因別に分けられており、その中では貧困解消や格差是正に向けた融 資事業の取り組み方が示されている。
ちなみに、都市問題に関係があるとして本研究で取り上げた表2.2.2の16項目は、幅 広い都市問題を包括した範囲を形成している。ここでは、課題(Topics)を開発
(Development)のために何かしらの施策(アクション)を講じる必要がある項目、問題点で あると定義している。
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