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       重度精神遅滞児へのアセスメント、及び、

       「SCB』を契機とした要求行動形成過程を通して

【研究2】

目的 自己刺激行動の実態を観察し、機能分析の結果「SCB」と同定された行動を契機と  して、他者に感覚性の好子を要求する行動を形成する。

方法

〔対象〕S養護学校中学部と小学部に在籍する発語のない重度発達障害児2名;

・A児(13才男子:脳性麻痺・全盲〈光覚弁レベル>・重度知的障害)

先天性胆道閉鎖症による四肢麻痺の手術の際のトラブルで脳性マヒを罹患。精神発 達遅滞・左股関節脱臼・光覚弁(全盲レベル;光の明暗には少し反応)。遠城寺式

・乳幼児分析的発達検査;r移動運動」4.5ケ月・r手の運動j4.5ケ月 ・r基本的生 活習慣」7.5ヶ月・「対人関係」3.5ヶ月(注視等、視力が極端に低いためにクリア できない項目がある)・「発語」45ヶ月・「言語理解」6.5ヶ月。MEPA.mこよるア セスメントでは、おおよそ第3ステップ段階(姿勢面では安定した座位がとれる・

体幹を元に戻すことができそうな芽生えが見られる・コミュニケーション面では音 源定位ができていない)。(いずれも2003.g実施)

 日常生活は全面介助を要し、通常の姿勢は仰臥位または側臥位、腹臥位か長座位または 車椅子等による支持座位で、時々右方向への寝返りが可能。疲労が蓄積しやすく、週4日 間のペースで学校に登校。視力は明るさがいくらかわかる程度。視力が弱いので、主に聴 覚に頼って周囲の状況を判断している様子。他者の表情ではなく声の調子から状況判断し て笑う(例;怒った表情で楽しい口調の声かけに対して、笑い反応が生起)。頭部や上体 を前後に揺らすロッキング(鳶座りをすると上体だけを前後に揺らしたり、車イスのベル トがあると体を何度も前屈させる等)や、両手を正中線上で軽くたたいたり、仰臥位のと き踵を落として蹴るしぐさや、脚をばたばたさせる等の常同行動が頻繁に見られる。両下 肢を伸展して力む反応もしばしば生起。また、動きやすい左手(?)を上げるしぐさがよ く見られる。車椅子に座っているとき、昨年度までは背もたれにバンバンと体を打ち付け るロッキングが多く見られたが、今年度椅子の角度を調節したところ頻度が減った。音楽 が好きで、好きな曲・歌(rぞうさん」r大きな古時計」「ミッキーマウスの替え歌」が聞 こえたり、歌に合わせて体を左右に揺らしてもらうと、笑顔や発声もある。快反応として は「あ〜」と長く発声し、rあ〜ははは(笑い)」となるときがある。また、「あっ、あっ」

と短く発声するときもあるが、現在のところ意味のある言語行動はないと考えられる。担 任がAを膝に乗せて両手をもち、手拍子しながら歌を歌い終わって手を止めると、Aは 自分から「手たたき」をするなど、歌を要求しているようにもみえることがある。名前を 呼ばれても反応は明確でない。大きな音に対しては一旦驚くものの、音の方向に首を向け るなどの様子はなく (音源定位反応なし)、再度同じ音がしたときは無反応である。突然

の音(チャイムや掃除機の音)の直後に、たまに「びっくり反射」と見られる行動が数秒 間観察されることがある。

*以上、平成16年度担任0教諭との面談及び、「重度・重複障害のある子どもたちへの感覚 運動指導の 在り方」依田善裕(平成15年度 神戸大学発達科学部における研修報告書)を参考とする。

・B児(10才女子:自閉傾向・重度知的障害〉。

脳萎縮・自閉傾向。KIDS乳幼児発達スケールTYPE:T;r運動」1:10・r操作」1:4

・「言語理解」0:11・r言語表出」0:7・r概念」1:5・r対子ども」1:7・「対成人」1:11

・「しつけ」2:0・「食事」0:6。(2004.2実施)。

 1歳3ヶ月のとき心室中隔欠損の根治手術。基本的生活習慣は全介助。低緊張。歩行は、

片手介助で歩くことが多いが、7〜8割独歩できるようになった。階段を上がるときは、

片手介助の手すり持ちでできる。階段を降りるときはお尻をつけて降りる。本人に目的が ある場合は歩こうとするが、他者が歩かせようとすると座り込んで怒ることがある。シャ ッフリング(お尻を地面につけてにじり寄ること)がしばしば見られ、これは歩行が遅れ る原因になるということで、階段を降りるとき以外はなるべくシャッフリングさせない方 向で指導。食事は、機能面では離乳中期(口角の動きは少しあるが食べ物を口にため、噛 まずに燕下する)。好物でも口に入ると怒ることが多い。落ち着いて食べることが困難だ ったが、一昨年度あたりから、家庭との連携のもと、大好きなビデオなし音楽なしでも食 事場面に適応できるようになった。1時間毎の定時排泄を実施。トイレでは排尿ができつ つあるが、頻尿でその間にもらしてしまうことが多い。排便は4〜5日に1回程度(食が 細いためか、学校では排便したことがない)。生活のリズムは夕食が20時で、眠るのが23 時頃。一昨年度までハンカチや服などを口に入れてしがんでいることが多かったが、現在 では「やめようね」という担任の言葉かけに対し自己抑制できることが増えてきた。固執 性が強く、思い通りに行かない場面や解釈不能な場面・緊張場面では、手足で自分の腕や 脚・腰・床などを打ち付けるといった軽度の自傷行動を生起させたり、物を投げ捨てたり、

声をあげて頭を振りながら痴癩をたてる(が、これも担任や周囲の「消去」の方法で頻度 と強度が低下しつつある)。独り遊びの常同行動(絵本を顔の前でパタパタする・顎や唇 に手指でパタパタたたく・頭や頬を手指でパタパタたたく・他者が紙等をパタパタさせる とそこに掌を差し出して感触を味わう・喉をなでる)に没頭することが多い。テレビ・ビ デオ・デジタルカメラ等の映像を見ることを好む。パチパチ拍手することが要求サインで ある。トイレの中で用を足して終了したときにも、<終わりました>のサインとして拍手 をすることができる。名前を呼ばれると自分の手を相手に差し出しタッチするが、顔を背 け視線を合わすことが難しい。しかし、階段からボールを落とす遊びを好み、途中で止ま ったボールを担任が指さすと、共同注視ができるようになってきた。また、クレーンで、

棚に置いてある自分の好きな絵本を大人に取ってくれるように要求したり、自分で本を持 ってきて、<読んでください>という要求を示す。よく知っている音楽を聴くことや散歩 も好む。環境に対する固執性が強く、集団活動等でその場に適応できず泣き叫んで怒るこ とが多かったが、昨年度の9月の運動会交流では、同年齢の子どもに手を引かれて歩行す ることや、あまり馴染みのない大人に(何かをしてもらおうという目的で)リーチングし て近寄っていくなど、ここ数年間では見られなかった対人への適応性が見られた。

*以上、平成16年度担任M教諭との面談及び、「ささよう 一人ひとりの二一ズに応じた支援のありか たを求めて」(S養護学校平成15年度実践報告集)を参考とする。

〔期間〕査 定:X年g月2日〜X+1年7月30日    介入:X年11月8日〜X+1年11月10日

〔手続〕①査定1:自己刺激行動のトポグラフィー別累積時間数の測定        *スカッタープロット評定・VTR録画

   ②査定2:rSCB」の機能分析(Motivation Assessment Scale:Durand,1990)。

       *担任教師と研究者との一致率を査定

   ③査定3:A児r音源定位査定」

       *スカッタープロット評定・VTR録画

   ④査定41A児r物を叩いて音を出す行動の機能分析」

       *「ビッグマック叩き」を標的行動とする        *スカッタープロット評定・VTR録画

   ⑤査定5:A児r口唇音」のべ一スライン測定

       *スカッタープロット評定・VTR録画

   ⑥査定6:A児r口唇音の機能分析」(スキンシッフ。/話しかけ・ハチミツ水/話しかけ)随伴

       *ATDデザイン(2種類の強化子随伴による口唇音の頻度の比較)

   ⑦査定7:B児r手叩き要求サインの生起状況査定」

       *スカッタープロット評定・VTR録画

   ⑧査定8:B児r腰叩きの機能分析」

       *スカッタープロット評定・VTR録画

   ⑨介入A:A児「要求行動課題」(音楽・タッフ㌧シャカシャカ・ハグ)随伴条件

       *ATDデザイン(IV:4種類の強化子随伴,DV:有意な〈タイコ叩き>の         増加)

   ⑩介入B:B児r腰叩き行動制御課題」

       *ABデザイン(IV:強化子随伴条件・教示方法改善条件,DV:有意         な〈腰叩き>の減少)

1.査定1<自己刺激行動のトポグラフィー別累積時間数の測定>

〔目的〕対象児が行動レパートリーとして既得している自己刺激行動のトポグラフィーの    種類を調べ、トポグラフィー毎の従事時間、及びトポグラフィーの生起配分と環    境との因果関係を調査する。

〔方法〕スカッタープロット評定・VTR録画

結果

Table49 「A児:自己刺激行動・トポグラフィー別生起時間配分表」(%;自己刺激行動生起時間/全観察時間)

DATE 9/15/22 /27 10/4

/18

/18 /18 /18 25 11/8/8 /8 /8 /14 12/6/20 2/21 条件

 活動

内容

己勅敷行動

運動会交流② 歌遊び③ 朝の会③ どきどきタイム② 朝の会③ 音源定位実験② 音源定位実験② 音源定位実験① どきどきタイム② 音源定位実験① 音源定位実験① 音源定位実験② 音源定位実験② 朝の△πo式典③② 朝の会③ BM実験人の話しかけ② 朝の会③ ①仰臥位①長座位②輸③箱椅子

両手打ち 14.3

5.2 9.3

13.123.6 0 2.3 7.5 9.9 0 2 18.3 9 9.7 29.514 11.9 ロッキング 11.8

0.4 7.9 0.9

11.5

2.6 0 0 35.8 0 0 17 13.6

8.7 6.0 1.3

10.3 指を口唇触れ出し 11.8 14.5 29.2 13.5

8.7

19.8 12.562

9.3 4.3

33 25.3 21.3 36.2

3.8

11.1

6.3

指街え手の甲叩き 10.6

6.8 1.2

0 0 7.5 3 1.5 0 3 25.3 0 28.6 2.8 6.8 7.3 0

指吸い 7.5 59 7.6 6.7 3.8 7.6 14.1

6.9 6.2

60.6 8 4 0 13.2 1!ア

4.9

16.8 手バタバタ

2.6 1.3 2.5 0.8 4.5

13.1

4.6 0 0.1 0 0 0 0 0 0 0 2.6

唾で音を出す 2.6

0.6

14.8

0.5 2.1

40 29

8.9 1.1

16.3 21.331.6 31

2.9 8.3 5.3 3.0

掌をかざす

0.7 0.5 8.6 2.8

0 1.5 0.5 15.6 0 49.3 29.3 4.3 0 6.3 0.4 10.9 1.3

首脚バタバタ 0 4.6 9.6 0 0 2.1 11.134.2

8.4 2.6

19 0 0 1.1 0 0 0.5

物叩いて音出し 5 3 3.0 0 0 0.1 7 0 2.4 0 7 0 0 0 0 0 1.7

拳骨を歯に当てる 0 0 0.2 0.1 0

0 0

0 0 0 1.3 0 0 0.1 0 0 0

右腕を振る 0 0 0 0 4.5 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

顔や頭を軽く叩く 0

0

0 0 0 0 14.1 0.3 0 0 0 0 0 0 0 04 0

全・自己刺激行動 起時間配分

62.240.1 94.3 38.859.094.6 98.5 135.73.7136。 146. 100, 103.81.456.355.6 54.8

*同時に複数の自己刺激行動に従事している場合ダブルカウントしているため100%を越えることがある

DATE 3/2 /4 /11 /16 4/18125 5/2 /24 /26 /26 条件

活動

家庭 BM BM BM 朝の 朝の BM BL 口唇 口唇

①仰臥位