5.4 水槽実験結果
5.4.2 Round 模型実験
曳航速度9 m/sにおける航走状態の写真をFig.5.12に示す。船首部からスプレー状の波が激し
く発生した。本Round模型船の場合,航走時に船首上げ状態になろうとするが,船体姿勢抑制ガ イドにより走行中も静止中とほぼ同一の船体姿勢を保持することが可能であった。
Fig.5.12: Photographs of round model towing test at 9 m/s.
造波を考慮しない二重模型流れとしたCFDにて計算した左舷船底部近傍の流線をFig.5.13に,
船底表面の圧力係数Cp の分布を Fig.5.14に示す。流線は船体中心線にほぼ平行に流れている。
また,せん断力計やボイド率計を設置した付近の圧力分布は船長方向にほぼ一定であることがわ かる。
Fig.5.13: Streamlines near port side bottom of round model by double model CFD.
Fig.5.14: Distribution of pressure coefficient Cp at port side bottom of round model by double model flow CFD.
(1)摩擦抵抗低減効果
空気吹出部からの距離の変化による局所摩擦抵抗低減効果Cf/Cf0について Fig.5.15に示す。
ここで,空気吹出部からの距離が同一位置にあるせん断力計,例えばSS1〜SS4の計測値について は平均値を図中にプロットした。せん断力計SS7はボイド率計VF1の後流に位置しておりボイド 率計の支柱による乱れの影響が大きいと判断し,平均値の計算からは除外した。
Fig.5.15: Comparison of local skin friction effect in round model due to change in distance from air injector.
長尺模型船の場合と同様に曳航速度 U が遅く,相当空気厚さ tbが増加するほど,局所摩擦抵抗 低減効果は大きくなる傾向にある。ただし,曲率部では後流側になるほど局所摩擦抵抗低減効果が 低下する割合は大きくなっている。この現象は,ビルジコーナ部では気泡が船側から離れやすく壁 面近傍のボイド率が低くなるために,摩擦抵抗低減効果が小さくなるためと考えられる。
(2)壁面近傍局所ボイド率分布
相当空気厚さ tbを変化させた場合の曳航速度7 m/sおよび9 m/sにおける壁面近傍局所ボイド 率分布をFig.5.16に, tb=7.5 mmで曳航速度を変化させた場合の局所ボイド率分布を Fig.5.17 に示す。ここで,図中の凡例のAは空気吹出部から1 m後流側のA位置(ボイド率計VF1位置)
を,Bは A位置の0.9 m後流側のB位置(ボイド率計 VF2位置)を示す。
船底曲率部におけるボイド率分布は,船底平坦部(傾斜角度0 deg)や船尾傾斜部の分布形状に 近い。すなわち,壁面近傍にボイド率のピーク値があり,壁面より離れるに従いボイド率は減少す る。相当空気厚さ tbが大きいほど,また曳航速度が遅いほどボイド率のピーク値は高くなる。局 所ボイド率計測位置Aに比べ後流側に位置する局所ボイド率計測位置 Bの局所ボイド率は全体的 に低くなっており,後流側になるほど局所摩擦抵抗低減効果が低下する割合は大きくなる現象と一 致している。これらのことから,ビルジコーナ部では気泡が船側から離れやすく,摩擦抵抗低減効 果が小さくなると考えられる。ただし,曳航速度が速く空気量が少ない場合は,ビルジコーナ部に おいて気泡が船側から離れやすく摩擦抵抗低減効果が小さくなる影響は小さくなる。
Fig.5.16: Comparison of local void fraction distibution near wall surface at 7 m/s and 9 m/s in round model due to change in equivalent air layer thicknees.
Fig.5.17: Comparison of local void fraction distibution near wall surface at 7.5 mm equivalent air layer thicknees in round model due to change in towing speed.