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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

船舶への空気潤滑法の適用と実運航時の省エネル ギー効果の検証に関する研究

溝上, 宗二

https://doi.org/10.15017/2534526

出版情報:九州大学, 2019, 博士(工学), 論文博士 バージョン:

権利関係:

(2)

船舶への空気潤滑法の適用と実運航時の  

省エネルギー効果の検証に関する研究

令和元年 7

溝 上 宗 二

(3)
(4)

目次

第1 緒論 1

1.1 研究の背景 . . . 1

1.2 空気潤滑システムの研究開発と実用化に対する取り組み . . . 3

1.2.1 空気膜による摩擦抵抗低減. . . 3

1.2.2 気泡による摩擦抵抗低減 . . . 4

1.2.3 気泡サイズと抵抗低減効果. . . 6

1.2.4 空気潤滑システムの実船搭載事例 . . . 9

1.3 本論文の目的 . . . 12

1.4 本論文の構成 . . . 13

第2 空気潤滑による実船の省エネルギー効果推定方法の検討 15 2.1 緒言. . . 15

2.2 CFDシミュレーションによる摩擦抵抗低減量推定の現状と課題 . . . 16

2.3 水槽試験結果に基づく空気潤滑時の実船馬力推定 . . . 17

2.4 実船の省エネルギー効果推定結果の例 . . . 20

2.5 結言. . . 22

第3 空気潤滑システムの開発 23 3.1 緒言. . . 23

3.2 技術課題と設計条件 . . . 23

3.3 空気供給装置の設計検討 . . . 25

3.3.1 開孔模型からの空気吹き出し状況確認試験 . . . 25

3.3.2 チャンバ内部拡散板の検討. . . 30

3.3.3 モックアップによる水中吹き出し状況の確認 . . . 37

3.3.4 空気供給装置に関する考察. . . 39

3.4 数値計算による空気吹き出し配管の流量分配解析 . . . 40

3.4.1 解析プログラム . . . 40

3.4.2 解析結果 . . . 42

3.4.3 流量分配解析に関する考察. . . 46

(5)

3.5 実船空気吹き出し状況確認試験(岸壁試験) . . . 47

3.5.1 岸壁試験概要 . . . 47

3.5.2 岸壁試験結果 . . . 47

3.5.3 岸壁試験結果と数値計算結果の比較検証 . . . 50

3.5.4 岸壁試験結果の考察 . . . 52

3.6 結言. . . 53

第4 空気潤滑システムの実船搭載と海上運転による省エネルギー効果の検証 54 4.1 緒言. . . 54

4.2 供試船の概要 . . . 56

4.3 計測方法ならびに計測機器 . . . 56

4.3.1 気泡流観測装置 . . . 56

4.3.2 プロペラ観察用カメラ . . . 58

4.3.3 せん断力計 . . . 59

4.3.4 プロペラによる船尾変動圧力計測センサ . . . 61

4.3.5 船体振動計測センサ . . . 61

4.4 船底カメラ映像による放出状況の確認 . . . 62

4.5 船底観測結果 . . . 64

4.5.1 船底被泡状況観測結果 . . . 64

4.5.2 船底気泡挙動観測結果 . . . 66

4.6 プロペラへの気泡流入状況観察結果 . . . 68

4.7 せん断力計測結果 . . . 69

4.7.1 船底観測時のせん断力計測結果  . . . 69

4.7.2 速力試験時のせん断力計測結果 . . . 70

4.8 プロペラ変動圧力計測結果 . . . 72

4.9 船体振動解析結果 . . . 74

4.10 速力試験による省エネルギー効果の評価. . . 76

4.11 燃料消費削減評価 . . . 77

4.12 結言. . . 79

第5 船尾船底傾斜およびビルジサークルの影響に関する実験調査 81 5.1 緒言. . . 81

5.2 供試模型船および計測装置 . . . 81

5.2.1 15m長尺模型船 . . . 81

5.2.2 Round模型船 . . . 84

5.2.3 計測装置. . . 85

5.3 水槽実験方法および実験条件 . . . 86

(6)

5.3.1 実験方法 . . . 86

5.3.2 15 m長尺模型実験条件 . . . 87

5.3.3 Round模型実験条件. . . 87

5.4 水槽実験結果 . . . 88

5.4.1 15m長尺模型実験 . . . 88

5.4.2 Round模型実験 . . . 92

5.5 結言. . . 96

第6 内航フェリーに対する空気潤滑システムの搭載と実船モニタリングによる効果検 証 97 6.1 緒言. . . 97

6.2 搭載船と空気潤滑システム . . . 98

6.2.1 供試船の概要 . . . 98

6.2.2 搭載した空気潤滑システムの概要 . . . 98

6.2.3 省エネルギー効果推定 . . . 100

6.3 海上運転における省エネルギー効果の確認 . . . 100

6.3.1 省エネルギー効果確認試験. . . 100

6.3.2 プロペラによる船尾変動圧力および振動計測 . . . 103

6.4 運航モニタリングによる実運航時の省エネルギー効果確認 . . . 104

6.4.1 省エネルギー効果の評価方法 . . . 104

6.4.2 運航モニタリングデータ解析と評価 . . . 105

6.5 結言. . . 114

第7 空気潤滑システムの適用船種拡大のための検討 115 7.1 緒言. . . 115

7.2 適用船種拡大の取り組み . . . 115

7.2.1 空気潤滑システム用ブロワの開発 . . . 115

7.2.2 空気潤滑システム適用時の検討事項 . . . 118

7.3 実船を想定した検討例 . . . 121

7.4 結言. . . 125

第8 結論 126

謝辞 130

参考文献 132

付録 138

(7)

付録A 気泡流がプロペラ特性ならびにプロペラ変動圧力に及ぼす影響調査 139

A.1 試験装置および試験方法 . . . 139

A.2 気泡流中のプロペラ特性計測試験結果 . . . 142

A.3 気泡流中のプロペラ変動圧力計測試験結果 . . . 144

A.4 気泡流がプロペラに及ぼす影響についての考察 . . . 145

付録B 船底に放出した空気の挙動の模型による検証試験  147 B.1 試験方法および試験条件 . . . 147

B.2 気泡流観察試験結果 . . . 149

B.3 船底上の気泡流観察結果の考察 . . . 156

B.4 プロペラへの気泡流入状況観察結果ならびに考察 . . . 156

(8)

第 1

緒論

1.1 研究の背景

国境を超えて活動する国際海運は,国ごとにCO2排出量を割り当てる仕組みが馴染まないため,

温室効果ガス(GHG)の削減を国際的に定めた気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC) 京都議定書では外航船舶は規制適用対象外とされたが,同議定書において,国際海事機関(IMO)が CO2排出量の抑制対策を検討することとされていた。国際海運から排出されるCO2の量は,2007 年で約8.7億トン(世界全体の排出量の約3%,ドイツ一国分に相当)であったが,発展途上国など の海上貿易量の増加に伴い,将来的に大幅に増加していくことが予想されており,CO2排出抑制の 国際的枠組みを急ぎ確立することが急務であった。そこで,IMOの海洋環境保護委員会(MEPC において規制の枠組みが検討され,20117月の第62回海洋環境保護委員会(MEPC62)にお いて,国際海運からのCO2排出規制を導入するための海洋汚染防止条約(MARPOL条約)附属 書VIの改正案が採択され,201311日に発効している。

この改正によって,2013年以降に建造される船舶に対するCO2排出指標(エネルギー効率設計 指標(Energy Efficiency Design IndexEEDI*1の導入とこれに基づいたCO2排出規制の実施,

ならびに省エネ運航計画(船舶エネルギー効率管理計画(Ship Energy Efficiency Management

PlanSEEMP))*2の作成が義務付けられることとなった。このCO2排出規制のイメージ図を

Fig.1.1 [1]に示す。船舶が排出するCO2が,フェーズ毎に定められたEEDI規制値以下であるこ

とを要求するものであり,この規制値は段階的に強化されることになっている。EEDIの計算方法 についてはIMO MEPC63においてガイドラインが採択されRes. MEPC.21263[2]として発 効されている。

*1新造船のエネルギー効率を,設計・建造段階において「一定条件下で,1トンの貨物を1マイル運ぶのに排出すると 見積もられるCO2グラム数」としてインデックス化し,船舶の燃費性能を差別化するものである。自動車のカタロ グ燃費 (例:30 km/L)に相当するが,船舶の場合は一品受注生産であり,全て仕様が異なるためEEDIは個船ご とに全て違う。

*2既存船が自船のCO2排出量などをモニタリングしつつ,CO2排出削減のためにもっとも効率的な運航方法(減速,

海流・気象を考慮した最適ルート選定,適切なメンテナンスなど)をとるように,計画,実施,モニタリング,評価 および改善というサイクルを継続して管理することを促すものである。

(9)

Fig.1.1: Relationship between EEDI reduction rate and regulation value to be attained by ships [1].

このEEDIの計算においては,革新的省エネルギー技術によるCO2排出削減効果を考慮に入れ

ることがMEPC65において承認されている。具体的には,空気潤滑システム,風力推進システム

による省エネルギー効果は主機運転による排出量から控除され,また排熱回収システム,太陽光発 電システムによる省エネルギー効果は補機運転による排出量から控除される。したがって,これら の技術を適用した船舶のEEDI値は小さくなり,エネルギー効率の良い船舶として評価される。

本論文のテーマである空気潤滑システムの開発は,IMOにおけるCO2排出削減対策の検討が加 速し始めた2008年に着手している。当時は,上記IMOの動向に加えて,原油価格(WTI)が史上 最高値145ドル/バレルを突破し,運航コストの削減を目的としたエネルギー効率に優れた船舶の 技術開発に対する海運業界からの期待が大きくなっていた。さらに,国土交通省海事局は,2009 度から4ヶ年計画で,国際海運分野におけるCO2削減対策推進のため,在来船に対して 30 % CO2削減を可能とする技術の確立を目指した技術開発を補助する事業「船舶からの CO2排出削減 技術開発支援事業(高効率船舶等技術研究開発費補助金)」の取り組みを開始し,著者の所属する

(10)

三菱重工業(株)も,「空気潤滑による船体摩擦抵抗低減技術の浅喫水2軸船による実船実証」と して空気潤滑システムの効果検証を実施した。

ここに述べたとおり,地球環境の観点からの「GHG排出削減」の実現,海運業界からの「燃料 費コスト低減」の要請,国の政策として国内造船業の競争力強化に向けた「船舶からの飛躍的な CO2排出削減を可能とする技術の確立」の支援といった背景が一致する複数のベクトルが新技術・

新製品の開発を後押しする追い風となっていた。

著者は幸運にも世界に先駆けて本格的に恒久設備として実船に搭載する空気潤滑システムの開 発・設計に携わる機会に恵まれた。その研究開発活動の中で得られた豊富な模型試験および実船試 運転結果を基に,今後,CO2削減の有望な革新的技術として期待される空気潤滑システム搭載船 の普及と拡大に向けた技術基盤を整備することを本研究の目的とする。

1.2 空気潤滑システムの研究開発と実用化に対する取り組み

船舶から排出されるGHGはそのほとんどがCO2であり,大部分が燃料燃焼に起因するもので ある。したがって,CO2排出を抑える手段は,燃料消費量を削減することに帰着する。燃費を改善 する取り組みとして,例えば,推進性能に優れた船型および推進機の開発およびリアクションフィ ンなどの省エネデバイスによる性能改善は,1860年代にFroudeによって模型試験により実船の推 進抵抗を求める方法が確立されて以来,永続的に実施されてきており,現在もCFDを活用し日々 船型改良が進められている。

本論文では,特に低速船においては船の推進抵抗の約80 %を占める摩擦抵抗を低減させる技術 開発を目的とし,空気を利用して抵抗を減少させる技術を用いて省エネデバイスの製品開発に取 り組んだ。他に船体の摩擦抵抗を減少させる技術としては,低摩擦塗料の開発と実船での効果検証

例[3] [4]が報告されている。空気を用いた摩擦抵抗低減研究の歴史や関連研究の動向については,

これまで田村[5],永松 [6] [7],児玉 [8] [9],下山 [10]などの詳しい解説がある。

1.2.1 空気膜による摩擦抵抗低減

船体の周りの水(海水)を密度が約1/1000の空気に置き換えて摩擦抵抗を減少させる観点か ら,船体の周りを空気の膜で覆う方法(空気膜法)に関する研究は古くから行われており,幾つ かの研究で模型船やバージでの試験で有意な抵抗低減の達成が報告されている。Edstrand and

Rodstrom [11]は,船底の大部分が平坦な河川用バージの模型船を用いて,さらに船底側面に空気

を逃さないためのサイドキールを設けて空気膜がある場合とない場合の抵抗試験行い,空気膜を 安定に保つことができれば,約20 %程度の馬力低減が可能であることを確認している。その他,

空気膜を対象とした研究例は,Bassin [12]による河川用大型バージ模型を用いた水槽試験と実 船試験,Kostilainen and Salmi [13]による内航貨物船の模型試験,松永 [14]が超小型の水槽で 実施した簡便な抵抗試験,Jinqui [15]による複数の模型船と1,000tバージの実船を用いた試験,

Reed [16]が流れ方向にV字状の溝を形成して空気膜を保持する実験,佐藤ら [17]によるステッ

(11)

プ型の船体形状とした場合の抵抗試験,さらには渡邊ら[18],徳永ら[19]Fukuda [20]が超撥 水性の塗料を塗る試みを実施している。しかしながら,わずかなトリムの変化や船速の変化によっ て空気と水の境界面が不安定になるため,安定した空気膜を形成することは難しく,実用化は困難 であると考えられていた。また,これらの研究の多くは低速域に関する研究で,実用船の多くが運 航されている10 kn以上の速度域に関しては,十分な研究がなされていない。

(社)日本造船研究協会のSR239「船舶の摩擦抵抗低減法に関する研究」 研究部会(1998年〜

2001年) [21]SR239研究)では,検討が不十分であった高速域での空気膜法の効果や空気膜の

挙動を把握するため,対象船型としてタンカーを選び,模型船の船底部に空気膜形成装置を設け,

平水中および波浪中航走時の空気膜の様子の観察と抵抗試験を実施している[22]。また,10 kn 上を含む広い速度域で2 m平板模型と16 m長尺模型船を用いた水槽試験を行い[23],実船相当の 船速で航走させた時の摩擦抵減効果から,実船のタンカーでの摩擦抵減効果を推定する手法を提案 している。その結果,実用船の速度域においても空気膜法により有意な抵抗低減が可能であること が確認された。また,波浪中では船体運動(主にPitching)の影響で空気膜形成装置から空気が漏 れて抵抗低減量が減少している。空気膜は下流に行くに従い分裂し,膜状気膜から雲状気膜,さら には気泡群に変遷することが把握され,雲状気膜や気泡群にも摩擦抵抗低減効果が存在している と考えられる結果が得られている。しかし,空気膜法を実船に適用するには解決すべき課題も残さ れた。

1.2.2 気泡による摩擦抵抗低減

続いて,空気膜法の課題の一つである境界面の不安定性をなくすために非常に小さな気泡(マイ クロバブル)を境界層の中に混入させる研究が開始された。初めて行われた気泡を用いた実験とし ては,1973年のMcComick and Bhattacharyya [24]による研究例が挙げられる。長さ3フィー トの回転体に約0.15 mmの銅線を巻き付けて,電気分解により水素気泡を発生させたもので,最 大30 %の抵抗低減が確認されている。その後,マイクロバブルによる摩擦抵抗低減効果は高速艇 や魚雷など,軍事的な有用性に目が向けられ,米国と旧ソ連で精力的な研究が行われた。1970 代には,旧ソ連においてBogdevich [25]などの研究が行われている。1980年代には米国でペン シルバニア州立大学のグループを中心に精力的な研究 [26] [27] [28] [29]が行われ,Merkle and

Deutsch [30]によって詳細なレビューがまとめられている。Madavan [26]の模型実験では,約

5µmに相当する細孔を有する多孔質焼結ステンレス鋼板を用いてマイクロバブルを境界層内に注 入し,気泡吹き出し部の直ぐ下流に置かれた平板の摩擦抵抗を計測した。空気の流量Qを一様流速 U と多孔質板の面積Sで無次元化した値が増加するに伴って,摩擦抵抗係数Cf は急激に減少し,

最大約80 %の低減率を達成している。この時の気泡径は流速によって異なるが,200600µm 度であった。このMadavanらの実験結果が発表されたことで,マイクロバブルが大きな注目を集 めた。また,Madavan [31]は,マイクロバブルによる抵抗低減について理論的な研究を行い,

壁面近傍に気泡が集中していることが抵抗低減に重要であること示している。Tokunaga [32]は長 さが3 mの平板の前縁近くにMadavanらと同種の多孔質板を配して,平板の全抵抗計測を行い,

(12)

Madavanらと同程度の摩擦抵抗低減効果を確認している。また同じ多孔質板を用いてペイントテ ストを行い,気泡に覆われるほぼ全域において,ペイント後方への流出が少なく,摩擦応力が減少 していることを示した。気泡による方法は,他の乱流制御法[6](LEBU:Large-Eddy Breaking-Up

device,リブレット法など)に比べ抵抗低減効果が大きいことから,早期の実用化が期待された。

1990年代に入ると,日本において一般商船への適用を念頭においた研究が活発に行われた。東 京大学のグループでは実験的あるいは解析的な研究が行われた[33] [34] [35] [36] [37]。また,船舶 技術研究所(現(国研)海上技術安全研究所(海技研))においては,基本的特性の研究[38] [39] 続いて,幅1 m,長さ50 mの長尺模型船を用いた尺度影響実験 [40]が行われた。

マイクロバブルを利用した摩擦抵抗低減技術の船舶への実用化を目標として取り組まれたSR239

研究 [21] [41]においては,従来あまり検討されなかった,壁面の曲率や圧力勾配の影響 [42],気

泡径の影響[43],鉛直壁面影響,海水影響,尺度影響などの要素研究[44]が行われた。これらの準 備を踏まえて,実船性能推定法の検討[44],大型模型による実験 [40],実船実験 [45]を実施して 詳細な検討が行われた。

主に平板を供試体とした空洞水槽による実験は,設備上の制約から吹き出し位置から数m下流ま での摩擦抵抗計測に留まる。しかし,船の長さが300 mに及ぶ実船への適用を検討するためには,

さらに下流位置での摩擦抵抗計測が必要となる。また,フルード則に基づいた縮尺模型を使った水 槽実験では気泡径についての相似性が保たれないので,できるだけ実船に近い流速で実験をする ことが要求される。そこで,渡邊ら [46]は,幅60 cm,最大長さ40 mの平底の長尺模型船を用い て,長さ約200 mの曳航水槽で最大7 m/sの速度で曳航してマイクロバブル実験を行い,約40 m 下流まで効果が持続していることを確認した。SR239研究では,Takahashi [40] [47]が,まず 幅1 m,長さ12 mの模型船を用いてマイクロバブル実験を行った後,さらに平行部を追加して長 さ50 mの長尺模型船として同様の実験を行った。

SR239研究における実船実験 [45]は供試船として(独)航海訓練所練習船「青雲丸」を用い,

世界で初めて行われたマイクロバブルの実船実験である。実験では,主機の馬力,プロペラ推力を 計測し抵抗低減効果を評価した。気泡吹き出し部(Fig.1.2)は,気泡投入エネルギーを軽減するた め,船首バルブ両側面に各三箇所配置されており,それぞれの発生装置に独立して空気を吹き込ん だ。ここで採用された船外に気泡吹出す装置を取り付ける方法は,船体抵抗を増加させることにな るため,製品として本格的に空気潤滑システムを適用する際には,再考する必要があると考えられ る。この実験では様々な吹き出し条件を試験した結果,最大で5.5 %の抵抗低減効果と,気泡の吹 き出しエネルギーを考慮した正味2 %の省エネルギー効果が得られ,マイクロバブルの有効性が示 された。

SR239研究以降も海技研のグループを中心に研究[48] [49]が続けられ,いよいよ実用化を視野

に入れた実船実験の段階に移った。これらの取り組みにおいて,抵抗低減効果を効率的に得るため の空気の供給方法や吹き出し方法の検討が進められ,2005年に児玉ら[50]が長さ120 mのセメン ト運搬船を用いた空気潤滑法の実船実験を行ったが,船首バルブから気泡を吹き出したため,十分 な量の気泡が船底に回り込まず,所期の省エネルギー効果は得られなかった。そこで,2008年に 日夏,児玉ら[48] [49]が,空気を船底から直接吹き出す方法として,二度目の実験を行った。この

(13)

Fig.1.2: Bubble Injection Device (SEIUN MARU [9]).

二度目の実験において45 %の正味省エネルギー効果が確認されたことにより,空気潤滑法によ る燃料消費削減の可能性が拓かれた。この実船実験では,船底に設けた開孔から吹出した空気を船 幅方向に拡げるために,船外に空気を誘導するデバイスが取り付けられている。空気を吹き出さな い状態では,このデバイスによる抵抗増加分が推進性能を悪化させてしまうため,船幅方向へ空気 を拡散させる方法は検討を要する技術課題である。

その後,前述の通り,国内では国際海運からのGHG排出削減の要請を背景として国土交通省が 支援するプロジェクトが実施され,この中のテーマの一つとして空気潤滑法の実用化研究,実証実 験が行われた[51] [52] [53]

1.2.3 気泡サイズと抵抗低減効果

気泡を用いる空気潤滑法に関する論文などでは,実験でミリオーダーの気泡を使った場合でも

マイクロバブル”と呼称しているものがある。1970年代に研究が開始された当初は水を電気分解 してマイクロオーダーの“マイクロバブル”を発生させていた。その後,気泡発生が容易で再現性 が高い,ミリオーダーの気泡を配列多孔板で発生させる実験が行われた。以降の空気潤滑法に関す る研究ではほとんどがミリオーダーの“ミリバブルが使われている。

気泡サイズと抵抗低減効果の関係を調査した例として,Moriguchi and Kato [43]は,せん断応 力の計測部で気泡径を0.5 mmから2.2 mmまで変化させることに成功した。壁面せん断応力と気 泡径の関係は,Fig.1.3に示したように,気泡径変化に対して低減効果の変化はほとんど見られな

(14)

Fig.1.3: Effect of mean bubble diameter on frictional resistance reduction [43].

い結果となった。すなわち,この気泡径の範囲では摩擦抵抗低減効果は平均ボイド率*3で決まって しまう。このことは実船における気泡発生装置の設計において,発生する気泡径の大小をあまり考 慮しなくても良いことを意味する。

さらに加藤[54]は,水の電気分解により直径が数10ミクロンの水素/酸素気泡を作って実験を 行い,1 mm前後の気泡に対して10倍以上の低減効果があることを確認した。Fig.1.4の縦軸は,

摩擦抵抗低減率(DR)をボイド率(α)で除したもので,値が大きいほど低減効果が大きいことに なる。しかし,実船で空気潤滑を行う場合を考えると電気分解で大量の気泡を作ることは,投入エ ネルギーなどの観点から実現性は低く,現実的にはミリオーダーの気泡が用いられることになる。

電気分解以外の気泡生成デバイスとしては,Madavan [26] が使用した多孔質板(Porous PlateKodama[39]が使用した直径1 mmの孔を金属板に配列上に開けた配列多孔板(Array- of-holes plate)などが挙げられる。川北ら[42]は,Kodamaらと同じ仕様の配列多孔板を用いて,

空洞水槽で実験を行った。川北らの結果(配列多孔板AHP使用)とMadavanら(多孔質板PP 使用)の実験結果のうち類似の状態を選んだ比較をFig.1.5に示す。流速はほとんど同じであり,

吹き出し位置からの距離は0.27 m0.5 mとやや異なるが,両者の値は良く一致している。この 結果から,少なくとも吹き出し直下流では,配列多孔板は多孔質板と同等な壁面摩擦応力低減効果 があると言える[8]

*3気液二相流の中で気体の占める体積比率を表す。局所的な時間平均値を局所ボイド率と称し、さらにその空間平均を とったものである。

(15)

Fig.1.4: Comparison of bubble diameter and frictional resistance reduction effect [54].

Fig.1.5: Comparison of frictional resistance reduction effect by Madavan et al. [26] and Kawakita et al. [42].

(16)

1.2.4 空気潤滑システムの実船搭載事例

2008年のセメント運搬船での空気潤滑実船実験[48] [49]以降,実船搭載されている空気潤滑シ ステムは,船底から空気を放出し,ミリオーダーの気泡を発生せさせるものが多くを占めている。

公表されている情報より,空気潤滑システムの実船搭載事例をまとめてTable 1.1に示す。喫水が 深く,満載と軽荷状態で喫水変化が大きいバルク船やタンカーに対する適用例は少なく,大型のコ ンテナ船については実船搭載の実績はまだ報告されていない。特に,三菱重工業(株)はRo-Pax

Ferryやクルーズ船への搭載例が多く,欧州のサプライヤーからは多くのクルーズ船に対する搭載

例が報告されている。

Table 1.1に示した事例以外に実船搭載されたシステムとしては,北海道大学のグループが開発

した翼効果を利用したマイクロバブルシステム(WAIP:Winged Air Inject Pipe)が挙げられ,実

船実験[63] [64]が行われている。このシステムは船外に取り付ける翼型の気泡発生装置により推

進抵抗が増加すると考えられ,省エネルギー効果の評価にはその影響を評価し織り込む必要がある と思われる。2009年には,コンテナ船“Olivia Maersk”に 搭載され,船底と垂直舷側に124個の WAIPが取り付けられた。実船実験の結果,MaerskによりWAIPの消費エネルギーと得られた 省エネルギー効果のバランスがマイナスであると評価されプロジェクトは中止されている。

DK Group(現Silverstream)は,2008年に長さ81 mの小型バルク船“ACS Demonstrator”

(Fig.1.6) に対してレトロフィットで空気潤滑システムを搭載した [65]。このシステムは Air

Cavity SystemACS)と呼ばれ,空気膜法の弱点である気膜の保持を克服するために,船底に大

きい窪みを設けてその中を空気で満たす(Cavity)コンセプトである。実船実験では,平穏時には 摩擦抵抗が減少していたが,波浪中では空気を補充するためのエネルギーにより効果が少なくなっ ている。結論として,船体への大きな構造変更が必要であることからこのコンセプトは非実用的で あるとの評価を受けている。また,Stena Bulkは,DK Groupと似たコンセプトで船底に窪みを 設けて空気を注入し,水と船体との間に空気層を作ることで,摩擦抵抗を減らすコンセプトを提案 している。2010年には,“Stena Airmax”と名付けたFig.1.7に示す1/12スケールの実験船を建 造し,実船実験を開始している。

(17)

Table 1.1: List of ships installed with air lubrication system.

Year Ship name (or Owner) Ship type Supplier reference

2008 PACIFIC SEAGULL Cement Carrier NMRI [48] [49]

2010 YAMATAI, YAMATO Module Carrier MHI [51]

2011 CLIPPER IWAGI Bulk Carrier IMABARI(NMRI) [52]

2011 SOYO Bulk Carrier OSHIMA(NMRI) [53]

2012 Ferry NAMINOUE Ro-Pax Ferry MHI [55]

2014 (Archer Daniels Midland) Bulk Carrier OSHIMA(MHI) [56]

2014 AKASHIA Ro-Pax Ferry MHI[retrofit]

2015 IZUMI, HIBIKI Ro-Pax Ferry MHI [57]

2015 AMALIENBORG Tanker Silverstream [58]

2015 Quantum of the Seas Cruise ship Foreship

2015 IRIS LEADER PCTC IMABARI(MHI) [59]

2015 Ferry OSAKA IIKITAKYUSHU II Ro-Pax Ferry MHI [57]

2016 Anthem of the Seas Cruise ship Foreship

2016 AIDAprima Cruise ship MHI [60]

2017 AIDAperla Cruise ship MHI [61]

2017 LAVENDER Ro-Pax Ferry MHI [62]

2017 AZALEA Ro-Pax Ferry MHI

2017 Norwegian Joy Cruise ship Silverstream 2018 Symphony of the Seas Cruise ship Foreship

Fig.1.6: ACS Demonstrator the first vessel with Air Cavity System [65].

(18)

Fig.1.7: Large scale protptype model of the Stena Airmax [66].

(19)

1.3 本論文の目的

本章で,空気潤滑に関わる研究の背景および空気潤滑システムの研究開発と実用化に対する取り 組みについて述べてきたように,実船適用を考慮した場合の空気潤滑システムとして,ミリサイズ の気泡で船体を覆う方法が,最も効果的かつ実現性が高いことがわかってきた。さらに,先行研究 や実船実験をレビューすることにより,空気吹き出し部の配置や気泡を船幅方向に拡散する方法に 関する解決すべき課題を明らかにした。

近年の国際海運からのCO2排出を抑制する社会的な要請の高まりを背景として,三菱重工業

(株)は空気潤滑システムの開発に取り組むことを決定し,著者はその中心となって製品開発を実 施し,システムの実船搭載およびその省エネルギー効果について検証を行った。空気潤滑システム の開発に際しては,実船への適用を念頭において取り組んだ。特に,先行研究の課題を解決するた めに,空気吹き出し部や気泡の拡散に対する新たなアイデアを提案し,模型試験や数値シミュレー ションを実施して効果を確認しながらシステムの設計を行った。

本論文は,実船に恒久設備として空気潤滑システムの搭載することを念頭においてシステムの設 計開発を行い,さらに実際に新造船に対してシステムを搭載し,海上における省エネルギー効果を 検証するとともに,環境負荷軽減に対する空気潤滑システムの有効性を示すことを目的とする。具 体的な検討項目は以下に示すとおりである。

1) 空気潤滑による推進抵抗減少効果ならびに空気供給のための動力の計算を行い,実船におけ る省エネルギー効果を推定するシステムを整備する。

2) 恒久設備として実船に搭載することを前提とした空気潤滑システムの開発を行い,実際の新 造船に対する設計を行う。

3) 空気潤滑効果が最も期待できる幅広浅喫水船へのシステム搭載と海上試運転での省エネル ギー効果を検証する。

4) 船底の傾斜およびビルジサークルが空気潤滑による摩擦抵抗減少に及ぼす影響について実験 的調査を行う。

5) 痩せ型船型での空気潤滑システムの適用性を調査するために,内航フェリーへ空気潤滑シス テムを搭載し,就航後の長期間の運航モニタリングによる実航海時の省エネルギー効果を検 証する。

6) 空気潤滑システムの普及を促進するために,適用船種拡大のための検討を実施する。システ ムの標準化およびレトロフィット検討などを行い,さらに船級承認を取得する。

(20)

1.4 本論文の構成

本論文は「船舶への空気潤滑法の適用と実運航時の省エネルギー効果の検証に関する研究」と題 し,8章で構成されている。それぞれの章の概略を次に示す。

第1章は,緒論であり,本研究の必要性ならびに関連する研究の経緯について概説し,本研究に おいて対象とする空気潤滑法について詳述する。そして,本研究の目的である空気潤滑システムの 開発とシステムの実船搭載および省エネルギー効果の検証における重要課題を述べる。

第2章では,1.31)に示した検討項目に関連して,空気潤滑による摩擦抵抗低減効果および省 エネルギー効果を推定する方法について述べる。空気潤滑システムの初期計画段階において,気泡 による推進抵抗低減効果を考慮して,実船の計画速力における機関出力を推定し,馬力低減量と空 気吹き出しに伴うエネルギー消費のバランスを勘案の上,搭載するブロワの定格出力などシステム の仕様を決める必要がある。ここでは,まずCFDシミュレーション計算に関して,研究開発の状 況と初期計画に用いる際の課題について述べる。さらに,実用的な見地から比較的簡便に省エネル ギー効果を推定することに主眼を置き,実験結果に基づく簡易計算方法を説明し,この計算法を用 いた痩せ型船と肥大船の省エネルギー効果推定結果を示す。

第3章では,1.32)に示した検討項目に関連して,空気潤滑システムを恒久設備として実船に 搭載することを目的として実施した,設計検討,模型試験,数値シミュレーションならびに実船に よる空気の吹き出し確認試験について述べる。ここでは,安定した空気潤滑効果を得るためには気 泡が均一な分布を保ちながら船体表面を覆い流れること最も重要なファクターであると考え,空気 を送り込むために設けられる開孔部や空気の供給配管などの検討を重点的に実施し仕様を決定した 結果を示す。開発したシステムの性能評価に関しては,次章で述べる。

第4章では,1.33)に示した検討項目に関連して,空気潤滑システムの本格的な実船搭載を視 野に置き,20104月に就航した日之出郵船株式会社(現NYKバルク・プロジェクト株式会社)

殿所有のモジュール運搬船にシステムを実装備し,海上運転時に省エネルギー効果を確認した結果 について述べる。省エネルギー効果の確認は,空気潤滑あり・なしの状態で速力試験を実施し,速 力–馬力曲線から同一船速での主機出力の差を求めた結果を示す。海上運転時には,水中曳航体に よるビデオカメラ観測を実施し,吹き出した空気が船底を流れ去る状況ならびに船底における分布 状況を確認した結果を示す。また,摩擦抵抗低減効果を裏付けるデータを得る目的で,船底にせん 断力計を取り付けて空気潤滑時のせん断力の変化を評価した結果を示す。さらに,空気がプロペラ に流れ込むことによる起振力変化が船体振動応答に及ぼす影響を確認するために,プロペラ変動圧 力および船体振動についても計測を実施し,その結果を示す。

第5章では,1.34)に示した検討項目に関連して,船底が平面の場合と比較して,船底の傾斜 部やビルジサークル部のような曲面上で空気潤滑効果がどの程度変化しているのか定量的に把握 することを目的に,摩擦抵抗低減効果に関する実験的な調査を行う。船尾部の船底が傾斜した全長 15 mの長尺模型船およびビルジサークル部を有する全長7 m Round模型船を用いて曳航試験 を行い,曲面上における気液二相流を対象に,局所せん断力と壁面近傍のボイド率分布を計測し,

(21)

これらの相関関係について考察した結果を示す。

第6章では,1.35)に示した検討項目に関連して,痩せ型船に分類される内航フェリーを対 象に空気潤滑システムを搭載し,長期間の実船モニタリング計測と解析を行い,省エネルギー効果 の検証を実施した内容を述べ,解析結果について考察する。まず,実船モニタリング計測に先立っ て,引き渡し前の速力確認試験時に,空気潤滑システムを作動状態と非作動状態に切り替えて航走 し,それぞれの状態での船速と主機出力を求め,同一船速での主機出力の差から省エネルギー効果 を確認した結果を示す。また同時に,プロペラによる船尾変動圧力や船体振動を計測し,流入気泡 による計測値の増減を定量的に確認することで,気泡がプロペラへ流れ込む影響を評価した結果を 示す。次に,本船および同一航路に就航している空気潤滑システムを搭載していない同型姉妹船に ついて運航モニタリングを実施して,両船の長期間の運航データの解析結果を比較することで,空 気潤滑システムの省エネルギー効果を評価した結果を示す。実運航時は波浪などの海象影響を取り 除くことが困難なため,外乱影響が少ない計測データから両船の燃料消費量を比較する解析方法を 構築し,この解析法を用いて空気潤滑システムの省エネルギー効果を評価した結果を示す。

第7章では,1.36)に示した検討項目に関連して,省エネシステムとして開発した空気潤滑シ ステムの適用船種拡大を目的として実施した検討内容を示す。まず,バルク船,コンテナ船,フェ リー,大型客船など,幅広い船種へ搭載する空気潤滑システム専用ブロワの開発について述べる。

船底までの空気供給に必要となる吐出圧力と吐出風量を整理し,開発するブロワは高圧で大風量の 条件に対しても対応可能な仕様とする。さらに,任意の造船所でもシステムの搭載を可能とするた めに,空気供給に関わる吹き出し部,配管系統などの標準化について述べる。加えて,就航船への レトロフィットも視野に入れた設計検討を実施し,その設計プロセスに対して船級協会より取得し た設計基本承認(AIP:Approval in Principle)について述べる。以上の取り組みによって,空気潤 滑システム単体の提供のみならず,搭載に際して付随するエンジニアリングも加えた空気潤滑シス テム供給体制を提案する。

第8章は,本論文の結論であり,本研究によって得られた成果をまとめる。また,今後取り組む べき研究課題について述べる。

(22)

第 2

空気潤滑による実船の省エネルギー効 果推定方法の検討

2.1 緒言

新造船の船型開発において,水槽試験を実施して縮尺模型船の推進抵抗を計測し,実船相当の推 進抵抗を推定する方法は,計測精度向上の取り組みや模型と実船の相関係数の蓄積により十分な推 定精度が確保されていると認識されている。同じように空気潤滑状態で水槽試験を実施して,実船 の推進抵抗を推定しようとする場合,模型船を覆う気泡の大きさをコントロールすることは事実 上不可能であるため,模型試験時に実船と相似となる気泡で船体を覆うことができない。したがっ て,水槽試験で得られた空気潤滑状態の推進抵抗の計測結果をスケールアップして,実船相当の抵 抗を推定することは困難であることが広く知られており,これが空気潤滑法の実用化を妨げていた 要因の一つである。

しかし,空気潤滑法を実船に適用する際には,空気潤滑システムの初期計画段階において,気泡 による摩擦抵抗低減効果を考慮した推進抵抗を推定し,実船の計画速力における主機関出力(主機 馬力)などを推定する必要がある。この時,吹き出す空気量を変更して主機馬力低減量を推定し,

空気吹き出しに伴うブロワの消費エネルギーを考慮した形での,正味の省エネルギー効果(Net) 最大となる条件を求め,搭載するブロワの仕様を決定する。本章ではこの推定方法について実用的 な見地から検討を行った。

推定方法のベースとなる計算方法としては,現状では以下に示す二つの方法を挙げることがで きる。

CFDシミュレーションによる摩擦抵抗低減量推定計算

水槽試験結果に基づく簡易的な抵抗低減効果推定

まず,CFDシミュレーションに関して研究開発の状況と初期計画に用いる際の課題について述 べ,次に実用的な見地から比較的簡便に抵抗低減効果を求め,省エネルギー効果を推定することに 主眼においた方法として,実験結果に基づく簡易計算方法を説明し,最後に仮想の実船データを用

(23)

いた省エネルギー効果の推定例を示す。ここで,主機馬力の低減量単体を見かけの省エネルギー効

果(Gross)と呼び,Grossの値から空気吹き出しに要するブロワの消費エネルギーを差し引いた

ものを正味の省エネルギー効果(Net)と定義する。

2.2 CFD シミュレーションによる摩擦抵抗低減量推定の現状と 課題

CFDによる船舶の推進性能シミュレーション計算法は,多くの大学や研究機関などで精力的に 開発が進められ推定精度の向上が図られてきた。現在では,船型開発業務において模型船による水 槽試験とともに,相互の長所短所を補いながら船型や付加物の設計に用いられている。

このCFDに気泡流モデルを組み込んで機能拡張し,摩擦抵抗低減量を推定する研究開発も進め られており,CFDシミュレーションにより船体表面上の気泡流れを追跡しながら船体表面近傍の 気泡のボイド率を精度良く計算し,気泡による摩擦抵抗低減効果を考慮した推進抵抗量を直接推定 することが可能となれば,CFDは強力な設計ツールとなる。

Larrarte and Kodama [67]は, 気泡追跡モデルを導入し吹き出した気泡流のトレースを実施し

ている。すなわち,単相流のCFD計算(NICE)を実施した後に,空気吹き出し口から気泡を放 出し,船底の被泡範囲の推定およびプロペラ面の気泡分布を推定している。

村上ら[68]は,Kawamura[69]の気泡流モデルを用いて,Kodama [70]22 m長尺模型 船を用いた実験結果を参照してモデルのチューニングを行っている。そして,児玉ら[49]が実験 を行ったセメント運搬船周りの流れのシミュレーションを行い,船の姿勢と気泡吹き出し位置が抵 抗低減率とプロペラ面のボイド率に与える影響を評価している。

川淵ら[71]は,気泡流モデルとしてANSYS Fluent6.3のオイラー混相流モデルを用いて,著者 ら [51]が実船試験を実施したモジュール運搬船の模型船スケールのCFD シミュレーション計算 を実施し気泡流の挙動を解いて,プロペラ位置におけるボイド率分布の予測を行っている。この計 算においては,気泡径が実船で23 mmになっているものと想定して,単純にスケール比を乗じ た値に設定している。さらに,気泡径の影響を大まかに確認するために,気泡径を5倍および10 倍に設定した計算も実施されている。その結果,気泡径が変化してもプロペラ位置でのボイド率の ピーク位置に変化は見られないが,プロペラに流入するボイド率は,気泡径が小さくなるほど高く なっている。

また,川北[72]は川村ら [69] [68] [73]と同様な気泡流モデルを組み込みCFDシミュレーショ ンを行い,摩擦抵抗低減量の推定を実施している。現状では,摩擦抵抗低減効果を実船計測結果と 合わせ込む係数の設定などの課題も残されており,妥当な係数設定を行うためには,今後複数の船 種の実船計測結果との比較検証を行いモデルの改良を行う必要があると考えられる。

さらに最近,新川ら[74]により,気泡流れ中の自航状態のCFDシミュレーション法が開発され ている。ここでは,馬力推定に必要なプロペラ単独性能,自航要素まで計算することが可能となっ ている。ただし,実船との比較検討による精度検証は今後の課題とされており,実用化にはさらに

(24)

研究を進める必要がある模様である。

2.3 水槽試験結果に基づく空気潤滑時の実船馬力推定

初期の設計段階では,おおよその省エネルギー効果を迅速に把握することが求められるため,大 型計算機を用いて大規模な数値計算を実施することなく,例えば通常業務で使用しているパソコン で表計算ソフトウェアなどを使って,少ない作業時間で省エネルギー効果の推定を行う簡易的な性 能推定計算ツールが望まれる。

川島ら[75]は,セメント運搬船「パシフィックシーガル」を用いた実船試験に先立って,実船に おける省エネルギー効果を推定する考え方を検討しており,気泡吹き出し状態における実船の馬力 を推定の流れをFig.2.1のとおり示している。

Fig.2.1: Schematic diagram of full scale ship power estimation with bubble flow drag reduction system [75].

1 空気の吹き出し量を決めると,まず2 摩擦抵抗低減量を求め,気泡流の抵抗低減効果により 減少した5 全抵抗と7 推力を計算する。次に3 プロペラ面に流入する空気量を推定し,6

ロペラ面内のボイド率と7 推力から,空気吹き出し状態での8 プロペラ効率を求める。続いて,

5 全抵抗と8 プロペラ効率から空気吹き出し時の9 馬力(機関出力)が求められる。そして,

空気を吹き出す際に要する4 ブロワの動力(馬力)をブロワの性能曲線や出力計算式から求める。

この時,圧力は船底の静水圧に加えて空気供給配管の圧力損失を考慮する。10 全体の必要馬力は,

(25)

9 馬力(機関出力)に4 ブロワの動力を加えて求められる。

空気潤滑状態の摩擦抵抗低減効果を考慮した実船馬力を簡易的に推定することを目的として,こ こでは,水槽試験結果に基づく簡易推定計算手法について,前提とした条件や考え方などを以下に 示す。この時,川島ら[75]が示した気泡吹き出し状態における馬力推定の流れを参考にした。

(1)無気泡時の馬力推定の考え方

推進抵抗低減量を算出する際の基準となる無気泡時の抵抗係数は,曳航水槽における抵抗・自航 試験結果を用いる。検討対象船型の水槽試験を実施していない場合は,類似船の試験結果を参考に 計算を行う。

(2)被泡される面積の定義

気泡流による摩擦抵抗減少量を計算する際に必要となる被泡面積を定義する。ここで,摩擦抵抗 が低減するのは,気泡で覆われた船底のフラットな部分のみと仮定した。Fig.2.2に船底の三箇所 から空気を吹き出す場合を例に,被泡される部分の範囲を示す。被泡部分は,空気吹き出し部の端 部から船尾に向かってセンターラインと平行に引いた線とBottom flat end lineとで囲まれる範囲 とし,この範囲を被泡面積と定義する。

Fig.2.2: Definition of area covered with air bublles.

(3)摩擦抵抗低減量の推定

川島ら[76]は,50 mの長尺平板模型を用いた気泡流による摩擦抵抗低減実験において,空気流

量を(2.1)式で示す相当空気吹き出し厚さtbを用いて整理している。

tb= Qa

BaU (2.1)

ここに,Qa:空気吹き出し量,Ba:気泡が覆う幅方向の長さ,U:船速 である。そして,模型に 端板がある場合,局所の摩擦抵抗比γCτ/Cτ0CτCτ0はそれぞれ,気泡がある時とない時の 局所摩擦係数)は吹き出し直後を除けば,tbのみの関数となることを示している[77]

(26)

さらに,村上ら[68]は,局所の摩擦抵抗低減効果はtbのみに依存すると仮定し,Fig.2.3に示す 実験結果に基づくγ tbの関係から(2.2)式に示す近似式を求め,全抵抗の減少率を見積もって いる。

γ = {

0.006(tb9.5)2+ 0.46 (0≤tb[mm]9.5)

0.46 (9.5< tb[mm]) (2.2)

Fig.2.3: Approximation curve of skin friction coefficient [68].

ここで,空気潤滑効果の持続距離については,気泡の拡散による船体近傍の空気のボイド率の減 少に伴い,吹き出し部から下流位置において摩擦抵抗低減量が小さくなることが模型試験で確認さ

れている[46] [47] [78]。この時,気泡が後方に流れる際に幅方向に拡がっていることが確認されて

おり,さらに長尺模型船は船長に対して幅が極端に小さく,船側部から気泡が流れ出していたこと も確認されている。したがって,本論文では平坦部のみに均一な抵抗低減効果があるとして摩擦抵 抗比は一定とし,気泡による摩擦抵抗低減量として(2.2)式を用いて空気潤滑状態の馬力の推定を 行うこととした。

(4)気泡流中のプロペラ性能の考え方

複数の研究機関で気泡流中のプロペラ単独性能試験(POTPropeller Open Water Test)が実 施され,気泡流がプロペラ特性に及ぼす影響について調査されている [79] [80] [81]。また付録A に示すように,著者らは空気潤滑システムを搭載するモジュール運搬船に対して,気泡流中のプロ ペラ単独性能試験を実施している[82] [83]。プロペラ単独性能試験はプロペラ面への気泡の流入状

(27)

況を表すボイド率に対して,推力係数(KT)とトルク係数(KQ)の変化の形で纏められている。ボ イド率によってプロペラ効率の変化に違いがあるため,評価対象とした船舶におけるプロペラ位置 のボイド率をCFDシミュレーション計算により推定しPOT試験結果と合わせて評価すると,プ ロペラ効率の低下は小さくなっている。さらにプロペラ荷重度の低下によるプロペラ効率向上まで 考慮して評価すると,実船におけるプロペラ効率低下は無視あるいはほとんど変化しないと予想さ れている。これらの知見を踏まえて,簡易性能推定計算の段階では気泡によるプロペラ効率の変化 は考慮しないこととした。

(5)空気供給に要する動力の推定

本論文で対象とする空気潤滑システムは,ブロワによって外気を取り込み船底の静水圧に打ち勝 つ圧力を与えて,開孔部から船底に空気を送り込む。その際に要する動力は,送り込む空気量(風 量)と船底の静圧に配管の圧力損失を加えた吐出圧に対して,ブロワメーカーの性能曲線や動力算 出式によって推定する。

2.4 実船の省エネルギー効果推定結果の例

前節までに示した簡易性能推定計算手法に基づいて,肥大船および痩せ型船の空気潤滑システム による省エネルギー効果推定の試計算を行った。なお,ここで試計算に用いた船舶の諸元や性能 データは,実際の就航船舶のデータではなく,類似船の水槽試験結果を参考に設定したものであ る。簡易推定計算手法を組み込んだExcelワークシートの一例をFig.2.4に示す。

まず,試計算した肥大船の省エネルギー効果の考察を行う。一般的にVLCCやバルク船のよう な肥大船は船底の平坦部分が広いため,大きな被泡面積を得ることができて,大きな摩擦抵抗低減 効果が得られる。それに伴い主機馬力の低減量も大きくなり,全体の(Gross)省エネルギー効果と しては,10 %を超える場合もある。しかし,船の載荷状態は往路と復路で満載状態とバラスト状 態に分かれることが一般的であり,満載状態では喫水が大きいため空気供給のエネルギー消費量が 増加してしまう。その影響によってモーターの消費電力が省エネルギー効果と相殺する形となり,

正味の(Net)効果は大きく目減りしている。バラスト状態ではモーターの消費電力が少ないため,

満載状態に比較して大きな正味の省エネルギー効果を得ることが期待できる。

肥大船では空気潤滑による主機馬力の低減効果は大きいものの,喫水の増加に従って正味の省エ ネルギー効果が目減りしてしまい,満載状態では有意な省エネルギー効果は期待できないことが課 題である。

次に,痩せ型船としてフェリー船型を対象として考えると,痩せ型船型の特徴として船底の平坦 部の面積が小さいため摩擦抵抗低減量は大きくならない。喫水に関しては高々6 m程度であり往 路と復路でほぼ一定での喫水を維持している。静圧が比較的小さいことから空気供給に消費する モーターの電力が少なくて済み,このエネルギーを差し引いた後でも,有意な省エネルギー効果が 残ることが期待される。

このワークシートは,被泡面積,空気吹き出し量など空気潤滑システムに関するパラメータを変

(28)

更して,ブロワの消費エネルギーまで考慮した形で,最も省エネルギー効果が大きい設計条件の絞 り込みに活用する。

Fig.2.4: Example of energy consumption reductuin effect estimation worksheet.

(29)

2.5 結言

空気潤滑システムによる摩擦抵抗低減効果を考慮した上で,実船の計画速力における馬力(機関 出力)などを計算し,省エネルギー効果を推定する方法について検討を行った。本章においては,

空気潤滑システムの初期計画段階において用いる推定方法として実用的な見地から検討を行った。

まず,CFDシミュレーション計算に関して研究開発の状況と初期計画に用いる際の課題につい て述べ,次に,比較的簡便に省エネルギー効果を推定することに主眼においた実験結果に基づく簡 易計算方法を説明し,痩せ型船と肥大船を想定した省エネルギー効果の推定例を示した。

得られた結論を以下にまとめて示す。

CFDシミュレーションに気泡流モデルを組み込み,気泡による摩擦抵抗の変化量を推定す る方法は膨大な計算時間を要するため,空気潤滑システムの初期計画段階において,省エネ ルギー効果の概算値を簡便かつ短時間で把握することを念頭において,簡易的な実船馬力推 定ツールの検討を行った。ここでは,「気泡がない場合の馬力」,「被泡される面積」,「摩擦 抵抗低減量」,「気泡流中のプロペラ性能」,「空気供給に要する動力」に関して,既存の研究 例や水槽試験結果および著者らが実施した模型試験による知見に基づいてその取り扱いを定 め,空気潤滑システムによる摩擦抵抗低減効果を考慮した実船馬力推定ツールをExcelワー クシート上で作成した。

類似船の諸元や性能データを参考にして,肥大船および痩せ型船の仮想船型のデータを作成 し,実船馬力推定ツールを用いて省エネルギー効果推定計算を実施した。省エネルギー効果 算出に至る計算過程を確認しながら効果の増減に及ぼす影響を把握することができ,初期設 計時に最も効率良く省エネルギー効果が得られる被泡面積や空気量の設定に用いることがで きる。

(30)

第 3

空気潤滑システムの開発

3.1 緒言

船体を気泡で覆う方法としては,SR239研究 [45]のマイクロバブル法がよく知られており,微 細気泡発生装置を装備した実船試験まで行われた(実際に発生したのはミリサイズの気泡であっ た)。本研究ではあらかじめ微細気泡の状態にして船外に吹き出す方法は取らず,空気を単純に船 底の開孔から船外へ吹き出して生じる気泡流で船体を覆い摩擦抵抗低減を図ることを特徴としてい る。船底へ直接空気を送り込む方法は,NEDOプロジェクト等で海技研を中心とするグループが 実施したセメント運搬船による実船試験[49]を参考にした。セメント運搬船の実船試験において は,4.5%の省エネルギー効果が得られたとの報告がなされ,この成果は空気潤滑法の可能性を具 体的に示した最初の研究例として評価される取り組みである。

本研究で開発する空気潤滑システムは,恒久設備として新造船に搭載し,即実用化を図ることを 念頭に置いたものであり,システムとして成立させ市場の評価を得る製品とするために,取り組む べき項目や解決すべき課題は多岐にわたる。

本章では,空気を送り込むために設けられる開孔や空気の供給配管などの設計標準を確立すべく 実施した検討について述べる。

3.2 技術課題と設計条件

船底から空気を吹き出す方法は,船底に貫通孔(開孔)を設ける方法と,SR239研究で採用さ れた船外に取り付けた付加物から空気を供給する方法に大きく分類されるが,本研究では,建造時 の施工容易性やメンテナンス性などを勘案し,貫通孔を設ける方法を採用した。この時,船体縦強 度を考慮した開孔形状と,必要最小限の開孔数に収めるように配慮した設計手順について検討を 行った。

安定した空気潤滑効果を得るためには,吹き出した気泡が船幅方向に均一な分布を保ち,船体表 面を覆いながら流れることが,重要なファクターであると考えられる。このために,船幅方向に開 孔を並べることとしたが,各開孔から均一に空気が吹き出されるような仕組みを設ける必要があ

(31)

る。この時,船体の外側に気泡を誘導するような付加物を取り付けると,気泡を吹き出さない状態 で抵抗増加を生じることが避けられない。よって,気泡の均一な吹き出しを誘導するデバイスは船 内に設けることとした。

本章で実施した検討事項は,主に以下に示す3項目に分けられ,数値シミュレーションでは評価 できない課題については模型試験を実施して検証を行い,次のステップに進む取り組みを繰り返 した。

空気供給装置の設計 開孔形状設計手順

吹き出した空気が船底から離れないための設計条件を設定し,開孔の大きさ(幅)を決 める手順を定めた。

気泡の形成状況の観察

開孔模型から水流中に空気を吹き出し,吹き出し後の気泡の形成状況を観察し,気泡が 幅方向に広がって流れることを確認した。

拡散板の検討

チャンバ内部に付加物(拡散板)を取り付けて吹き出す空気量の偏りを解消することを 目的として,モックアップ模型を製作して空気中で開孔から吹き出される空気量の計測 を行い,拡散板の形状の検討を行った。

水中空気吹き出し確認

実機を想定したチャンバのモックアップを製作し,水中での空気吹き出し状況を確認し た。また,空気の吹き出しは,船底外板の形状や船の姿勢(横傾斜)などの影響を受け,

水圧が低い所に集中するため,実機相当のチャンバに対して実船で生じる程度の横傾斜 を与えて,吹き出される空気の偏り状況を確認した。

流量分配検討

配管の長さや,主配管から枝配管へ分岐するために取り付けられるジョイントやエルボの数 の違いで圧力損失が異なる。そこで,配管の流量分配を管路網シミュレーションソフトウェ アによって解析し,バルブの開度で圧力損失の違いを調整するための検討を実施した。

岸壁試験

岸壁に係留された実船から実際に空気を吹き出して分岐配管の空気量を確認し,流量分配推 定計算の精度検証を行った。

空気潤滑システムの設計検討に際して,空気潤滑システムの搭載を計画していた新造モジュール 運搬船を具体的な設計検討の対象船とした。本船の主要目は,全長が162 m,幅が38 m,計画喫水

が4.5 mとなっており,特徴は喫水が小さいことと,船底に広い平坦部分を持つ船型であり,空気

潤滑システムの実船試験に適した船舶である。

Table 1.1: List of ships installed with air lubrication system.
Table 3.1: Condition of air blowing test in the cavitation tunnel.
Table 3.2: List of baffle plate.
Table 4.1: Principal particulars of ship.
+7

参照

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