4.5.1 船底被泡状況観測結果
Fig.4.13およびFig.4.14に各観測点の水中曳航体カメラ映像(カメラは上方視点)を示す。空気
吹き出し孔(前方)の観測画像から,孔から吹き出された直後の空気は気柱状態とならず船幅方向 に拡散しながら流れていることがわかる。このことから,3.3.1項に示した開孔の設計手順におい て,設計パラメータとして取り入れた局部空気厚さの設定値(しきい値)が有効であったものと考 えられる。
この時の各観測点の被覆状況を見ると,前方吹き出し口より吹き出した空気がせん断され,気泡 状態になり船底をまんべんなく被覆しながら船尾方向に流れていることが観測された。また,船体 後方側に行くほど細かい筋状の気泡から除々に空気が折り重なったような気膜状に変化しているこ とがわかる。
Fig.4.13: Observation results of ship bottom during operation (VS=abt.7kn).
Fig.4.14: Observation results of ship bottom during operation (VS=abt.7kn and 10kn).
また,Fig.4.15に示すように模型試験 [83]およびCFDによる計算では,船底中央付近の流線が 船側方向に広がっていたため,中央部の気泡が薄くなることを懸念していた。観測時の水中曳航体 の位置がセンターラインより若干左舷側に寄ったこともあり,映像からの断定はできないが,予想 よりも中央部分の被覆状況は良好であったと考えられる。
Fig.4.15: Comrarison of the void fraction distribution.
4.5.2 船底気泡挙動観測結果
観察結果から,吹き出された空気は船底を被っていることが確認されたが,Fig.4.16に示すよう に水中曳航体カメラの視野を横向きに変えて見た映像から,気泡流の分布は均一ではなく周期的に 気泡が固まりとなって流れて行く様子が伺える。周期は1 秒程度で変動しており,船底の摩擦抵抗 値に対する影響として周期的な変動を生じていることが推測される。この現象は,船尾側に行くほ ど顕著となり,吹き出し口から50 m 程度後方の観測点5以降では,速度7 knの状態で頻繁に観 察することができた。また,吹き出し直後の空気は気泡が固まった状態になっており,除々にウロ コ状の気泡膜となって流れていき(観測点1),その後気泡同士が合わさったり離れたりを繰り返 しながら大きな気泡膜として流れていく様子が伺える。これらは,船速7 kn の条件では観測地点 6まで同じ状態であった。
また,曳航速度を約7 knから約10 knに変更した条件では,観測地点6において気泡層の固ま り具合が若干薄れてきている。これは速度が増すことで気泡をせん断する力が大きくなり,気泡状 態を保ちながら増速した周囲の流れに乗って流れてきたものと考えられる。
Fig.4.16: Situatuin of bubble flow.