Fig.3.26: Comparison of valve opening and flow rate (Without Heeling).
Fig.3.27: Comparison of valve opening and power of blower.
(2)傾斜時流量確認
船体が傾斜している時(右舷1.8 deg)の15本の配管の流量を確認した。Fig.3.28に2通りのバ ルブ開閉角度に対する推定流量を比較して示す。バルブの開閉角度が小さいAの方は,傾斜によ り喫水が深くなる右舷側のチャンバの流量が他のチャンバに比べて小さくなっている。バルブ開閉 角度を大きくして弁を絞ると(B),すべてのチャンバでほぼ一定の流量となっている。これより,
船体が傾斜している場合も適当なバルブ開閉角度を与えることで,各チャンバに流れ込む空気流量 を一定に保つことが可能であることがわかる。
Fig.3.28: Comparison of valve opening and flow quantity (Heel angle is 1.8 degrees toward starboard).
(3)傾斜時の空気放出状況のビデオカメラによる観察
ダイバーによる船底部の水中カメラ撮影を行い,空気の吹き出し状況を確認した。この時の試験 条件は,喫水が3.75 m,船体傾斜が右舷側に1.8 deg である。バルブの開閉角度は全てのチャン バーで55 degに設定した。
Fig.3.29に,映像写真の一例を示す。写真は,上部が右舷舷側近くを写しており,この位置は船
体傾斜で喫水が深くなるため,空気の吹き出し量が少なく,喫水が浅い左舷側に空気が移動してい た。この傾向は,3.3.3項に示したモックアップ試験結果と同一であり,船体の傾斜がさらに大き くなると傾斜による各空気吹き出し孔に加わる水圧差により喫水が深い側の孔からは空気が吹き出 されなくなると予想される。
Fig.3.29: Air blow of full-scale ship.
3.5.3 岸壁試験結果と数値計算結果の比較検証
(1)損失係数の調整
3.4節で記述した流量分配の検討では,バタフライ弁の損失係数を用いて計算を行っていたが,
実機に使用される弁と検討に用いたバタフライ弁とでは,圧損特性が異なる可能性がある。数値計 算に先立ち,3.5.2項に記した岸壁試験結果を基にして,損失係数の調整を行った。岸壁試験は,船 体傾斜がなく喫水が4.3 mで係留した状態で空気を船底から吹き出した。この時,バルブの開度は 全て一律にして,流量,圧力,バルブ開閉角度等を計測した。3.5.2項に記載したとおり,圧力計 はヘッダータンクと調整バルブ近くの下流部に設置されており,その圧力値から流量を推定した。
さらに,この流量から動圧を算出し,バルブの開閉角度と損失係数の関係を推定した。
Fig.3.30に岸壁試験結果から推定したバルブ開閉角度に対する損失係数をバタフライ弁の損失係
数(図中の⃝1)[84]と比較して示す。
試験結果から推定された圧損特性はバタフライ弁の損失係数に対して,いずれのバルブ開閉角度 でも大きくなっている。これは,圧力差に摩擦損失,分岐による損失が含まれているためと考えら れる。推定された損失係数はバルブが全開(0 deg)の場合でも約20と見積もられているが,一般 に全開時の損失係数は0に近いことから,推定結果から一律20を差し引いたものを岸壁試験結果 から得られたバルブの圧損特性とした。
Fig.3.30: Relation between pressure loss and vale opening angle.
(2)岸壁試験結果と数値計算結果の比較
岸壁試験結果から推定したバルブの損失係数を用いて,MelTHERFYで流量分配の再計算を実 施し,岸壁試験結果と比較して推定精度の確認を行った。この時,バルブ開閉角度は,全て50 deg に固定した。なお,岸壁試験における流量は3.5.2項に記載した方法で推定している。
Fig.3.31に,流量分配解析プログラムによる再計算結果と岸壁試験で計測した圧力計の出力から
推定した空気量を比較して示す。再計算結果は,岸壁試験の推定流量値と良く一致している。推定 流量に対する再計算結果の誤差は,約10 %程度に収まっており,配管全体の誤差のばらつきも約 4 %以内となっている。以上より,流量分配解析プログラムによる計算結果は実船の流量分布を良 く推定できていると考えられる。
Fig.3.31: Analytical and measured result of flow rate distribution.
3.5.4 岸壁試験結果の考察
岸壁係船時に,空気が船底の開孔から吹き出す状況を確認した。この時,分岐配管の空気流量は,
配管に取り付けた圧力計の出力値から推定した。以下に本試験で得られた結果および知見を記す。
• 配管毎の空気流量を確認した結果,バルブを適当に絞って圧損を与えれば,均一な空気分配 が可能であることがわかった。また,船体が傾斜している状態でも,弁を絞ることで空気流 量が均一になることを確認した。
• 岸壁試験時の圧力計出力値から推定した弁の圧損特性は,弁開度が0〜40 degでは圧損係数 は当初想定していたバタフライ弁の値とほぼ同じであるが,弁が40 deg以上閉まると圧損 係数が想定よりも大きくなっていることがわかった。
• 岸壁試験結果を補正して求めた圧損特性を用いてMelTHERFYによる流量分配の再解析を 実施した。MelTHERFY による計算結果は,岸壁試験から推定された流量分布と良く一致 しており,MelTHERFYは,実船の流量分配解析の設計ツールとして活用可能であると評 価した。