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RE100 参画の状況

16. 企業名 The British Land Company plc ( British Land )

16.2 RE100 参画の状況

RE100参画の経緯

これまでにもBritish Landは度々世界的なイニシアティブから表彰され、持続可能性のた めの取り組みのリーダーとして認知されてきた。RE100への参加の内生的な要因としては、

過去に実施してきた環境や気候への取り組みの延長線として世界的なイニシアティブに参 加をすることで、British Landが築いてきた地位をさらに強化するということがある。

外部要因としては、将来の規制変更のリスクに対応するための準備と、高品質な商業用不 動産を主力とする企業の性質上、他社との差別化を重視している点が考えられる。

2015年には2020年に向けた持続可能性戦略を策定し、自社のビジネスの中に持続可能性 を統合する力強いプロセスを推進していた。戦略では気候目標の達成に向けて高い基準を 設定し、従業員のトレーニングを行い、パートナーを支援し、彼らとベストプラクティスを 共有し、他のディベロッパーや同社の不動産管理を担う子会社Broadgate Estates Ltd.との協 力を密にしてきた。

British Land は再エネによるエネルギー供給設備を自社の不動産に設置しており、例えば

上述のショッピングセンターの屋根上に設置するソーラーパネル等がそれに当てはまる。

British Landは「人々の好む場所(Places People Prefer)」というモットーを掲げている。

British Landは福祉の向上、コミュニティの支援、建物の効率的な管理や、人材のスキル開

発、企業の成長を通じて、長年にわたりテナントオーナー、従業員、テナントの店員、住人 の居場所を作り出し、不動産の価値を高めてきた。RE100への参加はこうした取り組みの一 環という意味合いもある。

British Land は、テナントに対して同社の省エネ活動の効果を見せる取り組みを強化して

きた。その結果、自社の不動産ポートフォリオは2008/09年度と比較して、地主の影響を受 けるエネルギー集約度(landlord-influenced energy intensity)を35%削減し、同炭素集約度も

44%削減した(2016年度)。つまり、British Landの所有する不動産を利用する企業にとっ

ては、自社で影響できない(non-regulated)CO2排出量を削減できたことを意味する。

また、テナントの気候変動目標を支援する活動も続けている。その結果、2011/12年度以 降テナントが得た省エネによる経済効果は約1300万ポンドに上る。

一方で省エネ、再エネに取り組まないことが将来的な事業リスクになるという可能性も 認識している。エネルギー資源のあらゆるリスクを回避し、エネルギーコストを安定させる ために再エネに投資するという考え方だ。

リスクの一つとして、EUもしくは英国で進められている建物の省エネ基準の強化がある。

今から将来の規制に対応する準備をしておかなければ建物が違法建築とみなされる可能性 があり、できる限り早期に対応するためにエネルギー効率の高い建物を建て、リスクを回避 することが重要と考えている。

British Landはステイクホルダーによる企業評価も重要視している。近年はNPO等のステ

イクホルダーが建物の環境性能や企業のエネルギーへの取り組みに対する情報開示をより 強く求めてきている。中には、今後の不動産資産管理計画の中で再エネ設備をどの程度取り 入れるかについての情報公開を求めるような動き(例、Renewables feasibility studies)もあ り、他社との差別化を図るためにも今から取り組みを始めておくことが重要であると考え ている。

British LandにとってはRE100に参加するために再エネに取り組むのではなく、長年の再 エネの取り組みを活かすために世界的なイニシアティブである RE100にも参加するという 動機が強いと思われる。

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表 16-5 British Landにとってのエネルギーに関するリスク評価の事例

リスク内容 影響 時間枠 直接/

間接

確実性 影響の 大きさ

予想される金融的影響 管理方法 管理コスト

エネルギーコスト の ボ ラ テ ィ リ テ ィ。エネルギーコ ストが家賃支払い に与える影響の可 能性。

財 や サ ー ビ ス の 需 要 の減少

1 年以内 (顧客 に対し て)直

恐らく 2015/16 年度は、 エネルギ ーコストが 7%上昇した。

自社の 2019/20 年度に向け たコスト予測によれば、

2016/17 年度~2019/20 年 度の間に、電気代は 19.4%

上がる。これにより発生す る追加的なエネルギー支 出は British Land とその テナント全体で 400 万ポン ドになる。

British Land のエネルギー計 測・マネジメントプログラムを 通じて全体のエネルギー消費を 改善し、エネルギー価格の変動 に対する脆弱性を改善する。

2015/16 年度はエネルギー価格 が 7%上昇したが、エネルギー効 率の向上により、自社とテナン トのエネルギー支出は増えなか った。British Land は施設で発 電したサイエ年電力をテナント に販売し、エネルギーコストの 変動に対するリスクヘッジを行 っている。2016/17 年度は自社 で発電した再エネ電力の売上が 89000 ポンドになった。

2011/12 年度以来、資産価値向 上と企業のエネルギー効率の 向上及びマネジメントシステ ム の 改 善 に 費 や し た 投 資 は 800 万ポンドを超える。

建 物 の エ ネ ル ギ ー ラ ベ ル を F/G から C/D に改善するため に必要な投資は 1 ㎡あたり 110 ポンドとなる。

エネルギーの安定 供給が脅かされる リスク。 発電所の 一時的・完全な停 電のリスクの上昇 はテナントのビジ ネスに影響する。

運 営 コ ス ト の 上昇

1~3 年 サ プ ラ イ チ ェ ー ン へ の 間 接 的 な 影

ど ち ら か と 言 え ば あ

British Land とテナント のコスト上昇。停電時のバ ックアップ電源の改善の 予測が必要である。

ビジネス継続計画の作成 が必要である。ロンドンの 不動産投資とテナント数 の減少のリスクがある。

持続可能性委員会がモニタリン グと情報の収集を実施する。バ ックアップ電源の整備を含む、

外部コンサルタントによる不動 産のエネルギー安定供給のレビ ュー評価を実施。結果は、既存 のバックアップ電源の容量で十 分という評価であった。

この対策は通常のビジネス活 動に統合されているため、 経 営層では目に見える追加のコ ストは把握していない。

出所)British Land 2017, P.54より作成

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表 16-6 British Landにとってのエネルギーに関する機会評価の事例

内容 影響 時間枠 直接/

間接

確実性 影響の 大きさ

予想される金融的影響 管理方法 管理コスト

英国の電力系統は 国際平均よりも早 く脱炭素化を進め て い る た め 、 British Land は炭 素排出削減を国際 的な競争相手より も早く実現可能。

既存の製品 やサービス に対する需 要の上昇

3~6 年 直接 かなり 高い

世界の投資家が英国の低炭 素の特徴を重視して英国内 の不動産市場により多くの 投資を行うことが考えられ る。

この機会については、通常の リスクと機会レビューのプロ セスにおいて評価及びモニタ リングされている。

通常のリスクと機会レビュー のプロセスに統合されている ため、追加のマネジメントコ ストは発生しない。

施設内の再エネ発 電設備の拡大によ り、収益力の向上 が見込まれる。現 在多くの建物に太 陽光発電設備を導 入しており、小売 店等の小規模不動 産でも経済的に成 り立つか検証中。

高付加価値 化の機会

1 年 以

直接 高い 中から

自社所有の発電設備からの 再エネ電力の売上は 2016/17 年度 8 万 9000 ポンドであっ た。 ただし太陽光発電設備 への投資額も膨大であり、

ROI 分析の結果は厳しい。

例えば、現在検討中の太陽光 発電設備の設置費用 34 万ポ ンドに対し、25 年の稼働期 間の収益は 150 万ポンド程 度とみられる。St. Stephen のショッピングセンターに 設置されたソーラーパネル は系統への依存度の引き下 げに繋がり、電力代も年間 3 万ポンド削減できている。

今後も自社不動産での再エネ 発電設備の拡張を行い、収益 の向上に努める。現在多くの 建物に太陽光発電設備を導入 しており、小売店のような小 規模不動産でも経済的に成り 立つか検証を行っている。た だし太陽光発電設備の投資額 も膨大であり、ROI 分析の結果 は厳しい。

この対策はビジネス活動に統 合されているため、 経営層で は追加コストは把握していな い。

現在検討中の太陽光発電設備 の設置費用 34 万ポンドに対 し、25 年の稼働期間の収益は 150 万ポンド程度とみられる。

St. Stephen のショッピング センターに設置されているソ ーラーパネルは、系統への依 存度の引き下げに繋がり、電 力代も年間 3 万ポンド削減で きている。

出所)British Land 2017, P.63より作成

RE100参画にあたり協力・連携している組織・企業等

RE100 参加について第三者の助言を得たかどうかは明らかではないが、RE100 の取り組

みは多くの第三者の助言を得ながら進めている。例えば再エネ電力の調達に関しては、電力 小売会社からの情報だけではなく、第三者機関による保証も重視している。

British Land の不動産で太陽光発電設備のような再エネ電源の開発を進める際には、事業

開発から施工までを外部の再エネ専門のコンサルタントに依頼している。

また、自社の再エネ電力や CO2排出量の評価についても外部の評価基準を採用し、場合 によってはイニシアティブの認証を受けている(SBT等)。

British Land は第三者機関の協力を得るだけではなく、自らがイニシアティブやネットワ

ークに参加することで他の業者や業界に対して助言を行っている。

例えば、UK Green Building Councilでは、英国内のエネルギー消費におけるCO2排出の 45%を占める建物の省エネが重要な課題であると訴えている。対策としては、建物の省エネ 効率の大幅な向上、再エネ設備の導入、コミュニティレベルでの再エネの導入と英国の系統 の脱炭素化が必要としている。

RE100参画による社外への影響

RE100には2016年から参加しており、これが投資家の行動にどのように影響をもたらし

たかについては現在のところ言及はなく、RE100 に関連した報告も今のところ一回のみで ある。

British Land が提供する不動産資産は、省エネ建築をはじめとする政策の変更、将来のエ

ネルギーの安全保障コストリスクの回避、気候変動の影響(洪水)に対する高いレジリエン ス(頑健性)を確保することで投資家や顧客に対して高い訴求力があり、長年にわたるエネ ルギーの取り組みは、高品質な不動産に投資家を呼び込むのに欠かせない要素と認識して いる。

2016/17 年度に顧客に実施した満足度調査では、10 点満点中 8.1 点を獲得した。これは

British Landが中長期的に自社の不動産資産の価値を保全、向上させる能力があると顧客が

評価したことを示している。また、建物の利用率が 98%という高い数値を示していること も顧客の高い評価の証明である。

再エネ単体の取り組みではないが、省エネプログラムと再エネへの投資によるコスト削 減効果は、テナントや投資家を惹きつける上で非常に重要な役割を果たしていると評価し ているようだ。

一方でCDP 報告書では、気候変動による洪水のリスクが度々指摘されており、英国内の 洪水リスクを低減するまたは洪水に適応する取り組みを積極的に行っている。

RE100 にとどまらないこうした取り組みは、テナントや地主との長期契約や投資家から

の不動産開発に向けた投資を獲得しやすくしていると考えられる。