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RE100 に関連する再エネ電力調達の取り組み

17. 企業名 Google LLC (グーグル)

17.1 RE100 に関連する再エネ電力調達の取り組み

企業概要

グーグル社は世界の情報をオーガナイズし、世界中で入手でき、また利用できるようにす ることを目標として活動している。

同社はオンラインをベースにしたサービス・プロバイダーからハードウェア製造業者へ と事業を拡大している。オンラインサービス企業にとっての社会的挑戦は同社のデータセ ンターを全てクリーンエネルギーにすることである。

今日、グーグルは、23ヵ国 400以上のサプライヤーとデータセンターの装置、グーグル ホーム(Google Home)、クロ―ムキャスト(Chromecast)、及びピクセル電話(Pixel/Pixel XL phones)などのハードウェアを製造するために契約している。

再エネ電力調達の目標と達成状況

グーグルは、2015 年にパリで開催された国連気候変動枠組条約(COP21)の交渉に参加

する時にRE100参加を公表した。グーグルのRE100の中間目標は2025年までに再エネの

購入量を3倍にすることだった137

グーグルはエネルギー消費量を年間かつ世界全体で計測し菜園電力の調達を行っている、

将来的には地域別、1時間毎の100%再エネ電力の達成を目指している。

ここで言う年間の意味は、グーグルのエネルギー消費量と再エネ調達による相殺を1年 間のすべての消費量の総和で行うことを意味する。世界全体とは、世界中のグーグルの設備 全てと世界中のデータセンターと事務所のエネルギー消費を合計したものを指す。

RE100での「事業(operation)」の定義はグーグルのデータセンターと事務所での電力消

費を指す。ハードウェア生産とサプライチェーンは対象外である。

137 RE100 ウェブサイト、https://www.theclimategroup.org/news/re100-member-google-set-reach-100-renewable-electricity、2018320日取得

表 17-1 グーグルのCO2排出量と再エネ

2014 2015 2016

温室効果ガス排出量(tCO2e)

Scope 1 51,802 66,991 66,218

Scope 2(マーケットベース) 1,460,762 1,384,427 1,518,643

Scope 2(ロケーションベース) 2,198,921 2,450,438 2,902,554

Scope 3 980,783 1,234,683 1,292,267

合計 2,493,347 2,686,101 2,877,128

オフセットした炭素排出量 2,493,347 2,686,101 2,877,128

合計排出量 0 0 0

エネルギー消費(MWh)

エネルギー消費量 4,702,387 5,533,433 6,513,719 電力消費量 4,434,390 5,221,476 6209,191 内、米国内 2,985,108 3,779,280 4,522,314 再エネ(MW)

契約している再エネ電源の出力 1,147 2,121 2,611

再エネ比率(%) 37 48 57

出所)グーグル 2017

図 17-1 グーグルの温室効果ガス排出量推移 出所)グーグル 2017

図 17-2 グーグルの再エネ調達量推移 出所)グーグル 2017

再エネ電力以外の気候変動対策目標

グーグルが最初にカーボン・ニュートラルを目指すことを宣言したのは2007年である。

RE100参加以前の2012年よりグーグルは将来的に自社の全消費エネルギーを満たすだけ

の再エネを購入すると公約していた。2016 年には 2017 年に目標を達成する見通しを発表 し、実際に2017年12月1日にその達成を宣言した。

RE100はグーグルのカーボン・ニュートラルになるための幅広い戦略の一部で、以下のこ

とを含んでいる。

(1) 効率イニシアティブ(特に建物の省エネ、高エネルギー効率のデータセンター)

(2) 再エネ調達により2017年には全事業を100%再エネで行う

(3) 再エネで賄いきれないCO2排出に対してカーボン・オフセットを行う。これはRE100 を達成するまでの一時的措置であり、どのようにカーボン・オフセットを行うかは思案 する。

グーグルの2006年のCO2排出量は290万トンだったが、カーボン・オフセットを行って カーボン・ニュートラルを達成していた。

省エネ活動を通じて炭素集約度の低減では、過去 5 年間で売上あたりの炭素集約度と従 業員一人あたりの炭素集約度を 55%低減した。またデータセンターの電力消費の炭素集約

度は59%低減している。

排出量を下げる方策

グーグルは自社のデータセンターの省エネ対策を徹底することでCO2排出量を削減する ことを目指している。

そのためにデータセンターはISO14001と50001認証を取得している。

再エネ電力調達の達成手法

グーグルの世界的な再エネ調達に関する基準は以下の3つである。

 同社の成長速度に合わせて再エネ調達も増やす。その際、再エネをローカルで調達する ことを重視する。

 24時間7日間、常に物理的に再エネ電力を調達できるよう、技術やサービスの幅を広 げていく。

 同社の取り組みを通じてエネルギー消費者に対して、同社が系統の電力を100%クリー ンにすることを加速化し、かつ経済成長も後押しすると信じる手法を選択するよう支 援する。

グーグルにとって RE100 を達成をすることは年間トータルで物理的エネルギー(MWh)

と再エネ証書(REC)を同量調達することを意味する。ここでいう物理的エネルギーとは、

グーグルが世界中の事業で消費する電力を意味する。

グーグルは、以下の方法で100%再エネを達成する。

1. 発電事業者との直接再エネ電力調達契約(Power Purchase Agreement、PPA)

2. 再エネ電力を物理的に調達できない地域については、当地で調達した電力と同量の 電力をグーグルが世界の他の地域で実施している再エネ発電プロジェクトからの物 理的電力のみを系統で売電し、手元に残ったRECで相殺

3. 電力小売会社と再エネ電力供給契約を締結 4. 系統の平均的な再エネミックスも勘案

具体的にはグーグルは上記の中でも1と3、再エネディベロッパーからの直接購入とグー グルとユーティリティー・プロバイダー(電力会社)とのパートナーシップを中心に再エネ 電力を調達している。そのため、グーグルは主に新しい風力・太陽光発電所と長期のPPAを 結んで再エネ電力を調達するか、同社が電力小売会社と共同で作成した再エネ電力調達モ デルで再エネを購入している。

加えて、グーグルのエネルギー調達は既存電力会社からの通常の(再エネではない)電力 の購入もごく一部含まれる。また、たとえグーグルのサイトに隣接していても、再エネ発電 設備の所有はしないとしている138

PPA は一定期間合意した価格で発電事業者と電力調達契約を結ぶもので、データセンタ

138 グーグルウェブサイト、https://www.blog.google/topics/environment/google-green-blog-what-it-means-to-be_8/、2018320日取得

ーが接続されている系統と同じ系統に接続されている再エネプロジェクトを選択すること で、直接再エネ電力を消費していると見なしている。

同社は法的に、また物理的に再エネ電力を他の地域の施設に輸送することはできないが

(例えば州をまたいだ電力供給)、同じ電力市場・再エネ証書市場を利用することで、同社 の操業する系統を環境にやさしくすることに貢献している。

グーグルは調達した電力の余剰を地域の系統へ卸売価格で売却している。売電はしても 再エネ証書(renewable energy credits:RECs)は保持したままとなっており、グーグルから 調達した電力については、購入者はRECsは購入できないようになっている。

図 17-3 グーグルの再エネスワップの仕組み

出所)グーグル 2016

そして、グーグルはこの残ったRECsを自社のデータセンターでのエネルギー消費分に当 てている。アイオワの同社のデータセンターでは炭素集約度約0.739 kg CO2 / kWhで電力を 購入している139

RECs は同じ系統内で生産されたものに限り、一単位につき1MWh の再エネ電力とカウ ントされる。このRECsもともに調達することで、地域の既存電力会社から調達した電力に ついて、再エネ電力とみなしている。この制度を導入して以来、同センターはカーボン・ニ ュートラルとなっている140

139 グーグルウェブサイト、https://www.blog.google/topics/environment/google-green-blog-what-it-means-to-be_8/、2018320日取得

140 グーグルウェブサイト、https://www.blog.google/topics/environment/google-green-blog-what-it-means-to-be_8/、2018320日取得

図 17-4 グーグルの再エネ電力調達の概要 出所:グーグル 2013

例えば, グーグルと風力発電所ディベロッパーNextEraとの最初のPPAでは114MWの風 力を20年間アイオワ州アメスのプロジェクトから購入し、同州ブラッフス(Bluffs)のデー タセンターの電力に充てた。

2つ目のPPAはオクラホマで、これにより100.8MWの風力を追加調達したが、それは同 州メイエス・カウンティ(Mayes County)のデータセンターの電力消費に充当した。

2013年6月、グーグルはスェーデンの72MWのプロジェクトを公表したが、それはフィ ンランドのデータセンター用だとした。

最新の PPA はテキサス州の風力 240MWで、既存系統を通じてオクラホマのデータセン ターへ電力を供給するものだ。

2014 年、グーグルは Delfzijlにある風力発電所からその全発電容量 63MWを同社が購入 すると述べた。この契約により、18 基の新たな風車が建設され、エムスハーフェン

(Eemshaven)のデータセンターの電力を賄っている。

2016年にグーグルはオランダのトップ3企業AkzoNobel社、DSM社及びPhilips社と協 力し、同国の新たな2つの再エネプロジェクトに参加した141

最初の契約は2016年1月に締結した、102MWの発電容量を持つクラマー(Krammer)風 力発電所の全発電量の協働調達だが、この施設は同国ゼーランド(Zeeland)地域の 2 つの エネルギー協同組合が所有するものである。

この発電施設が 2019年に完全に給電を開始すると、この企業連合は一般家庭 10 万軒に 相当する年間合計350GWhの電力を購入することになる。

グーグルの契約期間は15年で、これにより安定したエネルギー調達が可能となり、財政

141 グーグルウェブサイト、https://www.blog.google/topics/environment/google-green-blog-what-it-means-to-be_8/、2018320日取得