4. 企業名 Vestas Wind Systems A/S(ヴェスタス)
4.1 RE100 に関連する再エネ電力調達の取り組み
企業概要
世界最大の発電用風車メーカーの1つで風力発電所開発も手がける。2017年の売り上げ は100億ユーロ、キャッシュフローは12 億1800万ユーロである。技術開発に積極的で投 資額は4億700万ユーロである。
雇用者は2万3000人、世界50カ国で展開している。
図 4-1 ヴェスタスの風車の導入容量 出所)ヴェスタス 2017a, P.6より作成
再エネ電力調達の目標と達成状況
ヴェスタスは、2010年に最初の再エネ電力目標を作成し、2012年にはその目標を 100%
まで引き上げた。目標は2013年に達成することができた 29。
その達成方法は、可能な立地では原則として地域電力会社との再エネ電力調達契約
(Power Purchase Agreement、PPAs)を結び、部分的にはデンマークにある実験用の風車タ
29 RE100ウェブサイト、http://there100.org/Vestas、2018年3月19日取得
ービンなどのヴェスタス が所有する風車の電力を算入している。企業活動と電力の消費は 増加傾向にあるが、100%再エネ電力目標は維持する。
ヴェスタスでは、再エネの割合を高める取り組みを続けており、熱などを含む総エネルギ ー消費量における再エネの割合を 52%から 57%まで高めている。また電力のみにおける割 合はすでに100%を達成している。
図 4-2 ヴェスタスのエネルギー消費と再エネ割合 出所)ヴェスタス 2017a, P.40より作成
表 4-1 ヴェスタスのエネルギー消費量と再エネ比率
2017 2016 2015 2014 2013
エネルギー利用
再エネ(%) 57 52 55 56 56 自社の活動における再エ
ネ(%) 100 100 100 100 100 資源消費
エネルギー消費(GWh) 569 567 516 501 586
-再エネ(GWh) 325 296 283 278 325
-再エネ電力 264 268 257 255 309
上水利用(1000m3) 454 428 427 366 512 出所)ヴェスタス 2017a, P.9より作成
再エネ電力以外の気候対策目標
ヴェスタスはRE100より以前から多くの気候変動に対する取り組みを行ってきた。
RE100の取り組みにおいては自社が消費するエネルギーのみを対象としているが、持続可
能性に向けた取り組みにおいてはサプライヤーの行動も重視している。
ヴェスタスは電力以外も含む再エネ目標として、2020年までにエネルギー消費全体の再 エネ比率を2015年の55%から60%に引き上げる目標を掲げている。
ヴェスタスがエネルギー消費に含んでいるのは以下の項目である。
表 4-2 ヴェスタスのエネルギー消費(2017年)
資源別エネルギー消費 1000MWh 熱用燃料(直接エネルギー)
石油 6
ガス 107
間接エネルギー
電力(100%再エネ) 264
熱(72%再エネ) 31
交通向け燃料
LPG 1
ディーゼル 118
ガソリン 40
出所)ヴェスタス 2017b, P.26より作成
また、2020年までに2015年比で5%のカーボン・フットプリントの改善を目標として掲 げたが、これを3年前倒しで達成することができた。現在は2020年に向けさらに厳しい目 標を設定している。
以下、RE100ではないが、ヴェスタスのサプライヤーとの取り組みについて述べる。
ヴェスタスにとって部品や資材のサプライヤーは、生産工程におけるエネルギー消費の 80%以上を占める重要なパートナーである。ヴェスタスは部品や資材のサプライヤーと密に 協力をしながら ヴェスタスの製品と生産活動の持続可能性の向上に努めている。このリス ク管理のプロセスは製品のライフサイクルの全域をカバーしており、サプライヤーの選択 もリスク管理プロセスに含まれる。サプライヤーにはヴェスタスが定めるビジネスパート ナー行動憲章の採択が求められており、調達契約の不可欠な一部となっている。
ヴェスタスはサプライヤーがこの指針を遵守していることを確認するために、重要なサ プライヤーのスクリーニングを行い、行動規範、環境、健康、安全性についての基準を通じ たサプライヤー評価ツールを用いた評価活動を行っている。
2017 年には、月別サプライヤースコアカードの利用を開始した。安全性と持続可能性の 観点を特に重視し、129の重要なサプライヤーを評価した。サプライヤーのスコアカード評 価は、月別のパフォーマンスダイアログミーティングの内容として評価、活用され、その後 の両社の同意に基づく発展活動のフォローアップにも用いられる。
2017年は、25の特定サードパーティー行動憲章の評価(specific third-party Code of Conduct
assessments)が実施された。加えて世界中のヴェスタスの186のサプライヤーを現場訪問し
て評価した。116社が合格し、16社が不合格となり、54社が評価作業中である。ヴェスタ スが署名している調達契約の 94%はヴェスタスの契約テンプレートに則っており、これら のすべては上述の原則を直接的または参照すべき条項として採用している。サプライヤー がヴェスタスの基準を満たしていない時には修正アクションが求められる。
ヴェスタスは2017年より持続可能性の公式目標について月ごとにモニタリングを行って いる。サプライヤーの安全性と持続可能性取り組みの進捗度についても年間を通じて定期 的に報告を受けており、100以上のサプライヤーが進捗状況の把握のために同じ基準を用い
ている。
ヴェスタスは、こうしたパートナーシップを支援するため、ビジネスパートナー行動憲章 を国連グローバル・コンパクト(UN Global Compact)、国連人権章典(International Bill of Human Rights)、国際労働機関条約(International Labour Organization conventions)に即して 作成している。ヴェスタスは、パートナーも行動憲章を尊重し可能な限り取り組むよう、ヴ ェスタスの持続可能性のビジョンを尊重し、支援してくれるビジネスパートナーとの共同 を優先している。
ヴェスタスビジネスパートナー行動憲章は以下のとおりである。
環境を尊重する。
全ての重要な環境に関する法令や制度的な要求事項を把握、遵守し、全ての取得可能 な認証、 登録、許可を保守し、資源の効率性を高める環境マネジメントシステムに 即した活動を行い、緊急事対応の準備を行う。
自らの活動の環境影響を評価し、環境への影響を最小化し、環境保護の継続的な改善 を行う。
排出量の削減方策
ヴェスタスは、自社の総エネルギー消費量における再エネの比率目標と再エネ電力比率 目標は掲げているが、総エネルギー消費量における再エネ率の向上の具体的な方法につい ては言及しておらず、電化率向上も言及していない。
再エネ電力調達の達成手法
現在、パワーソリューション部門とサービス部門の再エネ比率は同程度である。再エネ電 力目標と、総エネルギー消費目標を達成するため、ヴェスタスはエネルギー効率の向上と再 エネへの大幅な転換を図っている。そのために自社で所有する風力発電所からの電力を再 エネ電力として算入していることは既に述べた。
ただし、中国、インドなどの一部地域では再エネ電力調達が課題となっており、これらの 地域においてもヴェスタスは、再エネ電力調達を確実に行えるよう、地域でのソリューショ ン開発を実行するとしている。
再エネ電力調達の検証手法
ヴェスタスでは、地域の再エネ電力調達契約の詳細は明らかにしていないため、ローカル で調達した再エネ電力における再エネ資源の割合は不明である。原則サプライヤーから提 供される情報を信用している。
再エネ電力の調達方法は国によっても異なるため、世界的に統一された手法で検証を行 っているか否かは不明である。例えばヨーロッパ内でも、発電源証書の購入が可能な主体が 電力小売に限られているようなケース、電力消費者も証明を市場で調達することができる ケースもあり、前者の場合、需要家である企業にとって、再エネ電力調達の手段が限定的と なる。
電力、ガス、地域熱はサイトや関連する組織のメーターを直接読む方法でエネルギー消費 量を確認する。電力については外部から調達した電力と自社の所有する風車からの発電量 を合計して、再エネ電力として算入する。
熱として石油を用いる場合、その計算は期首と期末の目録を用いて計算する。輸送に使う 燃料は、サプライヤーの申告に基づいて計算する。再エネ電力についてもサプライヤーの申 告に基づいて計算する。ここで言うサプライヤーとは、電力会社と考えられる。
非再エネ電力の消費については、当該立地において再エネ電力の調達が不可能な場合に 行う。ヴェスタスグループ報告書では、これらの非再エネ電力はヴェスタスが自社所有の風 車からローカルのグリッドへ販売した電力量と相殺するとしている。
ヴェスタスは、自社所有の風車による電力を再エネ調達に参入していることから、ヴェス タス自体が発電源機器メーカーという特殊性を活かした方法である。
ヴェスタスは、自社の販売する風車のライフサイクルアセスメントを行い、その結果を公 表している30。風車のペイバックピリオドを重視しており、自社の風車による再エネ電力の 計算は、このライフサイクルアセスメントの結果をベースとしていることが考えられる。
図 4-3 ヴェスタスのライフサイクルアセスメントのスコープ 出所)ヴェスタス 2017b, P.23より作成
ヴェスタスの風車は、サイズによって異なるが、おおよそ5~12ヶ月でエネルギー的なブ レークイーブンを迎える。例えば、V112-3.3MW風車では、平均的な風況でペイバックピリ オドを6ヶ月半としている。この場合、風車が 20年稼働すると考えれば、V112 の発電量 は、エネルギー投入量の 38 倍となる。つまり、風車の生産に投入された 1kWh の電力は
38kWhの電力を発電する。
30 Vestasウェブサイト、
https://www.Vestas.com/~/media/Vestas/about/sustainability/pdfs/v1363%2045mw_mk3a_iso_lca_f inal_31072017.pdf、2018年3月19日取得