まずは問題の答えについて,自分なりに 考える時間を確保する。ここでは,全員が 解き終わるまで待つのではなく,手につか ない生徒がいた場合は,机間指導の中で全 体を一度止め,式やキーワードとなる言葉 を生徒に発言させて板書するなどして,自 分なりの考えをもつことができるように 促していく。
Point2: 『問題の答えを予想する』
問題の答えを直観的に予想することは,
問題への解決意欲を喚起させる場面であ る。ここでは,異なる予想が生じることで,
予想が合っているかどうかを確かめる必 要性を感じることになり,問題解決への意 欲を喚起することにつながる。
(その1):A型と考えた理由 Aが16人で最も多いから
(その2):O型と考えた理由 A型→16÷80×100=20%
B型→8÷43×100=18.6%
AB型→4÷24×100=16.7%
O型→12÷53×100=22.6%
よって,O型が一番多い。
・学年全体と比べると,A 組は O型の生徒の割合が高い。
・A 型の生徒は,学年全体と同 じ割合になっている。
Point 4 Point3
・4 つの割合を 合計しても,
100%にならない。
・学級における割合と学年にお け る 割 合 を 比 べ る 必 要 が あ る。
Point2
Point8『定着させる場面を設ける』
練習問題を与える際には,単に相対度数 を求めるという作業だけではなく,相対度 数を用いることのよさが実感できるよう に,度数分布表と比較して考えさせるよう にする。また,本時の学習内容を振り返り,
自己の学習状況をとらえて次時の学習や 家庭学習につなげることができるように,
練習問題の解答まで授業で行う。授業内で 終わらない場合は,別途時間を設ける。
Point8
連立方程式
【第2学年 A 数と式】1 本単元について (1)単元の目標
(2)単元の留意点(指導上の留意点)
3年間を見通した方程式の学習を構造的に捉えてみると,第1学年で学んだ一元一次方程式の 上に立って,第2学年では未知数の個数が増えた二元一次方程式を学習します。第3学年では(一 元)一次方程式から(一元)二次方程式というように,次数が変化します。しかし,どちらも一 元一次方程式に帰着して方程式を解くという,既習事項と関連付けた解法であることには違いは ありません。
第2学年では増えた未知数のうち,どちらかを消去することで一元一次方程式に帰着させます。
単元全体を通して,単に生徒が連立方程式の解き方を習得するのではなく,未知数を消去して一 元一次方程式に帰着させる方法としての加減法や代入法があることを理解できるような指導が大 切です。
2 授業づくりにあたって (1)本時のねらい
本時のねらいは,代入法を用いて解を求める技能の習得及び加減法と代入法それぞれのよさを 感得することです。さらに,それぞれの解法を使い分ける根拠を生徒自身が見いだすことです。
連立方程式を解く知識や技能を身に付けさせることだけがねらいではありませんので,そのため にはどのような授業展開が必要となるのかを考えることが,よりよい授業づくりにおいて最も大 切な部分です。
(2)目標実現するための教師の手だて
①「課題」について
本時では,「加減法と代入法をどのように使い分ければよいのだろうか?」を課題とし,加減法 と代入法を使い分ける根拠を思考・判断し,自分なりの根拠を見いだす授業展開とします。この 課題を解決することによって,生徒は本時のねらいである「加減法と代入法のそれぞれのよさに 気付き,使い分けを考えることができる」ようになります。使い分けの根拠としては,「未知数の 係数が同じ場合」と「未知数の係数が異なる場合」が考えられますが,その背景には文字をどの ように消去するかという視点が欠かせません。課題をしっかりと把握し,加減法と代入法を使い 分けることで手際よく文字の消去ができるなど,それぞれのよさに生徒自身が気付くことができ るような,教師の授業展開(授業づくり)が大切です。
・加減法や代入法と,その基になっている考え方に関心をもち,連立二元一次方程式を解こ うとしている。(関)
・加減法や代入法で連立二元一次方程式を解く過程を振り返り,その共通点や相違点につい て考えることができる。(考)
・加減法や代入法を用いて,連立二元一次方程式を解くことができる。(技)
・加減法や代入法による連立二元一次方程式の解き方を理解することができる。(知)
②「問題」,「発問」について
本時の問題は,太郎くん,次郎くん,ともに を消去していますが,既習の加減法とは異なる 解法の存在を生徒に暗示し,加減法とは異なる解法を考えるものです。そして「どのように連立 方程式を解いたのだろうか?」という発問によって,新たな代入法の解き方を習得できるように 生徒の思考を促しています。 (または )の係数が1であり, =と式変形し(最初から =と なっていてもいい),その式を代入することで が消去できることに生徒が気付けるような問題を 教師は考え,準備する必要があります。
(3)本時における数学的活動
本時のねらいの実現に向けて,教師が机間指導から生徒の多様な考えを引き出し,黒板上でい くつかの解き方を比較しながら,それぞれどのように方程式を解いたか,その根拠を生徒が説明 する数学的活動を取り入れました。単に連立方程式を解くという技能の習得だけではなく,加減 法と代入法の使い分けの根拠を明らかにすることで,思考力,判断力を伴う表現力を育むことを ねらった活動です。
この他に,この時間では,自分の考えた解き方及びその根拠を学習形態の工夫と関連させて,
隣の人に説明する活動などを取り入れることも考えられます。
(4)本時の評価のあり方
本時のねらいは,「①代入法を用いて解を求める技能の習得」,「②加減法と代入法それぞれの よさの感得」,「③それぞれの解法を使い分ける根拠の思考・判断」の三つになります。したがっ て,評価もこの三つのねらいに対応した内容になります。
授業の様々な場面での評価が必要になりますが,教師が本時のねらいに対する実現状況を見取 る場面の一つとして,上述した数学的活動時及び確認問題,練習問題に取り組んでいる生徒の姿 から見取ることが考えられます。
本時のねらい①については,確認問題や練習問題に取り組んでいる生徒の姿を通して見取るこ とができます。代入法(加減法)を用いて解を求めることができているかどうかを確認しつつ,
つまずいている生徒については机間指導の中で個別に対応したり,理解不十分な点を全体で再度 確認し共有したりするなどの教師の手だてが必要になります。
本時のねらい②については,数学的活動時の生徒同士のやりとりや確認問題,練習問題に取り 組んでいる生徒の姿から見取ることができます。生徒が加減法と代入法を使い分けるときの背景 には,「計算が簡単だから(計算が煩雑にならないから)」,「文字の消去の過程(方程式の意味)
がわかりやすいから」などが考えられます。この時点で,加減法や代入法のよさを感得している といえます。
本時のねらい③については,本時のねらい①,②と同時に見取ることが可能です。例えば,確 認問題に取り組んでいる生徒の姿から,連立二元一次方程式の解き方(加減法・代入法)を理解 し,実際にそれぞれの解法を用いて方程式を解いているとすれば,そこには確実に加減法や代入 法の共通点や相違点を思考・判断している生徒の姿が存在します。また,数学的活動時の生徒同 士のやりとり中では,自分がどのように思考,判断したのかを仲間に語る姿が見られます。
以上のように,数学的活動及び確認問題,練習問題については,単に生徒が活動をしたり問題 を解いたりするのではなく,それらを通して,教師が生徒の姿をどのように捉え,次にステップ に導くかという評価の在り方を考えた授業づくりが大切です。
段階 教師の働きかけ
導
入
○問題を提示する。
展
開
【発問】
○少し時間を与えて,連立方程式の解き方を解 かせる。
○数名を指名し,考え方のみを紹介させる。
○代入法による解き方を確認する。
○教科書で代入法を確認する。
【課題】
○解き方を比較させながら,それぞれの解き方 によるよさを確認する。
○式の形に着目しながら,二つの解き方の使い 分けを考え,それぞれのよさについて,ノー トにまとめる。
<確認問題>
(1)
⎩⎨
⎧
−
=
−
= +
1 2
10 3
y x
y x
(2)
⎩⎨
⎧
= +
+
=
10 5
3 2
y x
y x
ま と め
【まとめ】
○二つの解き方を使い分けることで,連立方程 式がより簡単に解くことができることを実 感させる。
○教科書で学習内容を確認し,練習問題を通じ て定着を図る。
Point 6
【授業例】 第2学年
連立方程式(連立方程式の解き方)
⎩⎨
⎧
=
−
= +
・・・②
・・・① 26 5
30 3 7
y x
y
x について,二人は次の
ように考えている。
太郎くん:「僕は
x
を消去しよう。」次郎くん:「僕も
x
を消去するよ。」二人は同じ解き方をしたのだろうか?
どのように連立方程式を解いた のだろうか?
連立方程式を見て,加減法と代入法を どのように使い分ければよいだろうか?
加減法や代入法は,いずれも文字を 一つ消去し解けばよい。
Point8 Point 1 Point1:『問題提示の方法』
板書する順としては,「式」→「太郎 君と次郎君の発言」→「同じだろうか?」
などのように端的に示しながら板書す るようにする。
書く量が多くなり時間がかかる恐れが ある場合は,プリントして配付するなど 工夫するとよい。
Point6:『確認問題を提示する』
加減法と代入法を使う問題を用意し,
どちらで解くべきかを生徒とのやりと りを通じて確認してから解かせるよう にする。なお,上位の生徒には,(1)で
y
を消去して解かせたり,(2)で加減法を用 いて解かせたりするなどして,解き方を 比較しながら考えさせていく。
Point5:『課題を質問型にする』
「加減法と 代入法の使 い分けを考 え よう」と板書するのではなく,質問型の 表現で板書することで課題解決への意 欲を高めていく。また,板書する際には なるべく生徒の言葉で表現するように する。「使い分け」という言葉が難しい 場合は,「どんな問題なら加減法?どん な問題なら代入法?」という板書に切り 替え,具体的な連立方程式で答えてもよ いことにする。
Point8『定着させる場面を設ける』
練習問題を与える際には,加減法と代 入法のどちらの解き方を用いたのかが わかるようにかかせる。また解答では単 なる答え合わせにならないよう,係数を 比較して考えるなど,よりよい解き方に ついて要点を整理しながら確認する。