第 3 章 貧困削減に向けたパートナーシップ
3.2. NGO と住民組織
(7)
スウェーデンセクター別には、社会インフラに援助の多くを振り分けている。社会インフラの中では、
教育と政府・市民社会に対する配分が多く、それぞれ
22
%と13
%となっている。経済 インフラでは、エネルギー関連の支援が多い(表3-4
)。教育分野では、初等教育支援 を行っており、教材や教師トレーニング、学校における文化プログラムに力を入れてい る。また、他ドナーと共に、教育セクター開発計画(ESDP: Education Sector Development
Programme)
にも携わっている。エネルギー分野では、水力発電所などの大規模な電力プロジェクトへの支援を主に行っている。スウェーデンは、タンザニア支援の最大の目的 を、同国の貧困削減に貢献することとしており、そのために以下のような相互補完関係 にある
3
つの分野に焦点を当てている。貧困層が裨益する成長 人的資源開発
民主的開発
(8)
ノルウェー表
3-4
のセクター別援助配分を見てみると、ノルウェーが保健、教育分野の支援に力を 入れていることがわかる。経済インフラ関連では、運輸とエネルギー分野に対する支援 を行っている。対タンザニア支援の重点分野は以下の3
つである。グッド・ガバナンス、民主化および人権。(公共セクター改革と汚職との戦い を含む)
農村セクター開発による所得貧困の削減。(自然資源管理、農村を中心とした 道路セクターへの支援を含む)
教育セクターと
HIV/AIDS
予防に重点をおいた社会開発ノルウェーは、外国人専門家を利用した技術協力が、高いコストに見合うだけの成果を あげていないと指摘したヘライナー・レポートを受け、
2000
年6
月をもってノルウェ ー人専門家とボランティアの制度をなくし、技術協力における自国専門家の活用を取り やめた74。3.2.1. NGO
タンザニアで活動する国際
NGO
、国内NGO
に関しては、副大統領府(VPO: Vice President’s Office
) の下にあるNGO
局(NGO Division
)が管轄することになっている。タンザニア政府は
2001
年11
月にNGO
政策を刷新し、NGO
調整委員会(NGO Coordination Board
) とNGO
登録官制度(Registrar of NGOs
)の設立を決めた。政府以 外の組織では、タンザニアNGO
協会(TANGO: Tanzania Association of NGO
)というNGO
ネットワーク組織があり、620
のNGO
が登録されている75。1995
年に発行されたDirectory of Tanzanian NGO
では、ローカルNGO
は以下のように分類されている76。District Development Trusts Religious organisations Social service organisations
Professional/educational organisations Environment organisations
Women Groups Health organizations Youth organizations Umbrella organisations
国内
NGO
の中には、PER
やMTEF
のワーキング・グループ・メンバーとして、政府の 政策に影響を持つものもある。2002
年時点では、PER/MTEF
の場に3
つのNGO
参加枠 があり、TGNP
77、TASOET
78(TCDD
の代表)、Haki Elimu
(NGO Policy Forum
の代表)が参加している。これらの
NGO
の参加の度合いや意思決定への影響力、どの程度国民 の声を代弁・反映しているのかについては明確ではないが、タンザニア政府側のNGO
を通じて国民の声を反映して行こうという姿勢はうかがえる。なお、地域的な
NGO
の分布は、都市に多くのNGO
が集中しており、貧困地域になれ ばなるほど少ないというのが現状である79。(表3-13
)表
3-12 NGO
政策フォーラムNGO 概要
TGNP Tanzania Gender Networking Programme (http://www.tgnp.org/)
1993年に設立されたNGO。ジェンダー分野に焦点をあて、あらゆるレベルの政策運動などを行っている。
TCDD Tanzania Coalition on Debt and Development
債務救済や貧困削減、持続可能な人間開発のためのアドボカシーおよび陳情活動を行っているタンザニ アCSOs: Civil Society Organisations の連合。
TASOET: Tanzania Social and Economic Trust (http://www.tasoet.org/) が事務局を務める。
NPF: NGO Policy Forum
政策レベルの運動を行っている70のローカルおよび国際NGOの連合。PRSやPER、地方政府に焦点を 当て、政策をより透明かつ民主的で信頼できるものにするよう取り組んでいる。
Haki Elimu 2001年に設立されたNGO。 (http://www.hakielimu.org/)
タンザニアのすべての子どもたちが差別なく、基礎教育を受けられるようになることを目的としている。
活動の主な戦略としては、地域管理、パブリック・マネージメント、政策分析・アドボカシーの3つを あげている。
(出所) 調査団作成
75
TANGO Web-Site (http://www.tango.or.tz/) 2006
年3
月現在76
Sri Lange, Hege Wallevik, and Andrew Kiondo (2000) “Civil Society in Tanzania”
77
Tanzania Gender Networking Programme
78
Tanzania Social and Economic Trust
79
Hakikazi Catalyst (2002) “Tanzanian Civil Society – Towards a Map”, Tanzania NGO Policy Forum
表 3-13 地域別
NGO
分布県 人口 NGOの数* 人口/NGOの数 教育を受けた 大人の割合**
食糧貧困ライン以上の人 口の割合***
Dar es Salaam 2,382,874 1,300 1,833 92 93
Zanzibar 892,394 195 4,567
Kilimanjaro 1,419,313 158 8,983 88 89
Arusha 2,109,580 222 9,503 80 75
Morogoro 1,706,400 142 12,017 74 86
Kagera 1,870,657 127 14,730 75 82
Pwani 816,761 50 16,335 61 73
Ruvuma 1,167,199 61 19,134 85 73
Iringa 1,660,337 83 20,004 84 90
Tanga 1,677,600 78 21,508 69 89
Dodoma 1,641,524 70 23,450 69 87
Mara 1,365,007 56 24,375 76 64
Mtwara 1,048,466 40 26,212 72 83
Mwanza 2,550,437 93 27,424 73 70
Mbeya 2,124,244 75 28,323 84 92
Rukwa 1,149,042 35 32,830 70 88
Kigoma 1,194,770 33 36,205 72 79
Tabora 1,374,161 24 57,257 69 91
Lindi 818,012 12 68,168 56 67
Singida 1,062,344 13 81,719 73 72
Shinyanga 2,492,367 21 118,684 60 78
(出所) Hakikazi Catalyst “Tanzanian Civil Society: Towards a Map”, Presented in Tanzania NGO Policy Forum, 2002
(注1) * Vice President’s Office 2000
(注2) ** House Hold Budget Survey 2000/01
(注3) *** House Hold Budget Survey 2000/01
ドナーと
NGO
の連携に関しては、特にUSAID
が地方のNGO
と連携してHIV/AIDS
分 野の支援を行うなど、積極的に取り組んでいる。JICA
がNGO
と連携して行ったプロジ ェクトとしては、日本のNGO
ワールド・ビジョン・ジャパンと連携した「ンゲレンゲ レ郡及びムラリ郡におけるHIV
/AIDS
対策事業」や、ローカルNGO
のWAMATA
と連 携した「コミュニティーベースHIV
/AIDS
対策」がある。3.2.2.
住民組織地域のコミュニティ形態は、都市部と農村部で異なっている。都市部では、女性を中心 とした所得向上グループが裁縫やミルク生産などを行っており、そうした活動を外国の ドナーや
NGO
、政治家が支援するといったケースが見受けられる。しかし、
NGO
が都市部に集中し農村の貧困地域に少ないことからも推測できるように、地域によってはコミュニティが外部からの支援を受けられないところがある。
NGO
が 活動している地域では、しばしばNGO
が貧困層を代弁しているとみなされるが、NGO
が少ない農村地域などでは、住民組織をはじめとした地域のコミュニティにも目を向け る必要がある。農村地域では、地域住民全員を構成員として幅広い分野の共通問題を扱う日本の自治会 のような組織は存在しない場合もある。人々は、次に挙げるような分野別、構成員の特 徴別などのグループに重複して属していることが多い。農村地域に存在するグループは 地域によって異なるが、代表的なものには、年齢や性別を基準にしたグループや、血縁
組織、任意に呼びかけに応じてつくられる互助労働組織などがある80。ただし、これら の伝統的な住民組織では、女性や未亡人、障害者、子どもなどが弱い立場に置かれてい る場合があることに留意する必要がある。
3.2.3.
住民参加型開発への取組政府は、
NGO
との連携という形で、貧困層の開発プロセスへの参加に取り組んでいる。タンザニアで用いられている具体的な参加型手法は、プロジェクト等におけるファシリ テーターを通じた参加型にはじまり、
WB
やUNDP
による参加型貧困分析(PPA:
Participatory Poverty Assessment
)、地方分権に連動した「開発の機会・阻害要因分析」(