G(K) (n0, n∞) N =π2/3∫
Ψ3 ∫ VΨ
K/(1 +K) (1,0) −1 −1
1/(1 +K) (0,1) −1 0
1 + 1/K (−1,0) 1 1
1 +K (0,−1) 1 0
K/(1 +K)2 (1,1) −2 −1
(1 +K)2/K (−1,−1) 2 1
K (1,−1) 0 −1
1/K (−1,1) 0 1
(1 +K)/(2 +K) (0,0) 0 0
表 2: inversion symmetryの破れ よって
= 2π22i
π hVmiw
∫ ∞
0
dα
∫ ∞
0
dβ f(α)f(β)βe
=−2π2A(Vm) lim
z,w→0
z
G(z)∂wG(w)
=−n02π2A0(Vm) (6.8)
が得られる[32, 33]。A(Vm)はdisk上のclosed tadpoleである。二行目はLaplace逆変換 を行った。WmidもG(K)の詳細に依らずK = 0における特異性で決まっていることが分 かる。しかしK =∞の寄与を拾っていない。つまりWmidにはinversion symmetryが実 現していない。表.2は様々な多重ブレイン解に対して正準エネルギーN とWmidを評価 した結果である。
と書ける。F(K)とH(K)のラプラス逆変換をf(L)、h(L)と書くと、
F(K) =
∫ ∞
0
dL e−LKf(L), H(K) =
∫ ∞
0
dL e−LKh(L), (6.10) 弦の場Ψは長さLに対する積分で以下のように書ける。
Ψ =
∫ ∞
0
dLΨ(L),e (6.11)
ここでψ(L)は
Ψ(L) =e
∫ L 0
dL0f(L0)h(L−L0)c e−L0KBc e−(L−L0)K. (6.12) で定義される量で、幅Lの弦の場ψ(L)と呼ぶことにする。なぜならψ(L)は幅Lのstrip にゴーストが挿入された状態だからである。(ピュアゲージ型とは限らない)一般の弦の場 に対しても、長さLに対する積分に書き直した時の被積分関数を幅Lの弦の場と呼ぶこ とにしよう(Φ =∫∞
0 dL φ(L))。
さて次に幅Lの弦の場に作用する dilatation operator G(L)を与える。まずGの弦の場 への作用の仕方は、弦の場Ψをψ(L)の積分に直し、各々のψ(L)に対してG(L)が作用す ると言う風にする。例えば次のような意味である。
∫
(GΨ1)∗Ψ2∗Ψ3 =
∫ ∞
0
dL1
∫ ∞
0
dL2
∫ ∞
0
dL3(
Gψ(L1))
ψ2(L2)ψ3(L3)
CL1+L2+L3
, (6.13) h· · · iCL
1+L2+L3
は前章でも扱ったように無限の長さを持つ幅L1+L2+L3の円筒上の相関 関数である。そしてψ(L)に作用するG(L)は具体的に以下で定義する。
G =
∫
PL,Λ,δ
dz
2πigz(z,z)¯ −
∫
P¯L,Λ,δ
d¯z
2πigz¯(z,z),¯ (6.14) 但し
gz(z,z) = 2 : (X(z,¯ z)¯ −X(z0,z¯0))∂X(z) :,
gz¯(z,z) = 2 : (X(z,¯ z)¯ −X(z0,z¯0)) ¯∂X(¯z) :. (6.15) である。(6.15) の中のnormal ordering “: :”はX∂X (X∂X)¯ がぶつかる点での発散を 取り除く。
:X(z,z)∂X(z) : = lim¯
ε→0
[
X(z,z)∂X(z¯ +ε)− 1 2ε
] ,
:X(z,z) ¯¯ ∂X(¯z) : = lim
ε→0
[
X(z,z) ¯¯ ∂X(¯z+ε)− 1 2ε
]
. (6.16)
(6.15)の中のX(z0,z¯0)項は相関関数のBRST Ward-Takahashi identity のために必要な項 である。(see appendix E).そして後で述べるように、性質(6.17)、(6.18)が成り立つために は、z0,z¯0は積分路の外側の点でなければいけないことが要求される。よってX(z0,z¯0)∂X(z) とX(z0,z¯0) ¯∂X(¯z)に対するnormal orderingは不要である。(6.14)の中の積分路PL,Λ,δ、
P¯L,Λ,δは図.21 のように取られている。dilatation演算子は本来stringの片方の端点から中
点を経由してもう片方の端点へと積分されている。しかしPL,Λ,δ は正則化パラメーター Λ, δ >0で変形されている。端点は実軸に乗っているためchiral partとanti-chiral partが
ぶつかりsingularityを出す。そこで積分を少し端点から離して正則化しておく。こうして
おけばnormal orderingされたgz, gz¯はwell-definedである。この正則化パラメーターをδ とした。また中点はsliver座標では無限遠に位置するので、これも計算の過程では有限に 置く必要があり、Λで正則化してある。相関関数の計算を全て終えるまで正則化パラメー ターは有限に保っておき、最後にΛ→ ∞, δ→0の極限を取ることにする。これは非常に 重要で、計算の途中で極限を取ると結果は変わってしまうことを後で見ることになる。
我々は今X0方向だけのdilatationを考えることにしよう30。そこで(6.15)の中のXは X0の意味とする。今後特に混乱は無いのでこのままXと書くことにする。
さてGには、N とWmidを繋ぐ際に重要となる性質がある。2-vertex、3-vertexに対して 以下が成り立つ (“dilatation property”)。
∫
(GΨ1)∗Ψ2+
∫
Ψ1∗(GΨ2) =
∫
Ψ1∗Ψ2, (6.17)
∫
(GΨ1)∗Ψ2∗Ψ3+
∫
Ψ1∗(GΨ2)∗Ψ3+
∫
Ψ1∗Ψ2∗(GΨ3) =
∫
Ψ1∗Ψ2∗Ψ3, (6.18) 但し今から証明するように(6.17)と(6.18)が成り立つためには、z0は積分路P の外側に 無ければいけない。更にΛ → ∞の極限を取る際にz0はΛ0−Λ → ∞(Λ0 := Imz0) を満 たす必要がある。
dilatation propertyの証明
(6.17) と (6.18) の証明を与える。(6.18)が証明されれば(6.17)は自明なので(あるいは 同じように証明できるので)、(6.18)の証明だけ行う。
ΨはXや∂Xを陽には含まないので、gz, g¯zの相関関数hG(Li)is (s≡L1+L2+L3)は、
ゴースト部分hψ(L1)ψ(L2)ψ(L3)isから分離される。よって(6.18)の左辺はおよそ
∫ ∞
0
∫ ∞
0
∫ ∞
0
dL1dL2dL3 {hG(L1)is+hG(L2)is+hG(L3)is} hψ(L1)ψ(L2)ψ(L3)is (6.19)
30実はここで定義したGは通常dilatation演算子と呼ばれるものの二倍の量となっている。即ち[G, X] =
−2X, [G, P] = 2P.
z0
z0
−
A B C
D δ
Λ
L
z
図 21: 幅LのString Fieldに作用するG (6.14)の積分路PL,Λ,δ (Im z >0)とP¯L,Λ,δ。経路 AB及びCDはそれぞれ弦の右半分、左半分に対応している。横積分BCは極限Λ → ∞ で無限遠z =i∞へ行く。[28]より転載。
となる。従って任意のL1, L2, L3に対して、{. . .}= 1を示せば良い。
まず初めに(6.18)の左辺の縦方向の積分は、各項に現れる(z0,z¯0)を共通に取れば、キャ ンセルすることが分かる。三項の(z0,z¯0)を共通に取らなければ自明な相殺は起こらない が、Λ→ ∞の極限の際にその差は消えることが分かる。後で詳細は説明する。
次に横方向の積分路(図.21のBC)からの寄与を考える。matter partは hGLiis = Li
s coth2πΛ s +O(
e−2πΛ0/s)
, (6.20)
ここでmatterの相関関数の公式(C.12)を用い、Λ0−Λ → ∞を使った。(6.20)をi= 1,2,3 について足せばcothx→1, (x→ ∞)より(6.18)の右辺が得られる。31 (証明終わり)
次にGからどのようにclosed string vertex Vmid が現れるのかを説明する。GにBRST 演算子を作用させ、弦座標の左足に対応する部分をχL、右足に対応する部分をχRと書 く。32
[QB,G] =χL−χR, (6.21)
31ここで暗にsは有限だと仮定した。あるいはLi積分よりも先にΛ→ ∞の極限を取ったとも言える。
これは正則化パラメーターを相関関数の評価が終わるまで、有限に置くというルールに反している。確か にこれはルール違反であり、一般的にはs >Λで特異性の無い関数かどうか見極めが必要となる。しかし 多重ブレイン解の場合、sが大きい所でhΨeΨeeΨisは指数関で落ちる因子が付いているため極限と積分を入れ 替えることは許される。
32[25]のχ(χ†)をχL (χR)と書いた。
更にQBをχLとχRに作用させると中点における局所演算子となり、これが正に(2.83)の Vmidとなる。
{QB, χL}=−Vmid, {QB, χR}=−Vmid. (6.22) この議論は非常にラフなものである。なぜなら積分路PL,Λ,δ,P¯L,Λ,δは正則化され右半分と 左半分と更に引き伸ばされた中点の三つの部分から成るからである。[QB,G]の横積分部 分からの寄与が消える補償は一般には無く、与えられた弦の場について調べなければいけ ない。多重ブレイン解に対してはこの横積分の寄与はΛ→ ∞の結果ゼロとなり、右足と 左足の寄与(縦積分だけの寄与)だけで書けることが分かる。これはN とWmidを繋ぐ際 に非常に重要となる。
N とWmidを関係付ける
準備が整ったのでN からWmidを導くことにしよう。証明の概略を先に述べると、ま ず(6.18)を使って、N にGを導入する。そしてGにQBを “およそ”二回作用させると (6.21)、(6.22)よりVmidが得られるというものである。QBは運動方程式Ψ2 =−QBΨよ り供給する。なお古典解は正則化されているために、運動方程式は自明ではない。そこで
QBΨ + Ψ2 = Γと書き表しておく。また特に断らない限りΨは正則化されているものと
する。
(6.17)、(6.18)より 1 3
∫
Ψ3 =
∫
Ψ2∗ GΨ =
∫
Γ∗ GΨ−
∫
(QBΨ)∗ GΨ
=
∫
Γ∗ GΨ−
∫
Ψ∗[QB,G] Ψ−
∫
Ψ∗ GQBΨ, (6.23) Ψは本来正則化されているので、運動方程式Γ
Γ =QBΨεη + Ψεη ∗Ψεη (6.24)
を含む項が落ちるかは分からない。そこでゼロとせずに置いておく。ここで表面項∫
QB(Ψ∗ GΨ) を落とした。Ψ∗(GΨ)は正則な量であるためである。さて二行目最後の項のQBΨを再び Γ−Ψ2と書き直し
∫
Ψ∗ GΨ2 =
∫ Ψ3−
∫
(GΨ)∗Ψ2 = 2 3
∫
Ψ3, (6.25)
であることを使えばN の次の表式を得る。
N 2π2 = 1
6
∫
Ψ3 = 1 2
∫
Ψ∗[QB,G] Ψ + 1 2
∫
Ψ∗Γ−
∫
(GΨ)∗Γ. (6.26)
Vmid
図 22: Wmid に対応する開弦の重力結合
∫ VmidΨ。閉弦は中点で折られて張り合わ
された開弦の中点と結合する(上図)。下図 はこのプロセスの時間発展の様子を描いた ものである。[28]より転載。
[QB,G]
図 23: ∫
Ψ [QB,G] Ψに対応した開弦の重 力結合。[QB,G]は積分された量なので、閉 弦は開弦の至る所と結合する(上図)。下図 はこのプロセスの時間発展の様子を描いた ものである。[28]より転載。
最右辺第一項目は、(6.21)と(6.22)を使うことでさらに書き直すことができて 1
2
∫
Ψ∗[QB,G] Ψ = 1 2
∫
Ψ∗(χL−χR)Ψ =
∫
χLΨ2 =
∫
χLΓ−
∫
χLQBΨ
=
∫
χLΓ +
∫
VmidΨ, (6.27)
二つ目の等式では、∫
Ψ∗(χRΨ) =−∫
(χLΨ)∗Ψを用いた。先頭のマイナス符号はχRが Grassmann-oddから由来するものである。(6.26)と(6.27)より、我々は最終的に次の関係 式を得る。
N 2π2 =
∫
VmidΨ + 1 2
∫
Ψ∗Γ−
∫
(GΨ)∗Γ +
∫
χLΓ. (6.28)
(証明終)
正準エネルギーと重力相互作用を結びつける関係式(6.23) – (6.28)は、運動方程式に比 例する項を落とすと、次のように要約できる。
N 2π2 = 1
2
∫
Ψ∗[QB,G] Ψ =
∫
VmidΨ. (6.29)
真ん中の表式は開弦が伝播しながら閉弦を放出する相互作用に対応している(図.23)。また この項は第2.5節の冒頭で議論したように作用の計量での変分に対応している(正確には 二倍だけずれるが)。最右辺はWmidであり開弦が閉弦へ転化するプロセスを表す(図.22)。
6.2.1 コメントと注意点
ここではdilatation 演算子を古典解に合わせてsliver frameで定義した。そのために “ 幅Lの弦の場ψ(L)”という概念も定義した。しかしGにとって重要なのは、性質(6.17)、
(6.18) と、 “およそ”二回BRST演算子を作用させればVmidになるという点だけであり、
座標系は本質的ではない。一般的にdilaton演算子はX(σ)P(σ)を開弦の端から端から積 分したものである。
さてBSRT演算子はGに “およそ”二回作用しているという点が肝心で、本当に二回作
用させればBRST演算子の冪例性からゼロになってしまう。証明では[QB,G] =χL−χR
が使わるが、これは図.21のCBからの寄与が無いことを意味する。二回目のQBの作用 は[QB,G]からこのCBの部分を引いた物に作用させているのである。だからVは図.21の 点C, Bから出て来るのであり、CBの寄与を加えれば相殺してゼロになる。
正則化パラメータの扱いについて、繰り返しになるが強調しておきたいことがある。今 回評価する量は積分路の正則化パラメーター(Λ, δ) (図.21) の極限と、wedge幅の積分の 順序に依存するので注意が必要である。この後見るようにδ >0の存在は正しい結果を得 るのに非常に重要である。今回正則化パラメーターは相関関数の評価が終わるまで有限 に保って計算する。極限については計算の各段階でコメントを挟む。なお、K = 0,∞の 正則化パラメーター(ε, η)に関しては、本文の計算では重要でないことが確かめられてい る。但し運動方程式の項では正則化されたΨεη を使う必要がある。運動方程式の評価は Appendix.Dに回した。
議論の先取りになるがここで記号の注意をしておく。(6.21)で定義されるχL, χR(χ, χ†)の 具体的な表式が[25]で与えられている。しかし彼らの議論を再考察した結果、この表式は 正しくないことが分かった。そこで本研究では[25]との区別するために、[QB,G] =γL−γR と記す。[25]の議論と比較して読む際には注意してほしい。