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タキオン凝縮解はピュアゲージ型に表せてG(K) = 1+KK と選んだ場合のΨ (3.49)であ る[6]。

Ψtv =c(1 +K)Bc 1

1 +K (3.51)

第2.4.1節で予告していたように、これがタキオン凝縮解を表すことを確かめよう。古典

解を作用に代入するとS[Ψ] =−1/6∫

Ψ3 となり、静的な古典解のエネルギーは作用の符 号を変えたものだということを認めると18 pure gauge型の解に対して

E[UQBU1] = 1

2N[U] (3.52)

となる。D25ブレーンの一枚あたりの張力エネルギーはT25= 2103g2o)なので、D25ブレ インが消滅した真空のエネルギーは、今摂動論的真空エネルギーがゼロに基準をとってあ るので、N =1となれば良い。実際に(3.51)がN =1を満たすか調べてみる。

ΨtvΨtvΨtv =

c(1 +K)Bc 1

1 +Kc(1 +K)Bc 1

1 +Kc(1 +K)Bc 1 1 +K

=

c 1

1 +KcKc 1 1 +K

cKBc 1

1 +KcKc 1 1 +K

| {z }

QB(Bc 1

1 +KcKc 1 1 +K)

(3.53)

一行目から二行目へはKBc代数(3.37)を用いてBを一つになるように変形した。第二行目 の第二項目のQBexactな積分は性質(2.50)より落ちる19。第一項はSchwinger parametriza-tion (3.38)を使うと

c 1

1 +KcKc 1 1 +K =

0

0

dt1dt3 d

dt2 hc(0)c(t1)c(t1+t2)i`=t1+t2+t3

t2=0

= 1 π2

0

0

dt1dt3(t1+t3)2sin2 [ πt1

t1+t3 ]

変数変換x=t1+t2, y =t1/(t1+t2)をすることで Ntv] = π2

3

Ψ3tv =−π2 3

0

dx

1 0

dy exx3sin2(πy)

π2 =1 (3.54)

よってΨtvは期待されるエネルギーになっていることが確かめられた。

18正準エネルギーはNoetherの保存電荷として求めなければいけないであろう。しかし弦の場の理論の 作用を重心座標の時間微分に書き直してみると無限階の微分が出て来ることとなり、ネーター電流が定義で きない。そこでエネルギーは静的な解に対して作用のマイナス符号であるという、局所場の理論からの知識 を援用することにする。

19実は後で見るように

QB(· · ·)well-definedでない場合には正則化が必要であり、それによって non-zeroの値を出すこともある。しかし今の場合は安全な量なのでゼロになる。

ホモトピー演算子

一般に古典解周りのBRST演算子QΨ(2.71)に対してQΨA = Iなる演算子Aが存在す るとき、Aを古典解Ψ周りのホモトピー演算子と呼ぶ。このホモトピー演算子の存在と QΨのコホモロジーがtrivialであることは同値である。実際Aが存在すればQΨΦ = 0な る状態Φは

Φ = Φ∗I = Φ∗QΨA=−QΨ∗A)

とかけるので必ずQΨexactである。また逆に全ての状態がQΨexactにかけるならばIも かけるはずでI =QΨAなるAが存在する。

さて

A= B

1 +K (3.55)

にタキオン凝縮解周りのBRST演算子Qtvを作用させてみると QtvA= K

1 +K + (c+cKBc) B

(1 +K)2 + B

1 +K (c+cKBc) 1 1 +K

= K

1 +K +cB 1

(1 +K)2 + 1

1 +KBc 1

1 +K +cKB 1

(1 +K)2 + K 1 +K

| {z }

11+K1

Bc 1 1 +K

= K

1 +K +cB 1

(1 +K)2 +Bc 1

1 +K +cB 1 1 +K

(

1 1 1 +K

)

= K

1 +K + 1

1 +K = 1 (3.56)

となりAがタキオン凝縮解まわりのホモトピー演算子であることが分かる[27] [5]。よって この古典解周りには開弦の自由度は存在せず、確かにDブレインが消滅したと見なせる。

以上より(3.51)はタキオン真空解であることが確かめられた。

補足

Φをタキオン真空解周りの古典解とする。

QtvΦ + ΦΦ = 0 (3.57)

この時Φは形式的にタキオン真空解周りのピュアゲージに書ける[36]。

Φ = (1 + Φ∗A)Qtv(1 + Φ∗A)1 ≡V QtvV1 (3.58) これはQtvA = 1を使えば確かめられる。タキオン真空解をΨtv = UQBU1と書くとΦ はQB周りのピュアゲージに書ける。

Φ = (V U)QB(V U)1 (3.59)

4 Winding number と多重ブレイン解

第2章で構成したCubic String Field Theory (CSFT)は、タキオン凝縮解を内包するな ど開弦の非摂動論的定式化としてその可能性が重要視されている理論である。CSFTの 興味深い性質はその作用の数学的構造にある。すぐあとで述べるように、その構造は三 次元のコンパクトな多様体上のゲージ理論であるChern-Simons理論と記号の置き換えで 移り合えるという類似性を持つ。Chern-Simons理論のピュアゲージ型解のエネルギーは

winding数と呼ばれるトポロジカルな量で特徴付けられる。この章ではCSFTとCS理論

の類似性を推し進め、CSFT側にもトポロジカルな量が実現できるのかを研究する。

4.1 Chern-Simons 理論との類似性

Cubic String Field Theory (CSFT)の作用と、作用に現れる弦の場に対する演算の満た す性質を以下に並べる。

CSFT

SCSFT = 1 g2o

[1 2

Ψ∗ QBΨ + 1 3

ΨΨΨ ]

(4.1)

Q2B = 0 (4.2)

QBΣ) = (QBΦ)Σ + (1)|Φ|Φ(QBΣ) (4.3)

Σ)Ξ = (ΦΣ)Ξ (4.4)

ΦΣ = (1)|Φ||Σ|

ΣΦ (4.5)

QBΦ = 0 (4.6)

ここで記号|Φ|は、第2.3節と同じで弦の場のゴースト数を表す。このCSFTの作用の構造 は、コンパクトな三次元多様体上のトポロジカルなゲージ理論であるChern-Simons (CS) 理論のそれに非常に似ていることが知られている。次のようにCS理論の作用と演算の性 質を並べて見るのが一番であろう。

CS理論

SCS = k

M

tr [1

2A∧dA+ 1

3A∧A∧A ]

(4.7)

d2 = 0 (4.8)

d(A∧B) =A∧dB + (1)|A|dA∧B (4.9)

(A∧B)∧C =A∧(B ∧C) (4.10)

trA∧B = (1)|A||B|trB∧A (4.11)

M

dA = 0 (4.12)

|A|はゲージ場のform数を表す。

さて両理論の対応は明らかである20

A Ψ, d ↔ QB, ∧ ↔ ∗

M

tr

(4.13) これに弦の場のゴースト数|Φ|とゲージ場のform数|A|を対応させれば良い。このような 記号の置き換えだけによって両理論の作用は繋がっているため、微小ゲージ変換における 作用の不変性や、運動方程式などの、代数的な計算は全く平行して行える。例えばCS理 論の作用の微小ゲージ不変性の証明は、微小ゲージ変換δA=dε−A∧ε+ε∧Aとして

δS

M

tr [(dA+A∧A)(dε−A∧ε+ε∧A)]

=

M

tr [(ε∧A−A∧ε)dA+dε∧A∧A]

=

M

d(tr [ε∧A∧A]) = 0 (4.14)

と行われるが21、CSFTにおける場の微小ゲージ変換

δΨ =QBΛ + ΨΛΛΨ, |Λ|= 0 (4.15) のもとでの作用(4.1)の不変性の証明も、性質(4.2)(4.6)のおかげで、CS理論の場合と 全く同様に、ただ記号の置き換え(4.13) をするだけで行うことができる。

20ゲージ群の足の和(トレース)との対応を見たければ、例えば

Dを弦座標の右足と左足と中点の三つ の積分に分けて考えればそれらしく見える。(

dXmid

LR)しかし実際に弦の場の何を群の足と見なせば 良いのかは未解決の問題である。

21最後の等式ではGaussの定理を用いて表面積分に書き直し、多様体がコンパクトであることからゼロ になるということを用いた。

さてCS理論の作用は有限ゲージ変換のもとで

SCS →SCS2πkNCS[g] (4.16)

と変化する。ここでNCS

NCS[g] = 1 24π2

M

tr(

gdg1)3

(4.17) で定義される量で“Winding number”と呼ばれる整数に量子化されたトポロジカルな量で ある。winding数はCS理論において重要な量である。CS理論は運動方程式dA+A∧A= 0 = F からも分かる通り、ローカルな自由度の無い理論であるが、このwinding数がグ ローバルな自由度として解を特徴付けている。この量が整数に量子化されると、(4.16)か らも分かる通りCS理論のレベルkもまた整数に量子化されるということが要請される。

ここでwinding数NCSの性質を少し復習しておく。

4.1.1 winding

winding数は、xが多様体を一周覆う時に、g(x)が群の空間を何回覆うかを数えている

量であることが名前の由来となっている。それゆえに整数に量子化され、微小ゲージ変換 に対して不変なトポロジカルな量である。ここでwinding数を実際に計算してみる。例え ばg(x)として

g(x) = eiF(r)ˆx·τ = cosF(r)·1+iˆx·τ sinF(r)

( ˆ x= ~x

r )

(4.18) の形を考える(Hedge hog ansats)。ここで1は2×2の恒等演算子、τ はPauli matrixであ る。ゲージ群g(x)は、多様体上の至るところで一価のregularな関数であるべきである。xˆ がx= 0及びx=で一意に定まらないことから、regularity条件sinF(0) = sinF() = 0 が課される。hedge hog typeの解のN を計算すると

N = 1 π

0

dr d dr

( F 1

2sin2F )

= 1

π [F (r=)−F (r = 0)] (4.19) となり、これは整数に値を取る。また

k [ 1

r2 (F sin2F) ˆxk ]

= 1 r2

d

dr(F sin2F) を用いるとNは全微分の積分形に書き直すことができる。

N =

d3x ∂k

[ 1

2r2 (F sin2F) ˆxk ]

(4.20)

Gaussの定理よりこれは表面積分となる。多様体はコンパクトなので表面積分は一見ゼロ

である。しかし関数F(r)は多様体上で一価関数である補償はなく、r = 0とr=で異 なる値を取って良い。一価で無い場合には多様体上を二つの座標で覆っていると考えれば よく、そのために積分には表面が出現するのである(図.16)。表面項はg(x)でなくF で書 けている所が肝心である。

S

3

∂M

図16: 関数F(r)にとって多様体には2つの領域(パッチ)が存在する。NCSは片方のパッ チで定義されるため境界∂M が出現する。

4.1.2 CSFTにおけるWinding

さてCSFTの作用に有限ゲージ変換

Ψ→U(QB+ Ψ)U1, |U|= 0 (4.21) を施すと作用は

S →S− 1

2go2N[U] (4.22)

と変化する22。ここでN[U]は

N[U] = π2 3

∫ (UQBU1)3

(4.23) で定義される。またN[U]はpure gauge型解UQBU1のエネルギー密度と次のように関 係づく23

E = 1

2go2N[U] (4.24)

ここで1/(2π2g2o)はブレイン一枚のエネルギー密度であることから、UQBU1が多重ブレ インを表す時、N は整数となるはずである。

221/(2π2go2)Dブレイン一枚の張力を表す。後で見るようにこの因子をくくりだすことでタキオン凝縮 解のN[U]1になるようにnormalizeした。

23弦の場の理論はその非局所性から無限階の微分が現れ、正準エネルギーを定義することが困難である。

静的な古典解を考えているため、ここでは作用の逆符号をエネルギーと呼んでいる。Eは時空体積で割っ たエネルギー密度を表し、以後結合定数go1と置くことにする。

さてN[U]はwinding数NCSと記号の置き換え(4.13)によって移り合えることからも予 想されるように、微小ゲージ変換(4.15)で不変な“トポロジカル”な量である。ではN[U]

を変化させるような大きなゲージ変換とはどのようなものだろうか。Uのどのような構造 がN の値を変更するのだろうか。ここでCS理論とCSFTの作用の数学的構造の類似性か ら、大胆にも位相的構造にも類似性が存在すると予想する。つまりwinding数が多様体か ら群への巻き付きを与えるという位相的構造を持っていたように、CSFTにも多様体や群 に対応する構造が存在し、N[U]がそれらの間の写像として何か整数になる量を数えてい るのではないか、と予想するのである。もちろんCS理論とCSFT理論は物理的内容にお いては全く異なる理論である。CSFTには多様体の概念も無く、ゲージ群の概念も無い。

多様体がコンパクトであるとか、表面積分という概念もない。しかし全くことなるからこ そ、もしそこに位相的構造あるいは幾何学的構造が成立していれば重要な発見となる。

この章ではCSFTの位相的構造を解明するための試みとして、まずwinding数NCSが全 微分の表面項の形に書けることに注目する。この形は解の特異的な構造が見えやすい。多 様体がコンパクトゆえほとんどゼロの量であるが、ゲージ場が多様体上に特異性を持つ場 合に表面項が非自明な寄与を与えるのだった。CSFTでも似たような状況になる。置き換

えルール(4.13)によれば、全微分の積分形に対応するのは

M

d(· · ·)

QB(· · ·) (4.25) という表式である。右辺はBRSTカレントの積分路が弦の左足と右足で逆方向のためキャ ンセルしてし、どのような弦の場(· · ·)に対しても代数的にゼロになる表式である(4.6)。

つまりN はエネルギーに比例しているのだから、単純にはN =∫

QB(· · ·)と書き直せる とすると矛盾なのである。しかしwinding数もほとんどゼロの量であったが、多様体上の 特異点を種にして値を獲得したのであった。さてN がそのような構造を持つのかどうか 次の章から調べて行く。