第 6 章 イギリスの新規技術型企業クラスターとリスクキャピタル
7.3 Micro Emissive Displays Plc
162
機関投資家によって上位株主が占められていることがわかる。
163
図表6-19 Microemissive Displays Group PLCの業績(売上高と税引前当期純利益)
単位:千ポンド
0 0 31 65
-4460
-5182
-6256 -6226
-7000 -6000 -5000 -4000 -3000 -2000 -1000 0 1000
2004年 2005年 2006年 2007年
売上高
税引前当期純利益
(出所)アニュアルレポートより作成。
図表6-20 Microemissive Displays Group PLCの従業員数の推移
0 10 20 30 40 50 60 70
2004年 2005年 2006年 2007年
管理 販売・流通 研究開発・生産
(出所)アニュアルレポートより作成。
しかし、頭部装着型ディスプレーの売上高が期待を大きく下回ったため、同社は資金調 達の困難に直面することになる98。2007 年度前半の売上高がゼロとなり、220 万ポンドの 赤字を計上したため、Scottish Equity Partnersから750万ポンドの追加資金の調達を実施し た。2004年から2007 年までの業績の推移は図表6-19に示しているが、極めて深刻な状
98 EE Times Europe の同社関連記事を参照。
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況にあることがわかる。従業員数の推移については図表6-20に示しているが、売上高の 伸び悩みを反映してか、同社の従業員数は60人強の小規模なレベルにとどまっている。
図表6-21 Microemissive Displays Group PLCの株価パフォーマンス
0 20 40 60 80 100 120 140 160
2004/11/30 2005/1/30 2005/3/30 2005/5/30 2005/7/30 2005/9/30 2005/11/30 2006/1/30 2006/3/30 2006/5/30 2006/7/30 2006/9/30 2006/11/30 2007/1/30 2007/3/30 2007/5/30 2007/7/30 2007/9/30 2007/11/30 2008/1/30 2008/3/30 2008/5/30 2008/7/30 2008/9/30
MicroEmissive Displays PLC. FTSE Techmark指数(全社) FTSE指数(全社)
(出所)Yahoo!ファイナンスより作成。
同社の株価も、図表6-21に示すように、2005年後半以降、右肩下がりで推移している。
上記のような深刻な経営状況のなか、さらなる追加投資を行う投資家が現れなかったため、
2008年11月20日から株式取引は停止となった。MicroEmissive Display社は、事業売却さ れることになった。
図表6-22 Microemissive Displays Group PLCの株主状況
株主 持分比率(%)
Scottish Equity Partners 24.36
AXA S.A.(Framlingtonを含む) 10.24
Cazenove Capital 10.12
AMVSCAP 8.71
Ironshield Capital Management LLP 6.66
Fidelity Investments 5.57
BASF Venture Capital 4.30
Saracen Investment Funds 4.02
Hargraeave Hale 3.56
M D Barnard 3.27
(出所)同社2007年のアニュアルレポートより作成。
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同社の株主構成は、図表6-22に示すとおりである。Scottish Equity Partnersが25%近い 持分を保有し最大株主であるが、それ以外にもVCが、依然として高い保有比率を新規公 開後においても維持しているのが特徴的である。
8. イギリスのリスクキャピタル供給システムの評価と日本へのインプリケーション イギリスにおける成長ステージ別のリスクキャピタル供給システムの現状を総括すると、
図表6-23に示すとおりである。4つの成長ステージ別にイギリスのリスクキャピタル供 給システムの現状と課題、および日本の供給システム改革へのインプリケーションを考察 することにしよう。
図表6-23 イギリスにおける成長ステージ別のリスクキャピタル供給システム
供給システム
必要資金額
成長ステージ
(リスク)
シード スタートアップ・アーリー 成長 投資回収
公的機関の コンセプト検 証ファンド
・Scottish EnterpriseのProof of Conceptプログラム
ビジネスエ ンジェル
ベンチャー キャピタル
IPO市場
(AIM)
対応策
・ビジネスエンジェル シンジケーション(大 口投資への対応)
・ビジネスエンジェル 教育(投資能力の向 上)
対応策
・Enterprise Capital Fundの 設立(ハイリスクのテクノロ ジー投資への対応)
・地方ベースのクラシックVC の登場
M&A市場
・MBO/MBI投資 への傾斜
・ロンドン周辺企 業への投資の集 中(VCのロンドン 集中)
・新規公開企業の急増、
IPO市場の活況
・成熟企業・成熟業種 への新規公開企業の 集中
・ロンドン周辺企業へ の新規公開企業の集 中(NAのロンドン集中)
・上場基準の 大幅緩和
・Nominated Advisor制度の 導入(リサーチ ベースの中小 中堅証券会社 の登場)
・Second Equity Gapの 拡大
・Regional Equity Gapの 拡大
・ミッドマー ケットのM&A を専門とする 仲介業者の必 要性
・BANの整備と小口 投資の拡大