第 3 章 メソポーラスシリカ被覆コアシェル触媒の耐久性の向上
3.4 Ni-Fe 含浸による MS 被覆コアシェル触媒の耐久性向上
3.4.1 MS 含浸被覆層形成による低温側 CO メタン化活性への効果
3.3.2 MS/V/Ni 触媒からの成分溶出挙動
本項ではMS被覆工程におけるV担持Ni(OH)2から溶液中に成分が溶解し ていく状況を検討した。Fig.3-7にMS被覆工程におけるV担持Ni(OH)2から 溶液中へ溶解したの成分のICP分析結果を示す。V担持Ni(OH)2スラリーを作 製した時点で既にNi、Vの溶出が確認され、Ni の溶出率は4.8%、Vは2.9%
であった。CTAB 添加後の Ni の溶出率は 5.2%、V は 3.3%であった。TEOS を添加しない場合は、浸漬後 17 時間後で Ni、V が確認され、Ni の溶出率は
8.8%、Vは7.2%であった。時間の経過と伴に、Ni、Vの溶出率は増加する傾
向を示した。 一方 TEOS を添加した場合について、同様にろ液を分析したと ころ、ろ液へのNi、Vの溶出は全く確認されなかった。
以上よりMS/V/Niの場合も、MS/Ni/AlVOxと同様にMS被覆工程ではV担
持Ni(OH)2コア材から溶出した Ni、V がMS被覆層形成時に MS 被覆層中に
取 り 込 ま れ て い る と 推 測 す る 。MS 被 覆 層 中 の Ni 及 び V の 析 出 量 も
MS/Ni/AlVOxと同等レベルであるため、Ni及びVを更にMS被覆層に追加し
て含浸させるだけでは耐久性は十分得られないと考えられる。よって、新たな 耐久性の向上の手法としてNi-Feを含浸したMS被覆層(以下 MS含浸被覆層) のによる耐久性の向上を図ることにした。
Fig.3-7 The leaching behavior of V/Ni(OH)2 core in MS coating process.
Leach in g perce n tage (%)
0 2 4 6 8 10
Ni V Ni V Ni V Ni V
Ni/AlVOX slurry
(for 1h) adding CTAB
(for 2h) without TEOS
(for 17h) adding TEOS
(for 17h) Below the minimum limit of detection of ICP
Fig.3-8 Temperature dependence of selective CO methanation over Ni-Fe-MS/V/Ni and Ni-Fe-V-MS/V/Ni catalyst. Feed gas composition:
0.5%CO, 20%CO2, H2 balance, steam/CO 34, SV 4800h-1. (a)Outlet CO concentration, (b) Outlet CH4 concentration.
0 0.5 1 1.5 2
140 150 160 170 180 190
0 20 40 60 80 100
140 150 160 170 180 190
O u tle t C H
4co n ce n trat io n (% ) O u tle t C O c on ce n trat io n (p pm)
Reaction temperature ( ℃ )
Reaction temperature (℃)
MS/V/Ni
Ni-Fe-MS/V/Ni Ni-Fe-V-MS/V/Ni
(a)
(b)
被覆層に含浸したNi-Fe-V-MS/V/NiのCO選択メタン化反応の温度依存性を示 した。ここでSi/Niモル比0.12、V/Niモル比0.097に固定した。更に第2章で
検討したNi-Feを含浸していないMS/V/Niの結果も比較のため示した。
Table 3-1にはFig.3-8から得られた各触媒の操作温度域を示す。ここでCO
濃度が 10ppm 以下を示す温度域において、最低温度を TL(CO),最高温度を
TH(CO)とした。また CH4濃度が 1%(選択率 50%)を越える温度を TH(CH4)と した。操作温度幅(Window width)は、TH(CO)とTH(CH4) の小さい値とTL(CO) との差と定義した。
Ni-Fe-MS/V/Ni と Ni-Fe-V-MS/V/Ni は、高濃度 CO に対する耐久性の高い 活性成分をMS 被覆層に担持した効果により、CO メタン化活性が大幅に向上 した。TL(CO)はそれぞれ152 ℃まで低減し、従来0.22MS/0.039V/Niの164 ℃ より約10 ℃低減できた。
MS/Ni/AlVOxと同様に MS 被覆コアシェル触媒においても、MS 被覆層に
Ni-Fe、Ni-Fe-V を含浸した触媒は低温側の CO メタン化活性向上に有効に作
用していることが確認できた。一方、CO2水素化反応も同時に促進されており、
TH(CO)はそれぞれ177 ℃、182℃となり、従来 0.22MS/0.039V/Niの198 ℃
より約 15~20 ℃低温側にシフトしてしまった。そのため、操作温度幅は
0.22MS/0.039V/Niの34℃に対し、Ni-Fe-MS/V/Niでは25℃、 Ni-Fe-V-MS/
V/Ni では 30℃となり、それぞれ 9℃、4℃狭くなった。Ni-Fe-MS/V/Ni と
Ni-Fe-V-MS/V/Niを比較すると、後者の方が操作温度幅の減少が小さい。この
ことはVの含有率の増加が、CO2水素化反応を抑制していることを改めて示し ている。
Table 3-1 Window widths of the SCM operating temperature. a: lower end of the temperature region in which CO concentration is less than 10ppm. b: higher end of the temperature region in which CO concentration is less than 10ppm. c: temperature at which CH 4 concentration becomes larger than 1%. d: temperature window in which CO and CH 4 concentration are less than 10ppm and 1%, respectively.
CatalystTemperature : CO< 10ppmTemperature : CH4 <1% TL(CO)a(℃)TH(CO)b(℃)TH(CH4)c(℃)Windowwidthd(℃) 0.22MS/0.039V/Ni16420019834 Ni-Fe/0.22MS/0.039V/Ni15217718225 Ni-Fe-V/0.22MS/0.039V/Ni15218218830