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本研究では、PROX触媒の代替としてCO選択メタン化触媒を燃料改質器へ 搭載するため、反応温度195 ℃以下で広い操作温度領域を有し、高いCOメタ ン化活性と高い反応選択性を両立させたCO選択メタン化触媒を見出すことを 目的とした。Ni ナノ粒子をコアとし、その表面に酸化物被覆層をシェルとして 被覆したコアシェル構造を有する触媒に着目した。この酸化物被覆層を形成し たコアシェル触媒により、触媒単位体積当たりの Ni 表面積が増え、反応サイ トが増加するため低温側のCOメタン化反応速度の向上を検討した。

本研究で検討した各種酸化物被覆層を形成したコアシェル構造を有する CO 選択メタン化触媒について得られた結論を下記に示す。

(1) MS 被覆コアシェル触媒

MS被覆層をNiナノ粒子に被覆したコアシェル触媒を検討したところ、目的

通り Al2O3担体を無くすことで Ni 含有量を 60%に増加すると共に、MS 被覆 層の効果で約20 nmのNiコアの凝集を完全に抑制することに成功した。その 結果、従来の2倍のSV4800 h-1において0.5%COを10ppm以下に低減できる 温度を 164 ℃まで低温化できた。操作温度域も 34℃を有していた。特に MS 被覆層は、その Ni の焼結抑制効果により、高い触媒活性と耐久性向上に対し て重要な構成成分であることが言える。

(2) Ni-Fe 及び Ni-Fe-V 含浸 MS 被覆コアシェル触媒

Ni-Fe及びNi-Fe-Vを含浸したMS被覆を形成することで更なる耐久性の向 上を図ったところ、CO濃度0.5%、SV4800 h-1、触媒温度160 ℃の評価条件 下において、Ni-Fe-MS/V/Niは1400 h、Ni-Fe-V-MS/V/Niは933 h経過後も

出口CO濃度10ppm以下、CH4濃度1%以下を維持することを確認した。特に

Ni-Fe-V含浸MS被覆コアシェル触媒では、V量の最適化を行い、操作温度領

域を30℃以上まで拡張できれば実用的な触媒が得られると考える。

(3) SiO2薄層被覆コアシェル触媒

SiO2原料としてシランカップリング剤を使用することにより、従来のMS被

覆法と比較してより簡単な工程でNiコア粒子表面に均一な均一なSiO2被覆層 を形成することに成功した。SiO2被覆層はMS被覆層よりも低いSi/Niモル比 でも、高いNiの焼結防止効果が得られることを見出した。低いSi/Niモル比を 実現することにより、触媒単位重量あたりのNi表面積を20%増加することが でき、155 ℃の低温で CO 濃度 10ppm 以下を達成した。連続耐久評価も CO 濃度0.5%、SV4800 h-1で3000 hの耐久性を確保できた。コアシェル構造にお いて、MS被覆層を形成した触媒では耐久性の向上にNi-Fe,Ni-Fe-Vを含浸す る必要があったが、SiO2被覆層ではそれが不要である。

しかしながら、操作温度幅はMS被覆コアシェル触媒と同じ程度の32℃に留 まり、操作温度幅の上限温度から7 ℃外れると、CO2メタン化反応に伴う反応 熱により熱暴走が発生した。これは、SiO2に被覆された V2O5が還元時におい て、SiO2被覆層の焼結抑制効果により V2O3まで還元されず、V の反応選択性 が低下した可能性が挙げられる。

今後の展望として、SiO2被覆コアシェル触媒をベースにした改良を行うこと で、CO 選択メタン化触媒の実機搭載を目指したい。具体的な手段としては、

①V の反応選択性を向上させる為、V2O5が還元十分還元される様に SiO2被覆 層を形成した後にVを添加する。②Cu2Oの添加量を最適化し、CO2メタン化 反応による熱暴走を抑制させることが考えられる。

以上より、本研究の結果から家庭用 PEFC システムの燃料改質器の PROX 触媒の代替として、CO 選択メタン化触媒の実機への搭載適用を検証したとこ ろ、入口CO濃度0.5%, SV4800 h-1, 反応温度195℃以下の条件下で出口CO 濃度10ppm以下, CH4濃度1%以下, 操作温度領域30℃以上を満足する触媒を 得ることができた。

最後にCO選択メタン化触媒の研究開発の更なる進展を期待し、本研究の結 びとする。

研究論文

1. “Catalytic activity and durability of a mesoporous silica-coated Ni-alumina-based catalyst for selective CO methanation”

Toshihiro Miyao, Junya Tanaka, Weihua Shen, Katsuhiko Hayashi, Kazutoshi Higashiyama, Masahiro Watanabe,

Catal. Today, 251, (2015) 81-87.

2. “Catalytic performance of mesoporous silica-covered nickel core–

shellparticles for selective CO methanation”

Katsuhiko Hayashi, Toshihiro Miyao, Kazutoshi Higashiyama, Shigehito Deki, Yasunori Tabira, Masahiro Watanabe,

Appl. Catal. A: Gen., 506, (2015) 143-150.

3. “Low-Temperature Selective CO Methanation over Unsupported Nickel Catalyst Covered by Silica Thin Layer”

Katsuhiko Hayashi, Toshihiro Miyao, Yasunori Tabira, Kazutoshi Higashiyama,

J. Jpn. Petrol. Inst., 59, (2016) 65-71.

学会発表

1. 東山和寿、沈衛華、宮尾敏広、渡辺政廣、林克彦、「CO選択メタン化触媒 を搭載した家庭用燃料電池向け新規燃料改質器の性能」、第22回日本エネル ギー学会大会、 2013年8月(東京)

2. 林克彦、東山和寿、宮尾敏広、出来成人、渡辺政廣、山口靖英、「CO選択 メタン化触媒の開発(その18)-コア/シェル構造の検討-」、第112回触媒討 論会、 2013年9月(秋田)、口頭発表

3. 宮尾敏広、櫻林智、山田浩也、林克彦、井上竜槙、橋本登、東山和寿、渡辺 政廣、「メソポーラスシリカ被覆Ni-V系CO選択メタン化触媒の活性・選択 性および耐久性発現機構」、第113回触媒討論会、2014年3月(豊橋)、口 頭発表

4. 林克彦、東山和寿、宮尾敏広、出来成人、渡辺政廣、「CO選択メタン化触 媒の開発(その19)-Niコア材に対するシリカ単分子層被覆の効果-」、第 113回触媒討論会、2014年3月(豊橋)、ポスター発表

5. 山田浩也、林克彦、宮尾敏広、東山和寿、「CO選択メタン化触媒の開発(そ

の20)-メタルハニカム触媒の高活性化の検討-」、第113回触媒討論会、

2014年3月(豊橋)、ポスター発表

6. T. Miyao, W. Shen, K. Hayashi, K. Higashiyama, N. Hashimoto, M.

Watanabe, “Catalytic Activity and Durability of a Mesoporous Silica-Coated Ni-Alumina-Based Catalysts for Selective CO

Methanation.”, 7th Tokyo Conference on Advanced Catalytic Science and Technology (TOCAT7) , June, 2014, Kyoto (Japan), oral

7. K. Hayashi, K. Higashiyama, T. Miyao, S. Deki, M. Watanabe, Y.

Yamaguchi, “Selective CO Methanation Catalysts: Effects of Silica-Nickel - Core/Shell Structure.”, 7th Tokyo Conference on Advanced Catalytic Science and Technology (TOCAT7) , June, 2014, Kyoto (Japan), poster