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第 3 章 メソポーラスシリカ被覆コアシェル触媒の耐久性の向上

3.1 緒言

第2章でメソポーラスシリカ(MS)被覆コアシェル触媒(MS/V/Ni)を検討した ところ1)、耐久性に課題が認められた。長期連続耐久評価では出口 CO濃度に ついて評価開始時は 5.8ppm と低かったものの、徐々に増加し 700 h 後は

10ppmまで上昇した。この原因は触媒表面にカーボンが析出し、触媒活性点を

徐々に閉塞したためと考えられる。実際の燃料改質器にCO選択メタン化触媒 を搭載する為には、出口CO 濃度10ppm以下で 6万時間以上の耐久性を満た すことが望まれる1)11)

これまで当研究センターでは、Fig.3-1 に示す様に Al2O3担体を使用した従 来のMS被覆層触媒(MS/Ni/AlVOx)についてMS被覆層形成中にメソ細孔表面 にNi、Vが析出し、COメタン化反応の活性点として機能していると報告した

2),3)。それによりコアの Ni/AlVOx 触媒に到達する CO 濃度が低減され、高い

CO 除去性能と耐久性が得られた。しかし、MS 被覆コアシェル触媒の場合、

Fig.2-16のTEM観察やFig.2-17のFE-SEM EDXによる観察からはMS被覆 層中にNi、Vが存在するか否か明確に判断できなかった。MS被覆中にV、Ni が存在していないとすれば、そのことがMS/V/Ni触媒の耐久性が低かった原因 の一つとして考えられる。

そこで本章では、まず MS 被覆層中に Ni、V が存在することが明らかな

MS/Ni/AlVOx触媒について製造過程における Ni、V の溶出挙動に着目した。

Fig.3-2よりNi/AlVOxをSTEM-EDSで観察すると、V種がNi種と接近して 存在することが確認された3)。Ni/AlVOxの製造過程は、硝酸Ni溶液にAlVOx

粉を加えて蒸発乾固を行い、その後乾燥、焼成を実施する。この場合、AlVOx

からVが硝酸Ni溶液に溶出し、蒸発乾固時にAlVOx担体表面NiとVが一緒

に析出している可能性が考えられる。その後、Ni/AlVOx の表面にMS 被覆を 行う際は、CTAB溶液中でNi/AlVOxからNiとVが一部溶解する。次にTEOS を加えてMS被覆層が形成される際に、既にCTAB溶液中に溶解したNiとV が一緒に取り込まれて Fig.3-1 の様にメソ細孔内に微細な Ni とV として再析 出すると推測される。そこで本章では、まず始めに MS/Ni/AlVOx 触媒の製造 過程におけるNi、Vの溶解及び再析出過程を観察することで、Fig.3-1、3-2の

STEM-EDSの結果と関連付けられるか否か検討した。

以上より、MS/V/Ni触媒でも同様に製造過程における触媒成分からの溶出挙 動を観察することにより、間接的にMS被覆層中にNi、Vが存在し得るかどう か確認できると考えた。

その結果に基づき、Ni、VがMS被覆層中に存在していない場合は、Ni、V を含浸することで耐久性を向上させる検討を実施することにした。一方、溶出 挙動の解析からMS被覆層中にNi、Vの存在が確認された場合には、新たな耐 久性向上の検討を図る必要がある。これまで我々はNi-Feが高濃度COに対し て耐被毒性を示すことを見出し、MS/Ni/AlVOxのMS被覆層に直接含浸するこ とで、触媒の耐久性を2倍に向上させることに成功している 3)。この要因とし て、MS被覆層に析出させたNi-Fe粒子は、長期連続耐久後もメソ細孔の大き さと同じNi結晶子径4nm程度を維持していたことが挙げられる。また、Ni-Fe を含浸したビーズ状の MS に対するCO 及び CO2吸着のFT-IR スペクトルで は、CO 吸着バンドは非常に弱くなることが確認され、カーボン析出の抑制効 果が得られたことにも起因している3)

本章では上記知見を活用し、MS/V/NiのMS被覆層に外部からNi-Feを含浸 担持することで、更なる耐久性の向上が図れるかどうか検討する。

Fig.3-1 Distribution of vanadium and nickel measured by EDS line analysis for an MS-coated Ni/AlVOx sample; inset square in (a) and inset line (b) correspond to EDS analysis area. The red points and line, green ones and blue ones observed in (b,c) correspond to Ni, V and Si, respectively. 3)

Fig.3-2 Morphology of the catalysis and the distribution of vanadium and nickel for AlVOx and Ni/AlVOx measured by STEM-EDS analysis. (a,d):

SEM images, (b,c,e,f,g) : EDS maps, green: V, red: Ni, blue: Al, (a,b,c): AlVOx

after calcination, (d,e,f,g):Ni/AlVOx after calcination. 3)