4.1.1. 計数規準型一回抜取検査
JISZ9002は、「計数規準型一回抜取検査(不良品個数の場合)」の抜取検査方法であり、
「生産者および消費者の要求する検査特性をもつように設計した抜取検査であって、ロッ トごとの合格・不合格を一回に抜き取った試料中の不良品の個数によって判定するもので
ある。」(JISZ9002 総則:備考)抜取検査手法である。
計数規準型とは、抜き取ったサンプル中の不適合品の数や不適合数でロットの合格・不 合格を判定する方式であり、それに対して計量規準型は、抜き取ったサンプルについての 計量的な特性値の平均値や標準偏差で、ロットの合格・不合格の判定を行う方法である。
計数規準型では二項分布やポアソン分布が、計量規準型では正規分布が統計的な基礎にな っている。
一回抜取検査とは、ロットから1回だけ抜き取ったサンプルの結果でロットの合格・不 合格を判定する方法である。その他に第 1 回目として指定された大きさのサンプルで、ロ ットの合格・不合格・検査続行のいずれかの判定を下し、検査継続の場合に第2回目とし て指定された大きさのサンプルを取り、1、2 回目の結果を総合して合格・不合格の判定を 下す二回抜取検査やニ回抜取検査の方式を3回以上に拡張した多回抜取検査がある。
JISZ9002は計数規準型で一回抜取検査を行う抜取検査方法である。
4.1.2. 生産者危険・消費者危険とOC曲線
抜取検査はロットから一部のサンプルを抜き取って試験し、結果を判定基準と比較して、
そのロットの合格・不合格を判定する方法である。したがって、サンプル中にたまたま多く の不適合品が入っていたため、不適合品の少ない良いロットでも不合格にしてしまう生産 者危険(α)や逆に悪いロットでも合格にしてしまう消費者危険(β)が内在する。
生産者危険(α)は、ロットの中の不適合品が全体として合格する基準に達していても、
たまたま抜き取りを行ったサンプル中に多くの不適合品が入っていたために不合格になっ てしまうことを言い、消費者危険(β)は、反対にロットの中の不適合品が合格する基準
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に達していなくても、たまたま抜き取りを行ったサンプル中の不適合品が少なかったため に合格してしまうことを言っている。JISZ9002では、生産者危険(α)を0.05、消費者危 険(β)を0.10として基準を作成している。
どの程度の不適合品を含んだロットが、平均してどの程度合格するかということが、抜 取検査では重要な問題となる。ロットの不適合品率pがn個のサンプル中に現れるx個の 不適合品の出現確率p(x)を求め、ロットの合格する割合L(p)を図示したものを検査特性曲 線(OC曲線)と呼んでいる。
図-4.1 OC曲線の例
上図は、サンプル数 20個の時、不良品が1 個以内の場合に合格するとした時、ロット の不良率と合格する確率を表した OC 曲線である。ロットの不良率が 18.1%の時、合格す る確率が10%あり、ロットの不良率が1.81%の時、合格する確率が95%であることがわか る。
この場合のロットの不良率が 18.1%の時でも 10%の確率で合格する危険を消費者危険
(β)といい、ロットの不良率が 1.81%の時でも 5%の確率で不合格となる危険を生産者 危険(α)という。JISZ9002 では、前述のように生産者危険(α)を0.05、消費者危険
(β)を0.10としている。
また、生産者危険(α)の時になるべく合格させたい不良率の上限を p0 といい、消費 者危険(β)の時になるべく不合格としたい不良率の下限をp1と呼んでいる。上記の例で
は、p0は1.81%、p1は18.1%となる。
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4.1.3. 検査の手順
JISZ9002では、検査の手順を次のように定めている。
① 品質基準を決める
② p0、p1の値を指定する
③ ロットを形成する
④ 試料の大キサと合格判定個数を求める
⑤ 試料をとる
⑥ 試料を調べる
⑦ 合格・不合格の判定を下す
⑧ ロットを処置する
これらについて簡単に説明する。
(1) 品質基準の設定
検査の目的のために選ぶ単位体または単位量である検査単位について良品と不良品に分 ける基準を明確に定める。
空間データについて考えると検査単位をメッシュとした場合、そのメッシュを良品とし て判断する場合の誤率を定めることになる。つまり、「品質基準誤率 10%未満」などと示 すことを言う。
(2) p0、p1の指定
品物を渡し側と受け取る側が協議の上、p0、p1を決める。P0とは、「なるべく合格させ たいロットの不良率の上限」であり、p1とは「なるべく不合格としたいロットの不良率の 下限」である。このp0、p1はαを0.05及びβを0.10とすることを基準とする。
この p0、p1 の値は、生産能力・経済的事情・品質に対する必要な要求または検査にか かる費用・労力・時間など各取引の実情に合わせて決める。
工業製品などは、永年の蓄積によりこの値を決められている場合も多いが、空間データ の場合、この値の決め方が難しいものと考えられる。
(3) ロットの形成
同一条件で生産されたロットをなるべくそのまま検査ロットに選ぶ。ロットが甚だしく 大きい場合は、小ロットに分割しても良い。
空間データの場合、同一条件で生産されたものの定義が難しいと考えられる。
(4) 試料の大キサと合格判定個数の決定
JISZ9002ではp0とp1を決めることにより、計数規準型抜取検査表により、試料の大
キサ(試料中の検査単位の数)nと合格判定個数(許容される不良品の個数)cが決定さ れる。JISZ9002では、次頁の表-4.1で示されている。
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表-4.1 計数規準型1回抜取検査表
44 (5) 試料の取り方
検査ロットの中から大キサnの試料をできるだけロットを代表するようにとる。試料の とりかたとしてJISZ9002では次のように規定されている。
① 乱数表・乱数器などを利用してロットからランダムに試料を抜き取る。
② やむをえなければロットの中をよくかき混ぜて目をつぶるような気持ちで試料を 取る。
③ ロットの中がさらに小さく分かれている時は、小群の大キサに比例した個数の品物 をランダムに抜き取り、まとめて試料とする。
(6) 試料の試験
品質基準にしたがって試料を調べ、試料中の不良品の数を調べる。
(7) ロットの判定
試料中の不良品の数が合格判定個数c以下であればそのロットを合格とし、cを越せば そのロットを不合格とする。
(8) ロットの処置
合格または不合格とされたロットは、あらかじめ決めた約束にしたがって処置する。ど のような場合であっても、不合格となったロットをそのまま再提出してはならない。
4.1.4. JISZ9002の適用の目安
規準型抜取検査は、新しく購入する品物とか、ときたま買入れる品物のように提出され たロットの品質に予備知識がない場合に適用される。この方式はロットの大きさに関係な く抜き取り方式が決められる最も基本的な抜取検査方式といえる。
また、計数規準型一回抜取検査表は、p0、p1 を与えて試料の大キサnと合格判定個数 cを求める表であるが、この表は二項分布で計算されており、ロットの大キサが試料の大 キサに比して大きい場合(N/n>10)に適用できる。ロットの大キサが極端に小さい場合 は超幾何分布で計算しなければならない。
したがって、ロットの大キサが十分な場合が少ないことが考えられる空間データの場合、
単純な適用が難しい場合もある。
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