48
49 4.3.2. 検査単位
検査単位とは、検査の目的のために選ぶ単位体または単位量のことである。ロットを面 として扱う場合には、検査単位は細分化したメッシュになり、地物として捉えた場合には、
一つのインスタンスまたは、インスタンスの集合ということになる。
ロットを面とした場合、検査単位は細分化したメッシュになるが、そのメッシュの大き さが問題となる。メッシュが大きいと検査単位の数が少なくなり、サンプリングする試料 が少なくなるため全数検査と変わらなくなる。また、メッシュが小さいと試料中のインス タンスの数が少なくなりエラー1件当たりの誤率が高くなり、抜取検査時のリスクが大き くなる。
検査単位をインスタンスとした場合は、考え方は単純であるが、メッシュを単位とする 場合より、品質基準を高く設定する必要があり検査単位数を多くする必要がある。この場 合でも検査するインスタンスの数はメッシュを検査単位とする場合より、少なくなると考 えられるが、より作業の全域に及ぶことになり、品質評価の効率に課題を残す。
このように検査単位にどのようなものとするのかが、大きな課題である。
なお、ここで記述されているインスタンスとは、建物の場合、一つ一つの建物のように 地物の実世界における事象のことを言っている。
4.3.3. 上限下限
この課題は、前述の課題点と視点が異なっている。抜取手法を採用する際に試料の大き さ(数)を決めるときの課題である。
抜取検査は「合格したロットであっても、その中にある程度の不適合品の混入があるこ とを認めること」を前提にして行う検査である。この不適合品の混入の割合は、作成者が 検査に要する費用を利用者がどの程度負担できるか、また、どの程度の不適合品なら許さ れるのかのバランスによって決定される。
これが、JISZ9002 の「なるべく合格させたいロットの不良率の上限」や「なるべく不
合格としたいロットの不良率の下限」であり、JISZ9015-2 の「限界品質」である。抜取 検査では、これらの上限・下限を決定することでサンプリングする試料の数が決定される。
この決定された試料のサンプリングを行い、不良品が幾つまでであったらそのロットが合 格するか不合格なのかが決定されるのである。
したがって、上限・下限などはサンプリングを行う際、重要な要素となる。これらの要 素は工業製品では、永年の蓄積によりその製品毎に決まっている。しかし、空間データの 場合、そのような蓄積が無い。品質基準値をどのように規定するかとの検討と共に、今後、
実証実験などを通してこれらの数値を決定していくことが重要な課題である。
50
4.3.4. 不合格の扱い
抜取検査方法は、ロットからサンプルを抜き取り、そのサンプルを検査することで、ロ ットの合格不合格を決める検査方法である。したがって、抜取検査で不合格とされた空間デ ータは再作成等の処置を行った上で、再納品することになる。
しかし、空間データは一つ一つのインスタンスは1つしか作成しない製品である。したが って、不合格品の代替として別の製品を納入することが困難な製品である。この点が、大量 生産の工業製品と大きく異なる点である。
また、ロットを分割して、ある部分は合格し、ある部分は不合格である場合に部分的に 納入されたとしても全体では製品としての目的を成し得ない場合が多いと考えられる。
空間データのロットが不合格となった場合は、基本的には納入者が再検査を行い、不適 合部分を修正の上、再納入することになるが、この場合の検査の方法など、工業製品と同 じように取り扱えない製品としての基準の設定等が必要と考える。