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航空レーザー測量の間接評価手法

ドキュメント内 橡品質報告書.doc (ページ 98-103)

  航空レーザ測量は、航空機から直接的に標高を取得する測量であり、レーザ光線が樹冠 を抜けて地上まで届く可能性が高いため、人の接近が困難な火山などの災害地や山間部な どの計測を得意とする。この場合、その品質を最終成果から直接評価することは困難であ る。また、都市部での測量においても建物や車両、街路樹などによって被覆されている場 合が多く、直接的に評価することが困難な場合が多い。

  そこで、航空レーザ測量では、航空測量と同様に器機のキャリブレーションと工程毎の 精度管理を重視した品質管理、つまり間接評価法による品質評価を採用せざるを得ない。

9.2.1.  航空レーザ測量システム

   

航空レーザ測量システムとは、航空機に GPS やレーザプロファイラなどを搭載し、直 接的に地形計測を行う測量器機である(図‑9.1、図‑9.2)。主要な器機としてレーザプロフ ァイラ(走査式光波測距儀)や空中GPS受信装置、動揺計測装置(ジャイロなど)、加速 度計、地上GPS基準局などで構成される。 

図-9.1  航空レーザ測量システム

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図-9.2  航空レーザ測量の概要図

航空レーザ測量システムでは、レーザプロファイラを用いてレーザ発射位置から地形ま での距離、空中 GPS 受信装置を用いてレーザ発射位置の空間位置、慣性航法装置を用い てレーザプロファイラの姿勢と飛行方向の加速度をそれぞれ計測し、これらを解析するこ とにより地形情報を求める。 

レーザプロファイラ(図‑9.3)は、地上で用いるノンプリズム型光波測距儀と同じだが、

航空機が移動し、かつ飛行方向に直交して走査することにより面的な計測を実現する。空 中 GPS 受信装置(図‑9.4)では、連続キネマティック法による計測が行われ、後処理に より機体の軌跡が求められる。慣性航法装置(図‑9.5)や空中 GPS 受信装置を組み合わ せた装置では、航空機の揺れを計測してレーザの走査方向の絶対角度が求められる。加速 度計は、空中 GPS 受信装置や揺動計測装置の計測間で走査されたレーザ光線の位置や姿 勢などを内挿補間するために用いられる。地上 GPS 基準局(図‑9.6)では、レーザ計測 と同時に計測が行われ、レーザ発射点の空間位置を求める空中 GPS 受信データとの基線 解析に用いられる。また、測線幅、走査方向や進行方向のデータ間隔は、対地高度、走査 角度、レーザ発射数、飛行速度、走査数により決められる。 

このような計測や解析により、測量対象地域の地形情報(標高群)が得られる。 

ファーストパルス アザパルス ラストパルス

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図-9.3  レーザプロファイラ        図-9.4  空中GPS受信装置

     図-9.5  慣性航法装置         図-9.6  地上GPS基準局

  また、航空機上のレーザプロファイラから発射されたレーザ光線は、徐々に広がりなが ら円錐体を描くように進む。この光線が最初に地物から跳ね返ってきたものがファースト パルス、最後の地物から跳ね返ってきたものがラストパルスと呼ばれる。ファーストパル スとラストパルスの間に跳ね返ってきたものは、その跳ね返ってきた順番でセカンドパル ス、サードパルス、あるいはこれらを含めてアザパルスなどと呼ばれる(図‑9.2)。この ような特性を利用して、ファーストパルスのみを処理することで表層の標高が、ラストパ ルスのみを処理することで地表の標高が抽出できる。 

9.2.2.  誤差要因  

航空レーザ測量おける誤差の要因として、器機、システムの運用、成果データの性質、測 量対象地域に起因するものが挙げられる。

  航空レーザ測量システムを構成する個々の機器においては、その性能が出荷時の検査に おいて明確にされている。しかし、システムとしては航空機に取り付けられた時点で機能 するため、個々の器機の取り付けられた状態での相互関係をキャリブレーションデータと して計測し、最高の精度が得られるように調整する必要がある。例えば、GPSアンテナ位 置とレーザ発射点位置の測定誤差は、成果の位置精度に影響を与える。しかし、航空機の 場合には GPS アンテナは限定された位置にしか取り付けられなく、レーザプロファイラ 内のレーザ発射点位置は外部から計測することができない。レーザの測距精度は距離によ

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る影響は少ないが、レーザ発射方向角の誤差により観測範囲の周辺になるほど、対地高度 が高くなるほど、測距精度を低下させる。

  正確にシステムのキャリブレーションが行われても、離陸前の駐機中に十分な初期化を 行わないと動揺計測装置が十分にその性能を機能しないこともある。測線変更時の機体旋 回による GPS のサイクルスリップ、GPS 衛星の配置、地上 GPS 基準局から測量対象地域ま での距離、地上 GPS 基準局と測量対象地域での天候の相違など、運用時の状況に起因する 誤差も考えられる。 

航空レーザ測量で計測されたデータは、ランダムな標高群として測地座標を与えられた 後、格子状の DTM に変換される。あるいは、TIN を生成した後に、内挿処理により DTM に 変換される。さらに、TIN や DTM から等高線が発生される。これらの処理は、全て計算処 理で行われるため、最初のランダムな標高群の密度に関係なく、格子間隔や等高線間隔を 決定できる。つまり、最初のランダムな標高群のそれぞれの高さ精度がどれほど高くとも、

後処理の方法によってはその精度が反映できないことになる。あるいは、最初のランダム な標高群の密度に関係なく、見た目には高密度の DTM や等高線を作り上げてしまうことが できる。地形モデルは、標高群の密度だけでは決定できない。例えば、平らな地形や等傾 斜の斜面などにおいては標高群の密度が粗くとも各標高の精度を活かした地形モデルを作 成することができるが、凸凹した地形では標高群の密度が密でも各標高の精度を活かした 地形モデルを作成することはできない。このように航空レーザ測量成果の性質は、一意に 定義することができない。 

  測量対象地域に樹木などの植生がある場合には、ラストパルスのみによる解析などによ り植生の影響を除去するが、実際に地表面から反射したパルスであるかの保証はない。樹 幹からの反射であったり、下草や粗朶の集積からの反射であったりすることも考えられる。

森林では、樹種や季節によって枝葉の状態が異なり、常にラストパルスが地表面から反射 されているとは限らない。このような標高については除去が試みられるが、正確に除去す ることは困難であると共に、除去によって標高群の密度が低下することになる。都市にお いても地表面の標高群を得るには、建物や車両、並木などの影響を除去しなければならず、

標高密度は極端に低下する。 

 

9.2.3. 間接評価法(キャリブレーション)

 

航空レーザ測量によって作成される成果はディジタル形式であるため、写真測量ではカ メラのレンズ歪みがカメラキャリブレーションデータにより補正できるように、器機の取 り付け状態を調整しなくとも誤差要因を数学的に補正できる。そのためには、データの計 測状態を知る必要がある。図‑9.7 は、誤差の分布を模式化したものである。このような誤 差分布を知ることにより、器機の取り付け(傾き)やレーザプロファイラのレンズ歪み状 態を分析することができる。しかしながら、実際にはレーザ光線がどの場所を計測したか を知ることは困難である。そこで、巨大な構造物の縁や平らな地形などを用いて分析する ことになる。 

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図‑9.7  誤差分布の模式図   

 

  その際、航空レーザ測量システムのプラットホームとして採用されている回転翼と固定 翼の航空機では運航速度が大きく異なるため、それに応じて計測される標高群の間隔も異 なり、同一のキャリブレーション方法を用いることはできない。そこで、各種の標高群の 間隔に応じて輪郭決定法と等高決定法が検討されている(国土地理院、2001)。輪郭決定 法は、標高群の間隔が密で建造物の輪郭を表現できる場合、輪郭の位置の比較により補正 値を求める方法である。等高決定法は、標高群の間隔が粗で建造物の輪郭が表現できない 場合、平らな斜面を計測して作成した等高線を比較したり、平らな面を計測して断面を比 較したりすることにより補正値を求める方法である。どちらの方法も、繰り返しにより最 適値に収束させる必要がある。

 

見かけの計測 実際の計測

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